2020/10/18(日) - 09:09
急勾配の4級山岳を含む34.1kmの個人タイムトライアルで、圧巻の走りを披露したフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)がステージ3勝目。区間6位に入る好走を見せたホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)がマリアローザのリードをさらに広げてみせた。
今ジロ・デ・イタリア2回目の個人タイムトライアルとなる第14ステージは、ワインの一大産地を走る34.1km。2015年大会の第14ステージ59.4km個人タイムトライアルの後半部分をほぼそのまま走るレイアウトだ。
7km地点にはジロに度々登場する4級山岳ムーロ・ディ・カ・デル・ポッジオ(全長1.1km・平均12.3%・最大19%)が登場し、後半は緩やかなアップダウン。4級山岳はムーロ「壁」の異名を持つ激坂だが、その前後はスピードが重視されるレイアウトであるため、近年グランツールの個人タイムトライアルのトレンドとなっているバイク交換を行う選手は現れなかった。
総合成績でたっぷり3時間9分48秒遅れている総合最下位(143位)のジョナサン・ディッベン(イギリス、ロット・スーダル)を先頭に、同142位ガイ・サジフ(イスラエル、イスラエル・スタートアップネイション)、同141位マルコ・マティス(ドイツ、コフィディス)と1分おきにスタート台を駆け下りる。8番手スタートのオーストリアTT王者マティアス・ブランドル(イスラエル・スタートアップネイション)が好走する中、ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)のDNFという一報が入った。
トレック・セガフレードの発表によれば、チッコーネが患ったのは気管支炎。9月に新型コロナウイルスを発症し、回復したばかりのチッコーネには冷雨続きの山岳レースは厳しかったと見られている。総合5位ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)は重要な山岳アシストを失うことになってしまった。
アワーレコードホルダーのヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)が44分46秒でトップタイムとなったのも束の間、チェコTT王者ヨセフ・チェルニー(CCCチーム)がカンペナールツを50秒上回る43分56秒でフィニッシュ。しかしその後スタートした、イネオス・グレナディアーズの新旧TT世界王者コンビが圧巻の走りを披露することとなる。
ローハン・デニス(オーストラリア)は3箇所全ての中間計測でトップタイムを叩き出し、43分06秒(平均47.471km/h)でフィニッシュしたものの、ロード世界選手権男子エリート個人タイムトライアルで優勝し、続くジロ第1ステージで優勝、マリアローザを着用したフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)の走りが更に上回った。
「トップガンナ」のニックネームをもつガンナは前を走る選手たちを次々とゴボウ抜きし、3箇所全ての中間計測でデニスを上回る。スタートから4級山岳が含まれる序盤7.4kmを平均510ワット、体重の6.2倍というデータ(Velon)を叩き出した世界王者は、最終的にデニスを26秒上回る42分40秒でフィニッシュした。
3分間隔でスタートするラスト15人がフィニッシュしてもガンナとデニスを上回る選手は現れず、ガンナのステージ3勝目、そしてイネオス・グレナディアーズのステージ4勝目が決まる。「全ての勝利が僕にとって大切であり、このジロでイネオスはどんなステージだろうが勝てる万能ぶりを見せつけている。レース序盤は大丈夫だったが、5分間の登りは簡単ではなかった。それでも頂上を過ぎた後は調子も上がり、フィニッシュが近づくにつれて気分も上向きになったんだ。最終週の山岳コースが晴れて寒過ぎないことを願うばかりだ。ミラノでのタイムトライアルを目指してできるだけ体力をセーブしたいんだ」と、TTステージ完全勝利を目指すガンナは語っている。
マクナルティが好走、アルメイダはマリアローザのリード拡大
総合上位陣の中で、ステージワンツーのイネオスコンビに肉薄したのは総合11位ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)だった。「ウォームアップ時点での気分は最悪。どれだけ走れるか見当もつかなかった」と言うマクナルティだが、序盤5kmで体重の6.67倍を踏み、3箇所の中間計測でいずれも3位通過という好ペースを最後まで維持。ガンナから1分09秒遅れのステージ3位に入ったグランツールデビューの22歳は、キャリアブレイクと言える走りで総合4位浮上を叶えている。
総合10位ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)、総合7位ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)、総合4位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング)といった面々が順位を落とす中、ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)は全体の16番手となる好タイムで総合8位→総合6位浮上に成功する。
総合3位ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)はガンナから2分53秒遅れでまとめたが、40秒遅れの総合2位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)とマリアローザのホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)は共に快走した。
二人は共に中間計測でトップ10に入る走りを見せ、ケルデルマンは1分47秒遅れでフィニッシュ。最終区間でやや失速しながらも、中盤までに築いたリードを生かしたアルメイダは1分31秒遅れのステージ6位に入り、マリアローザのリードをさらに積み重ねることに成功した。
リズムを取りづらいレイアウトの第14ステージを終え、総合トップスリーに順位変動はなし。アルメイダが総合2位ケルデルマンとの差を56秒に、3位ビルバオとの差を2分11秒まで広げることに成功。4位にはマクナルティがジャンプアップし、ニバリは5位キープ。6位マイカ、7位ポッツォヴィーヴォ、8位ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)、10位ヒンドレーという総合成績になっている。
今ジロ・デ・イタリア2回目の個人タイムトライアルとなる第14ステージは、ワインの一大産地を走る34.1km。2015年大会の第14ステージ59.4km個人タイムトライアルの後半部分をほぼそのまま走るレイアウトだ。
7km地点にはジロに度々登場する4級山岳ムーロ・ディ・カ・デル・ポッジオ(全長1.1km・平均12.3%・最大19%)が登場し、後半は緩やかなアップダウン。4級山岳はムーロ「壁」の異名を持つ激坂だが、その前後はスピードが重視されるレイアウトであるため、近年グランツールの個人タイムトライアルのトレンドとなっているバイク交換を行う選手は現れなかった。
総合成績でたっぷり3時間9分48秒遅れている総合最下位(143位)のジョナサン・ディッベン(イギリス、ロット・スーダル)を先頭に、同142位ガイ・サジフ(イスラエル、イスラエル・スタートアップネイション)、同141位マルコ・マティス(ドイツ、コフィディス)と1分おきにスタート台を駆け下りる。8番手スタートのオーストリアTT王者マティアス・ブランドル(イスラエル・スタートアップネイション)が好走する中、ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)のDNFという一報が入った。
トレック・セガフレードの発表によれば、チッコーネが患ったのは気管支炎。9月に新型コロナウイルスを発症し、回復したばかりのチッコーネには冷雨続きの山岳レースは厳しかったと見られている。総合5位ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)は重要な山岳アシストを失うことになってしまった。
アワーレコードホルダーのヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)が44分46秒でトップタイムとなったのも束の間、チェコTT王者ヨセフ・チェルニー(CCCチーム)がカンペナールツを50秒上回る43分56秒でフィニッシュ。しかしその後スタートした、イネオス・グレナディアーズの新旧TT世界王者コンビが圧巻の走りを披露することとなる。
ローハン・デニス(オーストラリア)は3箇所全ての中間計測でトップタイムを叩き出し、43分06秒(平均47.471km/h)でフィニッシュしたものの、ロード世界選手権男子エリート個人タイムトライアルで優勝し、続くジロ第1ステージで優勝、マリアローザを着用したフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)の走りが更に上回った。
「トップガンナ」のニックネームをもつガンナは前を走る選手たちを次々とゴボウ抜きし、3箇所全ての中間計測でデニスを上回る。スタートから4級山岳が含まれる序盤7.4kmを平均510ワット、体重の6.2倍というデータ(Velon)を叩き出した世界王者は、最終的にデニスを26秒上回る42分40秒でフィニッシュした。
3分間隔でスタートするラスト15人がフィニッシュしてもガンナとデニスを上回る選手は現れず、ガンナのステージ3勝目、そしてイネオス・グレナディアーズのステージ4勝目が決まる。「全ての勝利が僕にとって大切であり、このジロでイネオスはどんなステージだろうが勝てる万能ぶりを見せつけている。レース序盤は大丈夫だったが、5分間の登りは簡単ではなかった。それでも頂上を過ぎた後は調子も上がり、フィニッシュが近づくにつれて気分も上向きになったんだ。最終週の山岳コースが晴れて寒過ぎないことを願うばかりだ。ミラノでのタイムトライアルを目指してできるだけ体力をセーブしたいんだ」と、TTステージ完全勝利を目指すガンナは語っている。
マクナルティが好走、アルメイダはマリアローザのリード拡大
総合上位陣の中で、ステージワンツーのイネオスコンビに肉薄したのは総合11位ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)だった。「ウォームアップ時点での気分は最悪。どれだけ走れるか見当もつかなかった」と言うマクナルティだが、序盤5kmで体重の6.67倍を踏み、3箇所の中間計測でいずれも3位通過という好ペースを最後まで維持。ガンナから1分09秒遅れのステージ3位に入ったグランツールデビューの22歳は、キャリアブレイクと言える走りで総合4位浮上を叶えている。
総合10位ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)、総合7位ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)、総合4位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング)といった面々が順位を落とす中、ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)は全体の16番手となる好タイムで総合8位→総合6位浮上に成功する。
総合3位ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)はガンナから2分53秒遅れでまとめたが、40秒遅れの総合2位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)とマリアローザのホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)は共に快走した。
二人は共に中間計測でトップ10に入る走りを見せ、ケルデルマンは1分47秒遅れでフィニッシュ。最終区間でやや失速しながらも、中盤までに築いたリードを生かしたアルメイダは1分31秒遅れのステージ6位に入り、マリアローザのリードをさらに積み重ねることに成功した。
リズムを取りづらいレイアウトの第14ステージを終え、総合トップスリーに順位変動はなし。アルメイダが総合2位ケルデルマンとの差を56秒に、3位ビルバオとの差を2分11秒まで広げることに成功。4位にはマクナルティがジャンプアップし、ニバリは5位キープ。6位マイカ、7位ポッツォヴィーヴォ、8位ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)、10位ヒンドレーという総合成績になっている。
ジロ・デ・イタリア2020第14ステージ結果
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 42:40 |
2位 | ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:26 |
3位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | 1:09 |
4位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 1:11 |
5位 | ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム) | 1:16 |
6位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 1:31 |
7位 | タネル・カンゲルト(エストニア、EFプロサイクリング) | 1:33 |
8位 | ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 1:44 |
9位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 1:47 |
10位 | ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・マクラーレン) | 2:00 |
DNF | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 54:28:09 |
2位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:56 |
3位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 2:11 |
4位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | 2:23 |
5位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 2:30 |
6位 | ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 2:33 |
7位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング) | |
8位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 3:11 |
9位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 3:17 |
10位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 3:33 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 221pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 184pts |
3位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 78pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング) | 87pts |
2位 | ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ヴィーニザブKTM) | 76pts |
3位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 48pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 54:28:09 |
2位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 2:23 |
3位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | 2:33 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 61:21:41 |
2位 | ドゥクーニンク・クイックステップ | 0:12:58 |
3位 | サンウェブ | 0:16:20 |
text:So Isobe
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