2020/10/14(水) - 14:52
サンタクルズの日本代理店ウィンクレルの東京展示会をレポート。ダニー・マッカスキルが駆る27.5フルサス「5010(フィフティー・テン)」がリアサスのリンク機構のアップデートを経て登場。ION(アイオン)のアパレルやスティーブ・ピートの名を冠した新ブランド「PEATY'S(ピーティーズ)を紹介する。
ウィンドサーフィンやスノーボードブランドなどの輸入商社として知られるウィンクレル社。ドイツ籍の会社であり、ウィンタースポーツの分野では老舗的存在だ。ノースウェーブのシューズの取り扱いを皮切りにマウンテンバイク業界にも進出。サンタクルズの取り扱いを開始してから今年で4年目となる。
MTB専業メーカーとしてエンスージアストに高い人気を誇る、名前のとおりアメリカ・カリフォルニア州発祥のMTBブランドであるSANTA CRUZ(サンタクルズ)。エントリーモデルなどが一切なく、ハイエンドしかないという割り切った展開でマニアの心をつかみ、日本でも人気急上昇のブランドだ。今年発表されたニューモデルはリアサスペンション機構を刷新するモデルチェンジを受けた「5010(フィフティー・テン)」。
アメリカでは7月に発表された5010。同社がフルサポートするプロチーム「サンタクルズ・シンジケート」のダニー・マッカスキルが選ぶプレイバイクとして知られたモデルで、27.5インチ&130mmトラベルのフルサス、ショートチェーンステーに低いBB、アングル可変ヘッドチューブ(66.2 / 66.5度をフリップチップで調整)、広いリーチ&短いステムのコンビネーションにより俊敏な運動性能を獲得。ジャンプやバックフリップも自由自在の操縦性を楽しめるバイクとしてユニークな存在のバイクだ。
モデルチェンジにより、今まで上付きだったリアサスリンクが「ロワーリンク」に変更され、より低重心となったのが新5010の大きな変更点だ。ダウンヒルの最高峰モデル「V10」で培ったロワーリンク構造の可動域の大きさは評価が高く、昨年は29インチモデルのTALLBOY等がロワーリンク化。そして今年は27.5インチの5010にも採用された流れだ。
ロワーリンク化によってより低重心となった新5010は、ダウンヒル性能を上げつつ、低ストローク量域での動きの軽やかさを演出することに成功しているという。ストローク量はF:130mm/R:140mm。
5010のもう一つの変化は、リアのスイングアームがサイズごとに造り分けされるようになったこと。他のバイクでは異なるサイズに同じスイングアームが使用されるが、5010にはサイズごとに最適設計したスイングアームがセットされる。XSとSのみが共通だが、他の3サイズはそれぞれ異なる長さのスイングアームを使用することで、リアセンターもサイズごとに異なる。なおリアエンドにはスラムのユニバーサルディレイラーハンガーが採用される。
「開発者が”Next Revel"だと言うこの変更は、理想的なジオメトリーを追求するために行った造り分けで、コストは度外視のはず。おそらくスウィングアームをサイズごとに造り分けているメーカーは他に無いはず。サンタクルズはもともとバランスが優れているという評価を頂いていますが、内覧を済ませたショップの皆さんからは期待の声を多くいただきました。この変更が響く人が多いようです。」とウィンクレルの小林代表は言う。
「まるでBMXのような機敏さのプレイバイク」と形容される5010の走りに、より懐の深い下り性能がプラスされることで、今まで以上に下りも楽しめるバイクとなる。
他の大手ブランドが29インチにラインナップを絞るなか、5010は27.5インチの可能性を広げてくれるモデルと言えそうだ。「27.5 is Never Die」は、他にもNOMADやBRONSON、CHAMEREON等も展開するサンタクルズが掲げるモットーだ。走破性や速さだけではない、操る楽しさを追求するモデルを揃えるのはサンタクルズのブランドの世界観の現れだ。
他に2021モデルとしてはDHバイクのV10にマレット仕様(F:29、R:27.5インチ)が加わるが、他の継続モデルは新カラーへの変更と、サスペンションやコンポーネント、各パーツの仕様変更にとどまる。それはサンタクルズのMTB各モデルが熟成されていることの証とも言える。そして27.5のメリットを打ち出したE-MTBのHeckler(ヘックラー)もまもなく日本に上陸する。
サンタクルズのMTB全般に言えるのは、奇をてらった構造や新機構は採用しない代わりに、トレイルからダウンヒルまでサスのストロークやタイヤサイズごとに細分化されたラインナップを取り揃えること。そのうえアルミフレームとカーボンフレーム、コンポやタイヤ太さ、そしてオリジナルのRESERVE(リザーブ)ホイールの選択と、モデルごとにセミオーダーとも言えるほどの多くの選択肢を提供する。世界的に人気の高まっているブランドだけに、お気に入りの車種を確保するにはディラーでの早めの注文が欠かせない。
スティーブは現在サンタクルズ・シンジケートのコーチとして活躍しつつ、同チームをこのブランドでサポートする。チェーンルブ、ウォッシングケミカル、マッドガードやバルブなど、気の利いたアイデアグッズがラインナップされる。
プロダウンヒラーとしての経歴を生かしたコラボ商品も多く、クリスキングとのダブルネームのチューブレスバルブは代表例だ。クリスキングの美しいハブと同じカラーのバルブが揃い、2種の形状のキャップはニップル回しとバルブコアレンチを兼ねる。また根本のベースには割が入り、タイヤ内にコアを入れている際にもエアを注入できるアイデア構造。
ケミカルが類が充実し、化粧品のようなパッケージのデザインもさることながらリフィル(詰め替え)やリユース(再利用)タイプなどゴミを増やさない合理的な工夫が図られ環境にも配慮される。
好評のシーラントはバイオグリッター粒子入で6mmまでの穴を塞ぐほか、ユーカリの木から抽出したセルロースによる生分解成分で環境負荷も少なく、携帯しやすいパウチボトルへの移し替えやバルブに直接注入できる注入口に工夫されている。注入量が目で見てわかりやすいクリアパッケージで、主成分はシンセティック(合成)ラテックス。
ウィンクレルが扱うマウンテンバイク用アパレル&グッズの 「ION(アイオン)」。ドイツのブランドで、アメリカンなアパレルにないデザインと機能性がユニーク。なかでもトレイル用ウェアは爽やかなカラーとデザインでMTB界では異色の存在と言えそうだ。もともとサーフィンを由来としたブランドとしての世界観を打ち出してのデザインが今にフィットするようで人気上昇中。スマホ収納スリーブ付きのポケットやアイウェアのレンズの汚れを拭きとるクリーニングクロスを備えたシャツなど、思わず感心してしまうアイデアにも満ちている。
スパイクピン付きペダルをスネにヒットした痛い思い出は多くのBMXer&MTBerが経験済みだが、パッド内蔵ソックスは隠れた人気商品。そしてニーウォーマーのようなソフトな素材のベースにパッドを装備したプロテクターなど、装着感にこだわったアクサセリー類も充実する。
photo&text:Makoto.AYANO
ウィンドサーフィンやスノーボードブランドなどの輸入商社として知られるウィンクレル社。ドイツ籍の会社であり、ウィンタースポーツの分野では老舗的存在だ。ノースウェーブのシューズの取り扱いを皮切りにマウンテンバイク業界にも進出。サンタクルズの取り扱いを開始してから今年で4年目となる。
MTB専業メーカーとしてエンスージアストに高い人気を誇る、名前のとおりアメリカ・カリフォルニア州発祥のMTBブランドであるSANTA CRUZ(サンタクルズ)。エントリーモデルなどが一切なく、ハイエンドしかないという割り切った展開でマニアの心をつかみ、日本でも人気急上昇のブランドだ。今年発表されたニューモデルはリアサスペンション機構を刷新するモデルチェンジを受けた「5010(フィフティー・テン)」。
アメリカでは7月に発表された5010。同社がフルサポートするプロチーム「サンタクルズ・シンジケート」のダニー・マッカスキルが選ぶプレイバイクとして知られたモデルで、27.5インチ&130mmトラベルのフルサス、ショートチェーンステーに低いBB、アングル可変ヘッドチューブ(66.2 / 66.5度をフリップチップで調整)、広いリーチ&短いステムのコンビネーションにより俊敏な運動性能を獲得。ジャンプやバックフリップも自由自在の操縦性を楽しめるバイクとしてユニークな存在のバイクだ。
モデルチェンジにより、今まで上付きだったリアサスリンクが「ロワーリンク」に変更され、より低重心となったのが新5010の大きな変更点だ。ダウンヒルの最高峰モデル「V10」で培ったロワーリンク構造の可動域の大きさは評価が高く、昨年は29インチモデルのTALLBOY等がロワーリンク化。そして今年は27.5インチの5010にも採用された流れだ。
ロワーリンク化によってより低重心となった新5010は、ダウンヒル性能を上げつつ、低ストローク量域での動きの軽やかさを演出することに成功しているという。ストローク量はF:130mm/R:140mm。
5010のもう一つの変化は、リアのスイングアームがサイズごとに造り分けされるようになったこと。他のバイクでは異なるサイズに同じスイングアームが使用されるが、5010にはサイズごとに最適設計したスイングアームがセットされる。XSとSのみが共通だが、他の3サイズはそれぞれ異なる長さのスイングアームを使用することで、リアセンターもサイズごとに異なる。なおリアエンドにはスラムのユニバーサルディレイラーハンガーが採用される。
「開発者が”Next Revel"だと言うこの変更は、理想的なジオメトリーを追求するために行った造り分けで、コストは度外視のはず。おそらくスウィングアームをサイズごとに造り分けているメーカーは他に無いはず。サンタクルズはもともとバランスが優れているという評価を頂いていますが、内覧を済ませたショップの皆さんからは期待の声を多くいただきました。この変更が響く人が多いようです。」とウィンクレルの小林代表は言う。
「まるでBMXのような機敏さのプレイバイク」と形容される5010の走りに、より懐の深い下り性能がプラスされることで、今まで以上に下りも楽しめるバイクとなる。
他の大手ブランドが29インチにラインナップを絞るなか、5010は27.5インチの可能性を広げてくれるモデルと言えそうだ。「27.5 is Never Die」は、他にもNOMADやBRONSON、CHAMEREON等も展開するサンタクルズが掲げるモットーだ。走破性や速さだけではない、操る楽しさを追求するモデルを揃えるのはサンタクルズのブランドの世界観の現れだ。
他に2021モデルとしてはDHバイクのV10にマレット仕様(F:29、R:27.5インチ)が加わるが、他の継続モデルは新カラーへの変更と、サスペンションやコンポーネント、各パーツの仕様変更にとどまる。それはサンタクルズのMTB各モデルが熟成されていることの証とも言える。そして27.5のメリットを打ち出したE-MTBのHeckler(ヘックラー)もまもなく日本に上陸する。
サンタクルズのMTB全般に言えるのは、奇をてらった構造や新機構は採用しない代わりに、トレイルからダウンヒルまでサスのストロークやタイヤサイズごとに細分化されたラインナップを取り揃えること。そのうえアルミフレームとカーボンフレーム、コンポやタイヤ太さ、そしてオリジナルのRESERVE(リザーブ)ホイールの選択と、モデルごとにセミオーダーとも言えるほどの多くの選択肢を提供する。世界的に人気の高まっているブランドだけに、お気に入りの車種を確保するにはディラーでの早めの注文が欠かせない。
スティーブ・ピートのアクセサリーブランド "PEATY'S(ピーティーズ)”
史上最強のダウンヒルレーサーのひとりであるスティーブ・ピートの名を冠した新ブランド「PEATY'S(ピーティーズ)」の取り扱いが始まった。2009年ダウンヒル世界チャンピオンのほか数々のタイトルをもつレジェンドが始めたのが、「ピーティー」のニックネームからとったアクセサリーブランド「PEATY'S(ピーティーズ)」だ。スティーブは現在サンタクルズ・シンジケートのコーチとして活躍しつつ、同チームをこのブランドでサポートする。チェーンルブ、ウォッシングケミカル、マッドガードやバルブなど、気の利いたアイデアグッズがラインナップされる。
プロダウンヒラーとしての経歴を生かしたコラボ商品も多く、クリスキングとのダブルネームのチューブレスバルブは代表例だ。クリスキングの美しいハブと同じカラーのバルブが揃い、2種の形状のキャップはニップル回しとバルブコアレンチを兼ねる。また根本のベースには割が入り、タイヤ内にコアを入れている際にもエアを注入できるアイデア構造。
ケミカルが類が充実し、化粧品のようなパッケージのデザインもさることながらリフィル(詰め替え)やリユース(再利用)タイプなどゴミを増やさない合理的な工夫が図られ環境にも配慮される。
好評のシーラントはバイオグリッター粒子入で6mmまでの穴を塞ぐほか、ユーカリの木から抽出したセルロースによる生分解成分で環境負荷も少なく、携帯しやすいパウチボトルへの移し替えやバルブに直接注入できる注入口に工夫されている。注入量が目で見てわかりやすいクリアパッケージで、主成分はシンセティック(合成)ラテックス。
サーフィン由来のマウンテンバイクアパレル&グッズ ION(アイオン)
ウィンクレルが扱うマウンテンバイク用アパレル&グッズの 「ION(アイオン)」。ドイツのブランドで、アメリカンなアパレルにないデザインと機能性がユニーク。なかでもトレイル用ウェアは爽やかなカラーとデザインでMTB界では異色の存在と言えそうだ。もともとサーフィンを由来としたブランドとしての世界観を打ち出してのデザインが今にフィットするようで人気上昇中。スマホ収納スリーブ付きのポケットやアイウェアのレンズの汚れを拭きとるクリーニングクロスを備えたシャツなど、思わず感心してしまうアイデアにも満ちている。
スパイクピン付きペダルをスネにヒットした痛い思い出は多くのBMXer&MTBerが経験済みだが、パッド内蔵ソックスは隠れた人気商品。そしてニーウォーマーのようなソフトな素材のベースにパッドを装備したプロテクターなど、装着感にこだわったアクサセリー類も充実する。
photo&text:Makoto.AYANO
フォトギャラリー
リンク
Amazon.co.jp