2020/10/11(日) - 10:56
全周回でトップタイムという圧倒的な走りでポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)が世界選手権2連覇を達成。U23でもフランスのロアナ・ルコントがアルカンシエルを射止めている。
オーストリア、レオガングの空模様は晴れ時々くもり。依然として林間セクションや下り区間はスリッピーなタフコンディションではあるものの、MTBの女子世界王者を決めるエリートレースが開催される頃、ホームストレートを始め平坦区間には乾いた路面も現れた。
スタートループ1周+メインコース5周=19.15kmで争われた女子エリートの出走人数は59名。地元オーストリアの期待を背負うラウラ・スティッガーは胃腸感染症によってスタートせず、更に2016年の世界王者でありXCマラソンで5度世界王者に輝いたアニカ・ラングヴァド(デンマーク)も同じ症状を訴えてDNFと即時現役引退を発表。スター選手2人を欠いたレースで、好ダッシュを決めたのは2連覇が掛かるポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)だった。
エリザベス・ブランダウ(ドイツ)の落車を尻目にホールショットを奪ったフェランプレヴォの走りは冴え渡っていた。パワフルな走りで登りを突き進み、危うさを感じさせない走りで超スリッピーな下りを飛ばす世界王者は、すぐさま2番手以降を引き離して独走態勢に持ち込んだ。「もし集団で走ったら登りだろうと下りだろうとペースを乱されると思っていたので、早く独走に持ち込みたかった」と言うフェランプレヴォはスタートループ完了時点で11秒もの差を積み上げた。
イヴィ・リチャーズ(イギリス)やレベッカ・マコンネル(オーストラリア)が好スタートを切った一方、精彩を欠いたのがプレ五輪勝者のヨランダ・ネフ(スイス)や2018年世界王者のケイト・コートニー(アメリカ)といった面々。3周目に激しく顔面落車したコートニーは脳震盪症状を覚えたためレースを降り、序盤好発進したアン・テルプストラ(オランダ、プレ五輪3位)も呼吸トラブルでリタイア。リオ五輪覇者のジェニー・リスヴェッツ(スウェーデン)も途中リタイヤに終わっている。
パートナーのジュリアン・アブサロン(フランス)のアドバイスを聞きながら走るフェランプレヴォは十分なリードを築き上げ、その背後では昨年3位銅メダルのマコンネルがヤナ・ベロモイナ(ウクライナ)を突き放して2番手。2011年に銅メダルを獲得したエヴァ・リヒナー(イタリア)は中盤以降ペースを上げ、3番手シーナ・フライ(スイス)や2番手マコンネルとの差を徐々に詰めていった。
金色のヘルメットを輝かせて走るフェランプレヴォは、スタートループとメインコース5周回全てでトップラップタイムという圧倒的な走りを披露する。その背後ではリヒナーがマコンネルを捉えたことで銀メダル争いが勃発したが、フェランプレヴォの集中した表情は最後まで崩れなかった。
2番手グループとの差は何と3分。周回コース最後の下りと連続コーナーを危なげなくクリアしたフェランプレヴォが、スタートから一度も先頭を譲ることなく完全勝利。五輪プレ大会で激しく落車負傷し、年明けには脚の動脈に抱えたトラブルを除去する手術を受けていた28歳が、2015年と2019年に続く自身3度目、2年連続のクロスカントリー世界王者に輝いた。
「抜け出したいと思っていたけれど、まさかあれ程すぐ独走できるとは思わなかった。そこから集中してベストを尽くし、例え落車やメカトラブルがあっても問題ないくらいのリードを稼ぐことができた。タイトルを守ることができて本当にハッピー。大好きなアルカンシエルをもう一年着ることができるのだから」と、好調のまま連覇を果たしたフェランプレヴォは語っている。
ワンミスが命取りになる、緊張感溢れるマコンネルとリヒナーの銀メダル争いを制したのはリヒナーだった。リヒナーは最終周回の登り区間で遅れを取ったものの、濡れた木の根が露出した下り区間で落車したマコンネルとの差を詰め、最後はゴールスプリントで先着。35歳のイタリア王者にとっては9年ぶりとなる世界選手権での表彰台獲得であり、過去最高順位を獲得している。
リヒナーに抜かれた後も粘ったフライは4位を維持し、1996年生まれのアイラ・ショート(イギリス)がキャリアブレイクとなる5位を獲得。後半巻き返したネフはショートから29秒遅れの6位に入っている。
U23女子レース:フランスのルコントが勝利
女子エリートの前に開催されたU23女子レースには39名が出場。気温7度というコンディションの中、ロアナ・ルコント(フランス)がレースを掌握した。
ワールドカップ第1戦のエリートカテゴリーで優勝し、世界選手権初日のチームリレーで優勝に貢献したルコントは、スタートループで20秒近いリードを稼ぎ、メインコースでも4周回中2周回でトップタイムを刻み、最終的に2番手以降を1分11秒引き離して勝利した。
2位銀メダルはU23カテゴリー初挑戦のカータ・ヴァス(ハンガリー)で、3位銅メダルはハーレー・バッテン(アメリカ)を交わしたシクロクロス世界王者セイリン・アルバラード(オランダ)が獲得している。
オーストリア、レオガングの空模様は晴れ時々くもり。依然として林間セクションや下り区間はスリッピーなタフコンディションではあるものの、MTBの女子世界王者を決めるエリートレースが開催される頃、ホームストレートを始め平坦区間には乾いた路面も現れた。
スタートループ1周+メインコース5周=19.15kmで争われた女子エリートの出走人数は59名。地元オーストリアの期待を背負うラウラ・スティッガーは胃腸感染症によってスタートせず、更に2016年の世界王者でありXCマラソンで5度世界王者に輝いたアニカ・ラングヴァド(デンマーク)も同じ症状を訴えてDNFと即時現役引退を発表。スター選手2人を欠いたレースで、好ダッシュを決めたのは2連覇が掛かるポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)だった。
エリザベス・ブランダウ(ドイツ)の落車を尻目にホールショットを奪ったフェランプレヴォの走りは冴え渡っていた。パワフルな走りで登りを突き進み、危うさを感じさせない走りで超スリッピーな下りを飛ばす世界王者は、すぐさま2番手以降を引き離して独走態勢に持ち込んだ。「もし集団で走ったら登りだろうと下りだろうとペースを乱されると思っていたので、早く独走に持ち込みたかった」と言うフェランプレヴォはスタートループ完了時点で11秒もの差を積み上げた。
イヴィ・リチャーズ(イギリス)やレベッカ・マコンネル(オーストラリア)が好スタートを切った一方、精彩を欠いたのがプレ五輪勝者のヨランダ・ネフ(スイス)や2018年世界王者のケイト・コートニー(アメリカ)といった面々。3周目に激しく顔面落車したコートニーは脳震盪症状を覚えたためレースを降り、序盤好発進したアン・テルプストラ(オランダ、プレ五輪3位)も呼吸トラブルでリタイア。リオ五輪覇者のジェニー・リスヴェッツ(スウェーデン)も途中リタイヤに終わっている。
パートナーのジュリアン・アブサロン(フランス)のアドバイスを聞きながら走るフェランプレヴォは十分なリードを築き上げ、その背後では昨年3位銅メダルのマコンネルがヤナ・ベロモイナ(ウクライナ)を突き放して2番手。2011年に銅メダルを獲得したエヴァ・リヒナー(イタリア)は中盤以降ペースを上げ、3番手シーナ・フライ(スイス)や2番手マコンネルとの差を徐々に詰めていった。
金色のヘルメットを輝かせて走るフェランプレヴォは、スタートループとメインコース5周回全てでトップラップタイムという圧倒的な走りを披露する。その背後ではリヒナーがマコンネルを捉えたことで銀メダル争いが勃発したが、フェランプレヴォの集中した表情は最後まで崩れなかった。
2番手グループとの差は何と3分。周回コース最後の下りと連続コーナーを危なげなくクリアしたフェランプレヴォが、スタートから一度も先頭を譲ることなく完全勝利。五輪プレ大会で激しく落車負傷し、年明けには脚の動脈に抱えたトラブルを除去する手術を受けていた28歳が、2015年と2019年に続く自身3度目、2年連続のクロスカントリー世界王者に輝いた。
「抜け出したいと思っていたけれど、まさかあれ程すぐ独走できるとは思わなかった。そこから集中してベストを尽くし、例え落車やメカトラブルがあっても問題ないくらいのリードを稼ぐことができた。タイトルを守ることができて本当にハッピー。大好きなアルカンシエルをもう一年着ることができるのだから」と、好調のまま連覇を果たしたフェランプレヴォは語っている。
ワンミスが命取りになる、緊張感溢れるマコンネルとリヒナーの銀メダル争いを制したのはリヒナーだった。リヒナーは最終周回の登り区間で遅れを取ったものの、濡れた木の根が露出した下り区間で落車したマコンネルとの差を詰め、最後はゴールスプリントで先着。35歳のイタリア王者にとっては9年ぶりとなる世界選手権での表彰台獲得であり、過去最高順位を獲得している。
リヒナーに抜かれた後も粘ったフライは4位を維持し、1996年生まれのアイラ・ショート(イギリス)がキャリアブレイクとなる5位を獲得。後半巻き返したネフはショートから29秒遅れの6位に入っている。
U23女子レース:フランスのルコントが勝利
女子エリートの前に開催されたU23女子レースには39名が出場。気温7度というコンディションの中、ロアナ・ルコント(フランス)がレースを掌握した。
ワールドカップ第1戦のエリートカテゴリーで優勝し、世界選手権初日のチームリレーで優勝に貢献したルコントは、スタートループで20秒近いリードを稼ぎ、メインコースでも4周回中2周回でトップタイムを刻み、最終的に2番手以降を1分11秒引き離して勝利した。
2位銀メダルはU23カテゴリー初挑戦のカータ・ヴァス(ハンガリー)で、3位銅メダルはハーレー・バッテン(アメリカ)を交わしたシクロクロス世界王者セイリン・アルバラード(オランダ)が獲得している。
MTB世界選手権2020 XCO女子エリート結果
1位 | ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス) | 1:27:33 |
2位 | エヴァ・リヒナー(イタリア) | 3:01 |
3位 | レベッカ・マコンネル(オーストラリア) | 3:01 |
4位 | シーナ・フライ(スイス) | 3:46 |
5位 | アイラ・ショート(イギリス) | 4:17 |
6位 | ヨランダ・ネフ(スイス) | 4:46 |
7位 | ヤナ・ベロモイナ(ウクライナ) | 5:28 |
8位 | マヤ・ヴウォシュチョヴスカ(ポーランド) | 5:44 |
9位 | ターニャ・ザケリ(スロベニア) | 6:12 |
10位 | アレッサンドラ・ケラー(スイス) | 6:25 |
MTB世界選手権2020 XCO女子U23結果
1位 | ロアナ・ルコント(フランス) | 1:13:34 |
2位 | カータ・ヴァス(ハンガリー) | 1:11 |
3位 | セイリン・アルバラード(オランダ) | 2:42 |
4位 | ハーレー・バッテン(アメリカ) | 3:38 |
5位 | ノエレ・ブリ(スイス) | 5:32 |
text:So Isobe
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