「さすがに体重82kgの自分が山岳を登るのは簡単ではない」と語るのは、1級山岳でライバルをふるい落としたフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)。ジロ・デ・イタリア第5ステージを走った選手たちのコメントを紹介します。



ステージ1位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)

マリアアッズーラも手にしたフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)マリアアッズーラも手にしたフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:LaPresse
昨日ゲラント・トーマスにメッセージを送った時、「いいかピッポ、逃げに乗るんだ。挑戦してもう1勝してみせるんだ」という返信をもらった。そして今日僕は挑戦して、この素晴らしい勝利を手にすることができた。

最初から自分が逃げに乗る作戦ではなかった。今日はサルヴァトーレ・プッチョを逃げに送り込むために飛び出したんだ。チームリーダーであり、兄弟のような存在のプッチョにアドバイスを受けながら走った。そしてその結果、信じられないほど良い展開になった。最後の1級山岳の頂上で十分なリードを得ていたので下りではリスクを負わずに走ったよ。

さすがに体重82kgの自分が山岳を登るのは簡単ではない。無線機が故障して後続とのタイム差が聞こえなくなったけど、山頂からフィニッシュまで個人タイムトライアルした。「いいかフィリッポ、フィニッシュまで全開で走るんだ」と自分に言い聞かせながら。



ダリオ・チオーニ監督(イネオス・グレナディアーズ)

独走でフィニッシュするフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)独走でフィニッシュするフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:LaPresse
なんて走りだ。今日は誰もがフィリッポの走りに驚いた。気鋭のTTスペシャリストであることは周知の事実だったけど、ロードレースでも素晴らしい走りをしてくれた。今日からチームは彼の出場レースについて再考しないといけない。

今日はサルヴァトーレ(プッチョ)を逃げに送り込む作戦だった。でもガンナの調子は素晴らしく、彼は1日中ずっと逃げていたにもかかわらず、山岳で力強い走りを見せた。ロードレースでは何が起こるかわからない。チームはG(トーマス)を全力でサポートする編成だったので、彼のリタイアは残念で仕方ないが、代替作戦としてステージ優勝を狙うことができる。まだ17ステージ残っているので、これからもチャンスを狙っていく。



ステージ2位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)

良いポジションで最後の1級山岳に挑むことができたし、下りも集中力を切らさなかった。下りでリスクを負う必要なんて全くなかったし、フィニッシュではボーナスタイム2秒を獲得。ハードなステージだったけど、チームは状況を常にコントロールできていた。



ステージ3位 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)

マリアローザを守ったホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)マリアローザを守ったホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:RCS Sport
マリアローザを失うことも想定していたけど、終わってみれば今日も調子良く脚が回り、素晴らしいチームがサポートしてくれた。最後の1級山岳は気温が低く、下りもクレイジーだったけど、うまく切り抜けることができたと思う。そしてフィニッシュ150m手前から、ボーナスタイムのためにスプリントした。数秒であっても総合リードを広げることができてよかった。ここまでの5ステージで2回目のトップ3フィニッシュで、ジャージを2枚(マリアローザとマリアビアンカ)をキープ。毎日自信が湧いてきている。



ステージ4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)

とても長く、ハードな1日だった。チームメイトのおかげで、特にジェイ(ヒンドレー)のおかげで最後の1級山岳を落ち着いてこなすことができた。濡れた下りを走るトリッキーなフィナーレで、ボーナスタイムを狙ったもののステージ4位。今日はずっと身体の状態の良さを感じいていた。



ステージ9位 ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)

総合成績を上げたヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)総合成績を上げたヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) photo:CorVos
最後の1級山岳はそれほど厳しくなかった。それでも長い1日の最後に、総合順位を2つ上げることができた。ライバルたちを引き離してタイムを奪えると思っていたけど、総合7位というポジションには満足している。今日もチームメイトたちの走りに感謝したい。



ステージ12位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)

ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
予想通り、油断ならないステージだった。常に集中力を研ぎ澄まさないといけないような、気を緩めるタイミングがない1日だった。最後の1級山岳でトレック・セガフレードはペースアップしたものの、メイン集団の人数は減らなかった。下りでは(攻撃というより)危険回避のために先頭へ。アスファルトがどれだけ滑るのかわからなかったので、余計なリスクを負いたくなかった。ピーター・ウェーニングのリタイアは大きな痛手だけど、とにかく危険なステージを問題なく終わらせることができて満足している。



ステージ13位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング)

霧に包まれた濡れた下りは危険だったものの、この辺りの道のことは熟知しているので問題なかった。妻がこの地方出身なので、南イタリアに来た時は、今日の山岳でトレーニングすることもあるんだ。ニバリが下りでアタックした時、すべてのコーナーを覚えていたから問題なかった。

今日の1級山岳は総合争いを動かすには十分な勾配ではなかったと思う。頂上まで9kmを切ってからペースが上がり、とてもそこから飛び出せるスピードではなかった。だから集団内に息を潜めて、頂上手前で先頭に立って、良いポジションで下りに挑むことにした。



1級山岳でアタックしたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)

1級山岳ヴァリコ・ディ・モンテスクーロを走るトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)1級山岳ヴァリコ・ディ・モンテスクーロを走るトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
逃げグループに彼のチームメイトのエクトル・カレテロが入っていたので、一緒に集団を飛び出したエイネル・ルビオが前を引かなかったのは理解できる。でも逃げグループに追いついてからも彼は一切協力しなかった。そればかりかアタックして抜け出そうとした。ルビオを背負った状態で2分40秒のタイム差を詰めたところだったので、その時点で自分の走りにもパンチ力はなかった。「今日は多くの選手にステージ優勝がある。エイネル・ルビオを除いて」と思った。3人の中からフィリッポ・ガンナが抜け出した時、彼に勝って欲しいと願った。ルビオにだけは先行させたくなかった。

逃げグループに追いつくことが本来の目的ではなくて、急勾配区間で脱落する可能性があったから、先行してハーム・ファンフックを待つ作戦だったんだ。でも驚くことに逃げグループとのタイム差が縮まり始めたから、そのまま踏んで行った。脚の状態は悪くないし、調子はまだ上がっている。でもまだ本来の調子には達していない。



1級山岳でデヘントとともに飛び出したエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)

僕も序盤のアタック合戦に加わって、結果的にエクトル(カレテロ)が逃げに乗った。最後の1級山岳でアタックがかかった時、チャンスだと判断してデヘントに食らいついた。開幕からしばらくは自信のなさから集団のペースに戸惑っていたけど、今日は終盤まで快適に走れていたので、脚に力が残っていたんだ。でもガンナの強力なアタックに反応するには力が足りなかった。チームは日に日に強くなっているし、僕も自信を取り戻している。これからも挑戦を続ければ、必ずステージ優勝のチャンスが巡ってくると信じている。



ステージ93位 新城幸也(バーレーン・マクラーレン)

新城幸也(バーレーン・マクラーレン)新城幸也(バーレーン・マクラーレン) photo:CorVos
225kmで獲得標高4,500mのステージはやはりハードでした。幸いにも途中の登りはハイペースではなかったので、危険な下りも集団の前でこなして、後半に向けてパワーをセーブ出来た。フィニッシュ手前最後の24kmの登りでは可能な限り集団に留まり、ペリョ・ビルバオの側にいたが、勾配のキツい中腹で集団から脱落した。その後はグルペットでフィニッシュを目指したが、雨も降り出して、とても寒く感じ、レインジャケットを着ながらのフィニッシュとなった。

今日のステージを終えてペリョが総合2位となった。雨もあり、疲労感はもちろんあるが、モチベーションをあげてくれるリーダーがいるので頑張れる。

text:Kei Tsuji

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