終盤に福島晋一(クムサン・ジンセンアジア)とヨン・インホン(ホンコンチャイナチーム)が逃げ続けたが、ゴール300m前で5人が追いつき、鈴木真理(シマノレーシング)が優勝。一躍個人総合リーダーとなった。

3周目、メイン集団3周目、メイン集団 photo:Hideaki.TAKAGI5月19日(水)、ツアー・オブ・ジャパン2010第4ステージ南信州が、長野県飯田市で行われた。好天の続いた今年のTOJだったが、初めての小雨模様。コースは1周12.2kmを12周する148.0km。大きな上りが1箇所、小さな起伏もある山岳コースだ。下りのスキルも要求される名コースとして名高い。

8時45分、JR飯田駅前をパレードスタートした集団は小学生や沿道観客の声援を受けて周回コースへと出て行く。そしてさっそく1周目からアタックがかかる。
まずはマルコ・カッタネオ(デローザ・スタックプラスチック)、ユー・キホン(クムサン・ジンセンアジア)、ヨン・インホン(ホンコンチャイナチーム)が逃げる。メイン集団とは1分以上の差をつける。


8周目、先頭の10人8周目、先頭の10人 photo:Hideaki.TAKAGI2周目にはメイン集団から7人が抜け出し先頭を追走。5周目に追いつき先頭は10名に。カッタネオ、キホン、インホンと平塚吉光(シマノレーシング)普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)中島康晴(チームNIPPO)、クリスチャン・ハウス(ラファコンドル・シャープ)、ジャオ・ポンダ(マックスサクセススポーツ)、プーチョン・サイウドンシン(クムサン・ジンセンアジア)、ルスラン・トレウバイエフ(カザフスタンナショナルチーム)だ。

ラファコンドル・シャープがおもにコントロールするメイン集団との差は4分。9周目、ペースの上がったメイン集団はさを50秒まで詰める。一方で先頭の10人もばらける。10周目、逃げは吸収され先頭が活性化する。先頭は25名の集団。ラスト2周で6名が抜け出す。


10周目、遅れるリーダーのマイケル・マシューズ(チームジャイコ・スキンズ)10周目、遅れるリーダーのマイケル・マシューズ(チームジャイコ・スキンズ) photo:Hideaki.TAKAGI最終周回、福島とインホンがアタック、2人で逃げる。後続5人の鈴木真理、クリスティアーノ・サレルノ(デローザ・スタックプラスチック)、クラウディオ・コリオーニ(デローザ・スタックプラスチック)、佐野淳哉(チームNIPPO)、ヴィンツェンツォ・ガロッファロ(チームNIPPO)20秒から10秒ほどの差を保つ。

後続はデローザとニッポが2名ずつのため積極的に追走。そしてゴール前1kmの直線へ。後続が追い詰め、ついに300m手前で福島とインホンに追いつきゴールスプリント勝負へ。ここで鈴木が鋭く抜け出し、ステージ優勝を飾った。

福島は地元の期待を背負ってゴールを目指したが、今一歩届かなかった。しかしその積極的な走りは会場の人たち鈴木真理(シマノレーシング)が優勝鈴木真理(シマノレーシング)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGIをスクリーンに釘付けにした。

インホンも1周目から逃げてタフさを見せた。鈴木はデローザとニッポの動きを利用したうえに、強力なオールラウンダータイプに変化した走りを証明した。

TOJも全7ステージ中4ステージが終わって上位陣の展望が見えてきた。これから富士山、伊豆と厳しいステージが続くが、総合上位陣はおよそ1分差までの20人ほどに絞られたと言っていい。上から佐野、コリオーニ、サレルノ、福島、ガロッファロ、ラプソーン、ミズロフ、西谷らが注目だ。西薗良太(大学選抜ジャパン)も58秒差16位につける。やはりこの中ではデローザとニッポが2人揃え、個人の力とともに一歩リードしている。

翌日20日(木)は移動日だ。続く富士山ステージに向けて各チームとも英気を養う。





個人総合リーダーになった鈴木真理(シマノレーシング)個人総合リーダーになった鈴木真理(シマノレーシング) photo:Hideaki.TAKAGI各選手のコメント

南信州のコースで勝つことはステータスだ
ステージ優勝&個人総合リーダー 鈴木真理
「今回のTOJの自分の目標はステージ優勝だった。特に今日のコースは登りと平地とのバランスがよく、本当の意味のロードコースだ。ここで勝つこと、上位に入ることは価値あること。平塚、鈴木譲、自分の3人がエースとして臨んだ。今日はたまたま自分が勝っただけ。若い選手が成長している。今日は同世代の福島選手が逃げたけれど、最後は駆け引き。捕まえられると信じた。ニッポの2人は富士山が登れるし、デローザはプロコンチとしての走りだったので、彼らの仕事に任せてボクはスプリントに専念した」

けん制してすべてを失ってしまった
アタックをかけ続けて沸かせた福島晋一
「最後けん制してつかまってしまったので悔しい。確実に勝とうと思って失敗した。ジロではユキヤが脚を使って3位だったが、自分はけん制してすべてを失ってしまった。判断ミスだ。チームとしては逃げに乗せられてよかった。このコースはチームメイトと十分に試走してきた。飯田で勝つことは選手生命の課題としておく。今日は1歳4ヶ月の娘が残り1kmで寝てしまったらしい。起きていたらボクは勝ってたかもしれない(笑)」


結果 第4ステージ南信州 148.0km
1位 鈴木真理(シマノレーシング)3時間59分35秒
2位 クラウディオ・コリオーニ(デローザ・スタックプラスチック)
3位 佐野淳哉(チームNIPPO)
4位 福島晋一(クムサン・ジンセンアジア)
5位 ヨン・インホン(ホンコンチャイナチーム)
6位 ヴィンツェンツォ・ガロッファロ(チームNIPPO)
7位 クリスティアーノ・サレルノ(デローザ・スタックプラスチック)+10秒
8位 マイケル・マシューズ(チームジャイコ・スキンズ)+32秒
9位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)
10位 ワン・カンポー(ホンコンチャイナチーム)

個人総合時間賞
1位 鈴木真理(シマノレーシング)10時間18分53秒
2位 佐野淳哉(チームNIPPO)+05秒
3位 クラウディオ・コリオーニ(デローザ・スタックプラスチック)+06秒
4位 クリスティアーノ・サレルノ(デローザ・スタックプラスチック)+09秒
5位 福島晋一(クムサン・ジンセンアジア)+12秒
6位 ヴィンツェンツォ・ガロッファロ(チームNIPPO)+16秒
7位 マイケル・マシューズ(チームジャイコ・スキンズ)+22秒
8位 ダレン・ラプソーン(ラファコンドル・シャープ)+36秒
9位 ワン・カンポー(ホンコンチャイナチーム)
10位 アンドレイ・ミズロフ(カザフスタンナショナルチーム)+39秒

個人総合ポイント賞
1位 マイケル・マシューズ(チームジャイコ・スキンズ)52ポイント
2位 鈴木真理(シマノレーシング)50ポイント
3位 クリスティアーノ・サレルノ(デローザ・スタックプラスチック)34ポイント

個人総合山岳賞
1位 クリスティアーノ・サレルノ(デローザ・スタックプラスチック)21ポイント
2位 ヨン・インホン(ホンコンチャイナチーム)9ポイント
3位 アレクサンドル・シュセモイン(カザフスタンナショナルチーム)8ポイント

photo&text:高木秀彰

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