2020/02/26(水) - 11:45
ティザーページで発売が予告されていたRaphaの新型ロードシューズ「PRO TEAM SHOES(プロチームシューズ)」がいよいよデビュー。特殊な織生地アッパー「Powerweave」を投入した、ブランド初のピュアレーシングシューズに足を入れた。
Raphaのティザーページで発売が予告され、ロードシーズン開幕を告げるツアー・ダウンアンダーにおいてはEFプロサイクリングやキャニオン・スラムなど同社サポートチームの選手たちが実戦投入したことで話題となったPRO TEAM SHOESがベールを脱いだ。
2012年にデビューした処女作GRAND TOUR SHOES(グランツアーシューズ)、2015年のClimber's Shoes(クライマーシューズ)に続く同社第3世代となるロードシューズであり、その系譜において初めてレースユースに特化したというハイパフォーマンスアイテム。筆者は1週間前にRapha Japanからライトグレーの41サイズを借り受け、フィールドに連れ出す機会を得た。
PRO TEAM SHOES最大の特徴は、Raphaがアパレル用特殊素材を手がけるエイブリィ・デニソン社との提携で自社開発したジャガード生地「パワーウィーブ」アッパーを使用していることだ(詳細解説はRaphaの製品紹介ページをチェックして欲しい)。サイクリングを含めスポーツシューズ界で流行する「ニット」に分類されるパワーウィーブだが、実際に手にしてみると、靴下のように柔らかいDMTやそれより硬いジロなどと比べてかなり硬質な仕上げ。ここがピュアレース向けたるPRO TEAM SHOESの要だ。
織り糸と織目パターンを緻密に調整したというアッパーは伸縮性が低く、やや厚手ということもあり剛性が高い。それゆえBOAダイヤルをめいっぱい回した時、柔らかいアッパーを使ったシューズに起こりうる部分的な伸びも無く、締めると言うよりは「ホールドする」という表現がしっくりくる。このあたりはつまり、タイトフィットによる機能性を追求してきた「PRO TEAM」らしい仕上がりと言える。
それでもなお合成皮革などを使う一般的なシューズと比べれば柔らかく、どこかが局所的に圧迫されることも無い。甲高幅狭の筆者の場合、指の付け根から甲の立ち上がり部分にかけてアッパーとの間に空間ができていたが、100kmライドを1度こなしただけでフィット感が随分と良くなった。内反小趾(小指の付け根が外に張り出している)ゆえ硬いシューズを長時間履いた時に必ず痛む部分もストレスフリー。織地を使う最大のメリットであり、細かい調整ができるBOAダイヤルもアッパーの長所を伸ばす要素だ。
サイズと幅はCLASSIC SHOES(クラシックシューズ)と共通だというが、硬めのアッパーとヒールカップの存在によってそれより若干きつく感じるかもしれない。中でも土踏まず周辺の幅は細く、普段ワイドサイズを好む方ならラグジュアリー志向のCLASSIC SHOESを検討するのも一案だろう。
主張しすぎず、それでいてスマートなデザインもRaphaならでは。細かく見ても、例えば大きな面で歩きやすい交換可能なTPU(ポリウレタン系樹脂素材)製ヒールトレッドや、何かと傷つきやすいつま先のTPU処理など、その作り込み細部に至るまで抜かりない。
ヤク皮を使ったGRAND TOUR SHOES、3本ベルクロを使ったClimber's Shoes、そしてシューレース式のCLASSIC SHOES。ピュアレース用のPRO TEAM SHOESはそれら過去のシューズたちとは方向性からして違うように感じるが、その中にはGRAND TOUR SHOESから一貫した、あるいはブランド創成期から一貫した「フィッティングの追求」という共通点が息づいている。
高機能・高性能を追い求めたPRO TEAM SHOESのデビューは、シューズを手がけて10年に近づこうかというRaphaの、シューズメーカーとしての前進、あるいは熟成の現れだ。理想を具現化するアプローチはひとつではないし、それはトレンドや技術進化によって変わっていい。Raphaの最新解を感じたいのなら、まずは東京と大阪にあるクラブハウスに足を運んでみるべきだろう。
※なおPRO TEAM SHOESの一般発売は2月27日からで、現在はRCCメンバーに対して先行発売中。クラブハウスには全サイズ全カラーが在庫されているという。ロングタームインプレッションは追ってこの記事に追加予定です。
Rapha PRO TEAM SHOES
重量:220g(サイズ42)
アッパー素材:ポリエステル織り糸
裏地:マイクロファイバー
ソール:カーボンファイバー
トレッド:TPU
インソール:EVA&マイクロファイバー
クリートナット:ステンレス
カラー:ブラック、ライトグレー、パープル/ブルー
価格:44,000円(税込)
・3穴クリート対応
・3種類のフットベッド(ロー、ミディアム、ハイ)付属
text&photo:So.Isobe
Raphaのティザーページで発売が予告され、ロードシーズン開幕を告げるツアー・ダウンアンダーにおいてはEFプロサイクリングやキャニオン・スラムなど同社サポートチームの選手たちが実戦投入したことで話題となったPRO TEAM SHOESがベールを脱いだ。
2012年にデビューした処女作GRAND TOUR SHOES(グランツアーシューズ)、2015年のClimber's Shoes(クライマーシューズ)に続く同社第3世代となるロードシューズであり、その系譜において初めてレースユースに特化したというハイパフォーマンスアイテム。筆者は1週間前にRapha Japanからライトグレーの41サイズを借り受け、フィールドに連れ出す機会を得た。
PRO TEAM SHOES最大の特徴は、Raphaがアパレル用特殊素材を手がけるエイブリィ・デニソン社との提携で自社開発したジャガード生地「パワーウィーブ」アッパーを使用していることだ(詳細解説はRaphaの製品紹介ページをチェックして欲しい)。サイクリングを含めスポーツシューズ界で流行する「ニット」に分類されるパワーウィーブだが、実際に手にしてみると、靴下のように柔らかいDMTやそれより硬いジロなどと比べてかなり硬質な仕上げ。ここがピュアレース向けたるPRO TEAM SHOESの要だ。
織り糸と織目パターンを緻密に調整したというアッパーは伸縮性が低く、やや厚手ということもあり剛性が高い。それゆえBOAダイヤルをめいっぱい回した時、柔らかいアッパーを使ったシューズに起こりうる部分的な伸びも無く、締めると言うよりは「ホールドする」という表現がしっくりくる。このあたりはつまり、タイトフィットによる機能性を追求してきた「PRO TEAM」らしい仕上がりと言える。
それでもなお合成皮革などを使う一般的なシューズと比べれば柔らかく、どこかが局所的に圧迫されることも無い。甲高幅狭の筆者の場合、指の付け根から甲の立ち上がり部分にかけてアッパーとの間に空間ができていたが、100kmライドを1度こなしただけでフィット感が随分と良くなった。内反小趾(小指の付け根が外に張り出している)ゆえ硬いシューズを長時間履いた時に必ず痛む部分もストレスフリー。織地を使う最大のメリットであり、細かい調整ができるBOAダイヤルもアッパーの長所を伸ばす要素だ。
サイズと幅はCLASSIC SHOES(クラシックシューズ)と共通だというが、硬めのアッパーとヒールカップの存在によってそれより若干きつく感じるかもしれない。中でも土踏まず周辺の幅は細く、普段ワイドサイズを好む方ならラグジュアリー志向のCLASSIC SHOESを検討するのも一案だろう。
主張しすぎず、それでいてスマートなデザインもRaphaならでは。細かく見ても、例えば大きな面で歩きやすい交換可能なTPU(ポリウレタン系樹脂素材)製ヒールトレッドや、何かと傷つきやすいつま先のTPU処理など、その作り込み細部に至るまで抜かりない。
ヤク皮を使ったGRAND TOUR SHOES、3本ベルクロを使ったClimber's Shoes、そしてシューレース式のCLASSIC SHOES。ピュアレース用のPRO TEAM SHOESはそれら過去のシューズたちとは方向性からして違うように感じるが、その中にはGRAND TOUR SHOESから一貫した、あるいはブランド創成期から一貫した「フィッティングの追求」という共通点が息づいている。
高機能・高性能を追い求めたPRO TEAM SHOESのデビューは、シューズを手がけて10年に近づこうかというRaphaの、シューズメーカーとしての前進、あるいは熟成の現れだ。理想を具現化するアプローチはひとつではないし、それはトレンドや技術進化によって変わっていい。Raphaの最新解を感じたいのなら、まずは東京と大阪にあるクラブハウスに足を運んでみるべきだろう。
※なおPRO TEAM SHOESの一般発売は2月27日からで、現在はRCCメンバーに対して先行発売中。クラブハウスには全サイズ全カラーが在庫されているという。ロングタームインプレッションは追ってこの記事に追加予定です。
Rapha PRO TEAM SHOES
重量:220g(サイズ42)
アッパー素材:ポリエステル織り糸
裏地:マイクロファイバー
ソール:カーボンファイバー
トレッド:TPU
インソール:EVA&マイクロファイバー
クリートナット:ステンレス
カラー:ブラック、ライトグレー、パープル/ブルー
価格:44,000円(税込)
・3穴クリート対応
・3種類のフットベッド(ロー、ミディアム、ハイ)付属
text&photo:So.Isobe
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