2020/02/20(木) - 15:45
スペシャライズドがメディア向けに開催した、同社のE-BIKEシリーズ「TURBO SL」の発表会レポート続編。今回は試乗車として用意されたTURBO CREOシリーズについて、シクロワイアード編集スタッフ2名が好き放題しゃべってみた。
今回、厚木のスペシャライズド・ジャパン本社と宮ヶ瀬湖周辺を舞台に開催されたTURBO CREO試乗会に参加したのは、これまでE-BIKE特集の主筆として経験を積んできた安岡と、主に海外新車発表会を担当する磯部の二人。日本初上陸したカーボンE-ロードバイク3モデル(最上級グレードのS-WORKS TURBO CREO SLとエントリーグレードのTURBO CREO SL COMP CARBON、そしてグラベル仕様のTURBO CREO SL EXPERT)の走り味を、発表会終了後の帰路道途中、渋滞にはまりながら喋ったことをほぼそのままにお伝えします。
磯:えーと、まず全般的な印象を教えてよ。E-BIKEメイン担当としてどうだった?
安:乗る前にバイクを持った時、「あれっ、これってノーマル(人力)バイクだっけ?」って思った。もちろんロードバイクしか乗ってない人からしたら「重いよ」ってなるとは思うけど、今まで色んなE-BIKEを触ってきた身からしたらびっくりしたよ。アシスト無しで走ってみてもちゃんとしたカーボンロードバイクだった。
磯:そうね。アシストなしでもエントリーアルミロードより全然走っちゃうと思う。驚いたし、すごく良かった。日本で初めてのカーボンE-ロードバイクっていうこともあるけど、まさに市場で敵無しって感じ。
安:パワーユニットについてはどう思った?定格出力240W、最大トルク35Nmって他社と比べると非力ではあるけど...。
磯:率直な感想としては、ボッシュのperformance CXよりもシマノSTEPSよりも絶対的なトルクこそ無いけど、それがダメなんてことは全然なかった。なぜかと言うとそもそも車重が軽くて、オフロードバイクと違って瞬間的なパワーが必要な場面が、例えば20%の激坂とか、わざわざ探しに行かなきゃいけないレベルで少ないから。
安:もちろんプログラミングされてるんだと思うけど、トルクの無さっていうのも逆に扱いやすさに繋がってるよね。なんというか、従来のペダルバイクと全然乖離してない。プレゼンでも紹介されてたけど、低すぎるケイデンスだとアシスト量が少ないから、例えば激坂で坂道発進する時、適切なギアに入れておかないと走り出せない...とか、すごくペダルバイク的。パワーにモノ言わせてブイブイ走るようなものじゃない。スポーツバイクとしての乗り方が必要だった。
磯:もしSTEPSのバイクとヨーイドンした時には負けるけど...だから何?って。別にE-BIKEのドラッグレースがあるわけでもないし、今までよりも楽に、速く、スポーツバイクの楽しさを味わえるんだから。
安:そうだね。自分なんかめっちゃロードバイクだな、って思った。アシスト量が一番弱い設定にしたら、もうほんと分からないくらい自然だし、軽い。今までのクロスバイク系E-BIKEってアシスト切ったらとんでもなく重たかったけど、これならいいよね。普通にロードバイクとしてみた時でも走る部類だなあ。
磯:だから脚力に自信の無い人が、あるいは奥さんが、彼女さんが平坦路で千切れにくい。これは今までのE-BIKEにはなかった利点だよね。ただ自分みたいな感覚派からすると、ユニットを積む関係で強度を上げなきゃいけないBB周りの硬さがちょっと気になったかも。BBのしなりはほぼ無くて、もちろんユニットがあるから重心点はかなり下にある。だから厳密にいえば人力ロードバイクの抜けの良さってのは無いんだけど、その分高速域での安定感はすごいし、高速域に入った時にこそフューチャーショックの仕事ぶりは良かった。
安:今まで日本国内にカーボンフレームのE-ロードがなかったので比較対象がどうしても苦しいけど、E-BIKEの中で比べたらもう差は歴然。これならロードバイクの仲間と一緒に走ったとしても、25km/h以上の速度域でデメリットになることもあまり無いよね。
磯:乗り味的にはどうしてもBB周辺の硬さがあるから、バイクとしては掛かりが良いけど伸びる感覚が薄い。それを補う上でもロヴァールのカーボンホイールが付いてるパッケージがすごく良かった。S-WORKSも、グラベルも。抜けの良さが加わるからペダリングがしやすくなった感じがしたよ。
安:あー、それは本当だね。最初はとりあえずコンプグレードを買って、後々カーボンホイールにアップグレードするのも良い手だと思った。CREOはハブ規格が特殊だとのことで、市販されている700cロヴァールホイールは付かないみたい。650bホイールには対応するけれど、今度は国内展開が無い。まぁこの辺りはCREO用ロヴァールホイールが今後出てくるだろうし、期待、ということで。
でもやっぱり、まだライバル不在のタイミングでドーン!と出してきちゃうスペシャライズドの手法は本当に上手いと感じた。
磯:ホントそれは思う。ユニットが存在することで普通のロードバイクと違ってコンポーネントの重要度ってそこまで高くないので、まずはホイールにお金をかけた方が幸せになれると思う。
安:今回CREOはフレーム全グレードで同じでしょ?だからより思ったけど、普通のロードバイクよりもホイールを変えたことでの乗り味の変化量が大きいと思った。あれ何なんだろうね。
磯:うーん、やっぱりフレームが硬くて重いことに理由があるんじゃないかな。
安:フレームがしっかりしてるからホイールの変化がつかみやすいってことなのかな、多分。というか、グラベル仕様の完成車、すごく良くなかった?
磯:あれは良かったね。エアボリュームのあるタイヤが衝撃をいなすから車重を感じにくいし、E-BIKEならではのフロー感がより強く感じたもんね。今日乗ったCREOのバリエーションの中では一番好きだし、楽しかった。
安:100万円が手元にあったとしたらグラベル仕様版を買うかなぁ。フューチャーショックもマッチしてたし、ロヴァールのカーボンホイールがついてるし。実はCREOで唯一嫌だなと思ったのがQファクターの広さだったんだけど、これも幅広のフレアハンドルが装備されてるぶん、身体を開いたポジションだと全然気にならなかった。
磯:あとさ、やっぱりE-BIKEのアシストが欲しい場面って、オンロードよりオフロードの方がたくさんあるじゃない。ちょっとした段差を越える時もそうだし、舗装路じゃあり得ないような急勾配も普通に出てくるし。だからモーターの利点を享受する意味では、このグラベル仕様は今回の中で一番良かったと思った。
安:そうそう。しかもそれが同一フレームでできちゃうってのが良いよね。ペダルバイクだと「ロードバイク」「グラベルバイク」って完全に二つに別れてたけど、CREOはその2カテゴリーをつなげちゃった。だからオンロード仕様を買ってもグラベルタイヤをつければ即未舗装路に行けるし、グラベル仕様に細いタイヤを履かせればオンロード仕様になっちゃう。ドロッパーシートポストの重量を気にするようなものでもないし、、これはなんていうか、新しいよ。
磯:だからこそTURBO LEVO SLはすごく楽しみ。今回は試乗車が無くて試せなかったけど、もう日本にはあるっていうし、早く乗ってみたいよね。実際自分もE-MTBのパワフルだけど重たさゆえの扱いづらさはすごく感じていたから、トルクダウンと引き換えに得た軽さがどうなのか、めちゃくちゃ気になるよ。
安:今ある中でE-MTBって、メリダのeBIG.SEVENが19kgで、LEVO SLは17.3kg。そこから2kg以上も減らしてきたのは本当にすごいと思うんだよね。いやぁ、早く乗りたいね。
磯:あ、そうそう。そう言えばメタボ会長がCREOオーダーしてた。チョイ乗りだけじゃなくて色々な視点からインプレッションできると思うから楽しみ。そちらも乞うご期待ということで。
text:登場人物2人
今回、厚木のスペシャライズド・ジャパン本社と宮ヶ瀬湖周辺を舞台に開催されたTURBO CREO試乗会に参加したのは、これまでE-BIKE特集の主筆として経験を積んできた安岡と、主に海外新車発表会を担当する磯部の二人。日本初上陸したカーボンE-ロードバイク3モデル(最上級グレードのS-WORKS TURBO CREO SLとエントリーグレードのTURBO CREO SL COMP CARBON、そしてグラベル仕様のTURBO CREO SL EXPERT)の走り味を、発表会終了後の帰路道途中、渋滞にはまりながら喋ったことをほぼそのままにお伝えします。
磯:えーと、まず全般的な印象を教えてよ。E-BIKEメイン担当としてどうだった?
安:乗る前にバイクを持った時、「あれっ、これってノーマル(人力)バイクだっけ?」って思った。もちろんロードバイクしか乗ってない人からしたら「重いよ」ってなるとは思うけど、今まで色んなE-BIKEを触ってきた身からしたらびっくりしたよ。アシスト無しで走ってみてもちゃんとしたカーボンロードバイクだった。
磯:そうね。アシストなしでもエントリーアルミロードより全然走っちゃうと思う。驚いたし、すごく良かった。日本で初めてのカーボンE-ロードバイクっていうこともあるけど、まさに市場で敵無しって感じ。
安:パワーユニットについてはどう思った?定格出力240W、最大トルク35Nmって他社と比べると非力ではあるけど...。
磯:率直な感想としては、ボッシュのperformance CXよりもシマノSTEPSよりも絶対的なトルクこそ無いけど、それがダメなんてことは全然なかった。なぜかと言うとそもそも車重が軽くて、オフロードバイクと違って瞬間的なパワーが必要な場面が、例えば20%の激坂とか、わざわざ探しに行かなきゃいけないレベルで少ないから。
安:もちろんプログラミングされてるんだと思うけど、トルクの無さっていうのも逆に扱いやすさに繋がってるよね。なんというか、従来のペダルバイクと全然乖離してない。プレゼンでも紹介されてたけど、低すぎるケイデンスだとアシスト量が少ないから、例えば激坂で坂道発進する時、適切なギアに入れておかないと走り出せない...とか、すごくペダルバイク的。パワーにモノ言わせてブイブイ走るようなものじゃない。スポーツバイクとしての乗り方が必要だった。
磯:もしSTEPSのバイクとヨーイドンした時には負けるけど...だから何?って。別にE-BIKEのドラッグレースがあるわけでもないし、今までよりも楽に、速く、スポーツバイクの楽しさを味わえるんだから。
安:そうだね。自分なんかめっちゃロードバイクだな、って思った。アシスト量が一番弱い設定にしたら、もうほんと分からないくらい自然だし、軽い。今までのクロスバイク系E-BIKEってアシスト切ったらとんでもなく重たかったけど、これならいいよね。普通にロードバイクとしてみた時でも走る部類だなあ。
磯:だから脚力に自信の無い人が、あるいは奥さんが、彼女さんが平坦路で千切れにくい。これは今までのE-BIKEにはなかった利点だよね。ただ自分みたいな感覚派からすると、ユニットを積む関係で強度を上げなきゃいけないBB周りの硬さがちょっと気になったかも。BBのしなりはほぼ無くて、もちろんユニットがあるから重心点はかなり下にある。だから厳密にいえば人力ロードバイクの抜けの良さってのは無いんだけど、その分高速域での安定感はすごいし、高速域に入った時にこそフューチャーショックの仕事ぶりは良かった。
安:今まで日本国内にカーボンフレームのE-ロードがなかったので比較対象がどうしても苦しいけど、E-BIKEの中で比べたらもう差は歴然。これならロードバイクの仲間と一緒に走ったとしても、25km/h以上の速度域でデメリットになることもあまり無いよね。
磯:乗り味的にはどうしてもBB周辺の硬さがあるから、バイクとしては掛かりが良いけど伸びる感覚が薄い。それを補う上でもロヴァールのカーボンホイールが付いてるパッケージがすごく良かった。S-WORKSも、グラベルも。抜けの良さが加わるからペダリングがしやすくなった感じがしたよ。
安:あー、それは本当だね。最初はとりあえずコンプグレードを買って、後々カーボンホイールにアップグレードするのも良い手だと思った。CREOはハブ規格が特殊だとのことで、市販されている700cロヴァールホイールは付かないみたい。650bホイールには対応するけれど、今度は国内展開が無い。まぁこの辺りはCREO用ロヴァールホイールが今後出てくるだろうし、期待、ということで。
でもやっぱり、まだライバル不在のタイミングでドーン!と出してきちゃうスペシャライズドの手法は本当に上手いと感じた。
磯:ホントそれは思う。ユニットが存在することで普通のロードバイクと違ってコンポーネントの重要度ってそこまで高くないので、まずはホイールにお金をかけた方が幸せになれると思う。
安:今回CREOはフレーム全グレードで同じでしょ?だからより思ったけど、普通のロードバイクよりもホイールを変えたことでの乗り味の変化量が大きいと思った。あれ何なんだろうね。
磯:うーん、やっぱりフレームが硬くて重いことに理由があるんじゃないかな。
安:フレームがしっかりしてるからホイールの変化がつかみやすいってことなのかな、多分。というか、グラベル仕様の完成車、すごく良くなかった?
磯:あれは良かったね。エアボリュームのあるタイヤが衝撃をいなすから車重を感じにくいし、E-BIKEならではのフロー感がより強く感じたもんね。今日乗ったCREOのバリエーションの中では一番好きだし、楽しかった。
安:100万円が手元にあったとしたらグラベル仕様版を買うかなぁ。フューチャーショックもマッチしてたし、ロヴァールのカーボンホイールがついてるし。実はCREOで唯一嫌だなと思ったのがQファクターの広さだったんだけど、これも幅広のフレアハンドルが装備されてるぶん、身体を開いたポジションだと全然気にならなかった。
磯:あとさ、やっぱりE-BIKEのアシストが欲しい場面って、オンロードよりオフロードの方がたくさんあるじゃない。ちょっとした段差を越える時もそうだし、舗装路じゃあり得ないような急勾配も普通に出てくるし。だからモーターの利点を享受する意味では、このグラベル仕様は今回の中で一番良かったと思った。
安:そうそう。しかもそれが同一フレームでできちゃうってのが良いよね。ペダルバイクだと「ロードバイク」「グラベルバイク」って完全に二つに別れてたけど、CREOはその2カテゴリーをつなげちゃった。だからオンロード仕様を買ってもグラベルタイヤをつければ即未舗装路に行けるし、グラベル仕様に細いタイヤを履かせればオンロード仕様になっちゃう。ドロッパーシートポストの重量を気にするようなものでもないし、、これはなんていうか、新しいよ。
磯:だからこそTURBO LEVO SLはすごく楽しみ。今回は試乗車が無くて試せなかったけど、もう日本にはあるっていうし、早く乗ってみたいよね。実際自分もE-MTBのパワフルだけど重たさゆえの扱いづらさはすごく感じていたから、トルクダウンと引き換えに得た軽さがどうなのか、めちゃくちゃ気になるよ。
安:今ある中でE-MTBって、メリダのeBIG.SEVENが19kgで、LEVO SLは17.3kg。そこから2kg以上も減らしてきたのは本当にすごいと思うんだよね。いやぁ、早く乗りたいね。
磯:あ、そうそう。そう言えばメタボ会長がCREOオーダーしてた。チョイ乗りだけじゃなくて色々な視点からインプレッションできると思うから楽しみ。そちらも乞うご期待ということで。
text:登場人物2人
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