2010/05/13(木) - 22:10
ジロ前半のひとつの分岐点となったチームTT。成功したリクイガス、タイムを失ったエヴァンスの直面している闘いとは?ルランゲ監督の心境とは? その意味するものをジロの偉大なチャンピオン、サロンニに説いてもらった。
ジロ・デ・イタリアは早くも次のフェーズに入った。マリアローザを着たのは25歳のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・ドイモ)。ドロミテを越える山岳ではなく、チームタイムトライアルでのマリアローザ獲得だ。
ニーバリは言う「このマリアローザはチームメイトたちに捧げるよ。なぜなら彼らなしには成し遂げられなかった。リクイガスは本当に強かった」。
リクイガスとスカイが激しく争ったジロ第4ステージのチームタイムトライアル。他のチームを寄せ付けないこの2チームのテール・トゥ・ノーズの闘いは、まさに規則正しさを競いあった。もしくは、勝利に賭ける意志の強さを競い合った。
エヴァンスのBMCレーシングチームは1分21秒差でゴールした。それは続くステージで取り返さなければならないやっかいな差となってしまった。エヴァンスはこのチームタイムトライアルで自らのタイム差を最小限にするために、ほとんどの「先頭牽き」という仕事を請け負わざるをえなかった。彼のチームはまだ若く、グランツールの経験がある選手がたった3人しかいない。
BMCレーシングのジョン・ルランゲ監督は言う。
「ステージレース、それはサイクリングの歴史そのものだ。ジロはずっと変わらず存在する。ツールもブエルタもだ。短いのから長いのまで、ステージレースはそれぞれ違った存在として、レースの数だけいろいろなバラエティがある。どれひとつ同じものはない。
クラシックはいつも同じコースで争われる。しかしグランツールはちょっと違う。例えば、オランダステージで無事走れたことにはとても満足している。毎日違う難しさがあったそれらのステージで、問題なく走れた。
エヴァンスは力強い個人タイムトライアルのお陰で一日だけマリアローザを着ることができた。日曜日、落車と強風に注意を払い続けた」。
ルランゲは、エヴァンスが勝つためにはBMCレーシングチームがもっとバランスのとれた強いチームにならなくてはいけないことを認めた。
「コースにもよるが、チームタイムトライアルで3分遅れるわけにはいかないからね」。
ランプレのゼネラルマネジャー、「ベッペ」ことジュゼッペ・サロンニ氏の例をあげよう。サロンニは1983年、チームタイムトライアルを使って自身2度目のジロ総合優勝を勝ち取ろうとした。しかし、若いスウェーデン人のトミー・プリムと彼の強力なビアンキチームによって、マリアローザを奪われてしまったのだ。しかし、サロンニはやり返した。総合優勝は結果的に彼のものになった。
サロンニのチームであるランプレは、このジロにはひとつの目標のために来ている。それはステージ優勝だ。アレッサンドロ・ペタッキはスプリントのステージで、そして ダミアーノ・クネゴとジルベルト・シモーニは山岳ステージでの勝利を狙う。
我々は「守りの走りをすればいいチーム」だ。我々は一番ではないし、ビリでもない。チームタイムトライアルのようなステージですることは何もない。ただ守りの走りをすればいいだけだった。何の問題も無い。
しかし、総合を狙うようなリーダーが居るチームはそうはいかない。ジロで総合を狙おうと思うなら、バランスのとれたチームが必要だ。全員が山岳スペシャリストではいけないし、全員がタイムトライアルのスペシャリストでもいけない。確かに多くのチームが問題を抱えている。リーダーは強くても、チームが弱いという不利な弱みを。
エヴァンスはチームタイムトライアルでリクイガスのニーバリとバッソに対して1分21秒を失った。それはとても大きなことだ。
ジロの総合を狙う選手にとっては難しい一日になった。20秒や30秒を失うことは簡単だ。しかしそれらを山岳ステージで取り返すのは、困難だ」。
エヴァンスが直面しているのは、失ったタイムを取り返すための闘いだ。
text: Gregor Brown
photo: Kei Tsuji, Cor Vos
translation:Makoto.AYANO
ジロ・デ・イタリアは早くも次のフェーズに入った。マリアローザを着たのは25歳のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・ドイモ)。ドロミテを越える山岳ではなく、チームタイムトライアルでのマリアローザ獲得だ。
ニーバリは言う「このマリアローザはチームメイトたちに捧げるよ。なぜなら彼らなしには成し遂げられなかった。リクイガスは本当に強かった」。
リクイガスとスカイが激しく争ったジロ第4ステージのチームタイムトライアル。他のチームを寄せ付けないこの2チームのテール・トゥ・ノーズの闘いは、まさに規則正しさを競いあった。もしくは、勝利に賭ける意志の強さを競い合った。
エヴァンスのBMCレーシングチームは1分21秒差でゴールした。それは続くステージで取り返さなければならないやっかいな差となってしまった。エヴァンスはこのチームタイムトライアルで自らのタイム差を最小限にするために、ほとんどの「先頭牽き」という仕事を請け負わざるをえなかった。彼のチームはまだ若く、グランツールの経験がある選手がたった3人しかいない。
BMCレーシングのジョン・ルランゲ監督は言う。
「ステージレース、それはサイクリングの歴史そのものだ。ジロはずっと変わらず存在する。ツールもブエルタもだ。短いのから長いのまで、ステージレースはそれぞれ違った存在として、レースの数だけいろいろなバラエティがある。どれひとつ同じものはない。
クラシックはいつも同じコースで争われる。しかしグランツールはちょっと違う。例えば、オランダステージで無事走れたことにはとても満足している。毎日違う難しさがあったそれらのステージで、問題なく走れた。
エヴァンスは力強い個人タイムトライアルのお陰で一日だけマリアローザを着ることができた。日曜日、落車と強風に注意を払い続けた」。
ルランゲは、エヴァンスが勝つためにはBMCレーシングチームがもっとバランスのとれた強いチームにならなくてはいけないことを認めた。
「コースにもよるが、チームタイムトライアルで3分遅れるわけにはいかないからね」。
ランプレのゼネラルマネジャー、「ベッペ」ことジュゼッペ・サロンニ氏の例をあげよう。サロンニは1983年、チームタイムトライアルを使って自身2度目のジロ総合優勝を勝ち取ろうとした。しかし、若いスウェーデン人のトミー・プリムと彼の強力なビアンキチームによって、マリアローザを奪われてしまったのだ。しかし、サロンニはやり返した。総合優勝は結果的に彼のものになった。
サロンニのチームであるランプレは、このジロにはひとつの目標のために来ている。それはステージ優勝だ。アレッサンドロ・ペタッキはスプリントのステージで、そして ダミアーノ・クネゴとジルベルト・シモーニは山岳ステージでの勝利を狙う。
我々は「守りの走りをすればいいチーム」だ。我々は一番ではないし、ビリでもない。チームタイムトライアルのようなステージですることは何もない。ただ守りの走りをすればいいだけだった。何の問題も無い。
しかし、総合を狙うようなリーダーが居るチームはそうはいかない。ジロで総合を狙おうと思うなら、バランスのとれたチームが必要だ。全員が山岳スペシャリストではいけないし、全員がタイムトライアルのスペシャリストでもいけない。確かに多くのチームが問題を抱えている。リーダーは強くても、チームが弱いという不利な弱みを。
エヴァンスはチームタイムトライアルでリクイガスのニーバリとバッソに対して1分21秒を失った。それはとても大きなことだ。
ジロの総合を狙う選手にとっては難しい一日になった。20秒や30秒を失うことは簡単だ。しかしそれらを山岳ステージで取り返すのは、困難だ」。
エヴァンスが直面しているのは、失ったタイムを取り返すための闘いだ。
text: Gregor Brown
photo: Kei Tsuji, Cor Vos
translation:Makoto.AYANO