2019/10/27(日) - 07:28
今年もやってきたツール・ド・フランスさいたまクリテリウム。大会本番の前日にはお馴染みの交流会が開催された。今年は空手の型の演武を見学したのち、選手達を代表しユキヤやクウィアトコウスキー、トレンティンらが空手を体験。マイヨジョーヌのベルナルらは埼玉を代表するプロサッカーチームのOBたちとサッカーと自転車で対決をした。
大会前日のステージイベントは毎年お馴染みの行事。今年は新城幸也とJ SPORTS実況解説陣による2020年大会のコースプレゼンテーションから大会のプログラムはスタートした。実際に欧州で長くプロ生活を続けているユキヤがコース解説やステージの展望、東京五輪とのタイトなスケジュールについて選手目線で語った。
ユキヤのコメントは経験豊富な栗村修さんや永田実さんらも驚き。「新城選手が引退してしまっては解説の座が危ぶまれる。あと10年、いや20年は現役を続けてもらいたい」と保身しつつ、ユキヤにエールを飛ばす栗村さん。ユキヤも五輪とツールを狙っているよう。来年の活躍も期待したい。
コースプレゼンテーションの後はチームプレゼンを挟み、選手たちが日本文化に触れ合う市内交流会が開催された。今年は空手とサッカーの2本立て。空手は日本の伝統的な格闘技として世界的に競技者がおり、東京五輪から競技に組み込まれるため、日本文化を伝えるにはちょうど良いホットな競技だ。
選手たちが実際に空手を体験する前には、さいたま市空手道連盟と埼玉栄高校空手部による型の演武から始まる。数分前まで栗村さんと永田さんの掛け合いで盛り上がっていたさいたまスーパーアリーナが静寂に包まれる。その中で聞こえる音は演武の動きと演者の息遣いのみ。拳を突くとビシッ、ビシッと衣擦れの音、シュッというブレス、床を踏み込む音がホールにこだまする。演者からの圧で押されるかのよう。最前列で演武を見ていた選手たちもその気迫を感じていたはずだ。
その後、空手を体験するためにステージ上に現れたのは、ミカル・クウィアトコウスキー(チームイネオス)、リリアン・カルメジャーヌ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)、マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)、新城幸也(バーレーン・メリダ)、そして大会アンバサダーとして来日しているマルセル・キッテル。
クウィアトコウスキーは道着を着用しスイッチが入っていたようで、コメントを求められると「…strong…」とだけ答える。ものを多く語らないその所作はもはやカラテマスターであり、力が全身に漲っているようだ。対してトレンティンは終始ニコニコ。リラックスしきっているようだが、敵が襲いかかってきたら恐らく目にも止まらないスピードの正拳突きで倒してしまうのだろう。
選手たちはまず突きの型をさいたま市空手道連盟と埼玉栄高校空手部の皆さんの動きを見よう見まねでトレース。右、左と高速で突きを繰り出し、空手の基本動作を習得したらいよいよ実践に移る。今回用意されたのは、発泡スチロールを正拳突きで破壊するというもの。柔らかい素材を使用するのは、クリテリウムのために来日しているのに空手で怪我をしてしまっては元も子もないという主催者の配慮だ。
「エイ!」との掛け声で発泡スチロールを破る選手の目は本気。全てを真剣に取り組むのはプロ選手だからだろう。イージーな課題を前にクウィアトコウスキーは木の板を割らせてくれと言っていたようだ。彼は今回の空手演習で一番力を得た選手だろう。
空手に続いて行われたのはサッカー。さいたま市といえば浦和レッズと大宮アルディージャが本拠を構えるフットボールタウンでもある。ちなみに交流会が行われた土曜日は、ルヴァンカップの決勝が埼玉スタジアム2002で開催されていたようだ。交流会の盛り上がりはその熱気に負けないはず。
サッカーの部に登場したのはベルナル、バルデ、ログリッチェ、ヤコブ・フルサング(カザフスタン、アスタナ)。登場したほとんどの選手の出身国はサッカー人気が高く、強豪国として知られている。小さい頃から親しんでいるのかと思ったが、意外にも「小さい頃に少しやったことがあるだけだよ」と謙遜する選手がほとんど。
サッカーは日本代表チームとの対決企画となっており、浦和レッズOBである水内猛さん、永井雄一郎さん、大宮アルディージャOBである塚本泰史さん、村山祐介さんがクリテリウムチームを迎え討つ。対決内容はダーツの的にボールを蹴り込むフリーキック対決と、スピニングマシンを使用した500mスプリント対決の2本立て。
対決が始まってみると自信なさげであったクリテチームの面々が高得点を叩き出す。素人目だがバルデやベルナルのフォームは非常に綺麗で、サッカー大国出身を感じさせる。ただログリッチェはあまり得意では無い模様。一方、元々本職であったサッカーチームは意外と点数に伸び悩む。これは大人の配慮なのか、体が鈍っていたのか真相は不明だ。
フリーキック対決はクリテチームに軍配が上がり、勝負はサイクリングに移る。自転車選手の圧勝かと思っていだが、なんとフルサングとバルデはサッカーチームに下されてしまった。まさかトップ選手がそんなことあるのか。そう思っているとステージ下で観覧していたクウィアトコウスキーが、スピニングマシンを交換してくれとオーダーを出す。プロ選手はいつだって本気なのである。
バイク交換を交換した後のログリッチェとベルナルは非常に早いケイデンスでペダルを回し、サッカー選手に相手に勝利を収める。今年のグランツールで総合優勝を果たした二人の本気のスプリントは、観客たちの目を惹き付けた。自転車対決は2勝2敗ずつの引き分け。FKでリードしていたクリテチームが、レッズ とアルディージャOBに競り勝った。
text&photo:Gakuto Fujiwara
photo: Kei Tsuji, Satoru Kato, Yuichiro Hosoda, Michinari Takagi
大会前日のステージイベントは毎年お馴染みの行事。今年は新城幸也とJ SPORTS実況解説陣による2020年大会のコースプレゼンテーションから大会のプログラムはスタートした。実際に欧州で長くプロ生活を続けているユキヤがコース解説やステージの展望、東京五輪とのタイトなスケジュールについて選手目線で語った。
ユキヤのコメントは経験豊富な栗村修さんや永田実さんらも驚き。「新城選手が引退してしまっては解説の座が危ぶまれる。あと10年、いや20年は現役を続けてもらいたい」と保身しつつ、ユキヤにエールを飛ばす栗村さん。ユキヤも五輪とツールを狙っているよう。来年の活躍も期待したい。
コースプレゼンテーションの後はチームプレゼンを挟み、選手たちが日本文化に触れ合う市内交流会が開催された。今年は空手とサッカーの2本立て。空手は日本の伝統的な格闘技として世界的に競技者がおり、東京五輪から競技に組み込まれるため、日本文化を伝えるにはちょうど良いホットな競技だ。
選手たちが実際に空手を体験する前には、さいたま市空手道連盟と埼玉栄高校空手部による型の演武から始まる。数分前まで栗村さんと永田さんの掛け合いで盛り上がっていたさいたまスーパーアリーナが静寂に包まれる。その中で聞こえる音は演武の動きと演者の息遣いのみ。拳を突くとビシッ、ビシッと衣擦れの音、シュッというブレス、床を踏み込む音がホールにこだまする。演者からの圧で押されるかのよう。最前列で演武を見ていた選手たちもその気迫を感じていたはずだ。
その後、空手を体験するためにステージ上に現れたのは、ミカル・クウィアトコウスキー(チームイネオス)、リリアン・カルメジャーヌ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)、マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)、新城幸也(バーレーン・メリダ)、そして大会アンバサダーとして来日しているマルセル・キッテル。
クウィアトコウスキーは道着を着用しスイッチが入っていたようで、コメントを求められると「…strong…」とだけ答える。ものを多く語らないその所作はもはやカラテマスターであり、力が全身に漲っているようだ。対してトレンティンは終始ニコニコ。リラックスしきっているようだが、敵が襲いかかってきたら恐らく目にも止まらないスピードの正拳突きで倒してしまうのだろう。
選手たちはまず突きの型をさいたま市空手道連盟と埼玉栄高校空手部の皆さんの動きを見よう見まねでトレース。右、左と高速で突きを繰り出し、空手の基本動作を習得したらいよいよ実践に移る。今回用意されたのは、発泡スチロールを正拳突きで破壊するというもの。柔らかい素材を使用するのは、クリテリウムのために来日しているのに空手で怪我をしてしまっては元も子もないという主催者の配慮だ。
「エイ!」との掛け声で発泡スチロールを破る選手の目は本気。全てを真剣に取り組むのはプロ選手だからだろう。イージーな課題を前にクウィアトコウスキーは木の板を割らせてくれと言っていたようだ。彼は今回の空手演習で一番力を得た選手だろう。
空手に続いて行われたのはサッカー。さいたま市といえば浦和レッズと大宮アルディージャが本拠を構えるフットボールタウンでもある。ちなみに交流会が行われた土曜日は、ルヴァンカップの決勝が埼玉スタジアム2002で開催されていたようだ。交流会の盛り上がりはその熱気に負けないはず。
サッカーの部に登場したのはベルナル、バルデ、ログリッチェ、ヤコブ・フルサング(カザフスタン、アスタナ)。登場したほとんどの選手の出身国はサッカー人気が高く、強豪国として知られている。小さい頃から親しんでいるのかと思ったが、意外にも「小さい頃に少しやったことがあるだけだよ」と謙遜する選手がほとんど。
サッカーは日本代表チームとの対決企画となっており、浦和レッズOBである水内猛さん、永井雄一郎さん、大宮アルディージャOBである塚本泰史さん、村山祐介さんがクリテリウムチームを迎え討つ。対決内容はダーツの的にボールを蹴り込むフリーキック対決と、スピニングマシンを使用した500mスプリント対決の2本立て。
対決が始まってみると自信なさげであったクリテチームの面々が高得点を叩き出す。素人目だがバルデやベルナルのフォームは非常に綺麗で、サッカー大国出身を感じさせる。ただログリッチェはあまり得意では無い模様。一方、元々本職であったサッカーチームは意外と点数に伸び悩む。これは大人の配慮なのか、体が鈍っていたのか真相は不明だ。
フリーキック対決はクリテチームに軍配が上がり、勝負はサイクリングに移る。自転車選手の圧勝かと思っていだが、なんとフルサングとバルデはサッカーチームに下されてしまった。まさかトップ選手がそんなことあるのか。そう思っているとステージ下で観覧していたクウィアトコウスキーが、スピニングマシンを交換してくれとオーダーを出す。プロ選手はいつだって本気なのである。
バイク交換を交換した後のログリッチェとベルナルは非常に早いケイデンスでペダルを回し、サッカー選手に相手に勝利を収める。今年のグランツールで総合優勝を果たした二人の本気のスプリントは、観客たちの目を惹き付けた。自転車対決は2勝2敗ずつの引き分け。FKでリードしていたクリテチームが、レッズ とアルディージャOBに競り勝った。
text&photo:Gakuto Fujiwara
photo: Kei Tsuji, Satoru Kato, Yuichiro Hosoda, Michinari Takagi
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