2010/05/05(水) - 07:30
2010年5月8日にオランダ・アムステルダムで開幕するジロ・デ・イタリア。第12ステージから第21ステージまでのコースを紹介するとともに、見どころをチェックしておこう。
5月20日(木)第12ステージ ★★
チッタ・サンタンジェロ〜ポルト・レカナーティ 191km →コースマップ
第12・13ステージはともにアドリア海沿いを北上する平坦基調のロングステージ。しかしただ平地を突っ切るだけの単調なコースではなく、主催者はスパイスとして終盤に上りを組み込んでいる。
この日はラスト25km地点で一度ゴール地点を通過し、3級山岳を含む周回コースをこなす。ゴール12km手前の3級山岳では、アタックが繰り返されるはず。しかし集団スプリントの持ち込める平坦ステージが残り少なくなっているだけに、スプリンターチームがモチヴェーション高く集団を率いて逃げを撃ち落とし、大集団でのスプリント勝負に持ち込むだろう。ゴール前の5kmは完全にフラットだ。
5月21日(金)第13ステージ ★★
ポルト・レカナーティ〜チェゼナティコ 222km →コースマップ
第13ステージは、かつて“ピラータ”として一世を風靡した故マルコ・パンターニ(イタリア)ゆかりの地を訪れる。アドリア海沿いを走るコース前半はほぼ真っ平らで、後半にかけて2つの2級山岳をクリア。パンターニが練習場所として何度も走ったであろうこれらの上りを終えると、海沿いのチェゼナティコまでまっしぐらだ。
パンターニの生まれ故郷であり、パンターニ博物館やお墓のあるチェゼナティコでは、上りで縮小した集団によるスプリント勝負が繰り広げられるだろう。このステージを逃すと、しばらくスプリンターにはチャンスが回ってこない。そう、翌日からいよいよ怒濤の山岳ラッシュが始まるのだ。
5月22日(土)第14ステージ ★★★
フェラーラ〜アゾーロ 205km →コースマップ
ドロミテ山岳シリーズの幕開けを告げるのが、1級山岳モンテ・グラッパだ。レース前半はポー川流域の広大な平原を駆け抜ける平坦路。ジロ初登場のゴール地点アゾーロを一度通過すると、いよいよモンテ・グラッパが姿を現す。ドロミテ山岳の入り口に位置するこの上りは、平均勾配7.9%・登坂距離18.9km。中盤にかけて平均勾配が10%を超える本格的な上りだ。
このモンテ・グラッパの頂上からゴールまでは41km。ゴールまで距離があるため、単独で飛び出してもゴールまで逃げ切るのは難しい。上りで縮小した小集団によるスプリント勝負に持ち込まれるだろう。このステージはまだまだ翌日からの本格山岳に向けた予行演習に過ぎない。
5月23日(日)第15ステージ ★★★★★
メストレ〜モンテ・ゾンコラン 218km →コースマップ
悪名高き超級山岳モンテ・ゾンコランが姿を現す。2003年に初めてジロに導入されたこの上りは、平均勾配11.9%・登坂距離10.1kmの難易度で、中盤の5kmにかけて平均勾配は15.3%まで跳ね上がる。最大勾配22%の超難関峠。2007年大会以来の登場で、当時はジルベルト・シモーニ(イタリア)が激坂バトルを制している。今年も2007年と同様、より急勾配の西側からの登坂だ。
しかも、ゾンコランに至るまでに選手たちは1級山岳と2級山岳をクリアしなければならない。特にゾンコラン突入の30km手前に登場する1級山岳ドゥラン峠は平均勾配9.8%・最大勾配18%と、こちらも急勾配の上り。長い長い第2週を終え、マリアローザはいよいよ本命の手に渡ることになりそうだ。
5月24日(月)休息日
5月25日(火)第16ステージ ★★★★★
サンヴィジリオ・ディ・マレッベ〜プラン・デ・コロネス 12.9km(個人TT) →コースマップ
プラン・デ・コロネスの過酷な山岳個人TTがジロに帰って来た。標高1187mの麓の街サンヴィジリオ・ディ・マレッベから、スキー場として有名な標高2273mのプラン・デ・コロネスまで、12.9kmかけて駆け上がる。2008年大会でも全く同じコースが設定され、当時はフランコ・ペッリツォッティ(イタリア)が40分26秒のタイムで優勝。平均スピードは19.1km/hだった。
8.4%という平均勾配だけを見ると特に特徴の無い上りだが、実際は非常に個性的。後半の5.3kmは未舗装の砂利道で、その区間の平均勾配は10.2%。特にラスト1kmを切ってからは急勾配が続き、最大勾配は何と24%をマークする。総合成績の変動は必至だ。
5月26日(水)第17ステージ ★★★★
ブルーニコ〜ペイオ・テルメ 173km →コースマップ
オーストリア色の強い南チロルのブルーニコをスタートし、氷河が削り出した渓谷に沿って西へ。中盤で平均勾配6.6%・登坂距離18.9kmの1級山岳パラーデ峠(ドイツ語名ガンペン峠)を通過するが、ゴールから60km以上離れているため、決定的な勝負どころにはならないだろう。
パラーデ峠通過後は、ゴール地点ペイオ・テルメに向かって緩い上りが続く。カテゴリー山岳ではないが、ラスト3.5kmにかけて平均勾配は6.6%。ゴール110m手前から始まる最終ストレートも勾配5%の上りだ。実質的に頂上ゴールの一つとして数えていいだろう。これまでの急勾配ステージで酷使した脚が悲鳴を上げる。
5月27日(木)第18ステージ ★★
レヴィコ・テルメ〜ブレシア 156km →コースマップ
難易度の高い山岳ステージに挟まれた箸休め的な平坦ステージ。前日までの激しい総合争いは一日限定で休戦する。この日の主役は、山岳ステージをグルペットで乗り切って来たスプリンターたちだ。
風光明媚なガルダ湖の湖畔を駆け抜け、最後は今年でジロ登場18回目のブレシアで集団スプリント。今年はミラノの平坦ステージが省略されたため、この日がスプリンターたちにとってステージ優勝の最後のチャンス。マリア・ロッソ・パッショーネ(ポイント賞ジャージ)争いは早くも佳境を迎える。
5月28日(金)第19ステージ ★★★★★
ブレシア〜アプリカ 195km →コースマップ
今年のジロの総合争いは、最後の最後まで分からない。最終3ステージで一気に形成が逆転する可能性だってある。第19ステージに登場するカテゴリー山岳は、2級山岳アプリカ、1級山岳トリヴィーニョ、1級山岳モルティローロ峠、2級山岳アプリカの4つだ。
平均勾配10.3%・登坂距離12.8kmのモルティローロ峠は、これまで何度も名勝負が繰り広げられて来た名物峠。この難関山岳で飛び出した数名の選手が、頂上ゴールが設定された2級山岳アプリカをハイスピードで駆け上がる。アプリカは勾配が緩い(平均勾配3.5%)ため、選手たちは間違いなくモルティローロ峠から動いてくる。
5月29日(土)第20ステージ ★★★★★
ボルミオ〜ポンテ・ディ・レーニョ〜トナーレ 178km →コースマップ
「一体誰がこんなコースをデザインしたんだ?」と思ってしまうほどハードな第20ステージ。獲得標高差は何と6000mを超える。選手たちを待ち構えているのは、1級山岳フォルコラ・ディ・リヴィーニョ、2級山岳エイラ峠、3級山岳フォスカーニョ峠、チーマコッピ(大会最高点)ガヴィア峠、そしてトナーレ峠の頂上ゴールだ。
ガヴィア峠の標高は2618m。24.9kmという登坂距離の長さ故、上り全体の平均勾配は5.6%に過ぎないが、中盤にかけて7.8%の勾配がコンスタントに続く。頂上通過後は、17kmに及ぶテクニカルなダウンヒルを経て、トナーレ峠を駆け上がってゴール。この過酷極まりない山岳ステージで、マリアローザ争いはほぼ決着するだろう。
5月30日(日)第21ステージ ★★★
ヴェローナ 15km(個人TT) →コースマップ
例年、ジロの最終日はミラノの平坦ステージだったが、今年はヴェローナの15km個人タイムトライアルが用意された。つまり最後の最後まで総合変動の可能性が有る。厳しい厳しい山岳を乗り越えたカラダに鞭打って、選手たちは最後の「時間との闘い」に挑む。
ヴェローナ中心部をスタートし、郊外の3級山岳(平均勾配4.4%)を上って再びヴェローナに戻る。標高差200mほどのアップダウンコースであり、平地独走力と同時に登坂力も要求される。ゴール地点はローマ時代の円形闘技場が完全なカタチで残っているアリーナ。ジロはこの世界遺産の街で3週間の闘いに幕を閉じる。
text:Kei Tsuji
image:RCS Sport
5月20日(木)第12ステージ ★★
チッタ・サンタンジェロ〜ポルト・レカナーティ 191km →コースマップ
第12・13ステージはともにアドリア海沿いを北上する平坦基調のロングステージ。しかしただ平地を突っ切るだけの単調なコースではなく、主催者はスパイスとして終盤に上りを組み込んでいる。
この日はラスト25km地点で一度ゴール地点を通過し、3級山岳を含む周回コースをこなす。ゴール12km手前の3級山岳では、アタックが繰り返されるはず。しかし集団スプリントの持ち込める平坦ステージが残り少なくなっているだけに、スプリンターチームがモチヴェーション高く集団を率いて逃げを撃ち落とし、大集団でのスプリント勝負に持ち込むだろう。ゴール前の5kmは完全にフラットだ。
5月21日(金)第13ステージ ★★
ポルト・レカナーティ〜チェゼナティコ 222km →コースマップ
第13ステージは、かつて“ピラータ”として一世を風靡した故マルコ・パンターニ(イタリア)ゆかりの地を訪れる。アドリア海沿いを走るコース前半はほぼ真っ平らで、後半にかけて2つの2級山岳をクリア。パンターニが練習場所として何度も走ったであろうこれらの上りを終えると、海沿いのチェゼナティコまでまっしぐらだ。
パンターニの生まれ故郷であり、パンターニ博物館やお墓のあるチェゼナティコでは、上りで縮小した集団によるスプリント勝負が繰り広げられるだろう。このステージを逃すと、しばらくスプリンターにはチャンスが回ってこない。そう、翌日からいよいよ怒濤の山岳ラッシュが始まるのだ。
5月22日(土)第14ステージ ★★★
フェラーラ〜アゾーロ 205km →コースマップ
ドロミテ山岳シリーズの幕開けを告げるのが、1級山岳モンテ・グラッパだ。レース前半はポー川流域の広大な平原を駆け抜ける平坦路。ジロ初登場のゴール地点アゾーロを一度通過すると、いよいよモンテ・グラッパが姿を現す。ドロミテ山岳の入り口に位置するこの上りは、平均勾配7.9%・登坂距離18.9km。中盤にかけて平均勾配が10%を超える本格的な上りだ。
このモンテ・グラッパの頂上からゴールまでは41km。ゴールまで距離があるため、単独で飛び出してもゴールまで逃げ切るのは難しい。上りで縮小した小集団によるスプリント勝負に持ち込まれるだろう。このステージはまだまだ翌日からの本格山岳に向けた予行演習に過ぎない。
5月23日(日)第15ステージ ★★★★★
メストレ〜モンテ・ゾンコラン 218km →コースマップ
悪名高き超級山岳モンテ・ゾンコランが姿を現す。2003年に初めてジロに導入されたこの上りは、平均勾配11.9%・登坂距離10.1kmの難易度で、中盤の5kmにかけて平均勾配は15.3%まで跳ね上がる。最大勾配22%の超難関峠。2007年大会以来の登場で、当時はジルベルト・シモーニ(イタリア)が激坂バトルを制している。今年も2007年と同様、より急勾配の西側からの登坂だ。
しかも、ゾンコランに至るまでに選手たちは1級山岳と2級山岳をクリアしなければならない。特にゾンコラン突入の30km手前に登場する1級山岳ドゥラン峠は平均勾配9.8%・最大勾配18%と、こちらも急勾配の上り。長い長い第2週を終え、マリアローザはいよいよ本命の手に渡ることになりそうだ。
5月24日(月)休息日
5月25日(火)第16ステージ ★★★★★
サンヴィジリオ・ディ・マレッベ〜プラン・デ・コロネス 12.9km(個人TT) →コースマップ
プラン・デ・コロネスの過酷な山岳個人TTがジロに帰って来た。標高1187mの麓の街サンヴィジリオ・ディ・マレッベから、スキー場として有名な標高2273mのプラン・デ・コロネスまで、12.9kmかけて駆け上がる。2008年大会でも全く同じコースが設定され、当時はフランコ・ペッリツォッティ(イタリア)が40分26秒のタイムで優勝。平均スピードは19.1km/hだった。
8.4%という平均勾配だけを見ると特に特徴の無い上りだが、実際は非常に個性的。後半の5.3kmは未舗装の砂利道で、その区間の平均勾配は10.2%。特にラスト1kmを切ってからは急勾配が続き、最大勾配は何と24%をマークする。総合成績の変動は必至だ。
5月26日(水)第17ステージ ★★★★
ブルーニコ〜ペイオ・テルメ 173km →コースマップ
オーストリア色の強い南チロルのブルーニコをスタートし、氷河が削り出した渓谷に沿って西へ。中盤で平均勾配6.6%・登坂距離18.9kmの1級山岳パラーデ峠(ドイツ語名ガンペン峠)を通過するが、ゴールから60km以上離れているため、決定的な勝負どころにはならないだろう。
パラーデ峠通過後は、ゴール地点ペイオ・テルメに向かって緩い上りが続く。カテゴリー山岳ではないが、ラスト3.5kmにかけて平均勾配は6.6%。ゴール110m手前から始まる最終ストレートも勾配5%の上りだ。実質的に頂上ゴールの一つとして数えていいだろう。これまでの急勾配ステージで酷使した脚が悲鳴を上げる。
5月27日(木)第18ステージ ★★
レヴィコ・テルメ〜ブレシア 156km →コースマップ
難易度の高い山岳ステージに挟まれた箸休め的な平坦ステージ。前日までの激しい総合争いは一日限定で休戦する。この日の主役は、山岳ステージをグルペットで乗り切って来たスプリンターたちだ。
風光明媚なガルダ湖の湖畔を駆け抜け、最後は今年でジロ登場18回目のブレシアで集団スプリント。今年はミラノの平坦ステージが省略されたため、この日がスプリンターたちにとってステージ優勝の最後のチャンス。マリア・ロッソ・パッショーネ(ポイント賞ジャージ)争いは早くも佳境を迎える。
5月28日(金)第19ステージ ★★★★★
ブレシア〜アプリカ 195km →コースマップ
今年のジロの総合争いは、最後の最後まで分からない。最終3ステージで一気に形成が逆転する可能性だってある。第19ステージに登場するカテゴリー山岳は、2級山岳アプリカ、1級山岳トリヴィーニョ、1級山岳モルティローロ峠、2級山岳アプリカの4つだ。
平均勾配10.3%・登坂距離12.8kmのモルティローロ峠は、これまで何度も名勝負が繰り広げられて来た名物峠。この難関山岳で飛び出した数名の選手が、頂上ゴールが設定された2級山岳アプリカをハイスピードで駆け上がる。アプリカは勾配が緩い(平均勾配3.5%)ため、選手たちは間違いなくモルティローロ峠から動いてくる。
5月29日(土)第20ステージ ★★★★★
ボルミオ〜ポンテ・ディ・レーニョ〜トナーレ 178km →コースマップ
「一体誰がこんなコースをデザインしたんだ?」と思ってしまうほどハードな第20ステージ。獲得標高差は何と6000mを超える。選手たちを待ち構えているのは、1級山岳フォルコラ・ディ・リヴィーニョ、2級山岳エイラ峠、3級山岳フォスカーニョ峠、チーマコッピ(大会最高点)ガヴィア峠、そしてトナーレ峠の頂上ゴールだ。
ガヴィア峠の標高は2618m。24.9kmという登坂距離の長さ故、上り全体の平均勾配は5.6%に過ぎないが、中盤にかけて7.8%の勾配がコンスタントに続く。頂上通過後は、17kmに及ぶテクニカルなダウンヒルを経て、トナーレ峠を駆け上がってゴール。この過酷極まりない山岳ステージで、マリアローザ争いはほぼ決着するだろう。
5月30日(日)第21ステージ ★★★
ヴェローナ 15km(個人TT) →コースマップ
例年、ジロの最終日はミラノの平坦ステージだったが、今年はヴェローナの15km個人タイムトライアルが用意された。つまり最後の最後まで総合変動の可能性が有る。厳しい厳しい山岳を乗り越えたカラダに鞭打って、選手たちは最後の「時間との闘い」に挑む。
ヴェローナ中心部をスタートし、郊外の3級山岳(平均勾配4.4%)を上って再びヴェローナに戻る。標高差200mほどのアップダウンコースであり、平地独走力と同時に登坂力も要求される。ゴール地点はローマ時代の円形闘技場が完全なカタチで残っているアリーナ。ジロはこの世界遺産の街で3週間の闘いに幕を閉じる。
text:Kei Tsuji
image:RCS Sport
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