2010/05/05(水) - 07:25
2010年5月8日にオランダ・アムステルダムで開幕するジロ・デ・イタリア。第1ステージから第11ステージまでのコースを紹介するとともに、見どころをチェックしておこう。
5月8日(土)第1ステージ ★★★
アムステルダム 8.4km(個人TT) →コースマップ
101年目のジロ・デ・イタリアは、オランダで動き出す。初日は人口75万人の首都アムステルダムの中心部を舞台にした8.4kmの個人タイムトライアル。「水の都」と呼ばれ、運河が張り巡らされた平坦な市街地コースを、TTバイクに跨がった選手たちが駆け抜ける。
スタート地点はチームプレゼンテーションの舞台でもあるムセーウム広場。そこから13カ所のカーブと8カ所の緩やかなカーブを経て、1928年にオリンピックのメイン会場となったオリンピスフ・スタディオンの近くにゴールする。初日のステージ優勝はマリアローザ獲得を意味するだけに、総合狙いの選手や序盤ステージでのマリアローザ着用を目指すスプリンターたちは初日から全開で走ることになるだろう。
5月9日(日)第2ステージ ★★
アムステルダム〜ユトレヒト 210km →コースマップ
アムステルダムを離れ、郊外のユトレヒトに至る第2ステージはほぼ真っ平ら。中盤に2つの3級山岳が登場するが、いずれも標高が100mに満たない小さな丘だ。ステージ優勝争いには関係無いが、ここで山岳ポイントを稼ぐことが出来ればマリアヴェルデ(山岳賞ジャージ)を獲得。第5ステージまで着続けることが可能だ。山岳ポイント目がけて序盤からアタックが繰り広げられるだろう。
スプリンターチームが隊列を組んでユトレヒトにハイスピードで突入する姿は必見。ラスト数キロはロータリーや細かい石畳の舗装が登場するが、最終ストレートは長さ220m・幅7.5mのアスファルト路。今大会最初の集団スプリントに注目だ。
5月10日(月)第3ステージ ★★★
アムステルダム〜ミデルブルフ 224km →コースマップ
オランダ最終日は前日にも増して“オランダらしい”上り皆無のフラットコース。アムステルダムをスタートし、ひたすら平野部を南下する。部分的に海抜は0m以下。北海に面した平野部だけに、選手たちが強風の標的になる可能性も。
ゴール地点はミッデルブルグの旧市街で、ラスト4kmを切ると道幅が狭まるとともにコーナーが連続する。ラスト1200mからは運河沿いの2車線で、ラスト250mで鋭く曲がってゴール。最終ストレートは細かい石畳が敷かれた滑らかな路面だ。この2つのフラットステージでスプリンターの調子の善し悪しが明確になるだろう。選手たちはオランダに別れを告げ、空路でイタリアに向かう。
5月11日(火)休息日
5月12日(水)第4ステージ ★★★
サヴィリアーノ〜クーネオ 33km(チームTT) →コースマップ
例年より早めの休息日が明けると今大会唯一のチームタイムトライアル。コースは概ね直線路で構成されており、中盤の25km区間は平均勾配にして1%ほどの上りがダラダラと続く。短いアップダウンと幾つものコーナーを経てクーネオの市街に入り、中心部のニース通りにゴールする。レース主催者の予想タイムは36〜39分だ。
ここではチームの走力がそのままタイムになって現れる。スプリンターやスピードマンを擁するチームが上位に入り、逆に最終週の山岳を見据えてクライマーを揃えたチームはタイムを失う結果になる。マリアローザの移動は充分に考えられるが、チームTTとしては距離が短いため、決定的なタイム差は生まれないだろう。
5月13日(木)第5ステージ ★★
ノヴァーラ〜ノーヴィ・リグーレ 162km →コースマップ
ピエモンテ州の平野部を駆け抜けるレース前半は真っ平らで、後半にかけて2つの3級山岳を越える。最後はノーヴィ・リグーレの平坦周回コースを経てゴール。ラスト600mからゴールまでは直線路が続く。
1940年代に活躍し、5度のジロ・デ・イタリア制覇を成し遂げたファウスト・コッピ(イタリア)に捧げるステージであり、没後50年を迎える今年、「カンピオニッシモ」と呼ばれる英雄コッピの生誕地カステッラーニア(2つ目の3級山岳頂上)を訪れる。偉大なクライマーを讃えるステージだが、この日の主役はスプリンター。ノーヴィ・リグーレでは今大会3度目の集団スプリントが予想される。
5月14日(金)第6ステージ ★★
フィデンツァ〜マリーナ・ディ・カラーラ 172km →コースマップ
第6ステージからジロは南下を開始。エミリア・ロマーニャ州に舞台を移し、山岳地帯を抜けてリグーリア海沿いに出る。途中2つの2級山岳を越え、ゴールの11km手前で3級山岳ベディッツァーノ(登坂距離3km・平均勾配8%)をクリア。これらの上りでアタックが掛かるのは間違いない。これまでスプリンターの独壇場だったが、この日はアタッカーにもチャンス有りだ。
上りで飛び出した選手がゴールまで逃げ切るか?それともスプリンターチームが集団スプリントに持ち込むか?ゴール地点は「アレ=ジェット」ことアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)の故郷ラ・スペツィアのすぐ近くだ。
5月15日(土)第7ステージ ★★★
カラーラ〜モンタルチーノ 222km →コースマップ
コース発表時から注目を集めていたのが、世界的なワインの産地として有名な丘上都市モンタルチーノにゴールする第7ステージ。前半は平坦で、後半にかけてトスカーナ州シエナ近郊の丘陵地帯を駆け抜ける。大きな山岳は設定されていないが、終盤にモンテパスキ・ストラーデビアンケにも登場した未舗装路が設定されているのだ。
ラスト19kmのうち、「ストラーデ・ビアンケ(白い道)」と呼ばれる未舗装区間は14km。しかも未舗装区間には最大勾配が16%に達する2級山岳ポッジオ・チヴィテッラが設定されており、その頂上はゴールの僅か4km手前。現代のグランツールでは滅多に見ることの出来ない砂塵を巻き上げるプロトンの姿は必見。パンクや落車が多発するスペクタクルな展開が予想される。
5月16日(日)第8ステージ ★★★★
キアンチァーノ・テルメ〜テルミニッロ 189km →コースマップ
ジロはトスカーナ州を離れ、ラツィオ州に突入。“山岳の厳しさが際立つ2010年のジロ”において、最初の腕(脚)試しとして登場するのがテルミニッロの頂上ゴールだ。カテゴリーは1級で、平均勾配7.3%・登坂距離16.1kmと、アルプスやドロミテの難関山岳にも見劣りしない迫力。2003年大会にも頂上ゴールとして登場しており、当時はシモーニ(イタリア)を破ったガルゼッリ(イタリア)が優勝を飾っている。
このステージでマリアローザの手は優勝候補の手に渡る。ここからしばらく難易度の低いステージが続くため、ここで総合首位に立った選手は最終週のドロミテまでマリアローザを着続ける可能性も。
5月17日(月)第9ステージ ★★
フロシノーネ〜カーヴァ・デ・ティレーニ 187km →コースマップ
1回目の頂上ゴールを終えたジロは、更にイタリア半島を南下して行く。第9ステージは今大会有数の平坦コースで行なわれる。スプリンターの脚にダメージを与えるような上りは登場せず、ナポリに近い平野部をひたすら駆け抜ける。
ゴール地点カーヴァ・デ・ティレーニは風光明媚なアマルフィ海岸に近い丘の上に位置。ラスト5kmを切ってから3%ほどの上りが続き、ラスト800mの平均勾配は1〜2%ほど。集団スプリントに持ち込まれる可能性大だが、上りで苦戦するスプリンターが出てくるかも?いよいよジロは南イタリアに突入だ。
5月18日(火)第10ステージ ★★
アヴェッリーノ〜ビトント 230km →コースマップ
ティレニア海に別れを告げて、半島を横断してアドリア海に至る第10ステージ。中盤に標高668mの3級山岳が登場するが、後半にかけてアドリア海にかけて平坦路をまっしぐら。2日連続で集団スプリントに持ち込まれるだろう。この第10ステージが今大会の南端。ここから最終週のドロミテに向けてイタリア半島東岸を北上を開始する。
今年はポイント賞ジャージが「マリアチクラミーノ(シクラメン色)」から「マリア・ロッソ・パッショーネ(赤色)」に変更。この頃にはレッドジャージの持ち主もある程度定まっているはずだ。
5月19日(水)第11ステージ ★★★
ルチェーラ〜ラクイラ 262km →コースマップ
今大会最長の262kmのコースには、1級山岳と2つの2級山岳が組み込まれている。ゴールの45km手前で登場する2級山岳カーポ・ディ・ヴァッレは、ステージ争いに絡む重要なアタックポイントになる。コースのタフさから、ピュアスプリンターの出番は無さそうだ。
ゴール地点は2009年4月6日のイタリア中部地震で致命的な被害を受け、308人の死者を出したアブルッツォ州のラクイラ。ラスト2kmを切ってからこのライクラ市街地に向けた標高差100mの上りが始まり、ラスト1kmの平均勾配は6.9%、局所的に勾配は11%に達する。アルデンヌ・クラシックを得意とするようなパンチ力のある選手たちがステージ優勝を争うことになりそうだ。
text:Kei Tsuji
image:RCS Sport
5月8日(土)第1ステージ ★★★
アムステルダム 8.4km(個人TT) →コースマップ
101年目のジロ・デ・イタリアは、オランダで動き出す。初日は人口75万人の首都アムステルダムの中心部を舞台にした8.4kmの個人タイムトライアル。「水の都」と呼ばれ、運河が張り巡らされた平坦な市街地コースを、TTバイクに跨がった選手たちが駆け抜ける。
スタート地点はチームプレゼンテーションの舞台でもあるムセーウム広場。そこから13カ所のカーブと8カ所の緩やかなカーブを経て、1928年にオリンピックのメイン会場となったオリンピスフ・スタディオンの近くにゴールする。初日のステージ優勝はマリアローザ獲得を意味するだけに、総合狙いの選手や序盤ステージでのマリアローザ着用を目指すスプリンターたちは初日から全開で走ることになるだろう。
5月9日(日)第2ステージ ★★
アムステルダム〜ユトレヒト 210km →コースマップ
アムステルダムを離れ、郊外のユトレヒトに至る第2ステージはほぼ真っ平ら。中盤に2つの3級山岳が登場するが、いずれも標高が100mに満たない小さな丘だ。ステージ優勝争いには関係無いが、ここで山岳ポイントを稼ぐことが出来ればマリアヴェルデ(山岳賞ジャージ)を獲得。第5ステージまで着続けることが可能だ。山岳ポイント目がけて序盤からアタックが繰り広げられるだろう。
スプリンターチームが隊列を組んでユトレヒトにハイスピードで突入する姿は必見。ラスト数キロはロータリーや細かい石畳の舗装が登場するが、最終ストレートは長さ220m・幅7.5mのアスファルト路。今大会最初の集団スプリントに注目だ。
5月10日(月)第3ステージ ★★★
アムステルダム〜ミデルブルフ 224km →コースマップ
オランダ最終日は前日にも増して“オランダらしい”上り皆無のフラットコース。アムステルダムをスタートし、ひたすら平野部を南下する。部分的に海抜は0m以下。北海に面した平野部だけに、選手たちが強風の標的になる可能性も。
ゴール地点はミッデルブルグの旧市街で、ラスト4kmを切ると道幅が狭まるとともにコーナーが連続する。ラスト1200mからは運河沿いの2車線で、ラスト250mで鋭く曲がってゴール。最終ストレートは細かい石畳が敷かれた滑らかな路面だ。この2つのフラットステージでスプリンターの調子の善し悪しが明確になるだろう。選手たちはオランダに別れを告げ、空路でイタリアに向かう。
5月11日(火)休息日
5月12日(水)第4ステージ ★★★
サヴィリアーノ〜クーネオ 33km(チームTT) →コースマップ
例年より早めの休息日が明けると今大会唯一のチームタイムトライアル。コースは概ね直線路で構成されており、中盤の25km区間は平均勾配にして1%ほどの上りがダラダラと続く。短いアップダウンと幾つものコーナーを経てクーネオの市街に入り、中心部のニース通りにゴールする。レース主催者の予想タイムは36〜39分だ。
ここではチームの走力がそのままタイムになって現れる。スプリンターやスピードマンを擁するチームが上位に入り、逆に最終週の山岳を見据えてクライマーを揃えたチームはタイムを失う結果になる。マリアローザの移動は充分に考えられるが、チームTTとしては距離が短いため、決定的なタイム差は生まれないだろう。
5月13日(木)第5ステージ ★★
ノヴァーラ〜ノーヴィ・リグーレ 162km →コースマップ
ピエモンテ州の平野部を駆け抜けるレース前半は真っ平らで、後半にかけて2つの3級山岳を越える。最後はノーヴィ・リグーレの平坦周回コースを経てゴール。ラスト600mからゴールまでは直線路が続く。
1940年代に活躍し、5度のジロ・デ・イタリア制覇を成し遂げたファウスト・コッピ(イタリア)に捧げるステージであり、没後50年を迎える今年、「カンピオニッシモ」と呼ばれる英雄コッピの生誕地カステッラーニア(2つ目の3級山岳頂上)を訪れる。偉大なクライマーを讃えるステージだが、この日の主役はスプリンター。ノーヴィ・リグーレでは今大会3度目の集団スプリントが予想される。
5月14日(金)第6ステージ ★★
フィデンツァ〜マリーナ・ディ・カラーラ 172km →コースマップ
第6ステージからジロは南下を開始。エミリア・ロマーニャ州に舞台を移し、山岳地帯を抜けてリグーリア海沿いに出る。途中2つの2級山岳を越え、ゴールの11km手前で3級山岳ベディッツァーノ(登坂距離3km・平均勾配8%)をクリア。これらの上りでアタックが掛かるのは間違いない。これまでスプリンターの独壇場だったが、この日はアタッカーにもチャンス有りだ。
上りで飛び出した選手がゴールまで逃げ切るか?それともスプリンターチームが集団スプリントに持ち込むか?ゴール地点は「アレ=ジェット」ことアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)の故郷ラ・スペツィアのすぐ近くだ。
5月15日(土)第7ステージ ★★★
カラーラ〜モンタルチーノ 222km →コースマップ
コース発表時から注目を集めていたのが、世界的なワインの産地として有名な丘上都市モンタルチーノにゴールする第7ステージ。前半は平坦で、後半にかけてトスカーナ州シエナ近郊の丘陵地帯を駆け抜ける。大きな山岳は設定されていないが、終盤にモンテパスキ・ストラーデビアンケにも登場した未舗装路が設定されているのだ。
ラスト19kmのうち、「ストラーデ・ビアンケ(白い道)」と呼ばれる未舗装区間は14km。しかも未舗装区間には最大勾配が16%に達する2級山岳ポッジオ・チヴィテッラが設定されており、その頂上はゴールの僅か4km手前。現代のグランツールでは滅多に見ることの出来ない砂塵を巻き上げるプロトンの姿は必見。パンクや落車が多発するスペクタクルな展開が予想される。
5月16日(日)第8ステージ ★★★★
キアンチァーノ・テルメ〜テルミニッロ 189km →コースマップ
ジロはトスカーナ州を離れ、ラツィオ州に突入。“山岳の厳しさが際立つ2010年のジロ”において、最初の腕(脚)試しとして登場するのがテルミニッロの頂上ゴールだ。カテゴリーは1級で、平均勾配7.3%・登坂距離16.1kmと、アルプスやドロミテの難関山岳にも見劣りしない迫力。2003年大会にも頂上ゴールとして登場しており、当時はシモーニ(イタリア)を破ったガルゼッリ(イタリア)が優勝を飾っている。
このステージでマリアローザの手は優勝候補の手に渡る。ここからしばらく難易度の低いステージが続くため、ここで総合首位に立った選手は最終週のドロミテまでマリアローザを着続ける可能性も。
5月17日(月)第9ステージ ★★
フロシノーネ〜カーヴァ・デ・ティレーニ 187km →コースマップ
1回目の頂上ゴールを終えたジロは、更にイタリア半島を南下して行く。第9ステージは今大会有数の平坦コースで行なわれる。スプリンターの脚にダメージを与えるような上りは登場せず、ナポリに近い平野部をひたすら駆け抜ける。
ゴール地点カーヴァ・デ・ティレーニは風光明媚なアマルフィ海岸に近い丘の上に位置。ラスト5kmを切ってから3%ほどの上りが続き、ラスト800mの平均勾配は1〜2%ほど。集団スプリントに持ち込まれる可能性大だが、上りで苦戦するスプリンターが出てくるかも?いよいよジロは南イタリアに突入だ。
5月18日(火)第10ステージ ★★
アヴェッリーノ〜ビトント 230km →コースマップ
ティレニア海に別れを告げて、半島を横断してアドリア海に至る第10ステージ。中盤に標高668mの3級山岳が登場するが、後半にかけてアドリア海にかけて平坦路をまっしぐら。2日連続で集団スプリントに持ち込まれるだろう。この第10ステージが今大会の南端。ここから最終週のドロミテに向けてイタリア半島東岸を北上を開始する。
今年はポイント賞ジャージが「マリアチクラミーノ(シクラメン色)」から「マリア・ロッソ・パッショーネ(赤色)」に変更。この頃にはレッドジャージの持ち主もある程度定まっているはずだ。
5月19日(水)第11ステージ ★★★
ルチェーラ〜ラクイラ 262km →コースマップ
今大会最長の262kmのコースには、1級山岳と2つの2級山岳が組み込まれている。ゴールの45km手前で登場する2級山岳カーポ・ディ・ヴァッレは、ステージ争いに絡む重要なアタックポイントになる。コースのタフさから、ピュアスプリンターの出番は無さそうだ。
ゴール地点は2009年4月6日のイタリア中部地震で致命的な被害を受け、308人の死者を出したアブルッツォ州のラクイラ。ラスト2kmを切ってからこのライクラ市街地に向けた標高差100mの上りが始まり、ラスト1kmの平均勾配は6.9%、局所的に勾配は11%に達する。アルデンヌ・クラシックを得意とするようなパンチ力のある選手たちがステージ優勝を争うことになりそうだ。
text:Kei Tsuji
image:RCS Sport
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