カテゴリー1級の頂上ゴールが設定されたジロ・デル・トレンティーノ(UCI2.1)第4ステージは、イタリアンピュアクライマーのドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CSFイノックス)が優勝。リッコ(イタリア)の猛チャージを抑え込んだヴィノクロフ(カザフスタン)が、0.12秒差で総合優勝に輝いた。

北イタリアの山岳地帯を進むメイン集団北イタリアの山岳地帯を進むメイン集団 photo:www.girodeltrentino.com4月23日、ジロ・デル・トレンティーノ最終日、選手たちを待ち構えていたのは1級山岳アルペ・ディ・パンペアーゴ(標高1757m・平均勾配10.1%)の頂上ゴール。この難関山岳でトレンティーノの総合争いは決する。

この重要な最終ステージで、序盤から16名の大きな逃げグループが形成された。メイン集団はアスタナがコントロールし、タイム差を5分20秒に抑え込む。やがてリクイガスも集団コントロールに加わると、タイム差は縮小の一途をたどった。

パンペアーゴで攻撃を仕掛けるドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)にリッコが続き、ヴィノクロフが脱落パンペアーゴで攻撃を仕掛けるドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)にリッコが続き、ヴィノクロフが脱落 photo:Cor Vosやがてラスト8kmから始まる1級山岳アルペ・ディ・パンペアーゴに突入すると、先頭は41歳のアンドレア・ノエ(イタリア、チェラミカ・フラミニア)、ステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、サイモン・クラーク(オーストラリア、ISD・ネーリ)、ギヨーム・ルフロッシュ(フランス、Bboxブイグテレコム)の4名に。メイン集団は1分30秒遅れで登りに突入した。

メイン集団内で最初に動いたのは、今年のツール・ド・ランカウイのゲンティンハイランドで圧勝したホセ・ルハノ(ベネズエラ、ISD・ネーリ)。ベネズエラの小柄なクライマーはそれまで逃げていたピラッツィらを追い抜くが、集団を引き離すことが出来ずに吸収されてしまう。逃げは全て吸収され、ここから有力選手たちの闘いが始まった。

頂上手前でリッコを引き離したドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)が独走勝利頂上手前でリッコを引き離したドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)が独走勝利 photo:www.girodeltrentino.comエマヌエーレ・セッラ(イタリア、カルミオオーロ・NGC)のアタックにドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)が反応し、リーダージャージのヴィノクロフとリッコも合流。イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は出遅れた。

やがて先頭ではポッツォヴィーヴォとリッコの2人が抜け出し、ヴィノクロフが20秒遅れ、バッソを含むメイン集団が30秒遅れという展開。ヴィノクロフには昨年のTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)覇者セルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC)が合流。

総合首位を辛うじて守ったアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)総合首位を辛うじて守ったアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) photo:Cor Vos頂上が近づくとポッツォヴィーヴォがリッコを引き離して独走。軽量クライマーのポッツォヴィーヴォが、そのまま単独でパンペアーゴを上り切った。

ポッツォヴィーヴォは1982年生まれの27歳のピュアクライマー。この日のステージ優勝で総合3位に浮上した。2008年のジロ・デ・イタリアで総合9位に入っており、コルナゴ・CSFイノックスのメンバーとして出場する今年のジロの山岳では大暴れしてくれそうな予感。特に今年のジロは山岳の厳しさが際立っているため、ポッツォヴィーヴォにも表彰台を狙うチャンスは充分にある。

失意のリカルド・リッコ(イタリア、チェラミカ・フラミニア)失意のリカルド・リッコ(イタリア、チェラミカ・フラミニア) photo:www.girodeltrentino.com両手を挙げてゴールしたポッツォヴィーヴォから遅れること3秒、総合逆転を狙うリッコが最後まで追い込んでゴール。リーダージャージのヴィノクロフは23秒遅れでゴールした。

この日のスタート時で、総合首位ヴィノクロフと総合2位リッコのタイム差は26秒。ヴィノクロフを20秒引き離してゴールしたリッコは、ステージ2位のボーナスタイム6秒を獲得し、総合でヴィノクロフと同タイムに。しかしヴィノクロフには0.12秒届かず、総合逆転は叶わなかった。

0.12秒が勝敗を分けたリカルド・リッコ(イタリア、チェラミカ・フラミニア)とアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)0.12秒が勝敗を分けたリカルド・リッコ(イタリア、チェラミカ・フラミニア)とアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) photo:www.girodeltrentino.comヴィノクロフは現役復帰後初のステージレース総合優勝。直後の2日後にベルギーで開催されるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュに出場する予定であり、アルベルト・コンタドール(スペイン)とのタッグに注目が集まる。もちろん5月8日に開幕するジロ・デ・イタリアでも優勝候補の一角だ。

バッソは山岳でライバルたちの攻撃に屈して総合5位。ジロ・デ・イタリアに向けて不安材料が残る結果となった。TOJ覇者のパルディージャが総合6位。ヨーロッパレースで着実に実績を積み、この一年でトップクライマーの仲間入りを果たしている。

そして、ジロ・デ・イタリア出場が決まった新城幸也(Bboxブイグテレコム)は最終ステージを9分遅れで終え、総合78位に。ユキヤは自身のブログで「今日は無事にトレンティーノ走りきりました。日に日に調子が良くなって行き、とても良い感触で終える事が出来ました」とコメントしている。ユキヤの次戦は週末にイタリアで開催されるジロ・デッラッペニーノ。このイタリアレースを終えると、ユキヤはフランスに戻り、ジロに向けた最終調整に入る予定だ。

レース展開はレース公式サイトより。

ジロ・デル・トレンティーノ2010第4ステージ結果
1位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)   4h44'54"
2位 リカルド・リッコ(イタリア、チェラミカ・フラミニア)            +03"
3位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC)          +20"
4位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)           +23"
5位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ミケ)               +37"
6位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)       +38"
7位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)                  +42"
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)      +49"
9位 ウラディミール・ミホロヴィッチ(クロアチア、アックア・エ・サポーネ)    +54"
10位 ヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム)              +58"
72位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)                  +9'04"

個人総合成績
1位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)       13h50'23"
2位 リカルド・リッコ(イタリア、チェラミカ・フラミニア)           +00"
3位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)     +42"
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)      +44"
5位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)                 +56"
6位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC)         +1'28"
7位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトーリ)         +1'37"
8位 ウラディミール・ミホロヴィッチ(クロアチア、アックア・エ・サポーネ)  +1'41"
9位 エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ)              +1'51"
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)    +1'59"
78位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)                 +29'19"

新人賞
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)

チーム総合成績
アンドローニ・ジョカトーリ

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, www.girodeltrentino.com

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