2010/04/24(土) - 11:23
カテゴリー1級の頂上ゴールが設定されたジロ・デル・トレンティーノ(UCI2.1)第4ステージは、イタリアンピュアクライマーのドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(コルナゴ・CSFイノックス)が優勝。リッコ(イタリア)の猛チャージを抑え込んだヴィノクロフ(カザフスタン)が、0.12秒差で総合優勝に輝いた。
4月23日、ジロ・デル・トレンティーノ最終日、選手たちを待ち構えていたのは1級山岳アルペ・ディ・パンペアーゴ(標高1757m・平均勾配10.1%)の頂上ゴール。この難関山岳でトレンティーノの総合争いは決する。
この重要な最終ステージで、序盤から16名の大きな逃げグループが形成された。メイン集団はアスタナがコントロールし、タイム差を5分20秒に抑え込む。やがてリクイガスも集団コントロールに加わると、タイム差は縮小の一途をたどった。
やがてラスト8kmから始まる1級山岳アルペ・ディ・パンペアーゴに突入すると、先頭は41歳のアンドレア・ノエ(イタリア、チェラミカ・フラミニア)、ステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、サイモン・クラーク(オーストラリア、ISD・ネーリ)、ギヨーム・ルフロッシュ(フランス、Bboxブイグテレコム)の4名に。メイン集団は1分30秒遅れで登りに突入した。
メイン集団内で最初に動いたのは、今年のツール・ド・ランカウイのゲンティンハイランドで圧勝したホセ・ルハノ(ベネズエラ、ISD・ネーリ)。ベネズエラの小柄なクライマーはそれまで逃げていたピラッツィらを追い抜くが、集団を引き離すことが出来ずに吸収されてしまう。逃げは全て吸収され、ここから有力選手たちの闘いが始まった。
エマヌエーレ・セッラ(イタリア、カルミオオーロ・NGC)のアタックにドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)が反応し、リーダージャージのヴィノクロフとリッコも合流。イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は出遅れた。
やがて先頭ではポッツォヴィーヴォとリッコの2人が抜け出し、ヴィノクロフが20秒遅れ、バッソを含むメイン集団が30秒遅れという展開。ヴィノクロフには昨年のTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)覇者セルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC)が合流。
頂上が近づくとポッツォヴィーヴォがリッコを引き離して独走。軽量クライマーのポッツォヴィーヴォが、そのまま単独でパンペアーゴを上り切った。
ポッツォヴィーヴォは1982年生まれの27歳のピュアクライマー。この日のステージ優勝で総合3位に浮上した。2008年のジロ・デ・イタリアで総合9位に入っており、コルナゴ・CSFイノックスのメンバーとして出場する今年のジロの山岳では大暴れしてくれそうな予感。特に今年のジロは山岳の厳しさが際立っているため、ポッツォヴィーヴォにも表彰台を狙うチャンスは充分にある。
両手を挙げてゴールしたポッツォヴィーヴォから遅れること3秒、総合逆転を狙うリッコが最後まで追い込んでゴール。リーダージャージのヴィノクロフは23秒遅れでゴールした。
この日のスタート時で、総合首位ヴィノクロフと総合2位リッコのタイム差は26秒。ヴィノクロフを20秒引き離してゴールしたリッコは、ステージ2位のボーナスタイム6秒を獲得し、総合でヴィノクロフと同タイムに。しかしヴィノクロフには0.12秒届かず、総合逆転は叶わなかった。
ヴィノクロフは現役復帰後初のステージレース総合優勝。直後の2日後にベルギーで開催されるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュに出場する予定であり、アルベルト・コンタドール(スペイン)とのタッグに注目が集まる。もちろん5月8日に開幕するジロ・デ・イタリアでも優勝候補の一角だ。
バッソは山岳でライバルたちの攻撃に屈して総合5位。ジロ・デ・イタリアに向けて不安材料が残る結果となった。TOJ覇者のパルディージャが総合6位。ヨーロッパレースで着実に実績を積み、この一年でトップクライマーの仲間入りを果たしている。
そして、ジロ・デ・イタリア出場が決まった新城幸也(Bboxブイグテレコム)は最終ステージを9分遅れで終え、総合78位に。ユキヤは自身のブログで「今日は無事にトレンティーノ走りきりました。日に日に調子が良くなって行き、とても良い感触で終える事が出来ました」とコメントしている。ユキヤの次戦は週末にイタリアで開催されるジロ・デッラッペニーノ。このイタリアレースを終えると、ユキヤはフランスに戻り、ジロに向けた最終調整に入る予定だ。
レース展開はレース公式サイトより。
ジロ・デル・トレンティーノ2010第4ステージ結果
1位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) 4h44'54"
2位 リカルド・リッコ(イタリア、チェラミカ・フラミニア) +03"
3位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC) +20"
4位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +23"
5位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ミケ) +37"
6位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) +38"
7位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +42"
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック) +49"
9位 ウラディミール・ミホロヴィッチ(クロアチア、アックア・エ・サポーネ) +54"
10位 ヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム) +58"
72位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +9'04"
個人総合成績
1位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) 13h50'23"
2位 リカルド・リッコ(イタリア、チェラミカ・フラミニア) +00"
3位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) +42"
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) +44"
5位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +56"
6位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC) +1'28"
7位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトーリ) +1'37"
8位 ウラディミール・ミホロヴィッチ(クロアチア、アックア・エ・サポーネ) +1'41"
9位 エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ) +1'51"
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック) +1'59"
78位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +29'19"
新人賞
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)
チーム総合成績
アンドローニ・ジョカトーリ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, www.girodeltrentino.com
4月23日、ジロ・デル・トレンティーノ最終日、選手たちを待ち構えていたのは1級山岳アルペ・ディ・パンペアーゴ(標高1757m・平均勾配10.1%)の頂上ゴール。この難関山岳でトレンティーノの総合争いは決する。
この重要な最終ステージで、序盤から16名の大きな逃げグループが形成された。メイン集団はアスタナがコントロールし、タイム差を5分20秒に抑え込む。やがてリクイガスも集団コントロールに加わると、タイム差は縮小の一途をたどった。
やがてラスト8kmから始まる1級山岳アルペ・ディ・パンペアーゴに突入すると、先頭は41歳のアンドレア・ノエ(イタリア、チェラミカ・フラミニア)、ステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、サイモン・クラーク(オーストラリア、ISD・ネーリ)、ギヨーム・ルフロッシュ(フランス、Bboxブイグテレコム)の4名に。メイン集団は1分30秒遅れで登りに突入した。
メイン集団内で最初に動いたのは、今年のツール・ド・ランカウイのゲンティンハイランドで圧勝したホセ・ルハノ(ベネズエラ、ISD・ネーリ)。ベネズエラの小柄なクライマーはそれまで逃げていたピラッツィらを追い抜くが、集団を引き離すことが出来ずに吸収されてしまう。逃げは全て吸収され、ここから有力選手たちの闘いが始まった。
エマヌエーレ・セッラ(イタリア、カルミオオーロ・NGC)のアタックにドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)が反応し、リーダージャージのヴィノクロフとリッコも合流。イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は出遅れた。
やがて先頭ではポッツォヴィーヴォとリッコの2人が抜け出し、ヴィノクロフが20秒遅れ、バッソを含むメイン集団が30秒遅れという展開。ヴィノクロフには昨年のTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)覇者セルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC)が合流。
頂上が近づくとポッツォヴィーヴォがリッコを引き離して独走。軽量クライマーのポッツォヴィーヴォが、そのまま単独でパンペアーゴを上り切った。
ポッツォヴィーヴォは1982年生まれの27歳のピュアクライマー。この日のステージ優勝で総合3位に浮上した。2008年のジロ・デ・イタリアで総合9位に入っており、コルナゴ・CSFイノックスのメンバーとして出場する今年のジロの山岳では大暴れしてくれそうな予感。特に今年のジロは山岳の厳しさが際立っているため、ポッツォヴィーヴォにも表彰台を狙うチャンスは充分にある。
両手を挙げてゴールしたポッツォヴィーヴォから遅れること3秒、総合逆転を狙うリッコが最後まで追い込んでゴール。リーダージャージのヴィノクロフは23秒遅れでゴールした。
この日のスタート時で、総合首位ヴィノクロフと総合2位リッコのタイム差は26秒。ヴィノクロフを20秒引き離してゴールしたリッコは、ステージ2位のボーナスタイム6秒を獲得し、総合でヴィノクロフと同タイムに。しかしヴィノクロフには0.12秒届かず、総合逆転は叶わなかった。
ヴィノクロフは現役復帰後初のステージレース総合優勝。直後の2日後にベルギーで開催されるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュに出場する予定であり、アルベルト・コンタドール(スペイン)とのタッグに注目が集まる。もちろん5月8日に開幕するジロ・デ・イタリアでも優勝候補の一角だ。
バッソは山岳でライバルたちの攻撃に屈して総合5位。ジロ・デ・イタリアに向けて不安材料が残る結果となった。TOJ覇者のパルディージャが総合6位。ヨーロッパレースで着実に実績を積み、この一年でトップクライマーの仲間入りを果たしている。
そして、ジロ・デ・イタリア出場が決まった新城幸也(Bboxブイグテレコム)は最終ステージを9分遅れで終え、総合78位に。ユキヤは自身のブログで「今日は無事にトレンティーノ走りきりました。日に日に調子が良くなって行き、とても良い感触で終える事が出来ました」とコメントしている。ユキヤの次戦は週末にイタリアで開催されるジロ・デッラッペニーノ。このイタリアレースを終えると、ユキヤはフランスに戻り、ジロに向けた最終調整に入る予定だ。
レース展開はレース公式サイトより。
ジロ・デル・トレンティーノ2010第4ステージ結果
1位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) 4h44'54"
2位 リカルド・リッコ(イタリア、チェラミカ・フラミニア) +03"
3位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC) +20"
4位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +23"
5位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ミケ) +37"
6位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) +38"
7位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +42"
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック) +49"
9位 ウラディミール・ミホロヴィッチ(クロアチア、アックア・エ・サポーネ) +54"
10位 ヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム) +58"
72位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +9'04"
個人総合成績
1位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) 13h50'23"
2位 リカルド・リッコ(イタリア、チェラミカ・フラミニア) +00"
3位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) +42"
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) +44"
5位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +56"
6位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC) +1'28"
7位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトーリ) +1'37"
8位 ウラディミール・ミホロヴィッチ(クロアチア、アックア・エ・サポーネ) +1'41"
9位 エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ) +1'51"
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック) +1'59"
78位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +29'19"
新人賞
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)
チーム総合成績
アンドローニ・ジョカトーリ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, www.girodeltrentino.com
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