2019/06/01(土) - 05:21
標高1,478mの2級山岳サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ山頂フィニッシュで逃げメンバーをふるい落としたエステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)が病気による低迷からの復活を印象づけるステージ優勝。終盤にアタックした総合6位ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)を除いて、他に総合争いに大きな動きは見られなかった。
ヴェネト州トレヴィーゾをスタートするジロ・デ・イタリア第19ステージは難易度3つ星の中級山岳ステージ。3級山岳サンボルド峠(距離6.5km/平均7.1%)と4級山岳ラモンを越え、最後は標高1,478mの2級山岳サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ(距離13.6km/平均5.6%)を駆け上がってフィニッシュを迎える。
獲得標高差2,900mの151kmステージに挑んだのは143名の選手たち。スタート後すぐ、2km地点で飛び出した11名にジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)が追いつく形で12名の逃げグループが出来上がる。総合で1時間以上遅れている12名で構成された逃げグループを、モビスターがチーム力を投入して追いかけることはなかった。
逃げグループを形成した12名
マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ)
マルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)
オリヴィエ・ルガック(フランス、グルパマFDJ)
フランソワ・ビダール(フランス、アージェードゥーゼール)
ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)
アマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム)
マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)
イヴァン・サンタロミータ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)
アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)
マヌエル・センニ(イタリア、バルディアーニCSF)
特徴的なトンネルを含むスイッチバックが登場する3級山岳サンボルド(67km地点)を越えた時点で逃げグループとメイン集団のタイム差は8分。モビスターの他にメイン集団の牽引に興味を示すチームが現れなかったため、先頭12名の逃げ切りが決定的となる。すると、先頭12名の中から最初に動いたのはボアーロ。メイン集団から9分リードで4級山岳ラモン(117km地点)を越えたところでアタックしたボアーロが下り区間で20秒のリードを築くとともに、そのまま独走に持ち込んだ。
しかし他の逃げメンバーがこの絶好のステージ優勝のチャンスを易々と逃すはずもなく、平坦区間でボアーロを捉えると今度はルガックやカノラがカウンターアタック。残り15km地点から独走に持ち込んだカノラが先頭で2級山岳サンマルティーノ・ディ・カストロッツァの登坂を開始する。
フィニッシュまで10kmを切ると追走グループはビダールとセリー、チャベス、ヴェンドラーメに絞られ、残り8km地点で先頭カノラに追いつくと5名によるステージ優勝争いが始まった。チャベスがアタックを繰り返して揺さぶりをかけたが先頭グループは崩れない。ヴェンドラーメがメカトラで脱落する中、残り2.7km地点でのチャベスのおよそ5回目のアタックが決まった。
それまでアタックに反応し続けていたビダールとセリーはついに遅れ、チャベスが独走で残り1kmアーチ。そこからヴェンドラーメやアントゥネスが猛追をかけたが届かない。サンマルティーノ・ディ・カストロッツァの街のはずれに引かれたフィニッシュに先頭で飛び込んだチャベスが感情を爆発させた。
大きな動きを見せることなく平穏に2級山岳サンマルティーノ・ディ・カストロッツァの登りをこなしたメイン集団の中から最初に動いたのは、アスタナのチームメイトたちにリードアウトされたマリアビアンカ&総合6位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)。総合タイムを挽回したいロペスが勢いよく飛び出したが、マリアローザのリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)ら総合トップスリーは動かずに互いのマークに徹した。
ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)が牽引するメイン集団からは、勾配が緩んだところで総合3位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が仕掛けたもののばらけない。5分45秒遅れでフィニッシュにたどり着いたロペスから遅れること44秒で、総合トップスリーがフィニッシュした。
「信じられない。この勝利を表現する言葉が出てこない」。2016年第14ステージと2018年第6ステージに続くステージ通算3勝目を飾ったチャベスは言葉を詰まらせた。チャベスは2018年ジロ終了後、ウィルス性の疾患によって長期間レースを離脱。5月のジロ以降、全くレースに出場することができない状況が続き、今シーズンに入ってようやくレースに復帰した。3月のパリ〜ニースやボルタ・ア・カタルーニャで復調ぶりを示し、このジロにはサイモン・イェーツ(イギリス)のアシスト役として出場していた。
「難しい数年間を過ごしてきたけど、常に家族やチーム、友人たちが味方についてくれて、諦めることなく挑戦し続けた。多くの努力が実を結んだんだ。この勝利を、ここまで支えてくれたみんなに捧げたい。今日は登りでアタックを繰り返すことでライバルたちを振り切ることができた。人生も同じで、フィニッシュまでアタックし続けないといけない。ただただアンビリーバブル。みんな涙を流している。なんて美しい日なんだろう」。第17ステージでも逃げに乗りながら2位に甘んじていた29歳のコロンビアンクライマーが復活を遂げた。
ロペスがライバルから44秒を奪ったものの、総合トップ10の順位に変動はない。6日間マリアローザを着るリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)は「ミゲルアンヘル・ロペスのアタックは予想通りだったし、ミケル・ランダがアシストに徹してくれた。マリアローザという重圧は感じていないし、ヴェローナまで守りきれるという自信に溢れている」とコメントする。翌日の第20ステージは難易度の高い1級山岳クローチェ・ダウネ・モンテアヴェーナの山頂フィニッシュ登場。いよいよマリアローザ争いは佳境を迎える。
ヴェネト州トレヴィーゾをスタートするジロ・デ・イタリア第19ステージは難易度3つ星の中級山岳ステージ。3級山岳サンボルド峠(距離6.5km/平均7.1%)と4級山岳ラモンを越え、最後は標高1,478mの2級山岳サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ(距離13.6km/平均5.6%)を駆け上がってフィニッシュを迎える。
獲得標高差2,900mの151kmステージに挑んだのは143名の選手たち。スタート後すぐ、2km地点で飛び出した11名にジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)が追いつく形で12名の逃げグループが出来上がる。総合で1時間以上遅れている12名で構成された逃げグループを、モビスターがチーム力を投入して追いかけることはなかった。
逃げグループを形成した12名
マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ)
マルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)
オリヴィエ・ルガック(フランス、グルパマFDJ)
フランソワ・ビダール(フランス、アージェードゥーゼール)
ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)
アマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム)
マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)
イヴァン・サンタロミータ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)
アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)
マヌエル・センニ(イタリア、バルディアーニCSF)
特徴的なトンネルを含むスイッチバックが登場する3級山岳サンボルド(67km地点)を越えた時点で逃げグループとメイン集団のタイム差は8分。モビスターの他にメイン集団の牽引に興味を示すチームが現れなかったため、先頭12名の逃げ切りが決定的となる。すると、先頭12名の中から最初に動いたのはボアーロ。メイン集団から9分リードで4級山岳ラモン(117km地点)を越えたところでアタックしたボアーロが下り区間で20秒のリードを築くとともに、そのまま独走に持ち込んだ。
しかし他の逃げメンバーがこの絶好のステージ優勝のチャンスを易々と逃すはずもなく、平坦区間でボアーロを捉えると今度はルガックやカノラがカウンターアタック。残り15km地点から独走に持ち込んだカノラが先頭で2級山岳サンマルティーノ・ディ・カストロッツァの登坂を開始する。
フィニッシュまで10kmを切ると追走グループはビダールとセリー、チャベス、ヴェンドラーメに絞られ、残り8km地点で先頭カノラに追いつくと5名によるステージ優勝争いが始まった。チャベスがアタックを繰り返して揺さぶりをかけたが先頭グループは崩れない。ヴェンドラーメがメカトラで脱落する中、残り2.7km地点でのチャベスのおよそ5回目のアタックが決まった。
それまでアタックに反応し続けていたビダールとセリーはついに遅れ、チャベスが独走で残り1kmアーチ。そこからヴェンドラーメやアントゥネスが猛追をかけたが届かない。サンマルティーノ・ディ・カストロッツァの街のはずれに引かれたフィニッシュに先頭で飛び込んだチャベスが感情を爆発させた。
大きな動きを見せることなく平穏に2級山岳サンマルティーノ・ディ・カストロッツァの登りをこなしたメイン集団の中から最初に動いたのは、アスタナのチームメイトたちにリードアウトされたマリアビアンカ&総合6位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)。総合タイムを挽回したいロペスが勢いよく飛び出したが、マリアローザのリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)ら総合トップスリーは動かずに互いのマークに徹した。
ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)が牽引するメイン集団からは、勾配が緩んだところで総合3位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が仕掛けたもののばらけない。5分45秒遅れでフィニッシュにたどり着いたロペスから遅れること44秒で、総合トップスリーがフィニッシュした。
「信じられない。この勝利を表現する言葉が出てこない」。2016年第14ステージと2018年第6ステージに続くステージ通算3勝目を飾ったチャベスは言葉を詰まらせた。チャベスは2018年ジロ終了後、ウィルス性の疾患によって長期間レースを離脱。5月のジロ以降、全くレースに出場することができない状況が続き、今シーズンに入ってようやくレースに復帰した。3月のパリ〜ニースやボルタ・ア・カタルーニャで復調ぶりを示し、このジロにはサイモン・イェーツ(イギリス)のアシスト役として出場していた。
「難しい数年間を過ごしてきたけど、常に家族やチーム、友人たちが味方についてくれて、諦めることなく挑戦し続けた。多くの努力が実を結んだんだ。この勝利を、ここまで支えてくれたみんなに捧げたい。今日は登りでアタックを繰り返すことでライバルたちを振り切ることができた。人生も同じで、フィニッシュまでアタックし続けないといけない。ただただアンビリーバブル。みんな涙を流している。なんて美しい日なんだろう」。第17ステージでも逃げに乗りながら2位に甘んじていた29歳のコロンビアンクライマーが復活を遂げた。
ロペスがライバルから44秒を奪ったものの、総合トップ10の順位に変動はない。6日間マリアローザを着るリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)は「ミゲルアンヘル・ロペスのアタックは予想通りだったし、ミケル・ランダがアシストに徹してくれた。マリアローザという重圧は感じていないし、ヴェローナまで守りきれるという自信に溢れている」とコメントする。翌日の第20ステージは難易度の高い1級山岳クローチェ・ダウネ・モンテアヴェーナの山頂フィニッシュ登場。いよいよマリアローザ争いは佳境を迎える。
ジロ・デ・イタリア2019第19ステージ結果
1位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | 4:01:31 |
2位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 0:00:10 |
3位 | アマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム) | 0:00:12 |
4位 | ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF) | 0:00:24 |
5位 | ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:32 |
6位 | フランソワ・ビダール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:35 |
7位 | マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 0:01:02 |
8位 | マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ) | 0:01:37 |
9位 | マヌエル・センニ(イタリア、バルディアーニCSF) | 0:01:53 |
10位 | オリヴィエ・ルガック(フランス、グルパマFDJ) | 0:02:33 |
13位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:05:45 |
14位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 0:06:29 |
15位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | |
16位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
17位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | |
18位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
19位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | |
23位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:06:33 |
25位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス) | 0:06:35 |
38位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:07:36 |
131位 | 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 0:23:48 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 83:52:22 |
2位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:01:54 |
3位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 0:02:16 |
4位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 0:03:03 |
5位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:05:07 |
6位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:05:33 |
7位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:06:48 |
8位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:07:17 |
9位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス) | 0:08:26 |
10位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:10:06 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 226pts |
2位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 213pts |
3位 | ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 104pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 229pts |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 66pts |
3位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 57pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 83:57:55 |
2位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス) | 0:02:54 |
3位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) | 0:09:18 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 252:05:13 |
2位 | アスタナ | 0:22:28 |
3位 | バーレーン・メリダ | 0:24:11 |
text&photo:Kei Tsuji in San Martino di Castrozza, Italy
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