2019/05/15(水) - 03:02
残り6kmで発生した大落車によってトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)が膝を負傷するとともに4分ものタイムを失ったジロ・デ・イタリア第4ステージ。登りスプリントでユアンを振り切ったリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)が自身2度目のステージ優勝を飾った。
235kmのロングコースが設定されたジロ・デ・イタリア第4ステージ。トスカーナ州からラツィオ州に入り、首都ローマの喧騒を避けるように郊外の細かいアップダウンを繰り返しながら標高319mのフラスカーティに向かう。獲得標高差は3,300mあり、しかも残り2km地点からフィニッシュラインまで勾配4.4%の緩斜面。パンチャーや軽量なスプリンター向きのレイアウトが用意された。
前日のフィニッシュ地点オルベテッロがこの日のスタート地点。チーム独自の検査体制によって「異常な生理的結果(ドーピングとは明記していない)」が判明し、チームの判断でジロを離脱したフアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)を除く174名がスタートを切る。
スタートからのアタック合戦を経て逃げに選手を送り込むことに成功したのはイタリアのUCIプロコンチネンタル3チーム。ステージ序盤に4級山岳が設定されているが、マリアアッズーラのジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)はこのイタリアン三人衆の動きに反応しなかった。
逃げグループを形成した3名
マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)
ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)
決してピュアスプリンター向きのフィニッシュではないが、ロット・スーダルやグルパマFDJ、ボーラ・ハンスグローエが前半から集団先頭に立って状況をコントロールする。長いステージだけに最大で12分近くまで広がったタイム差が5分〜7分の間に抑え込まれた状態でステージ後半へ。メイン集団は複雑に入り組んだローマ近郊の街中を駆け抜け、教科書通り1分/10kmペースでタイム差を削り取っていった。
チーマの脱落によって残されたフラッポルティとマエストリが逃げを継続したものの、結局は残り10km地点で吸収される。登りスプリントに向けてスピードが上がるメイン集団。すると、残り7kmを切ったところで、集団先頭から13〜15番手を走るサルヴァトーレ・プッチョ(イタリア、チームイネオス)が前を走るルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)の後輪と接触して落車。道を完全に塞ぐこの落車によって集団は大きく2つに分断する。
ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)を除く総合上位陣はこの落車を逃れたものの、その先のラウンドアバウトで再び落車が発生。この落車にトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が巻き込まれた。Sイェーツがすぐにレースに復帰した一方で、左膝から流血したデュムランは完全に脱落してしまう。
この相次ぐ落車を切り抜けたのは約15名。アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)といったピュアスプリンターの他に、マリアローザのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)もここに残った。
フラスカーティに向かう登りでヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が精鋭グループのペースを上げると、ヴィヴィアーニやデマールが脱落する。最終的に6名(ログリッチェ、ウリッシ、アッカーマン、ユアン、セネシャル、カラパス)に絞られた状態で登りスプリントに向かう中、フィニッシュラインまで約400mを残してリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)がアタックを仕掛けて飛び出した。
ロングスプリントというよりも登りスプリントと呼ぶべき加速でライバルたちを置き去りにしたリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)が、遅れて加速したユアンやウリッシに追われながらも先頭をキープ。ユアンの追い上げを振り切って、カラパスが両手を広げて感情を爆発させた。
2018年ジロ第8ステージで勝利し、総合4位で大会を終えたカラパスが自身2度目のステージ優勝。カパラスは残り1kmからフィニッシュラインまで1分47秒間にわたって平均525W(体重62kg)を出力し、平均スピード31.1km/hで駆け抜けた。
「ミケル・ランダを守る役目を担っていたので、今日ステージ優勝できるとは思っていなかった。でも終盤の落車で作戦変更を強いられたんだ。スプリンター相手にスピード勝負すれば勝ち目がないので、かなり早めに仕掛けることにした。完璧なタイミングでのアタックが決まったよ」と、エクアドル生まれの25歳は語る。落車の影響で遅れたランダが総合22位に沈む一方で、カラパスは総合38位から総合16位までジャンプアップしている。
危なげない走りでフィニッシュしたログリッチェから遅れること16秒で、Sイェーツやミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)の他、マリアローザ候補たちがフィニッシュ。ログリッチェが総合リードを拡大することに成功している。
その一方で、落車に巻き込まれたデュムランはチームメイトにサポートされながらも4分04秒ものタイムロスを被り、マリアローザ争いから退く結果に。レース会場でのX線検査では骨折は認められなかったが、デュムランは精密検査を受けるために病院へと向かった。
235kmのロングコースが設定されたジロ・デ・イタリア第4ステージ。トスカーナ州からラツィオ州に入り、首都ローマの喧騒を避けるように郊外の細かいアップダウンを繰り返しながら標高319mのフラスカーティに向かう。獲得標高差は3,300mあり、しかも残り2km地点からフィニッシュラインまで勾配4.4%の緩斜面。パンチャーや軽量なスプリンター向きのレイアウトが用意された。
前日のフィニッシュ地点オルベテッロがこの日のスタート地点。チーム独自の検査体制によって「異常な生理的結果(ドーピングとは明記していない)」が判明し、チームの判断でジロを離脱したフアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)を除く174名がスタートを切る。
スタートからのアタック合戦を経て逃げに選手を送り込むことに成功したのはイタリアのUCIプロコンチネンタル3チーム。ステージ序盤に4級山岳が設定されているが、マリアアッズーラのジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)はこのイタリアン三人衆の動きに反応しなかった。
逃げグループを形成した3名
マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)
ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)
決してピュアスプリンター向きのフィニッシュではないが、ロット・スーダルやグルパマFDJ、ボーラ・ハンスグローエが前半から集団先頭に立って状況をコントロールする。長いステージだけに最大で12分近くまで広がったタイム差が5分〜7分の間に抑え込まれた状態でステージ後半へ。メイン集団は複雑に入り組んだローマ近郊の街中を駆け抜け、教科書通り1分/10kmペースでタイム差を削り取っていった。
チーマの脱落によって残されたフラッポルティとマエストリが逃げを継続したものの、結局は残り10km地点で吸収される。登りスプリントに向けてスピードが上がるメイン集団。すると、残り7kmを切ったところで、集団先頭から13〜15番手を走るサルヴァトーレ・プッチョ(イタリア、チームイネオス)が前を走るルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)の後輪と接触して落車。道を完全に塞ぐこの落車によって集団は大きく2つに分断する。
ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)を除く総合上位陣はこの落車を逃れたものの、その先のラウンドアバウトで再び落車が発生。この落車にトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が巻き込まれた。Sイェーツがすぐにレースに復帰した一方で、左膝から流血したデュムランは完全に脱落してしまう。
この相次ぐ落車を切り抜けたのは約15名。アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)といったピュアスプリンターの他に、マリアローザのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)もここに残った。
フラスカーティに向かう登りでヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が精鋭グループのペースを上げると、ヴィヴィアーニやデマールが脱落する。最終的に6名(ログリッチェ、ウリッシ、アッカーマン、ユアン、セネシャル、カラパス)に絞られた状態で登りスプリントに向かう中、フィニッシュラインまで約400mを残してリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)がアタックを仕掛けて飛び出した。
ロングスプリントというよりも登りスプリントと呼ぶべき加速でライバルたちを置き去りにしたリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)が、遅れて加速したユアンやウリッシに追われながらも先頭をキープ。ユアンの追い上げを振り切って、カラパスが両手を広げて感情を爆発させた。
2018年ジロ第8ステージで勝利し、総合4位で大会を終えたカラパスが自身2度目のステージ優勝。カパラスは残り1kmからフィニッシュラインまで1分47秒間にわたって平均525W(体重62kg)を出力し、平均スピード31.1km/hで駆け抜けた。
「ミケル・ランダを守る役目を担っていたので、今日ステージ優勝できるとは思っていなかった。でも終盤の落車で作戦変更を強いられたんだ。スプリンター相手にスピード勝負すれば勝ち目がないので、かなり早めに仕掛けることにした。完璧なタイミングでのアタックが決まったよ」と、エクアドル生まれの25歳は語る。落車の影響で遅れたランダが総合22位に沈む一方で、カラパスは総合38位から総合16位までジャンプアップしている。
危なげない走りでフィニッシュしたログリッチェから遅れること16秒で、Sイェーツやミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)の他、マリアローザ候補たちがフィニッシュ。ログリッチェが総合リードを拡大することに成功している。
その一方で、落車に巻き込まれたデュムランはチームメイトにサポートされながらも4分04秒ものタイムロスを被り、マリアローザ争いから退く結果に。レース会場でのX線検査では骨折は認められなかったが、デュムランは精密検査を受けるために病院へと向かった。
ジロ・デ・イタリア2019第4ステージ結果
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 5:58:17 |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | |
3位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:02 |
5位 | フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
6位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | |
7位 | ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:14 |
8位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:18 |
9位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | |
10位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
11位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
12位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | |
15位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
16位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
18位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | |
19位 | タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームイネオス) | |
32位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 0:00:44 |
98位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:04:04 |
171位 | 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 0:18:01 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 16:19:20 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:35 |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:39 |
4位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:44 |
5位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:49 |
7位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:00:55 |
8位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:56 |
9位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:02 |
10位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:06 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 68pts |
2位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 61pts |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 58pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 24pts |
2位 | フランソワ・ビダール(フランス、アージェードゥーゼール) | 6pts |
3位 | マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 4pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 16:20:04 |
2位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) | 0:00:32 |
3位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス) | 0:00:40 |
チーム総合成績
1位 | ボーラ・ハンスグローエ | 49:00:54 |
2位 | ミッチェルトン・スコット | 0:00:29 |
3位 | UAEチームエミレーツ | 0:00:36 |
text&photo:Kei Tsuji in Frascati, Italy
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