2019/05/02(木) - 09:20
ボーラ・ハンスグローエやカチューシャ・アルペシンが使用するワフーのサイクルコンピューター「ELEMNT」シリーズに新モデル「ELEMNT ROAM」が登場する。従来型よりも大きなボディ、画面サイズ、大容量バッテリーというハード面の進化と、ナビゲーション周辺のソフトウェアが強化されていることが特徴だ。
サイクルコンピューターからホームトレーナー、その周辺スマートデバイスなどが連携するエコシステムを構築しているワフー。ローラー台のKICKRと並びワフーの主軸となっているのが、サイクルコンピューターのELEMNT(エレメント)シリーズだ。そこに従来型よりもハイグレードなモデル「ELEMNT ROAM」が加わることになった。
画面に表示されたQRコードを読み取るだけでペアリング可能、日本の地図をスマホだけでダウンロード/インストールできる点、ELEMNTのLED通知システムなどサイクルコンピューターシリーズに共通する機能はもちろん維持されている。そこにハードウェアとソフトウェアの両面からアップデートが図られているモデル。
ハードウェア面での進化
最もわかりやすいROAMの特徴は従来型にはない大きなボディ、2.7インチへと拡大したディスプレイだ。ナビゲーションシステムや地図、走行データの可読性を向上させるためには大きな画面は必須であり、ROAMでは画面を大きくしたことでサイコンに表示されている情報を読み取りやすくなっている。
ワフージャパンのポール氏の説明によると、大型化はMTB、グラベルなどオフロード走行時を想定したものだという。確かに常に画面が揺れているオフロードでは細かい文字を読み取るよりも一瞬で情報を得られることに越したことはない。マウントとサイコンボディを固定するボルトも付属するため、落下が気になる方はボルトオンしてもよいだろう。ちなみにボルトで固定するとサイコンの重量も車重として計測できるとUCIルールで規定されているという。
加えて情報の読み取りやすさを向上させるポイントとして、新搭載の明るさセンサーをピックアップする。センサーによって自動バックライト点灯機能などが追加されている。さらにボディに搭載されているLEDの明るさも周辺光によって変化する。トンネル通過時や日暮れ後などで手作業でバックライトのオンオフを行わなくても良いため作業を忘れる心配が少ない。設定した時間でバックライトが消灯する機能も備えられており、好みの使い方に合わせることができる。
またROAMは部分的ではあるがELEMNTシリーズ初となるカラー液晶へと進化。表示されているマップである程度の広さのある道路が黄色く表示されるようになっている。これによってある程度、これから進む道を想像することができるため、住宅街を抜けるような細い路地ではない道に迷い込む心配が少なくなるだろう。他に色が加えられている部分は電話の着信など主に注意を惹きたい項目だ。
ELEMNTでも搭載されているLEDは引き続き採用される。ナビ使用中に右・左折を知らせてくれるお馴染みの機能はもちろん、縦に配置されたLEDには「速度」「パワー」「心拍数」のデータが反映されるようになった。具体的に説明するとパワーと心拍数は、走行中のデータがどこのゾーンであるかを異なる色でわかりやすく示す。
例えばパワーがLT(乳酸閾値)域であれば緑、VO2MAX(有酸素運動容量)域であれば黄色といったような表示方法だ。速度はライドの平均速度より走行速度が高ければ青、そうでなければ黄色で表示する。これにより数値を見なくともペースコントロールを行うことが可能となる。
そして液晶に使われるガラスがGorilla Glassというものに変更されていることもハードウェアの進化だ。このガラスはスマートフォンに使われる特殊素材であり、スマホの進化とともに強度と剛性を向上してきたコーミング社のガラス。マウントのホールド力が強化されているとは言え、落車など想定外のことが発生したときにはサイコンの脱落もありうる。Gorilla Glassの採用は、万が一が起きた時でも壊れづらいという安心感につながるだろう。
ハード面ではバッテリーの大容量化も欠かせないトピックだ。大画面、カラー液晶、LED、明るさセンサーと電源を使用するハードが増えているものの、最大ランタイムは17時間へと伸びた。1日のロードレース、サイクリング、オフロードライドであれば十分足りるバッテリー容量だ。
ソフトウェア面での進化
ELEMNT ROAMのソフトウェア面での進化はナビゲーションシステムが主な部分となる。新システムでの注目ポイントは以下の通り。英語名はWahoo本国の表記方法、日本語はELEMNT ROAM上で表記されている言葉だ。
BACK ON TRACK
ROUTE TO START(スタートするルート)
GET ME STARTED
RETRACE YOUR ROUTE
TAKE ME TO...(目的地までの道のり)
SAVED LOCATIONS
BACK ON TRACKはいわゆるリルーティング機能。走行中にサイコンが誘導している道から逸れてしまった場合に、サイコンが自動的に本来のルートまで戻れるようなルートを案内してくれる機能だ。単純にルートの再計算をするだけではなく、ミスコースをLEDとアラーム音で知らせてくれるため、異変にすぐに気がつくことができる。
ナビを使用していても案内されている曲がり角を通り過ぎてしまうという事は自転車に限らずクルマでも発生しがち。重要なのはミスからのリカバリー方法であり、今回のELEMNT ROAMからその対処手段が新搭載されることになったのは嬉しいニュースだろう。
そしてライドの開始位置(サイコンで記録し始めた場所)まで戻るためのナビシステムが「RETRACE」と「ROUTE TO START」の2種類へと増えた。いずれも言葉通りの機能であり、RETRACEは今まで通過してきた軌跡をそのまま後戻りすること。ROUTE TO STARTは"スタートへの道"という意味であり、スタートへの最短ルートを計算して新しい道順を教えてくれる機能だ。
例えば、周回コースで2/3消化した後、スタートに戻りたくなった場合、RETRACEを使用すると今まで通ってきた2/3の道を逆走することに。ROUTE TO STARTはその地点から新しいルートを作り出してくれるということだ。状況に合わせてこの2つの機能を使い分けることで、ライドの幅は広がるだろう。
GET ME STARTEDはStravaなどと同期したルートデータの始点までナビゲーションしてくれる機能。例えば、友人から渡されたコースマップのスタート地点(集合場所)が自宅の場所から離れていた場合、そのスタート地点までサイコンがルートを作成しナビゲーションしてくれるということだ。これによりライド前に自宅で集合場所までのルートをわざわざ作る必要や、集合地点までのライドとコースに入ってからのライドデータを分ける必要もなくなる。
GET ME STARTとの相性も良い。自宅から予め用意したルートまではROUTE TO START、そのルートが完了した地点から自宅まではGET ME STARTEDを使用しナビゲーションルートを作ることができる。そのように使用すれば、モデルコースのgpxデータを自分用にアレンジしなくても良くなるはずだ。
更に目的地を自分で選びナビゲーションルートを作成できる「TAKE ME TO...」も搭載されている。これは予めスマホやサイコン本体の「SAVED LOCATIONS(私の位置を保存)」で保存した任意の場所、もしくは新たに指定した場所への道順を作成してくれる機能だ。
スマホから適当な場所へのルーティングはこれまでも用意されていたが、今回はサイコン本体からも行えるようになったことと、場所の保存が行えるようになったこと。予め訪れたい場所を保存しておくことで、ライド途中にスマホを取り出さずとも新たなナビルートを作成することが可能となる。
これら新機能の共通するポイントは、サイコンがルートを作成してくれること。出先でも気軽にルート作成とナビを使用できると、モデル名ROAM(=歩き回る、ぶらつく)が示すようにというように自転車で様々な場所を巡りやすくなるはずだ。ソフトウェアは常にアップデートされていくため、今後の展開にも期待がかかる。
ワフー ELEMNT ROAM
寸法:58.4 x 89 x 17.8 mm
重量:93.5g
画面サイズ:2.7インチ
電池寿命:17時間
価格:46,000円(税抜)
サイクルコンピューターからホームトレーナー、その周辺スマートデバイスなどが連携するエコシステムを構築しているワフー。ローラー台のKICKRと並びワフーの主軸となっているのが、サイクルコンピューターのELEMNT(エレメント)シリーズだ。そこに従来型よりもハイグレードなモデル「ELEMNT ROAM」が加わることになった。
画面に表示されたQRコードを読み取るだけでペアリング可能、日本の地図をスマホだけでダウンロード/インストールできる点、ELEMNTのLED通知システムなどサイクルコンピューターシリーズに共通する機能はもちろん維持されている。そこにハードウェアとソフトウェアの両面からアップデートが図られているモデル。
ハードウェア面での進化
最もわかりやすいROAMの特徴は従来型にはない大きなボディ、2.7インチへと拡大したディスプレイだ。ナビゲーションシステムや地図、走行データの可読性を向上させるためには大きな画面は必須であり、ROAMでは画面を大きくしたことでサイコンに表示されている情報を読み取りやすくなっている。
ワフージャパンのポール氏の説明によると、大型化はMTB、グラベルなどオフロード走行時を想定したものだという。確かに常に画面が揺れているオフロードでは細かい文字を読み取るよりも一瞬で情報を得られることに越したことはない。マウントとサイコンボディを固定するボルトも付属するため、落下が気になる方はボルトオンしてもよいだろう。ちなみにボルトで固定するとサイコンの重量も車重として計測できるとUCIルールで規定されているという。
加えて情報の読み取りやすさを向上させるポイントとして、新搭載の明るさセンサーをピックアップする。センサーによって自動バックライト点灯機能などが追加されている。さらにボディに搭載されているLEDの明るさも周辺光によって変化する。トンネル通過時や日暮れ後などで手作業でバックライトのオンオフを行わなくても良いため作業を忘れる心配が少ない。設定した時間でバックライトが消灯する機能も備えられており、好みの使い方に合わせることができる。
またROAMは部分的ではあるがELEMNTシリーズ初となるカラー液晶へと進化。表示されているマップである程度の広さのある道路が黄色く表示されるようになっている。これによってある程度、これから進む道を想像することができるため、住宅街を抜けるような細い路地ではない道に迷い込む心配が少なくなるだろう。他に色が加えられている部分は電話の着信など主に注意を惹きたい項目だ。
ELEMNTでも搭載されているLEDは引き続き採用される。ナビ使用中に右・左折を知らせてくれるお馴染みの機能はもちろん、縦に配置されたLEDには「速度」「パワー」「心拍数」のデータが反映されるようになった。具体的に説明するとパワーと心拍数は、走行中のデータがどこのゾーンであるかを異なる色でわかりやすく示す。
例えばパワーがLT(乳酸閾値)域であれば緑、VO2MAX(有酸素運動容量)域であれば黄色といったような表示方法だ。速度はライドの平均速度より走行速度が高ければ青、そうでなければ黄色で表示する。これにより数値を見なくともペースコントロールを行うことが可能となる。
そして液晶に使われるガラスがGorilla Glassというものに変更されていることもハードウェアの進化だ。このガラスはスマートフォンに使われる特殊素材であり、スマホの進化とともに強度と剛性を向上してきたコーミング社のガラス。マウントのホールド力が強化されているとは言え、落車など想定外のことが発生したときにはサイコンの脱落もありうる。Gorilla Glassの採用は、万が一が起きた時でも壊れづらいという安心感につながるだろう。
ハード面ではバッテリーの大容量化も欠かせないトピックだ。大画面、カラー液晶、LED、明るさセンサーと電源を使用するハードが増えているものの、最大ランタイムは17時間へと伸びた。1日のロードレース、サイクリング、オフロードライドであれば十分足りるバッテリー容量だ。
ソフトウェア面での進化
ELEMNT ROAMのソフトウェア面での進化はナビゲーションシステムが主な部分となる。新システムでの注目ポイントは以下の通り。英語名はWahoo本国の表記方法、日本語はELEMNT ROAM上で表記されている言葉だ。
BACK ON TRACK
ROUTE TO START(スタートするルート)
GET ME STARTED
RETRACE YOUR ROUTE
TAKE ME TO...(目的地までの道のり)
SAVED LOCATIONS
BACK ON TRACKはいわゆるリルーティング機能。走行中にサイコンが誘導している道から逸れてしまった場合に、サイコンが自動的に本来のルートまで戻れるようなルートを案内してくれる機能だ。単純にルートの再計算をするだけではなく、ミスコースをLEDとアラーム音で知らせてくれるため、異変にすぐに気がつくことができる。
ナビを使用していても案内されている曲がり角を通り過ぎてしまうという事は自転車に限らずクルマでも発生しがち。重要なのはミスからのリカバリー方法であり、今回のELEMNT ROAMからその対処手段が新搭載されることになったのは嬉しいニュースだろう。
そしてライドの開始位置(サイコンで記録し始めた場所)まで戻るためのナビシステムが「RETRACE」と「ROUTE TO START」の2種類へと増えた。いずれも言葉通りの機能であり、RETRACEは今まで通過してきた軌跡をそのまま後戻りすること。ROUTE TO STARTは"スタートへの道"という意味であり、スタートへの最短ルートを計算して新しい道順を教えてくれる機能だ。
例えば、周回コースで2/3消化した後、スタートに戻りたくなった場合、RETRACEを使用すると今まで通ってきた2/3の道を逆走することに。ROUTE TO STARTはその地点から新しいルートを作り出してくれるということだ。状況に合わせてこの2つの機能を使い分けることで、ライドの幅は広がるだろう。
GET ME STARTEDはStravaなどと同期したルートデータの始点までナビゲーションしてくれる機能。例えば、友人から渡されたコースマップのスタート地点(集合場所)が自宅の場所から離れていた場合、そのスタート地点までサイコンがルートを作成しナビゲーションしてくれるということだ。これによりライド前に自宅で集合場所までのルートをわざわざ作る必要や、集合地点までのライドとコースに入ってからのライドデータを分ける必要もなくなる。
GET ME STARTとの相性も良い。自宅から予め用意したルートまではROUTE TO START、そのルートが完了した地点から自宅まではGET ME STARTEDを使用しナビゲーションルートを作ることができる。そのように使用すれば、モデルコースのgpxデータを自分用にアレンジしなくても良くなるはずだ。
更に目的地を自分で選びナビゲーションルートを作成できる「TAKE ME TO...」も搭載されている。これは予めスマホやサイコン本体の「SAVED LOCATIONS(私の位置を保存)」で保存した任意の場所、もしくは新たに指定した場所への道順を作成してくれる機能だ。
スマホから適当な場所へのルーティングはこれまでも用意されていたが、今回はサイコン本体からも行えるようになったことと、場所の保存が行えるようになったこと。予め訪れたい場所を保存しておくことで、ライド途中にスマホを取り出さずとも新たなナビルートを作成することが可能となる。
これら新機能の共通するポイントは、サイコンがルートを作成してくれること。出先でも気軽にルート作成とナビを使用できると、モデル名ROAM(=歩き回る、ぶらつく)が示すようにというように自転車で様々な場所を巡りやすくなるはずだ。ソフトウェアは常にアップデートされていくため、今後の展開にも期待がかかる。
ワフー ELEMNT ROAM
寸法:58.4 x 89 x 17.8 mm
重量:93.5g
画面サイズ:2.7インチ
電池寿命:17時間
価格:46,000円(税抜)
リンク
Amazon.co.jp