2019/04/01(月) - 07:53
ボルタ・ア・カタルーニャ最終日にダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)が逃げ切り勝利。メイン集団では総合2位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)を中心に激しい総合争いが展開されたものの、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)がリードを守り抜いた。
1週間続いた第99回ボルタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)も最終日。コースはスペインの首都バルセロナを発着する143.1kmで、後半は3級山岳(距離2.2km/平均勾配5.3%)が含まれる1周10kmの周回コース(x8周回)がキモ。
昨年大会で総合リーダーのエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)が落車リタイアしたテクニカルなコースだけに、雨の場合総合成績は最終周回突入時の順位で争われる決定がなされたが、幸い現地は晴天に恵まれた。
コース序盤の3級山岳で逃げを決めたのは11名。「山岳ジャージを守るためだけではなくステージ優勝を狙った」と言う第1ステージ勝者トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)や、ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ダニーロ・ウィス(スイス、ディメンションデータ)、カルロス・べローナ(スペイン、モビスター)、ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)など強力な逃げ屋がエスケープした。
山岳リーダーのデヘントは目論見通りポイントを獲得し、共に逃げた同ランキング3位ベローナの逆転を阻止。レース中盤からの周回コースに突入した直後、フィニッシュまで距離を残して「行くなら今しか無いと感じてアタックした」と言うフォルモロがするすると抜け出した。
「厳しいレースが続いたので疲れが溜まっていた」と言うデヘントらは、フォルモロの先行を許し、ペースダウンののちメイン集団に吸収。前日にも最終局面でアタックしたフォルモロは残り40km地点で1分40秒という少ないリードを維持しながら逃げ続けた。
すると後方のメイン集団では下り区間で大きな落車が発生し、総合8位のロマン・バルデやトニー・ガロパン(共にフランス、アージェードゥーゼール)やワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)、総合10位マルク・ソレル(スペイン、モビスター)ら有力勢を含む20名が路上に投げ出された。週明けに精密検査を受ける予定のバルデは肋骨骨折が疑われるほか、肘骨折から復帰したばかりのサイモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)は右鎖骨を骨折。グランツールでの活躍が期待される選手たちがレースを去る事態となってしまう。
続いてメイン集団からはダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)がアタックし、続いて14秒差で総合2位につけるアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がペースアップ。総合4位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)、イヴァン・ソーサ(コロンビア、チームスカイ)、アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)という強力な4名が加わり、更に逃げていたべローナがキンタナをフォローすべく合流。やがてミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)の総合首位を守るアスタナによって吸収されたものの、この動きが更なるアタックの呼び水となった。
ミッチェルトンの波状攻撃は続き、次なる登坂区間に入るとまずはサイモン・イェーツが先行し、次いでアダムが合流。全く同じリズムでペダリングする双子の兄弟は一気に差を開き、アダムがロペスに代わってバーチャルリーダーに浮上する。逃げから遅れたノックスも合流し、イギリス人トリオが40秒リードで最終周回に突入した。
メイン集団で猛烈な総合争いが繰り広げられているにも関わらず、先頭フォルモロのリードは揺るがなかった。「残り8kmあたりで勝利を確信した」と言うフォロモロは最終登坂でも力強いペダリングを維持し、50秒差を維持しつつフィニッシュ。ボーラにとっては第5ステージのマキシミリアン・シャフマン(ドイツ)に続く2度目の逃げ切り勝利となった。
バーチャルリーダーのアダムに待ったをかけるべく、メイン集団からは最終周回突入前にロペス自らペースアップし、総合上位陣ばかりが含まれる精鋭グループが生まれる。ベルナルや世界王者アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)のアタックも発生したことで単独となっていたAイェーツとの距離は最終盤に入ってぐんぐん縮まり、残り3kmでついに吸収。カウンターアタックを仕掛けたエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)がわずかに抜け出した状態でフィニッシュになだれ込んだため、ロペスが熾烈な攻防戦の末にリーダージャージを守り抜いた。
「シーズン序盤の大きな目標に定めていたレースで勝てたので本当に嬉しい。ライバルたちが仕掛けてくるのは明らかだったけれどチームとして迎え撃つ準備ができていたんだ。 アダムの攻撃にも冷静に対処できたし、仲間の働きに感謝したいよ。ものすごくタフなレースだったけれど、勝利に対しても自分のコンディションに対しても満足している」と語るのは"スーパーマン"ロペス。2月中盤のコロンビア2.1に続く今シーズン2度目の総合優勝であり、当然ヤングライダー賞でも優勝を決めている。
一方、「チャンスを逃すわけにはいかなかった。カタルーニャの最終日はシャンゼリゼとは違いどんな展開も起こりうるタフステージ。周回コースに入った直後からチームとして攻めまくった」と振り返るのは、ティレーノ〜アドリアティコに続いて総合2位に甘んじたAイェーツ。「残り3周のタイミングでアタックしたサイモンに付いていった。作戦にはなかった動きにも関わらず数周リードを維持できたけれど、このコースは簡単に事が進むほどイージーではない。可能な限り攻め続けたことに対しては満足しているし、次のレースに向けても良い感触を掴めた」と言葉を残した。
総合優勝したロペスはツアー・オブ・アルプスやツール・ド・ロマンディを経てジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャへ。Aイェーツはイツリア・バスクカントリー、アルデンヌクラシックを連戦し、7月のツール・ド・フランスに出場する予定だ。
1週間続いた第99回ボルタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)も最終日。コースはスペインの首都バルセロナを発着する143.1kmで、後半は3級山岳(距離2.2km/平均勾配5.3%)が含まれる1周10kmの周回コース(x8周回)がキモ。
昨年大会で総合リーダーのエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)が落車リタイアしたテクニカルなコースだけに、雨の場合総合成績は最終周回突入時の順位で争われる決定がなされたが、幸い現地は晴天に恵まれた。
コース序盤の3級山岳で逃げを決めたのは11名。「山岳ジャージを守るためだけではなくステージ優勝を狙った」と言う第1ステージ勝者トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)や、ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ダニーロ・ウィス(スイス、ディメンションデータ)、カルロス・べローナ(スペイン、モビスター)、ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)など強力な逃げ屋がエスケープした。
山岳リーダーのデヘントは目論見通りポイントを獲得し、共に逃げた同ランキング3位ベローナの逆転を阻止。レース中盤からの周回コースに突入した直後、フィニッシュまで距離を残して「行くなら今しか無いと感じてアタックした」と言うフォルモロがするすると抜け出した。
「厳しいレースが続いたので疲れが溜まっていた」と言うデヘントらは、フォルモロの先行を許し、ペースダウンののちメイン集団に吸収。前日にも最終局面でアタックしたフォルモロは残り40km地点で1分40秒という少ないリードを維持しながら逃げ続けた。
すると後方のメイン集団では下り区間で大きな落車が発生し、総合8位のロマン・バルデやトニー・ガロパン(共にフランス、アージェードゥーゼール)やワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)、総合10位マルク・ソレル(スペイン、モビスター)ら有力勢を含む20名が路上に投げ出された。週明けに精密検査を受ける予定のバルデは肋骨骨折が疑われるほか、肘骨折から復帰したばかりのサイモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)は右鎖骨を骨折。グランツールでの活躍が期待される選手たちがレースを去る事態となってしまう。
続いてメイン集団からはダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)がアタックし、続いて14秒差で総合2位につけるアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がペースアップ。総合4位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)、イヴァン・ソーサ(コロンビア、チームスカイ)、アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)という強力な4名が加わり、更に逃げていたべローナがキンタナをフォローすべく合流。やがてミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)の総合首位を守るアスタナによって吸収されたものの、この動きが更なるアタックの呼び水となった。
ミッチェルトンの波状攻撃は続き、次なる登坂区間に入るとまずはサイモン・イェーツが先行し、次いでアダムが合流。全く同じリズムでペダリングする双子の兄弟は一気に差を開き、アダムがロペスに代わってバーチャルリーダーに浮上する。逃げから遅れたノックスも合流し、イギリス人トリオが40秒リードで最終周回に突入した。
メイン集団で猛烈な総合争いが繰り広げられているにも関わらず、先頭フォルモロのリードは揺るがなかった。「残り8kmあたりで勝利を確信した」と言うフォロモロは最終登坂でも力強いペダリングを維持し、50秒差を維持しつつフィニッシュ。ボーラにとっては第5ステージのマキシミリアン・シャフマン(ドイツ)に続く2度目の逃げ切り勝利となった。
バーチャルリーダーのアダムに待ったをかけるべく、メイン集団からは最終周回突入前にロペス自らペースアップし、総合上位陣ばかりが含まれる精鋭グループが生まれる。ベルナルや世界王者アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)のアタックも発生したことで単独となっていたAイェーツとの距離は最終盤に入ってぐんぐん縮まり、残り3kmでついに吸収。カウンターアタックを仕掛けたエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)がわずかに抜け出した状態でフィニッシュになだれ込んだため、ロペスが熾烈な攻防戦の末にリーダージャージを守り抜いた。
「シーズン序盤の大きな目標に定めていたレースで勝てたので本当に嬉しい。ライバルたちが仕掛けてくるのは明らかだったけれどチームとして迎え撃つ準備ができていたんだ。 アダムの攻撃にも冷静に対処できたし、仲間の働きに感謝したいよ。ものすごくタフなレースだったけれど、勝利に対しても自分のコンディションに対しても満足している」と語るのは"スーパーマン"ロペス。2月中盤のコロンビア2.1に続く今シーズン2度目の総合優勝であり、当然ヤングライダー賞でも優勝を決めている。
一方、「チャンスを逃すわけにはいかなかった。カタルーニャの最終日はシャンゼリゼとは違いどんな展開も起こりうるタフステージ。周回コースに入った直後からチームとして攻めまくった」と振り返るのは、ティレーノ〜アドリアティコに続いて総合2位に甘んじたAイェーツ。「残り3周のタイミングでアタックしたサイモンに付いていった。作戦にはなかった動きにも関わらず数周リードを維持できたけれど、このコースは簡単に事が進むほどイージーではない。可能な限り攻め続けたことに対しては満足しているし、次のレースに向けても良い感触を掴めた」と言葉を残した。
総合優勝したロペスはツアー・オブ・アルプスやツール・ド・ロマンディを経てジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャへ。Aイェーツはイツリア・バスクカントリー、アルデンヌクラシックを連戦し、7月のツール・ド・フランスに出場する予定だ。
ボルタ・ア・カタルーニャ2019第7ステージ結果
1位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 3:19:41 |
2位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:51 |
3位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:53 |
4位 | ディオン・スミス(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット) | 0:55 |
5位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | |
7位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
8位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | |
9位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
10位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) |
個人総合成績
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 29:14:17 |
2位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:14 |
3位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 0:00:17 |
4位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:00:25 |
5位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:56 |
6位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) | 0:01:42 |
7位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:02:27 |
8位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) | 0:02:41 |
9位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:49 |
10位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:03:02 |
山岳賞
1位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 60pts |
2位 | カルロス・ベローナ(スペイン、モビスター) | 41pts |
3位 | グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 40pts |
ポイント賞
1位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア) | 29pts |
2位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 24pts |
3位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 16pts |
ヤングライダー賞
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 29:14:17 |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 0:00:17 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:49 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 87:49:11 |
2位 | ボーラ・ハンスグローエ | 0:05:13 |
3位 | アスタナ | 0:10:12 |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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