2019/01/20(日) - 17:11
『キング・オブ・ウィランガ』ことリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)が6年連続でウィランガヒル山頂フィニッシュ制覇を達成。ステージ3位のダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)がサントス・ツアー・ダウンアンダー史上初の連覇を達成した。
2019年のサントス・ツアー・ダウンアンダーを締めくくるのは名物KOMウィランガヒル(全長3.0km/平均7.5%)の山頂フィニッシュ。長年土曜日に行われてきたクイーンステージが2019年は最終日の日曜日に登場した。後半に2回登るKOMウィランガヒルがオークルジャージの持ち主を決める。
レース舞台となったのはアデレードから車で1時間南に下ったワインの一大産地マクラーレンヴェール周辺。東風が吹き抜ける平野部で、スタートとともに『逃げ屋』トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)を含む7名が逃げグループを形成する。トレック・セガフレードやチームスカイ、ミッチェルトン・スコットがコントロールするメイン集団から先頭7名は最大3分30秒のリードを築いた。
スタートの時点で、ポイント賞上位3名がスペシャルジャージ(1位ベヴィン=総合リーダー、2位サガン=スロバキアチャンピオン、3位ヴィヴィアーニ=イタリアチャンピオン)を着ていたため、同賞4位ながらブルージャージを着ていたダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)が逃げに乗る。次々々々点で着ていたジャージを自分のものにすべく逃げたファンポッペルは2つのスプリントポイントを先頭通過したものの、パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)からジャージを奪うには2ポイント足りなかった。
逃げグループを形成した7名
ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
ゲディミナス・バグドナス(リトアニア、アージェードゥーゼール)
アレックス・ドーセット(イギリス、カチューシャ・アルペシン)
ダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)
ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、モビスター)
ニコラス・ホワイト(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
風によって分裂するシーンが見られながらも、メイン集団は概ねひと塊りとなって逃げグループを追走。前半の平坦周回コースを終えて最初のKOMウィランガヒルに差し掛かる頃にはタイム差は1分を切り、登りでチームスカイやユンボ・ヴィズマがペースを上げるメイン集団が逃げを全て飲み込んでいく。前日の落車で負傷しながらもレースを続けていた総合リーダーのベヴィンは早くも脱落した。
メイン集団から抜け出したケニー・エリッソンド(フランス、チームスカイ)とワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)の2人を先頭に最初のKOMウィランガヒルを通過。チームスカイの2人がメイン集団に戻ると、今度はエクトル・カレテロ(スペイン、モビスター)がアタック。ここにダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)とトーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・スーダル)が追いついて、メイン集団から12秒程度のリードを得ながら100km/h近いハイスピードダウンヒルをこなした。
平野部に戻ると、2回目のKOMウィランガヒルに向かってスピードを上げるメイン集団は逃げを吸収。この日が現役最終レースであるマシュー・ヘイマン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が最後の仕事を終えて下がる中、アスタナを先頭にいよいよ最終決戦地に突入した。
登りに入るとチームスカイが主導権を握り、ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ)のペースアップからエリッソンドが再びアタック。残り2kmで飛び出したエリッソンドに追いついたチームメイトのプールスが独走に持ち込んだものの、その後ろでいよいよ本命が動く。過去5年間と同じように、いつも通りポートが加速した。
勢いよく先頭のプールスを追い抜いたポート。時折後ろを振り返りながら軽快なダンシングでライバルたちを引き離しにかかるが、2番手のプールスが食らいつく。その後ろでは、ルーカス・ハミルトン(オーストラリア)にアシストされたダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)が引き離されるどころか逆に差を詰めた。
ポートは先頭を守ったまま6年連続でウィランガヒルの頂上に到着。両手を広げてフィニッシュラインに飛び込んだポートのすぐ後ろで、プールスとインピーがタイム差0秒でフィニッシュした。
ステージ優勝のボーナスタイム10秒により総合2位に浮上したが、ポートは総合逆転を果たせず。『キング・オブ・ウィランガ』の称号を守ったポートは「山頂フィニッシュが一つだけという大会で総合優勝するのは本当に難しい」と打ち明ける。「トレック・セガフレードは新加入の自分を素晴らしい走りでサポートしてくれた。6年連続ウィランガヒルで勝つのは素晴らしい気分だけど、総合優勝したダリル・インピーには脱帽。とにかく新しいチームで良いスタートが切れたし、残るシーズンが楽しみだ」。
ポートのKOMウィランガヒル登坂タイムは7分02秒。登坂スピードが27km/hに達するため風に大きく左右されるが、このタイムは2018年より6秒速く、2015年よりも23秒遅かった。ポートは2015年、2016年、2018年に続く自身4度目の総合2位でレースを終えている。
そして総合優勝のタイトルは2年連続でインピーの手に。ダウンアンダーの史上初めて大会連覇を果たしたインピーは「連覇はスペシャル。確かに毎年チームは強い野望を抱いてダウンアンダーに出場しているものの、2年連続で勝つのは夢のようだ。ステージ優勝でチームは強い自信を得たし、そこでこの総合優勝に向けての勢いがついた」とコメントする。
「良い日を迎えることができれば逆転できると思っていたのでプレッシャーはなかった。1年前よりもずっと選手として成熟したと感じる。パディ(ベヴィン)の落車は本当に残念だったし、彼と真剣勝負したかった。間違いなく彼は今大会最も安定感ある選手だったし、総合優勝に値する走りだった」。最終的にインピーはポートに13秒、プールスに17秒をつけて総合優勝。6日間の戦いでインピーが獲得したボーナスタイムは23秒でポートは10秒。インピーとポートは全6ステージを同タイムで走ったが、ボーナスタイムが勝敗を分けたことになる。
ステージ4位&総合5位&南オーストラリア州ライダー賞獲得のローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ)をサポートした新城幸也(バーレーン・メリダ)は最終ステージを1分56秒遅れの42位でフィニッシュ。総合39位でUCIワールドツアー初戦を終え、UCIポイントを10ポイント獲得している。
2019年のサントス・ツアー・ダウンアンダーを締めくくるのは名物KOMウィランガヒル(全長3.0km/平均7.5%)の山頂フィニッシュ。長年土曜日に行われてきたクイーンステージが2019年は最終日の日曜日に登場した。後半に2回登るKOMウィランガヒルがオークルジャージの持ち主を決める。
レース舞台となったのはアデレードから車で1時間南に下ったワインの一大産地マクラーレンヴェール周辺。東風が吹き抜ける平野部で、スタートとともに『逃げ屋』トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)を含む7名が逃げグループを形成する。トレック・セガフレードやチームスカイ、ミッチェルトン・スコットがコントロールするメイン集団から先頭7名は最大3分30秒のリードを築いた。
スタートの時点で、ポイント賞上位3名がスペシャルジャージ(1位ベヴィン=総合リーダー、2位サガン=スロバキアチャンピオン、3位ヴィヴィアーニ=イタリアチャンピオン)を着ていたため、同賞4位ながらブルージャージを着ていたダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)が逃げに乗る。次々々々点で着ていたジャージを自分のものにすべく逃げたファンポッペルは2つのスプリントポイントを先頭通過したものの、パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)からジャージを奪うには2ポイント足りなかった。
逃げグループを形成した7名
ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
ゲディミナス・バグドナス(リトアニア、アージェードゥーゼール)
アレックス・ドーセット(イギリス、カチューシャ・アルペシン)
ダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)
ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、モビスター)
ニコラス・ホワイト(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
風によって分裂するシーンが見られながらも、メイン集団は概ねひと塊りとなって逃げグループを追走。前半の平坦周回コースを終えて最初のKOMウィランガヒルに差し掛かる頃にはタイム差は1分を切り、登りでチームスカイやユンボ・ヴィズマがペースを上げるメイン集団が逃げを全て飲み込んでいく。前日の落車で負傷しながらもレースを続けていた総合リーダーのベヴィンは早くも脱落した。
メイン集団から抜け出したケニー・エリッソンド(フランス、チームスカイ)とワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)の2人を先頭に最初のKOMウィランガヒルを通過。チームスカイの2人がメイン集団に戻ると、今度はエクトル・カレテロ(スペイン、モビスター)がアタック。ここにダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)とトーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・スーダル)が追いついて、メイン集団から12秒程度のリードを得ながら100km/h近いハイスピードダウンヒルをこなした。
平野部に戻ると、2回目のKOMウィランガヒルに向かってスピードを上げるメイン集団は逃げを吸収。この日が現役最終レースであるマシュー・ヘイマン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が最後の仕事を終えて下がる中、アスタナを先頭にいよいよ最終決戦地に突入した。
登りに入るとチームスカイが主導権を握り、ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ)のペースアップからエリッソンドが再びアタック。残り2kmで飛び出したエリッソンドに追いついたチームメイトのプールスが独走に持ち込んだものの、その後ろでいよいよ本命が動く。過去5年間と同じように、いつも通りポートが加速した。
勢いよく先頭のプールスを追い抜いたポート。時折後ろを振り返りながら軽快なダンシングでライバルたちを引き離しにかかるが、2番手のプールスが食らいつく。その後ろでは、ルーカス・ハミルトン(オーストラリア)にアシストされたダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)が引き離されるどころか逆に差を詰めた。
ポートは先頭を守ったまま6年連続でウィランガヒルの頂上に到着。両手を広げてフィニッシュラインに飛び込んだポートのすぐ後ろで、プールスとインピーがタイム差0秒でフィニッシュした。
ステージ優勝のボーナスタイム10秒により総合2位に浮上したが、ポートは総合逆転を果たせず。『キング・オブ・ウィランガ』の称号を守ったポートは「山頂フィニッシュが一つだけという大会で総合優勝するのは本当に難しい」と打ち明ける。「トレック・セガフレードは新加入の自分を素晴らしい走りでサポートしてくれた。6年連続ウィランガヒルで勝つのは素晴らしい気分だけど、総合優勝したダリル・インピーには脱帽。とにかく新しいチームで良いスタートが切れたし、残るシーズンが楽しみだ」。
ポートのKOMウィランガヒル登坂タイムは7分02秒。登坂スピードが27km/hに達するため風に大きく左右されるが、このタイムは2018年より6秒速く、2015年よりも23秒遅かった。ポートは2015年、2016年、2018年に続く自身4度目の総合2位でレースを終えている。
そして総合優勝のタイトルは2年連続でインピーの手に。ダウンアンダーの史上初めて大会連覇を果たしたインピーは「連覇はスペシャル。確かに毎年チームは強い野望を抱いてダウンアンダーに出場しているものの、2年連続で勝つのは夢のようだ。ステージ優勝でチームは強い自信を得たし、そこでこの総合優勝に向けての勢いがついた」とコメントする。
「良い日を迎えることができれば逆転できると思っていたのでプレッシャーはなかった。1年前よりもずっと選手として成熟したと感じる。パディ(ベヴィン)の落車は本当に残念だったし、彼と真剣勝負したかった。間違いなく彼は今大会最も安定感ある選手だったし、総合優勝に値する走りだった」。最終的にインピーはポートに13秒、プールスに17秒をつけて総合優勝。6日間の戦いでインピーが獲得したボーナスタイムは23秒でポートは10秒。インピーとポートは全6ステージを同タイムで走ったが、ボーナスタイムが勝敗を分けたことになる。
ステージ4位&総合5位&南オーストラリア州ライダー賞獲得のローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ)をサポートした新城幸也(バーレーン・メリダ)は最終ステージを1分56秒遅れの42位でフィニッシュ。総合39位でUCIワールドツアー初戦を終え、UCIポイントを10ポイント獲得している。
サントス・ツアー・ダウンアンダー2019第6ステージ結果
1位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 3:30:14 |
2位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | |
3位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | |
4位 | ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:03 |
5位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:00:06 |
6位 | クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ) | |
7位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) | 0:00:15 |
8位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:17 |
9位 | トムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ) | |
10位 | ドリス・デヴェナインス(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
42位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 0:01:56 |
個人総合成績
1位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 20:30:42 |
2位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 0:00:13 |
3位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | 0:00:17 |
4位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:00:19 |
5位 | ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:26 |
6位 | クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ) | |
7位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) | 0:00:38 |
8位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:40 |
9位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | ドリス・デヴェナインス(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) |
ポイント賞
1位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) | 56pts |
2位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 54pts |
3位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 50pts |
山岳賞
1位 | ジェーソン・リー(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | 30pts |
2位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | 30pts |
3位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 28pts |
ヤングライダー賞
1位 | クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ) | 20:31:15 |
2位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:07 |
3位 | ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) | 0:00:10 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 61:34:22 |
2位 | バーレーン・メリダ | 0:00:43 |
3位 | ディメンションデータ | 0:00:55 |
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
Amazon.co.jp