2019/01/17(木) - 16:40
獲得標高差2,700mの丘陵ステージでスロバキアンチャンピオンが快勝。アデレードヒルズのウライドラでペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が2年連続ステージ優勝を飾った。
アデレードの東側には標高500mほどの丘陵地帯が広がっている。『アデレードヒルズ』と呼ばれる、ワイン畑やリンゴ畑が広がる丘がサントス・ツアー・ダウンアンダー第3ステージの舞台。後半にかけて1周につき高低差133mのアップダウンが詰め込まれた14km周回コースを6周し、1年前に世界チャンピオンがステージ優勝したウライドラでフィニッシュを迎える。
レースブックには獲得標高差3,337mと記されていたが実際のボリュームは2,700m程度。前日までより気温の上昇が穏やかではあるとは言え、それでも少し湿気を含んだ気温35度の暑さがアデレードヒルズを包む。レース当日朝、主催者は後半の周回数を1周回減らす決断を下したものの、多くのチームの反対を受けて予定通り6周回で行われることに。しかし選手に周回数がしっかりと伝わっていないチームもあり、周回数の2度の変更は少しの混乱を生んだ。
ステージ前半に設定された2つのスプリントポイントをめがけて逃げたのは、ポイント賞ジャージを着るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)。最終的なポイント賞を狙うイタリアンチャンピオンは合計10ポイント獲得という目的を達成後も7名の先頭グループの中で逃げ続けた。
逃げグループを形成した7名
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ)
ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ)
ジェームス・ウェーラン(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)
ニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)
レオ・ヴァンサン(フランス、グルパマFDJ)
マイケル・ポッター(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
逃げグループは最大3分半のリードを得た状態でウライドラの周回コースに突入。後方では、リーダージャージ擁するCCCチームが徹底的にメイン集団をコントロールしたジェットコースターのようなコースを進んでいく。フィニッシュまで距離にして38km、2周半を残して発生した落車によって集団が割れるシーンも見られたが、着実にCCCチームはタイム差を詰めて行った。なお、落車発生時にボトル運びのため集団後方に下がっていた新城幸也(バーレーン・メリダ)は沿道の芝生に逸れて転倒を免れている。
タイム差が30秒まで縮まったところで、メイン集団からカウンターアタックを仕掛けたアルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーションファースト)が逃げグループに追いつき、しばらくチームメイトのウェーランと併走してから独走。ベッティオルがチームスカイやミッチェルトン・スコットの牽引に切り替わったメイン集団からわずかなリードを得た状態で最終周回に入った。
ウライドラ周回コースラップタイム
1周目/22分28秒(平均37.6km/h)
2周目/22分25秒(平均37.6km/h)
3周目/21分50秒(平均38.7km/h)
4周目/21分20秒(平均39.5km/h)
5周目/20分35秒(平均41.0km/h)
6周目/19分22秒(平均43.5km/h)
人数を減らしながらアップダウンコースを進むメイン集団は残り13km地点でベッティオルを吸収。残り半周、残り7km地点でメイン集団のコントロールはミッチェルトン・スコットからEFエデュケーションファーストに切り替わる。ラクラン・モートン(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)の作るペースがさらにメイン集団の人数を絞り込んでいく。
ユンボ・ヴィズマも集団牽引に加わる中、残り3kmに差し掛かるとステージ優勝に向けた動きが始まる。短い登りを利用してケニー・エリッソンド(フランス、チームスカイ)が発進。身長169cm/体重52kgの小柄なクライマーがロベルト・ヘーシンク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)の追走を振り切って独走を続けたものの、後方で強烈なアタックを繰り出す選手が現れる。短いながらも急勾配の登りでマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)が勢いよくメイン集団から飛び出した。
スピード差をつけてエリッソンドを追い抜き、一時的にライバルたちを引き離すことに成功したウッズ。しかし残り1.5km地点で登りが終わると後続が追いつき、およそ50名の小集団がウライドラの街に流れ込んだ。ウッズの攻撃は失敗に終わったものの、リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)は「とてもハードでナーバスな1日の最後に、ウッズが最も強かった」とライバルを讃えている。
ダリル・インピー(南アフリカ)のためにミッチェルトン・スコットが集団をまとめ上げて残り1kmを切り、サバイバルに生き残ったスプリンターたちによる勝負が始まる。ステージ優勝と、大会連覇に向けたボーナスタイム獲得を狙ってインピーが好位置からスプリントを開始。その後ろから追撃したサガンとルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)が先頭を奪った。そして、サガンがサンチェスの追い上げを振り切った。
前日に「まだまだシーズン序盤なので、がむしゃらに結果を追い求めることはしない」と語っていたスロバキアンチャンピオンが今シーズン初勝利。ステージ5位に入ったパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)がリーダージャージを守り、ボーナスタイム10秒獲得のサガンが総合2位に浮上している。
コースレイアウトは異なるが、ウライドラで2年連続ステージ優勝を飾ったサガン。「CCCチームがレースを徹底的にコントロールしてくれたので、ボーラ・ハンスグローエは集団前方でポジションをキープするだけで済んだ。本当にタフで、興奮度の高いフィニッシュだった。最後の登りを終えた時点で昨年と全く同じ展開になると思ったよ。特に今日のようなフィニッシュでは過去の経験が生きた」とサガンは語る。ボーナスタイム4秒を獲得したインピーは総合ライバルたちからリードを奪うことに成功している。
ローハン・デニス(オーストラリア)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)のアシストとして丘陵ステージをこなした新城はトップと7秒差の47位でフィニッシュ。「スプリントに絡むことができればいいと思ったんですが、最後は脚がつるかつらないかの限界で走っていました。ガツンと踏めばつってしまうような状態。集団の最後尾で我慢して走っていたのですが、いずれにしても前で走っていないとスプリントはできていなかった。とにかくローハンとポッツォを安全にフィニッシュさせることができたので良かったです」と、ここまでの3日間の中で最も疲労困憊の表情で、自走でアデレードの宿泊ホテルに帰っていった。
アデレードの東側には標高500mほどの丘陵地帯が広がっている。『アデレードヒルズ』と呼ばれる、ワイン畑やリンゴ畑が広がる丘がサントス・ツアー・ダウンアンダー第3ステージの舞台。後半にかけて1周につき高低差133mのアップダウンが詰め込まれた14km周回コースを6周し、1年前に世界チャンピオンがステージ優勝したウライドラでフィニッシュを迎える。
レースブックには獲得標高差3,337mと記されていたが実際のボリュームは2,700m程度。前日までより気温の上昇が穏やかではあるとは言え、それでも少し湿気を含んだ気温35度の暑さがアデレードヒルズを包む。レース当日朝、主催者は後半の周回数を1周回減らす決断を下したものの、多くのチームの反対を受けて予定通り6周回で行われることに。しかし選手に周回数がしっかりと伝わっていないチームもあり、周回数の2度の変更は少しの混乱を生んだ。
ステージ前半に設定された2つのスプリントポイントをめがけて逃げたのは、ポイント賞ジャージを着るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)。最終的なポイント賞を狙うイタリアンチャンピオンは合計10ポイント獲得という目的を達成後も7名の先頭グループの中で逃げ続けた。
逃げグループを形成した7名
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ)
ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ)
ジェームス・ウェーラン(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)
ニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)
レオ・ヴァンサン(フランス、グルパマFDJ)
マイケル・ポッター(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
逃げグループは最大3分半のリードを得た状態でウライドラの周回コースに突入。後方では、リーダージャージ擁するCCCチームが徹底的にメイン集団をコントロールしたジェットコースターのようなコースを進んでいく。フィニッシュまで距離にして38km、2周半を残して発生した落車によって集団が割れるシーンも見られたが、着実にCCCチームはタイム差を詰めて行った。なお、落車発生時にボトル運びのため集団後方に下がっていた新城幸也(バーレーン・メリダ)は沿道の芝生に逸れて転倒を免れている。
タイム差が30秒まで縮まったところで、メイン集団からカウンターアタックを仕掛けたアルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーションファースト)が逃げグループに追いつき、しばらくチームメイトのウェーランと併走してから独走。ベッティオルがチームスカイやミッチェルトン・スコットの牽引に切り替わったメイン集団からわずかなリードを得た状態で最終周回に入った。
ウライドラ周回コースラップタイム
1周目/22分28秒(平均37.6km/h)
2周目/22分25秒(平均37.6km/h)
3周目/21分50秒(平均38.7km/h)
4周目/21分20秒(平均39.5km/h)
5周目/20分35秒(平均41.0km/h)
6周目/19分22秒(平均43.5km/h)
人数を減らしながらアップダウンコースを進むメイン集団は残り13km地点でベッティオルを吸収。残り半周、残り7km地点でメイン集団のコントロールはミッチェルトン・スコットからEFエデュケーションファーストに切り替わる。ラクラン・モートン(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)の作るペースがさらにメイン集団の人数を絞り込んでいく。
ユンボ・ヴィズマも集団牽引に加わる中、残り3kmに差し掛かるとステージ優勝に向けた動きが始まる。短い登りを利用してケニー・エリッソンド(フランス、チームスカイ)が発進。身長169cm/体重52kgの小柄なクライマーがロベルト・ヘーシンク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)の追走を振り切って独走を続けたものの、後方で強烈なアタックを繰り出す選手が現れる。短いながらも急勾配の登りでマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)が勢いよくメイン集団から飛び出した。
スピード差をつけてエリッソンドを追い抜き、一時的にライバルたちを引き離すことに成功したウッズ。しかし残り1.5km地点で登りが終わると後続が追いつき、およそ50名の小集団がウライドラの街に流れ込んだ。ウッズの攻撃は失敗に終わったものの、リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)は「とてもハードでナーバスな1日の最後に、ウッズが最も強かった」とライバルを讃えている。
ダリル・インピー(南アフリカ)のためにミッチェルトン・スコットが集団をまとめ上げて残り1kmを切り、サバイバルに生き残ったスプリンターたちによる勝負が始まる。ステージ優勝と、大会連覇に向けたボーナスタイム獲得を狙ってインピーが好位置からスプリントを開始。その後ろから追撃したサガンとルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)が先頭を奪った。そして、サガンがサンチェスの追い上げを振り切った。
前日に「まだまだシーズン序盤なので、がむしゃらに結果を追い求めることはしない」と語っていたスロバキアンチャンピオンが今シーズン初勝利。ステージ5位に入ったパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)がリーダージャージを守り、ボーナスタイム10秒獲得のサガンが総合2位に浮上している。
コースレイアウトは異なるが、ウライドラで2年連続ステージ優勝を飾ったサガン。「CCCチームがレースを徹底的にコントロールしてくれたので、ボーラ・ハンスグローエは集団前方でポジションをキープするだけで済んだ。本当にタフで、興奮度の高いフィニッシュだった。最後の登りを終えた時点で昨年と全く同じ展開になると思ったよ。特に今日のようなフィニッシュでは過去の経験が生きた」とサガンは語る。ボーナスタイム4秒を獲得したインピーは総合ライバルたちからリードを奪うことに成功している。
ローハン・デニス(オーストラリア)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)のアシストとして丘陵ステージをこなした新城はトップと7秒差の47位でフィニッシュ。「スプリントに絡むことができればいいと思ったんですが、最後は脚がつるかつらないかの限界で走っていました。ガツンと踏めばつってしまうような状態。集団の最後尾で我慢して走っていたのですが、いずれにしても前で走っていないとスプリントはできていなかった。とにかくローハンとポッツォを安全にフィニッシュさせることができたので良かったです」と、ここまでの3日間の中で最も疲労困憊の表情で、自走でアデレードの宿泊ホテルに帰っていった。
サントス・ツアー・ダウンアンダー2019第3ステージ結果
個人総合成績
1位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) | 10:20:09 |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:01 |
3位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:00:09 |
4位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、サンウェブ) | 0:00:10 |
5位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:11 |
6位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:15 |
7位 | ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
8位 | ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
9位 | クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ) | |
10位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) |
ポイント賞
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 36pts |
2位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 34pts |
3位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) | 34pts |
山岳賞
1位 | ジェーソン・リー(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | 20pts |
2位 | マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ) | 12pts |
3位 | アルチョム・ザハロフ(カザフスタン、アスタナ) | 12pts |
ヤングライダー賞
1位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、サンウェブ) | 10:20:19 |
2位 | ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) | 0:00:05 |
3位 | クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ) |
チーム総合成績
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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