2019/01/13(日) - 21:26
サントス・ツアー・ダウンアンダーの幕開けを告げるクリテリウム『ダウンアンダー・クラシック』が開催され、完璧なリードアウトを受けたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が勝利。新城幸也(バーレーン・メリダ)は2度落車に巻き込まれかけるも、安全にフィニッシュしている。
1月15日から開催されるUCIワールドツアーレースに先立って、同じメンバーが走る『ダウンアンダー・クラシック』。UCIレースではないが、「最終調整」や「足慣らし」とは言えないほどの本格的なクリテリウム。46.231km/hに達する平均スピードが真剣勝負の何よりもの証拠だ。
レースの舞台となるのはライミルパークをぐるっと1周する1.7km周回コースで、男子レースはここを29周する。オーストラリア国内外でスタートからフィニッシュまで中継が行われる影響で、例年よりも開催時間が前倒しされた。例年であれば涼しげな風が吹き始める午後7時前後にスタートが切られていたが、この日のスタート時間は午後4時45分。日中の最高気温が35度まで上がったため、トップ選手を見ようとライミルパークに集まった観客の数は例年よりもずっと少なかった。
スタートラインの最前列に並んだのはダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)、リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)、ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)、トムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ)、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)という総合優勝経験者6名。まだ見慣れない新しいジャージに袖を通し、新しいバイクに乗った131名がスタートを切った。
例年よりずっと早く、すぐさま集団はハイスピード化した。一列棒状となった集団の先頭からアタックが矢継ぎ早にかかり、ラクラン・モートン(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)らが果敢に逃げに挑む。このダウンアンダーが現役最終戦となるマシュー・ヘイマン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)も逃げに加わって会場を盛り上げる。
しかし、ロット・スーダルやドゥクーニンク・クイックステップ、ボーラ・ハンスグローエが逃げグループにタイム差を与えなかった。5周ごとに設定されたスプリントポイントでは、ニール・ヴァンデルプルーグ(オーストラリア、UniSAオーストラリア)、ウィリアム・クラーク(オーストラリア、トレック・セガフレード)、ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ)の4名がそれぞれ先頭通過している。
残り5周を切ると逃げグループは全て引き戻され、シーズン最初の勝利を掴みとりたいスプリンターチームが集団先頭に陣取ってトレインを組む。バーレーン・メリダやチームスカイ、トレック・セガフレード、サンウェブ、ミッチェルトン・スコットが競り合いながら残り2周に差し掛かると、ヘアピンコーナーの出口でフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ)を含む集団落車が発生してしまう。
2018年大会の総合優勝者インピーを先頭に最終周回に入り、チームスカイが主導権を奪って残り1km。位置どりが激しくなる中、残り800mでこの日2回目の大きな落車が発生する。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)のリードアウトを担うミケル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)がバランスを崩してスリップダウン。すぐ後ろを走るヴィヴィアーニやルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)を始め、後続の選手たちが次々に突っ込んだ。
この2回の落車で6〜7名が抜け出す形となった混沌とした状態から、残り500mでダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)がロングスパートを開始。番手につけていたロジャー・クルーゲ(ドイツ、ロット・スーダル)はオスを無理に追わず、エーススプリンターのユアンがしっかりと食らいついていることを確認してから追撃する。残り300mでオスを捉えたクルーゲは下りでトップスピードに乗せた状態でユアンを発射した。
ユアンの番手でタイミングを待っていたのはスロバキアチャンピオンジャージを着るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)だった。ユアンのスプリント開始と同時に腰を上げたサガン。しかしユアンは先頭を譲らない。「サガンが後ろでスプリントしているのが見えたものの、追い抜かれるとは思わなかった」というユアンが先頭でフィニッシュラインにハンドルを投げ込んだ。
「あまりにも素晴らしいリードアウトだったので、いつスプリントを始めるべきかじっくり考える余裕があった。勝つのは簡単なことじゃないけど、最高のリードアウトがあれば勝つのがぐっと簡単になる。完璧なリードアウトだった」。ともにミッチェルトン・スコットからロット・スーダルに移籍した発射台クルーゲの仕事ぶりをユアンは讃える。
「後ろで何回か落車の音が聞こえたけど幸い巻き込まれず。昨年より経験を積んで、より大きなプレッシャーを受ける立場になった今、とにかく勝ち続けることが求められる。今日はロット・スーダルが最強チームであることを証明することができてよかったよ」。2年前のダウンアンダーで無敵のスピードを披露した『ポケットロケット』が良い形でシーズンをスタートさせた。
残り2周の落車と、残り800mの落車に巻き込まれそうになりながらも、急ブレーキングで難を逃れた新城幸也(バーレーン・メリダ)は43位でフィニッシュ。エーススプリンターのバウハウスが落車で脱落した後はハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア)でのスプリントに切り替えたが、2回目の落車でチームは勝負に絡むことができなかった。新城は「危なかったけど、ブレーキングしてなんとか転ばずに済んだ。とにかく安全に初日を終えることができてよかったです」と語る。引き続きバーレーン・メリダは大怪我を免れたバウハウスを中心にスプリントを狙うことになる。
1月15日から開催されるUCIワールドツアーレースに先立って、同じメンバーが走る『ダウンアンダー・クラシック』。UCIレースではないが、「最終調整」や「足慣らし」とは言えないほどの本格的なクリテリウム。46.231km/hに達する平均スピードが真剣勝負の何よりもの証拠だ。
レースの舞台となるのはライミルパークをぐるっと1周する1.7km周回コースで、男子レースはここを29周する。オーストラリア国内外でスタートからフィニッシュまで中継が行われる影響で、例年よりも開催時間が前倒しされた。例年であれば涼しげな風が吹き始める午後7時前後にスタートが切られていたが、この日のスタート時間は午後4時45分。日中の最高気温が35度まで上がったため、トップ選手を見ようとライミルパークに集まった観客の数は例年よりもずっと少なかった。
スタートラインの最前列に並んだのはダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)、リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)、ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)、トムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ)、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)という総合優勝経験者6名。まだ見慣れない新しいジャージに袖を通し、新しいバイクに乗った131名がスタートを切った。
例年よりずっと早く、すぐさま集団はハイスピード化した。一列棒状となった集団の先頭からアタックが矢継ぎ早にかかり、ラクラン・モートン(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)らが果敢に逃げに挑む。このダウンアンダーが現役最終戦となるマシュー・ヘイマン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)も逃げに加わって会場を盛り上げる。
しかし、ロット・スーダルやドゥクーニンク・クイックステップ、ボーラ・ハンスグローエが逃げグループにタイム差を与えなかった。5周ごとに設定されたスプリントポイントでは、ニール・ヴァンデルプルーグ(オーストラリア、UniSAオーストラリア)、ウィリアム・クラーク(オーストラリア、トレック・セガフレード)、ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ)の4名がそれぞれ先頭通過している。
残り5周を切ると逃げグループは全て引き戻され、シーズン最初の勝利を掴みとりたいスプリンターチームが集団先頭に陣取ってトレインを組む。バーレーン・メリダやチームスカイ、トレック・セガフレード、サンウェブ、ミッチェルトン・スコットが競り合いながら残り2周に差し掛かると、ヘアピンコーナーの出口でフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ)を含む集団落車が発生してしまう。
2018年大会の総合優勝者インピーを先頭に最終周回に入り、チームスカイが主導権を奪って残り1km。位置どりが激しくなる中、残り800mでこの日2回目の大きな落車が発生する。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)のリードアウトを担うミケル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)がバランスを崩してスリップダウン。すぐ後ろを走るヴィヴィアーニやルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)を始め、後続の選手たちが次々に突っ込んだ。
この2回の落車で6〜7名が抜け出す形となった混沌とした状態から、残り500mでダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)がロングスパートを開始。番手につけていたロジャー・クルーゲ(ドイツ、ロット・スーダル)はオスを無理に追わず、エーススプリンターのユアンがしっかりと食らいついていることを確認してから追撃する。残り300mでオスを捉えたクルーゲは下りでトップスピードに乗せた状態でユアンを発射した。
ユアンの番手でタイミングを待っていたのはスロバキアチャンピオンジャージを着るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)だった。ユアンのスプリント開始と同時に腰を上げたサガン。しかしユアンは先頭を譲らない。「サガンが後ろでスプリントしているのが見えたものの、追い抜かれるとは思わなかった」というユアンが先頭でフィニッシュラインにハンドルを投げ込んだ。
「あまりにも素晴らしいリードアウトだったので、いつスプリントを始めるべきかじっくり考える余裕があった。勝つのは簡単なことじゃないけど、最高のリードアウトがあれば勝つのがぐっと簡単になる。完璧なリードアウトだった」。ともにミッチェルトン・スコットからロット・スーダルに移籍した発射台クルーゲの仕事ぶりをユアンは讃える。
「後ろで何回か落車の音が聞こえたけど幸い巻き込まれず。昨年より経験を積んで、より大きなプレッシャーを受ける立場になった今、とにかく勝ち続けることが求められる。今日はロット・スーダルが最強チームであることを証明することができてよかったよ」。2年前のダウンアンダーで無敵のスピードを披露した『ポケットロケット』が良い形でシーズンをスタートさせた。
残り2周の落車と、残り800mの落車に巻き込まれそうになりながらも、急ブレーキングで難を逃れた新城幸也(バーレーン・メリダ)は43位でフィニッシュ。エーススプリンターのバウハウスが落車で脱落した後はハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア)でのスプリントに切り替えたが、2回目の落車でチームは勝負に絡むことができなかった。新城は「危なかったけど、ブレーキングしてなんとか転ばずに済んだ。とにかく安全に初日を終えることができてよかったです」と語る。引き続きバーレーン・メリダは大怪我を免れたバウハウスを中心にスプリントを狙うことになる。
サントス・ツアー・ダウンアンダー2019ダウンアンダー・クラシック
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 1:03:59 |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | アレクサンダー・エドモンソン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
4位 | ロジャー・クルーゲ(ドイツ、ロット・スーダル) | |
5位 | ダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | オウェイン・ドゥール(イギリス、チームスカイ) | |
7位 | ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ) | |
8位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | |
9位 | マルコ・ハラー(オーストリア、カチューシャ・アルペシン) | |
10位 | フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、 CCCチーム) |
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia