2018/05/28(月) - 06:13
イタリアの首都ローマの街中を走るジロ・デ・イタリア最終ステージでサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が今大会3度目の集団スプリント制覇。クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が総合首位を守り、イギリス人初の栄冠を手にするとともに3連続グランツール制覇を達成した。
スイス国境に近いチェルヴィニアから750kmの大移動を経て、午後3時55分、ジロ・デ・イタリア第21ステージは首都ローマをスタートした。最終日はローマ市内の名所を巡る11.5km周回コースを10周する115km。マリアローザのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)を先頭に150名(ピノはリタイア)がスタートを切った。
序盤はグランツール最終日恒例のスローペースでパレード走行。30km/h強のまったりとしたスピードで、選手たちは談笑しながらコロッセオ、ヴィットリオエマヌエーレ2世記念堂、ヴェネツィア広場、クイリナーレ宮殿、バルベリーニ広場、スペイン広場(裏側)、ポポロ広場、目抜通りのコルソ通り、真実の口、チルコマッシモ、カラカラ浴場跡などの観光地を横目に進んで行く。
部分的に波打った石畳が敷かれ、街中のタイトコーナーや下りが連続するコースを危険視する声がプロトン内で上がったため、マリアローザを着るフルームが代表してその危険性をUCIコミッセールに訴えた。主催者の同意のもと、UCIコミッセールは3周回以降についたタイム差を総合成績に反映させないニュートラル措置を決定。中間スプリントとフィニッシュのポイントは争われるが、ボーナスタイムは争われないことが決まった。
ニュートラル措置決定後、4周目でこの日最初のアタックが生まれる。マッズウルス・シュミット(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)とアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が真っ先にアタックを仕掛け、ここにマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)やニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)らが追いついて先頭は18名。クイックステップフロアーズとEFエデュケーションファースト・ドラパックが牽引するメイン集団からは、フルームやトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)ら総合上位陣が危険回避のために脱落した。
逃げグループは45km/hを超える平均スピードを刻みながら周回をこなしたものの、スプリンターチームのコントロールにより常にタイム差は30秒以内。どれだけ遅れても総合成績には関係しないため、フルームやデュムランらを含む集団は3分、5分、10分と遅れて行った。
先頭で粘り強く逃げ続けたクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ミッチェルトン・スコット)とビアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)も残り13km地点で吸収され、スプリンターチーム率いる約70名の集団が最終周回に突入する。
残り9km地点でトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)、ライアン・ミューレン(アイルランド、トレック・セガフレード)、フロリアン・セネシャル(フランス、クイックステップフロアーズ)、ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)、マティア・カッタネオ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)がアタックして先行を開始。セネシェルを逃げに送り込んだクイックステップフロアーズは一旦下がり、ボーラ・ハンスグローエがこの動きを封じ込めにかかる。
マルティンらは残り3.5km地点で吸収され、集団はさらにスピードを上げてフィニッシュへ。最も人数を揃えて先頭を固めたのはクイックステップフロアーズで、ゼネク・スティバル(チェコ)を先頭に残り1kmアーチを通過し、そこからミケル・モルコフ(デンマーク)とファビオ・サバティーニ(イタリア)がリードアウトを引き継いだ。
残り600mでニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)を引き連れるマテイ・モホリッチ(スロベニア)が先頭に立ったものの、モルコフとサバティーニがこれを許さずに先頭を奪い返す。教科書通りのリードアウトを受けたヴィヴィアーニが残り150mから発進した。
ステージ5勝目に向かって勝ちパターンに持ち込んだヴィヴィアーニだったが、そのスリップストリームからベネットが加速する。伸びやかなスプリントを見せたベネットが先頭を奪うと、ヴィヴィアーニはフィニッシュ手前でペダリングを止めた。
グランツール最終日という特別なチャンスをつかみ、今大会ステージ3勝目を射止めたベネット。「昨日までの疲労で今朝起きた時は脚が死んだように重かった。とてもステージ優勝を想像できるような状態ではなかったけど、レースを走っているうちに脚が回り始めたんだ。勝つための精神を保ち、チームメイトをがっかりさせたくない気持ちで位置取り。二段階加速するヴィヴィアーニに勝つために、スプリントの開始をできるだけ待った」と、勝利の秘訣を語る。ヴィヴィアーニは敗れたものの、ステージ4勝という記録を残すとともに、マリアチクラミーノをキープしている。
「周回コースを走り始めてすぐ、多くの選手が自分のところにやってきて、どうすれば安全にレースできるかを話し合った。(ニュートラル措置は)大勢の観客たちが期待するスプリンターたちの戦いを邪魔しない判断だった。ローマの雰囲気は最高だった」と、チームメイトに囲まれながら先頭から16分以上遅れてフィニッシュし、表彰台でマリアローザとトロフェオセンツァフィーネを受け取ったフルームは語る。
「1週間前、マリアローザを着てローマを凱旋している姿は想像できなかった。今までも総合タイム差3分をひっくり返したことはあったけど、とても非現実的に思えた。だから今こうしてマリアローザを着ていることが夢のようにも思える。この勝利を妻と、8月に生まれてくる娘に捧げたい」。
前年度覇者のトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)と、マリアビアンカ獲得のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)とともに総合表彰台に上ったフルーム。イギリス人選手による初のジロ制覇。フルームはグランツール全制覇を果たした7人目の選手となり、さらに2017年のツール・ド・フランスから負けなしのグランツール3連勝を果たした。フルームはマリアアッズーラも同時に手にしている。
スイス国境に近いチェルヴィニアから750kmの大移動を経て、午後3時55分、ジロ・デ・イタリア第21ステージは首都ローマをスタートした。最終日はローマ市内の名所を巡る11.5km周回コースを10周する115km。マリアローザのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)を先頭に150名(ピノはリタイア)がスタートを切った。
序盤はグランツール最終日恒例のスローペースでパレード走行。30km/h強のまったりとしたスピードで、選手たちは談笑しながらコロッセオ、ヴィットリオエマヌエーレ2世記念堂、ヴェネツィア広場、クイリナーレ宮殿、バルベリーニ広場、スペイン広場(裏側)、ポポロ広場、目抜通りのコルソ通り、真実の口、チルコマッシモ、カラカラ浴場跡などの観光地を横目に進んで行く。
部分的に波打った石畳が敷かれ、街中のタイトコーナーや下りが連続するコースを危険視する声がプロトン内で上がったため、マリアローザを着るフルームが代表してその危険性をUCIコミッセールに訴えた。主催者の同意のもと、UCIコミッセールは3周回以降についたタイム差を総合成績に反映させないニュートラル措置を決定。中間スプリントとフィニッシュのポイントは争われるが、ボーナスタイムは争われないことが決まった。
ニュートラル措置決定後、4周目でこの日最初のアタックが生まれる。マッズウルス・シュミット(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)とアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が真っ先にアタックを仕掛け、ここにマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)やニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)らが追いついて先頭は18名。クイックステップフロアーズとEFエデュケーションファースト・ドラパックが牽引するメイン集団からは、フルームやトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)ら総合上位陣が危険回避のために脱落した。
逃げグループは45km/hを超える平均スピードを刻みながら周回をこなしたものの、スプリンターチームのコントロールにより常にタイム差は30秒以内。どれだけ遅れても総合成績には関係しないため、フルームやデュムランらを含む集団は3分、5分、10分と遅れて行った。
先頭で粘り強く逃げ続けたクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ミッチェルトン・スコット)とビアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)も残り13km地点で吸収され、スプリンターチーム率いる約70名の集団が最終周回に突入する。
残り9km地点でトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)、ライアン・ミューレン(アイルランド、トレック・セガフレード)、フロリアン・セネシャル(フランス、クイックステップフロアーズ)、ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)、マティア・カッタネオ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)がアタックして先行を開始。セネシェルを逃げに送り込んだクイックステップフロアーズは一旦下がり、ボーラ・ハンスグローエがこの動きを封じ込めにかかる。
マルティンらは残り3.5km地点で吸収され、集団はさらにスピードを上げてフィニッシュへ。最も人数を揃えて先頭を固めたのはクイックステップフロアーズで、ゼネク・スティバル(チェコ)を先頭に残り1kmアーチを通過し、そこからミケル・モルコフ(デンマーク)とファビオ・サバティーニ(イタリア)がリードアウトを引き継いだ。
残り600mでニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)を引き連れるマテイ・モホリッチ(スロベニア)が先頭に立ったものの、モルコフとサバティーニがこれを許さずに先頭を奪い返す。教科書通りのリードアウトを受けたヴィヴィアーニが残り150mから発進した。
ステージ5勝目に向かって勝ちパターンに持ち込んだヴィヴィアーニだったが、そのスリップストリームからベネットが加速する。伸びやかなスプリントを見せたベネットが先頭を奪うと、ヴィヴィアーニはフィニッシュ手前でペダリングを止めた。
グランツール最終日という特別なチャンスをつかみ、今大会ステージ3勝目を射止めたベネット。「昨日までの疲労で今朝起きた時は脚が死んだように重かった。とてもステージ優勝を想像できるような状態ではなかったけど、レースを走っているうちに脚が回り始めたんだ。勝つための精神を保ち、チームメイトをがっかりさせたくない気持ちで位置取り。二段階加速するヴィヴィアーニに勝つために、スプリントの開始をできるだけ待った」と、勝利の秘訣を語る。ヴィヴィアーニは敗れたものの、ステージ4勝という記録を残すとともに、マリアチクラミーノをキープしている。
「周回コースを走り始めてすぐ、多くの選手が自分のところにやってきて、どうすれば安全にレースできるかを話し合った。(ニュートラル措置は)大勢の観客たちが期待するスプリンターたちの戦いを邪魔しない判断だった。ローマの雰囲気は最高だった」と、チームメイトに囲まれながら先頭から16分以上遅れてフィニッシュし、表彰台でマリアローザとトロフェオセンツァフィーネを受け取ったフルームは語る。
「1週間前、マリアローザを着てローマを凱旋している姿は想像できなかった。今までも総合タイム差3分をひっくり返したことはあったけど、とても非現実的に思えた。だから今こうしてマリアローザを着ていることが夢のようにも思える。この勝利を妻と、8月に生まれてくる娘に捧げたい」。
前年度覇者のトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)と、マリアビアンカ獲得のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)とともに総合表彰台に上ったフルーム。イギリス人選手による初のジロ制覇。フルームはグランツール全制覇を果たした7人目の選手となり、さらに2017年のツール・ド・フランスから負けなしのグランツール3連勝を果たした。フルームはマリアアッズーラも同時に手にしている。
ジロ・デ・イタリア2018第21ステージ結果
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 2:50:49 |
2位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | |
3位 | ジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、BMCレーシング) | |
4位 | バティスト・プランカールト(ベルギー、カチューシャ・アルペシン) | |
5位 | マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
6位 | サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | |
7位 | クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
8位 | パオロ・シミオン(イタリア、バルディアーニCSF) | |
9位 | ファビオ・サバティーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | |
10位 | ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 89:02:39 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:46 |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:04:57 |
4位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:05:44 |
5位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:08:03 |
6位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 0:11:50 |
7位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:13:01 |
8位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 0:13:17 |
9位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:14:18 |
10位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:15:16 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 341pts |
2位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 282pts |
3位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 147pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 125pts |
2位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF) | 108pts |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 91pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 89:07:36 |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:00:47 |
3位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:09:21 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 267:48:47 |
2位 | アスタナ | 0:24:58 |
3位 | ボーラ・ハンスグローエ | 0:43:32 |
中間スプリント賞
1位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 114pts |
2位 | マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 77pts |
3位 | エウゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエール・トリエスティーナ) | 46pts |
逃げ賞
1位 | マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 640km |
2位 | エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニCSF) | 502km |
3位 | エルゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエール・トリエスティーナ) | 481km |
総合敢闘賞
1位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 67pts |
2位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 59pts |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 54pts |
フェアプレー賞
1位 | ロットNLユンボ |
2位 | アージェードゥーゼール |
3位 | バルディアーニCSF |
text:Kei Tsuji in Rome, Italy