2018/05/20(日) - 02:31
ジロ・デ・イタリア第14ステージの激坂モンテゾンコランでマリアローザを振り切ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が起死回生の勝利。フルームと6秒差の2位に入ったサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が総合リードを広げている。
難易度5つ星の山岳ステージの終着地は悪名高きモンテゾンコラン。ヨーロッパ有数の難関峠として知られる1級山岳がジロに登場するのは2003年(シモーニ)、2007年(シモーニ)、2010年(バッソ)、2011年(アントン)、2014年(ロジャース)に続く6回目。3級、3級、2級、3級の山岳を越えて1級山岳モンテゾンコラン(全長10.1km/標高差1,203m/平均勾配11.9%/最大勾配22%)にアタックする。
獲得標高差が4,300mに達する難関山岳ステージは、例に漏れず、平坦路での高速アタック合戦でスタートした。ロンド・ファン・フラーンデレン2位のマッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)とヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が抜け出すことに成功し、3級山岳モンテラゴーニャで5名が追いついて先頭は7名。徐々にリードを広げる逃げを、マリアローザ擁するミッチェルトン・スコットが追いかける展開となる。
第14ステージ逃げメンバー
ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)総合24位/13分07秒差
マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼール)総合36位/33分44秒差
フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニジョカトリ)総合58位/55分01秒差
ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)総合91位/1時間34分19秒差
エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニCSF)総合121位/1時間58分49秒差
ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)総合127位/2時間1分26秒差
マッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)総合163位/2時間28分41秒差
快調にローテーションを回しながら逃げた先頭7名。レース中盤の補給ポイントを通過し、続く2級山岳デュロン峠(全長4.4km/平均勾配9.6%)に向かう渓谷路に入るとタイム差は6分を超えた。
2級山岳デュロン峠で逃げグループからペデルセンとモスカが脱落。先頭5名の4分後方に位置するメイン集団の牽引役はミッチェルトン・スコットからアスタナとサンウェブにスイッチする。続く3級山岳セッラヴァルカーダで他の逃げメンバーを置き去りにしたコンティとバルビンの2人が、メイン集団から1分のリードを保ったまま最後の1級山岳モンテゾンコランに突入した。
断続的に15%前後の勾配が続く激坂でコンティが独走に持ち込んだ一方で、メイン集団からは2011年のゾンコラン覇者イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)がアタック。アントンは残り7km地点で先頭コンティに追いついたものの、しばらくしてメイン集団に引き戻される。
続いて飛び出した総合16位/3分43秒差のマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)もしばらくして吸収。ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)のペースメイクによって、急勾配区間をハイテンポで進むメイン集団からファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)やローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)らが相次いで脱落した。
残り5kmを切り、プールスが率いるメイン集団に残ったのはクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)、トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)、セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ)、ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)のみ。この精鋭グループから、勾配が20%に達した残り4.3km地点でフルームが加速した。
「試走の段階で、残り4km地点がアタックポイントだと思っていた」というフルームが独走に持ち込み、イェーツとポッツォヴィーヴォ、ロペスの3名が追走し、その後方にデュムランとピノの2名が続く展開。マリアローザのイェーツが単独追走を仕掛けたものの、先頭フルームとのタイム差10秒が縮まらない。ポッツォヴィーヴォとロペスのパックと、デュムランとピノのパックは、粘りながらも徐々にタイムを失っていった。
残り1kmを切ってからの急勾配区間でもシッティングでハイケイデンスを維持したフルームはペースを落とすことなく走り続けた。ダンシングで10m後方にまで迫ったマリアローザに合流を許さず、フルームがモンテゾンコランを単独登頂。大きく両手を広げてフィニッシュしたフルームから6秒遅れでイェーツが入り、イギリス人によるワンツー勝利という結果に。ポッツォヴィーヴォが23秒遅れ、ロペスが25秒遅れ、そして37秒遅れでデュムランがフィニッシュした。
「ジロを代表する登りであるゾンコランで優勝するのは本当にスペシャルだ。特にここまで苦しい戦いを強いられていただけに、この勝利の意味は大きい。すぐ後ろに迫るサイモン・イェーツを振り切っての勝利。安堵の気持ちに包まれているよ」。開幕前の落車でコンディションを落とし、ジロ前半の山岳ステージでタイムを失い続けていたフルームが復活の勝利。ジロでのステージ初優勝を飾ったフルームは総合12位から総合5位まで一気に順位を上げ、総合争いに舞い戻った。
一時はチームからリタイアも提案されたが、フルームは落車からのリカバリーを願いながらレースを継続することを選択。具体的な総合争いについての明言は避けたが「最終日ローマまで全力で戦い抜く」と宣言している。
「正直言うと今日はステージ優勝を狙っていた」と語るのは、フルーム以外の総合ライバルたちからリードを奪うことに成功したイェーツ。デュムランに31秒差をつけてフィニッシュし、ボーナスタイム6秒を獲得したイェーツは総合リードを1分24秒まで広げている。「クリス・フルームに追いつくために全力を尽くしたけど、少し力が足りなかった。でもマリアローザのリードを広げることができたのでステージ2位という結果には満足している」。
マリアビアンカはステージ13位のカラパスからステージ4位のロペスに移動。図らずもイェーツはポイント賞3位に浮上するとともに山岳賞のリードを広げており、翌日からも引き続き山岳賞2位のエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)がマリアアッズーラを着用する。
難易度5つ星の山岳ステージの終着地は悪名高きモンテゾンコラン。ヨーロッパ有数の難関峠として知られる1級山岳がジロに登場するのは2003年(シモーニ)、2007年(シモーニ)、2010年(バッソ)、2011年(アントン)、2014年(ロジャース)に続く6回目。3級、3級、2級、3級の山岳を越えて1級山岳モンテゾンコラン(全長10.1km/標高差1,203m/平均勾配11.9%/最大勾配22%)にアタックする。
獲得標高差が4,300mに達する難関山岳ステージは、例に漏れず、平坦路での高速アタック合戦でスタートした。ロンド・ファン・フラーンデレン2位のマッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)とヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が抜け出すことに成功し、3級山岳モンテラゴーニャで5名が追いついて先頭は7名。徐々にリードを広げる逃げを、マリアローザ擁するミッチェルトン・スコットが追いかける展開となる。
第14ステージ逃げメンバー
ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)総合24位/13分07秒差
マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼール)総合36位/33分44秒差
フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニジョカトリ)総合58位/55分01秒差
ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)総合91位/1時間34分19秒差
エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニCSF)総合121位/1時間58分49秒差
ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)総合127位/2時間1分26秒差
マッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)総合163位/2時間28分41秒差
快調にローテーションを回しながら逃げた先頭7名。レース中盤の補給ポイントを通過し、続く2級山岳デュロン峠(全長4.4km/平均勾配9.6%)に向かう渓谷路に入るとタイム差は6分を超えた。
2級山岳デュロン峠で逃げグループからペデルセンとモスカが脱落。先頭5名の4分後方に位置するメイン集団の牽引役はミッチェルトン・スコットからアスタナとサンウェブにスイッチする。続く3級山岳セッラヴァルカーダで他の逃げメンバーを置き去りにしたコンティとバルビンの2人が、メイン集団から1分のリードを保ったまま最後の1級山岳モンテゾンコランに突入した。
断続的に15%前後の勾配が続く激坂でコンティが独走に持ち込んだ一方で、メイン集団からは2011年のゾンコラン覇者イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)がアタック。アントンは残り7km地点で先頭コンティに追いついたものの、しばらくしてメイン集団に引き戻される。
続いて飛び出した総合16位/3分43秒差のマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)もしばらくして吸収。ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)のペースメイクによって、急勾配区間をハイテンポで進むメイン集団からファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)やローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)らが相次いで脱落した。
残り5kmを切り、プールスが率いるメイン集団に残ったのはクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)、トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)、セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ)、ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)のみ。この精鋭グループから、勾配が20%に達した残り4.3km地点でフルームが加速した。
「試走の段階で、残り4km地点がアタックポイントだと思っていた」というフルームが独走に持ち込み、イェーツとポッツォヴィーヴォ、ロペスの3名が追走し、その後方にデュムランとピノの2名が続く展開。マリアローザのイェーツが単独追走を仕掛けたものの、先頭フルームとのタイム差10秒が縮まらない。ポッツォヴィーヴォとロペスのパックと、デュムランとピノのパックは、粘りながらも徐々にタイムを失っていった。
残り1kmを切ってからの急勾配区間でもシッティングでハイケイデンスを維持したフルームはペースを落とすことなく走り続けた。ダンシングで10m後方にまで迫ったマリアローザに合流を許さず、フルームがモンテゾンコランを単独登頂。大きく両手を広げてフィニッシュしたフルームから6秒遅れでイェーツが入り、イギリス人によるワンツー勝利という結果に。ポッツォヴィーヴォが23秒遅れ、ロペスが25秒遅れ、そして37秒遅れでデュムランがフィニッシュした。
「ジロを代表する登りであるゾンコランで優勝するのは本当にスペシャルだ。特にここまで苦しい戦いを強いられていただけに、この勝利の意味は大きい。すぐ後ろに迫るサイモン・イェーツを振り切っての勝利。安堵の気持ちに包まれているよ」。開幕前の落車でコンディションを落とし、ジロ前半の山岳ステージでタイムを失い続けていたフルームが復活の勝利。ジロでのステージ初優勝を飾ったフルームは総合12位から総合5位まで一気に順位を上げ、総合争いに舞い戻った。
一時はチームからリタイアも提案されたが、フルームは落車からのリカバリーを願いながらレースを継続することを選択。具体的な総合争いについての明言は避けたが「最終日ローマまで全力で戦い抜く」と宣言している。
「正直言うと今日はステージ優勝を狙っていた」と語るのは、フルーム以外の総合ライバルたちからリードを奪うことに成功したイェーツ。デュムランに31秒差をつけてフィニッシュし、ボーナスタイム6秒を獲得したイェーツは総合リードを1分24秒まで広げている。「クリス・フルームに追いつくために全力を尽くしたけど、少し力が足りなかった。でもマリアローザのリードを広げることができたのでステージ2位という結果には満足している」。
マリアビアンカはステージ13位のカラパスからステージ4位のロペスに移動。図らずもイェーツはポイント賞3位に浮上するとともに山岳賞のリードを広げており、翌日からも引き続き山岳賞2位のエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)がマリアアッズーラを着用する。
ジロ・デ・イタリア2018第14ステージ結果
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 5:02:31 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:06 |
3位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:23 |
4位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:25 |
5位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:37 |
6位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:42 |
7位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | 0:01:07 |
8位 | セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ) | 0:01:19 |
9位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 0:01:35 |
10位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:01:43 |
11位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:48 |
12位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 0:01:55 |
13位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:02:00 |
17位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:02:23 |
19位 | ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) | 0:02:35 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 61:19:51 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:24 |
3位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:01:37 |
4位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:01:46 |
5位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:03:10 |
6位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:03:42 |
7位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:03:56 |
8位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 0:04:04 |
9位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 0:04:29 |
10位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:04:43 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 237pts |
2位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 197pts |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 98pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 76pts |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | 47pts |
3位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 40pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 61:23:33 |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:00:14 |
3位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) | 0:02:00 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 184:15:54 |
2位 | アスタナ | 0:02:46 |
3位 | ミッチェルトン・スコット | 0:06:51 |
text&photo:Kei Tsuji in Monte Zoncolan, Italy
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