2018/05/13(日) - 04:47
雨に見舞われた2級山岳モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノで集団から飛び出したマリアビアンカのリカルド・カラパス(エクアドル、モビスター)がステージ初勝利。クリストファー・フルームは終盤に落車したが、タイムを失うことなくフィニッシュしている。
前日と同じ、ティレニア海に沿って北上するレイアウトで行われたジロ・デ・イタリア第8ステージ。この日は前半からアップダウンが組み込まれており、コース全長も209kmと長い。そして締めくくりは2級山岳モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノ(全長17.1km/標高差856m/平均5%/最大10%)の山頂フィニッシュだ。
標高1,260mの聖地に向かう登りがジロに登場するのは6回目。過去にディルーカやクネゴ、デクレルクが制しているモンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノの特徴は、5%ほどの緩い一定勾配と合計18ヶ所のスイッチバックにある。開幕から続いていた好天はこの第8ステージでストップし、選手たちは雨のモンテヴェルジネに挑むことになった。
マリアローザ争いが激化するような難易度のステージではないため、逃げ切りを狙う選手たちによる激しいアタックの応酬がスタート後しばらく続いた。23km地点でトッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・フィックスオール)が飛び出すと、ここにダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、アスタナ)やマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)、クーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)、マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼール)、ロドルフォ・トレス(コロンビア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)が合流。
さらにヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)とマッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)も先頭に追いついて状況が落ち着くと思われたが、どうしても逃げに選手を送り込みたいカチューシャ・アルペシンが集団を牽引して追撃したたためタイム差は広がらず、さらにカウンターアタックを誘発する。ペデルセンが脱落して先頭は7名。ロット・フィックスオールのアダム・ハンセン(オーストラリア)とティム・ウェレンス(ベルギー)の追走は届かず、レース開始から1時間半が経ってようやく集団はスピードを落とした。
実績ある選手たち7名による逃げは最大で7分半のリードを稼ぎ出す。逃げの中で総合成績が最も良いのは過去にステージ2勝しているポランツェで、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)から8分16秒遅れの総合37位。ミッチェルトン・スコットが落ち着いて集団をコントロールしたため、暫定でマリアローザがポランツェに移ることはなかった。
ステージ後半に入り、ナポリの近くをかすめて内陸部に向かうとともに天候は悪化する。残り20kmを切ると雨は本降りとなり、逃げグループとメイン集団のタイム差が1分40秒まで縮まった状態で2級山岳モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノの登坂が始まる。
逃げグループの中で最初に動いたのはモホリッチ。2013年のU23世界チャンピオンによるアタックによって残り13km地点でヴィレッラとトレス、ヴァンデルサンドが脱落する。ポランツェ、モホリッチ、ボウマン、モンタグーティが雨に包まれたモンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノを駆け上がったが、その後方にはミッチェルトン・スコット率いるメイン集団が迫った。
フィニッシュまで残り5kmを切ると、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)はスリッピーなヘアピンコーナーで白線に後輪を滑らせて落車。フルームはすぐさまチームメイトたちの力を借りて集団に復帰するとともに、そこからチームスカイが集団のペースメイクを担った。
すでに200km近くを逃げているボウマンが独走に持ち込んだものの、約30名の大きな集団がハイスピードで迫りくる。残り2kmを切るとメイン集団からミカエル・シュレル(フランス、アージェードゥーゼール)がアタック。逃げ続けたボウマンは吸収された。
シュレルのアタックに反応したのがマリアビアンカを着るカラパス。残り1kmアーチを前にシュレルとボウマンを置き去りにしたカラパスが独走に持ち込み、追いすがる集団を振り切って逃げ切った。総合上位陣を含む28名のメイン集団は残り500mで仕掛けたティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)とダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)らを先頭にフィニッシュしている。
エクアドル人として初めてグランツールに出場し、エトナ山でエクアドル人として初めて特別賞ジャージを手にし、そしてモンテヴェルジネでエクアドル人として初めてステージ優勝を飾ったカラパス。「グランツールでのステージ初勝利を飾って、とても幸せでエモーショナルだ。スプリントでは勝ち目がないとわかっていたので早めにスパートを仕掛けた。残り2kmというタイミングはばっちりだったと思う。まだローマまで長い道のりで、自分がどこまで走れるのか分からないけど、これから先の成績が気にならないような美しい勝利を手にすることができたよ。この勝利がエクアドルの自転車競技の発展につながればと思う」と語るプロ2年目の24歳が、大金星を手にするとともにマリアビアンカのリードを広げ、総合順位を11位から8位まで上げた。
落車したフルームを含め、総合上位陣は同タイムの集団でフィニッシュしている。ステージ5位でフィニッシュし、マリアローザを守ったイェーツは「ヘアピンコーナーが滑りやすく、雨が強く降っていたのでとにかく集団の前で走ることを心がけた。比較的イージーなペースだったと思う。もちろんボーナスタイムを狙いたかったけど、塞がれてスプリントできなかった」とコメント。イェーツはトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)から16秒のリードを得た状態で、前半戦のクライマックスである1級山岳グランサッソ・ディタリアの山頂フィニッシュに挑む。
前日と同じ、ティレニア海に沿って北上するレイアウトで行われたジロ・デ・イタリア第8ステージ。この日は前半からアップダウンが組み込まれており、コース全長も209kmと長い。そして締めくくりは2級山岳モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノ(全長17.1km/標高差856m/平均5%/最大10%)の山頂フィニッシュだ。
標高1,260mの聖地に向かう登りがジロに登場するのは6回目。過去にディルーカやクネゴ、デクレルクが制しているモンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノの特徴は、5%ほどの緩い一定勾配と合計18ヶ所のスイッチバックにある。開幕から続いていた好天はこの第8ステージでストップし、選手たちは雨のモンテヴェルジネに挑むことになった。
マリアローザ争いが激化するような難易度のステージではないため、逃げ切りを狙う選手たちによる激しいアタックの応酬がスタート後しばらく続いた。23km地点でトッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・フィックスオール)が飛び出すと、ここにダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、アスタナ)やマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)、クーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)、マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼール)、ロドルフォ・トレス(コロンビア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)が合流。
さらにヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)とマッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)も先頭に追いついて状況が落ち着くと思われたが、どうしても逃げに選手を送り込みたいカチューシャ・アルペシンが集団を牽引して追撃したたためタイム差は広がらず、さらにカウンターアタックを誘発する。ペデルセンが脱落して先頭は7名。ロット・フィックスオールのアダム・ハンセン(オーストラリア)とティム・ウェレンス(ベルギー)の追走は届かず、レース開始から1時間半が経ってようやく集団はスピードを落とした。
実績ある選手たち7名による逃げは最大で7分半のリードを稼ぎ出す。逃げの中で総合成績が最も良いのは過去にステージ2勝しているポランツェで、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)から8分16秒遅れの総合37位。ミッチェルトン・スコットが落ち着いて集団をコントロールしたため、暫定でマリアローザがポランツェに移ることはなかった。
ステージ後半に入り、ナポリの近くをかすめて内陸部に向かうとともに天候は悪化する。残り20kmを切ると雨は本降りとなり、逃げグループとメイン集団のタイム差が1分40秒まで縮まった状態で2級山岳モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノの登坂が始まる。
逃げグループの中で最初に動いたのはモホリッチ。2013年のU23世界チャンピオンによるアタックによって残り13km地点でヴィレッラとトレス、ヴァンデルサンドが脱落する。ポランツェ、モホリッチ、ボウマン、モンタグーティが雨に包まれたモンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノを駆け上がったが、その後方にはミッチェルトン・スコット率いるメイン集団が迫った。
フィニッシュまで残り5kmを切ると、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)はスリッピーなヘアピンコーナーで白線に後輪を滑らせて落車。フルームはすぐさまチームメイトたちの力を借りて集団に復帰するとともに、そこからチームスカイが集団のペースメイクを担った。
すでに200km近くを逃げているボウマンが独走に持ち込んだものの、約30名の大きな集団がハイスピードで迫りくる。残り2kmを切るとメイン集団からミカエル・シュレル(フランス、アージェードゥーゼール)がアタック。逃げ続けたボウマンは吸収された。
シュレルのアタックに反応したのがマリアビアンカを着るカラパス。残り1kmアーチを前にシュレルとボウマンを置き去りにしたカラパスが独走に持ち込み、追いすがる集団を振り切って逃げ切った。総合上位陣を含む28名のメイン集団は残り500mで仕掛けたティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)とダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)らを先頭にフィニッシュしている。
エクアドル人として初めてグランツールに出場し、エトナ山でエクアドル人として初めて特別賞ジャージを手にし、そしてモンテヴェルジネでエクアドル人として初めてステージ優勝を飾ったカラパス。「グランツールでのステージ初勝利を飾って、とても幸せでエモーショナルだ。スプリントでは勝ち目がないとわかっていたので早めにスパートを仕掛けた。残り2kmというタイミングはばっちりだったと思う。まだローマまで長い道のりで、自分がどこまで走れるのか分からないけど、これから先の成績が気にならないような美しい勝利を手にすることができたよ。この勝利がエクアドルの自転車競技の発展につながればと思う」と語るプロ2年目の24歳が、大金星を手にするとともにマリアビアンカのリードを広げ、総合順位を11位から8位まで上げた。
落車したフルームを含め、総合上位陣は同タイムの集団でフィニッシュしている。ステージ5位でフィニッシュし、マリアローザを守ったイェーツは「ヘアピンコーナーが滑りやすく、雨が強く降っていたのでとにかく集団の前で走ることを心がけた。比較的イージーなペースだったと思う。もちろんボーナスタイムを狙いたかったけど、塞がれてスプリントできなかった」とコメント。イェーツはトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)から16秒のリードを得た状態で、前半戦のクライマックスである1級山岳グランサッソ・ディタリアの山頂フィニッシュに挑む。
ジロ・デ・イタリア2018第8ステージ結果
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 5:11:35 |
2位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:07 |
3位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | |
4位 | エンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ) | |
5位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
6位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
7位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | |
8位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | |
10位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 31:43:12 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:16 |
3位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:26 |
4位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:41 |
5位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:43 |
6位 | ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) | 0:00:53 |
7位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 0:01:03 |
8位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:01:08 |
9位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:01:10 |
10位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 0:01:11 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 178pts |
2位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 100pts |
3位 | サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 73pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | 35pts |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 20pts |
3位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 18pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 31:44:18 |
2位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) | 0:00:36 |
3位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:54 |
チーム総合成績
1位 | ミッチェルトン・スコット | 95:12:00 |
2位 | チームスカイ | 0:02:06 |
3位 | モビスター | 0:02:11 |
text:Kei.Tsuji
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