中東カタールで開催中のツアー・オブ・カタールで鎖骨を骨折する選手が続出している。すでにゲラルド・チオレック(ドイツ、チームミルラム)、クルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー、チームスカイ)、スティーヴン・コッザ(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)が鎖骨骨折によりレースを去った。

ツアー・オブ・カタール:強風が吹き付ける砂漠を駆け抜けるツアー・オブ・カタール:強風が吹き付ける砂漠を駆け抜ける photo:A.S.O.カタール2日目の第2ステージ、ニュートラルゾーン走行中に落車したクルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー、チームスカイ)は鎖骨骨折によりレースを去った。ノルウェーチャンピオンジャージでチームスカイデビューを飾った僅か24時間後だった。

アルヴェセンはチームスカイの公式サイトの中で「落車が発生したのはレースがスタートする前の話。スタート地点に向かっているとき、追い抜いた一人の選手が道を塞いだので、バイクコントロールを失ってしまった。本当に馬鹿げた事故だった。鎖骨の骨折はいつでも不運なことだけど、シーズンをスタートさせようとしていたこの時期の骨折には参った」とコメントしている。

落車で鎖骨を骨折したクルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー、チームスカイ)落車で鎖骨を骨折したクルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー、チームスカイ) photo:A.S.O.アルヴェセンは今週35歳になったベテラン。昨年のツール・ド・フランス第10ステージでも落車し、鎖骨骨折によりリタイアしている。アルヴェセンはノルウェーに帰国して手術を受ける予定だ。

「不幸中の幸いは、前回の骨折と逆の鎖骨を骨折したこと。前回のようにスムーズに回復して早くレースに復帰したい」。アルヴェセンは数ヶ月の戦線離脱を余儀なくされる。

ゲラルド・チオレック(ドイツ、チームミルラム)ゲラルド・チオレック(ドイツ、チームミルラム) photo:CorVos2人目の鎖骨骨折は、ガーミン・トランジションズのコッザ。アルヴェセンと同じ第2ステージ、横風が吹き付けた50km地点で落車したコッザは左鎖骨を骨折した。「これはキャリアで3度目の鎖骨骨折。しかも同じ箇所なんだ。早く手術を受けてしっかりと治したい」。コッザはベルギーに戻り、プレートによる固定手術を受ける。

落車した選手の中で最も大きな被害を受けたのが、ミルラムのエーススプリンターを務めるチオレック。第3ステージのゴール300m手前で激しく落車し、右半身を地面に打ち付けたチオレックは、鎖骨骨折に加え、舟状骨(手首の親指側にある骨)骨折、肩の脱臼を負った。

チオレックはドイツに帰国し、2月11日に手術を受けた。早ければ3週間後にバイクトレーニングに復帰する。しかし、少なくとも2ヶ月は戦線を離脱することになる。

ミルラムのチームマネージャーを務めるゲリー・ファンヘルヴェン氏は、エーススプリンターの落車リタイアに戸惑いを隠せない。「シーズン序盤にゲラルド(チオレック)を失うのは最悪のシナリオだ。ゲラルドは春のレースにおける中心的人物だった。その彼が戦線を離脱したことで、チームのスケジュールを変更しなければならない。彼が今優先すべきことは、とにかく一刻も早く回復して、地道にトレーニングをこなすこと。レースのことを考えるのは、彼のコンディションが戻ってからの話だ」。チームミルラムはエーススプリンター不在のまま春のクラシックシーズンを迎えることになる。

選手コメントは各チーム公式サイトより。

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, A.S.O.