パリ〜ルーベなどでも使用されたヴィットリアのエンデュランスタイヤ「CORSA CONTROL」をインプレッション。最先端素材グラフェンを配合をしたコンパウンドとミックスパターンで武装した、北のクラシックで大きなシェアを誇るオールコンディションタイヤの実力とは。



ヴィットリア CORSA CONTROLヴィットリア CORSA CONTROL photo:Makoto.AYANO/cyclowired.jp
2015年にフルモデルチェンジを果たしたヴィットリアのCORSAシリーズに、今年1月に正式にラインナップに加わったのがエンデュランス&オールコンディションタイヤのCORSA CONTROL(コルサコントロール)だ。北のクラシック「ロンド・ファン・フラーンデレン」や「パリ〜ルーベ」など石畳を走るレースでのプロ仕様率が最も高いタイヤとしても知られる。

CORSA CONTROLはベースとなるノーマルモデルのCORSAと比較した際に、トレッドにアップデートが加わっているのが特徴だ。CORSAよりトレッドゴム厚を最大で0.4mm厚くし、ショルダー部をよりタイヤ側面へ拡大した事で悪路でのカットパンクを含め耐パンク性能を上げているほか、ショルダー部分に杉目状の織り目パターンを入れることで、グリップ力とウェット路面での対応力、耐久性を高めたものになっている。これにより、グラベルライドやツーリング、ディスクブレーキロードにも最適なグリップ性能を獲得したモデルに仕上がっている。

ショルダーに杉目状の織り目を入れたトレッドパターンショルダーに杉目状の織り目を入れたトレッドパターン 形状はクセのない丸断面だ形状はクセのない丸断面だ


コンパウンドはヴィットリアの誇る最先端素材グラフェンを配合したグラフェンG+Isotech 4C。タイヤが真っ直ぐに進む時は硬くなることで転がり抵抗を減らし、コーナリング中など負荷がかかるとコンパウンドが軟化しグリップ力が向上する性能を持つ。これによりグリップ力と転がり性能という相反する性能を妥協すること無く両立させることができ、攻守ともにバランスされた走行性能を獲得している。

ケーシングもヴィットリアが先代CORSAから採用し続ける高密度織りのコットンケーシング、コアスパンK320TPIを使用。ポリエステル芯の周囲にコットンを織り込んだコアスパン糸をベースに、ケブラーで補強するという同社に伝統的な構造のケーシングだ。これにより、しなやかかつ剛性の高いレーシングタイヤに相応しい乗り味を実現している。

チューブラーはフラップまでブラック。素材はコットンだチューブラーはフラップまでブラック。素材はコットンだ おそらくコンパウンドの配合はノーマルCORSAとは違うだろう触感だおそらくコンパウンドの配合はノーマルCORSAとは違うだろう触感だ


クリンチャーとチューブラーがあり、サイズはクリンチャーモデルが25mmと28mm、チューブラーモデルは25、28に加え、CORSAシリーズ唯一の30mm幅をラインアップ。カラーはオールブラックとサイド部分にコットンケーシングが露出するブラック(パラサイド)の2色。なおチューブラーモデルのインナ―チューブにはラテックスチューブが採用され、転がり抵抗が少なくしなやかな乗り心地に貢献。

悪路での走破性を高めたいライダーや、より振動吸収性の高い乗り心地を求める人にマッチするだろうと思われるCORSA CONTROL。今回はパヴェやグラベルを含む様々な路面状況で使用してのインプレッションをお届けする。

舗装路、グラベル、ベルギーのパヴェで試したインプレッション

CORSA CONTROLの存在は、北のクラシックにおいてプロトタイプが使われ出した数年前より認知されていたが、いよいよ市販モデルに加わった。純ロードレーシングタイヤのCORSAの性能に対する評価が非常に高いこともあり期待されるCORSAのバリエーションモデルだ。

荒れた路面で真価を発揮するヴィットリアCORSA CONTROL荒れた路面で真価を発揮するヴィットリアCORSA CONTROL
CORSA CONTROLのインプレッションを書く前に、ベースモデルのCORSAの感想から記しておこう。旧CORSA CX等からコンパウンドもトレッドも大きく進化して生まれ変わった新CORSAは、しなやかなケーシングが真価を発揮し、快適性とグリップ力の高さに加えて、その素直な丸断面から非常にコントロールしやすいコーナリング特性をもっているレーシングタイヤだ。バイクを倒し込んだときにも路面とトレッドがコンタクトしている情報が分かりやすく伝わってくるため、そのグリップ限界の高さと同時に非常に扱いやすいタイヤだ。また、トレッドの耐摩耗性が非常に高く、旧CORSA CX等と比較しても明らかに減りが少ない。筆者が長期使用した実感ではおそらく3倍以上は長寿命でないかと思われるほどだ。グラフェンのもつ特性のおかげか、意外にもグラベルでの耐久性も高く、トレッドに傷がつきにくいためパンクも呼びにくい印象がある。

以上のようにCORSAは使い込むごとにオールマイティーな性能に感心するレーシングタイヤだ。CORSA CONTROLは、そのCORSAにタフな耐久性とオールウェザー性能を持たせた製品と言えるだろう。今回は25Cのチューブラー版をテストした。

ショルダーの杉目が砂の浮いた舗装路面でも路面μをうまく伝えてくれるショルダーの杉目が砂の浮いた舗装路面でも路面μをうまく伝えてくれる 実測重量はカタログ値より11g重い306gだった実測重量はカタログ値より11g重い306gだった


CORSA CONTROL 25Cの製品実測で306gは、カタログ値の295gより11g重かった。ライドフィーリングの第一印象は、CORSAのしなやかさとは対象的に、やや硬さが目立つもの。乗り出してすぐはクリンチャータイヤのような感触に違和感があったが、空気圧の設定を色々と試すうちにコルサより低めの圧で良い空気圧帯を見つけた。体重62kgの筆者で前輪:5、後輪:5.2気圧ほどがスムーズな舗装路では良いと感じた。CORSAより1気圧ほど低めだ。

硬めのトレッドだがケーシングはしなやかなため空気圧を下げても腰砕けしない硬めのトレッドだがケーシングはしなやかなため空気圧を下げても腰砕けしない 乗り心地が硬く感じたのは、やはりトレッドゴムが厚いからだ。適正圧であればCORSAと同じ高密度320TPIケーシングのしなやかさが十分に活かされ、CORSA同様の乗り心地の良さを感じることができる。トレッドは硬めだが、ケーシングで微振動を吸収してくれる不思議なライドフィーリングのタイヤだ。グリップは十分に良く、タイトコーナーでも不安はない。

今回はベルギーに持ち込み、パヴェ(石畳)でお馴染みのロンド・ファン・フラーンデレンの市民レース、RVV Cycloを走ってみた。舗装路より空気圧を下げるのはもちろん。適正圧を探りながら、前輪:4、後輪:4.2気圧ほどで落ち着いた。この値は普通のチューブラーではなかなか下げられない数値だが、CORSA CONTROLは具合が良かった。凸凹の続くパヴェでもしなやかさゆえに良くグリップしてくれ、かつ腰砕けしないためコーナリングもアンダーステアにならない。トレッドにタフさを感じるので、自信を持って凸凹に突っ込んで行ける。実際、荒れた路面を今まで自分が体験したどのロードタイヤより確実に速く走れた。ジープロード系の砂利のグラベルも得意だ。尖った石にも耐えるであろう丈夫さをもっているトレッドはパンクの心配が少ない。パンクは確率論にもなるが、実際に2ヶ月酷使してもカットパンクはまだ未体験だ。

CORSA CONTROLでロンド・ファン・フラーンデレンの市民レースを走ったCORSA CONTROLでロンド・ファン・フラーンデレンの市民レースを走った photo:SportGraf
荒れた路面だけでなく、流水に濡れた路面や砂の浮いたコーナーでもグリップに安心感がある。微妙な差なのだろうが、トレッドの杉目パターンがグリップの限界点を分かりやすくしてくれる感覚があり、バイクを倒しこんでタイヤを路面に押し付けると、その路面のμをより繊細に伝えてくれる感じがする。砂粒の浮いた箇所に乗っても滑りにくい気もする。それは本当に些細な感覚の差なのだが、一気にグリップを失って滑るタイヤとは違うものだ。空気圧が下げられることで得られるものも大きいだろう。

グラベル、パヴェ、ラフロードといえば興味のない純ロードマンには非現実的状況かもしれないが、荒れた路面でも安心感があるのは日常的なロードライドでもメリットが大きい。かつ、かなり使い込んだのに一向に減る気配のないトレッドは、CORSA以上に高耐久であることは確実だ。ゴム厚で0.4mmの余裕は、おそらくかなりのロングライフにつながっているのだろうと想像できる。

カーボンホイールが一般的な存在となり、2本め3本目のホイールを所有している人もいるだろう。普段乗りにもチューブラーホイールを使いたいという人や、ツーリングやエピックライド的用途にも、こうした高性能でタフなタイヤを使いたいもの。とくにチューブラー派の普段使いタイヤにはうってつけだと思う。
(インプレッション:綾野 真/編集部)

荒れた路面を走ってもトレッドの摩耗や傷が少ない印象だ荒れた路面を走ってもトレッドの摩耗や傷が少ない印象だ
ヴィットリア CORSA CONTROL クリンチャー
ヴィットリア CORSA CONTROLヴィットリア CORSA CONTROL サイズ:700x25c、700x28c
ケーシング:コアスパンK320TPI
コンパウンド:グラフェンG+Isotech 4C
カラー:フルブラック、ブラック(パラサイド)
重 量:265g(25c)
価 格:7,800円(税別)

ヴィットリア CORSA CONTROL チューブラー
サイズ:25-28”、28-28”、30-28"
ケーシング:コアスパンK320TPI
コンパウンド:グラフェンG+Isotech 4C
チューブ:ラテックス
カラー:フルブラック、ブラック(パラサイド)
重 量:295g(25c)
価 格:13,800円(税別)

photo&text:Makoto.AYANO

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