2018/02/06(火) - 09:35
シクロクロス世界選手権男子エリートで表彰台に上がった選手たち。これからロードレースをメインに据えるワウト・ファンアールトや、リベンジを誓うマテュー・ファンデルポール、来年ベルギーチームのリーダーとなるマイケル・ファントーレンハウトの記者会見の模様を紹介する。
ワウト・ファンアールト(ベルギー)
今年は去年と違うプログラムでシクロクロスシーズンの開幕に臨んだけれど、アメリカでのワールドカップ以降調子を掴めないままでいた。だから考え方を変えて世界選手権だけを見据えてピーキングをする必要があったんだ。それが今回の結果を生んだと思う。
今日は絶対にマテューを離さないと決めていた。最初にして最大級に難しい課題だと覚悟していたよ。これまでのレースでも少しの差が決定打に繋がっていたけれど、上手くフォローできた。とにかく重い路面だったのでむやみなアタックは賢いと言えず、フィニッシュまで逃げ続けるためのリズムを2周目で見極めていた。3周目のピット前でチェーントラブルがあったけれど、その時点で余裕のリードが生まれていていたので自分でも驚いたよ。
確かに今シーズンはマテューにやられっぱなしだった。世界選手権は絶対に勝つ自信を持たなければ良い結果は望めないけれど、シーズンを通して強い選手が勝つわけでもない。それに彼は前の選手を追いかけることに対しては慣れていないから、前に出てプレッシャーを掛ける考えもあった。練習を重ねて調子を上げてきたことをモチベーションにして臨んだけれど、ここまでの大差が付くとは思わなかったね。マテューは普段力の差があるファントーレンハウトにも先行されたりと本調子では無いことは明らかだった。
加えてナショナルチームの雰囲気も良くて、とてもリラックスできていた。メンバーは全員ユースカテゴリーから一緒にやってきた仲だし、朝食の時だってずっと冗談を飛ばしていたよ。選手同士、そしてスタッフ陣のサポートがあってこその勝利だったことは間違いない。
これからはロードレースに主眼を置くから、シクロクロスはワールドカップに集中して、スーパープレスティージュやDVV(ファルゼクリンゲントロフェー)はスキップすると思う。当然アルカンシェルの防衛も考えてはいるものの、今シーズンほどうまくいくとは思えない。今回は僕を育ててくれたシクロクロスに対して最高の形でさよならが言えた。ファンも、コースも素晴らしく、そして美しい戦いだった。
マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー)
今日は現在のシクロクロス界で最強の2人を追いかける形でスタートできた。普段とは違う展開に自分でも驚いたし、本当にレースが楽しくて、夢のような1時間だった。彼ら2人と渡り合っての2位だなんて、自分にとっては最良の結果だった。本当に満足しているよ。
トーン(アールツ)が上がってくればベルギーで表彰台を独占できたけれど、彼は最終周回にパンクしてしまったのが残念だったね。僕は今シーズン膝を壊してしまって練習ができず、アップダウンが激しくて精神的に厳しい時もあった。でも今回の銀メダルは来年のモチベーションになってくれるはずだよ。
ワウトがロードに主眼を置くから、来年は僕がベルギーチームのリーダーになると思っている。来年はケヴィン(パウエルス)も代表メンバーに戻ってくるはずだし、良いチーム作りをしていきたい。
マテュー・ファンデルポール(オランダ)
自分は今日そこまでミスを連発したわけじゃない。もはや別次元と言えるほどただワウトが速かったし、自分に彼を追うだけの脚が無かった。今シーズンはパーフェクトな仕上がりで臨めてきたし、ランニングの練習もかなりの量をこなしてきた。オランダでの世界選手権に対してプレッシャーがないわけではなかったけれど、スタート前ですらリラックスして臨むことができていた。
勝つためにここに来たから、ワウトに追いつかないと直感した時はひどい気分だった。けれど最終周回に持ち直せたのはオランダファンの声援のおかげ。ベルギー人選手に表彰台を独占されたくなかったし、一度諦めかけていたその気持ちに火が付いたんだ。最高の観客の後押しを受けて気分は良かったよ。
父が設定したコースはここ数年の世界選手権で最もタフだったけれど、それを言い訳にはしたくない。これまでの調子を出せていればおそらく攻略できていたはずなんだ。ワウトとの違いは、彼はこの日だけをフォーカスしていて、自分はシーズンを通して好調をキープし、できるだけ勝利数を稼ぐことを目指していたことで生まれたと思う。とは言え自分には自分のプログラムがあって、ワウトが今年勝ったからといって彼のスケジュールを真似する気は無いよ。
今シーズン最も強かった選手は僕だと思うけれど、今日はワウトが勝った。世界選手権はたった1日で全てが決まる。結果はシンプルだよ。去年と同じくワールドカップも含めてMTBレースを走るだろうけれど、10レース以上を走る気は無い。来年もまたシクロクロスをメインにシーズンを過ごしたい。
text&photo:So.Isobe in Valkenburg, Nederland
ワウト・ファンアールト(ベルギー)
今年は去年と違うプログラムでシクロクロスシーズンの開幕に臨んだけれど、アメリカでのワールドカップ以降調子を掴めないままでいた。だから考え方を変えて世界選手権だけを見据えてピーキングをする必要があったんだ。それが今回の結果を生んだと思う。
今日は絶対にマテューを離さないと決めていた。最初にして最大級に難しい課題だと覚悟していたよ。これまでのレースでも少しの差が決定打に繋がっていたけれど、上手くフォローできた。とにかく重い路面だったのでむやみなアタックは賢いと言えず、フィニッシュまで逃げ続けるためのリズムを2周目で見極めていた。3周目のピット前でチェーントラブルがあったけれど、その時点で余裕のリードが生まれていていたので自分でも驚いたよ。
確かに今シーズンはマテューにやられっぱなしだった。世界選手権は絶対に勝つ自信を持たなければ良い結果は望めないけれど、シーズンを通して強い選手が勝つわけでもない。それに彼は前の選手を追いかけることに対しては慣れていないから、前に出てプレッシャーを掛ける考えもあった。練習を重ねて調子を上げてきたことをモチベーションにして臨んだけれど、ここまでの大差が付くとは思わなかったね。マテューは普段力の差があるファントーレンハウトにも先行されたりと本調子では無いことは明らかだった。
加えてナショナルチームの雰囲気も良くて、とてもリラックスできていた。メンバーは全員ユースカテゴリーから一緒にやってきた仲だし、朝食の時だってずっと冗談を飛ばしていたよ。選手同士、そしてスタッフ陣のサポートがあってこその勝利だったことは間違いない。
これからはロードレースに主眼を置くから、シクロクロスはワールドカップに集中して、スーパープレスティージュやDVV(ファルゼクリンゲントロフェー)はスキップすると思う。当然アルカンシェルの防衛も考えてはいるものの、今シーズンほどうまくいくとは思えない。今回は僕を育ててくれたシクロクロスに対して最高の形でさよならが言えた。ファンも、コースも素晴らしく、そして美しい戦いだった。
マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー)
今日は現在のシクロクロス界で最強の2人を追いかける形でスタートできた。普段とは違う展開に自分でも驚いたし、本当にレースが楽しくて、夢のような1時間だった。彼ら2人と渡り合っての2位だなんて、自分にとっては最良の結果だった。本当に満足しているよ。
トーン(アールツ)が上がってくればベルギーで表彰台を独占できたけれど、彼は最終周回にパンクしてしまったのが残念だったね。僕は今シーズン膝を壊してしまって練習ができず、アップダウンが激しくて精神的に厳しい時もあった。でも今回の銀メダルは来年のモチベーションになってくれるはずだよ。
ワウトがロードに主眼を置くから、来年は僕がベルギーチームのリーダーになると思っている。来年はケヴィン(パウエルス)も代表メンバーに戻ってくるはずだし、良いチーム作りをしていきたい。
マテュー・ファンデルポール(オランダ)
自分は今日そこまでミスを連発したわけじゃない。もはや別次元と言えるほどただワウトが速かったし、自分に彼を追うだけの脚が無かった。今シーズンはパーフェクトな仕上がりで臨めてきたし、ランニングの練習もかなりの量をこなしてきた。オランダでの世界選手権に対してプレッシャーがないわけではなかったけれど、スタート前ですらリラックスして臨むことができていた。
勝つためにここに来たから、ワウトに追いつかないと直感した時はひどい気分だった。けれど最終周回に持ち直せたのはオランダファンの声援のおかげ。ベルギー人選手に表彰台を独占されたくなかったし、一度諦めかけていたその気持ちに火が付いたんだ。最高の観客の後押しを受けて気分は良かったよ。
父が設定したコースはここ数年の世界選手権で最もタフだったけれど、それを言い訳にはしたくない。これまでの調子を出せていればおそらく攻略できていたはずなんだ。ワウトとの違いは、彼はこの日だけをフォーカスしていて、自分はシーズンを通して好調をキープし、できるだけ勝利数を稼ぐことを目指していたことで生まれたと思う。とは言え自分には自分のプログラムがあって、ワウトが今年勝ったからといって彼のスケジュールを真似する気は無いよ。
今シーズン最も強かった選手は僕だと思うけれど、今日はワウトが勝った。世界選手権はたった1日で全てが決まる。結果はシンプルだよ。去年と同じくワールドカップも含めてMTBレースを走るだろうけれど、10レース以上を走る気は無い。来年もまたシクロクロスをメインにシーズンを過ごしたい。
text&photo:So.Isobe in Valkenburg, Nederland
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