2018/01/14(日) - 11:05
1月14日から21日までの8日間にわたってUCIワールドツアー初戦サントス・ツアー・ダウンアンダーが開催される。20回記念大会には地元オーストラリアのポートやユアン、サガンやコスタ、グライペル、ヴィヴィアーニ、そして別府史之と新城幸也も出場する。
ノートンサミットとウィランガヒルが総合争いの鍵
南半球最大のロードレースであるサントス・ツアー・ダウンアンダーが初開催されたのは1999年のこと。1985年から1995年までアデレード市内で開催されていたF1オーストラリアグランプリが1996年にメルボルンのアルバートパークに移ったことに伴い、代替イベントとして誕生した。当初はカテゴリーの低い国内選手向けのステージレースとして開催されたが、南オーストラリア州観光局のバックアップを受けて徐々に規模を拡大。2008年にUCI(国際自転車競技連合)のトップレースカテゴリーであるUCIプロツアーレース(現在UCIワールドツアーレース)入りを果たし、ハイシーズンに向けたトレーニングに勤しむ欧米選手のシーズンデビュー戦としてのポジションを確立した。
また、ダウンアンダーは選手だけでなくファンにとっても観戦がしやすいレースとして知られている。トップ選手が揃うステージレースながら、アデレードに滞在すればほぼ毎ステージ自走で観戦ポイントに向かうことが可能。そのためオーストラリア各地から多くのサイクリストがアデレードに駆けつけ、1週間ライドをしながらレースを観戦するスタイルがすっかり定着した。
「ダウンアンダー(Down Under)」は、元々イギリスから見て地球の裏側にあるオーストラリアやニュージーランドを指す言葉。ヨーロッパ在住の選手たちは長時間のフライトを経てオーストラリア大陸に乗り込む。大きな気温差に慣れ、10時間近い時差を解消するために多くの選手たちが時間に余裕をもって現地入りしている。南半球オーストラリアは今がまさに夏の盛りで、連日気温が40度を超える年もしばしば。女子レースが開催された前週は雨降りが多かったものの、男子レース開催週は連日好天&高温の予報が出ている。なお、日本との時差は+1.5時間(現在はサマータイム)だ。
アデレード近郊には大きな山脈が無く、大会の最標高地点も標高500m程度と低い。海沿いの平野部や、ワインの産地として世界的に有名なバロッサバレー、クレアバレー、アデレードヒルズと呼ばれる丘陵地帯がコースの大部分を占めている。
8日間の戦いはアデレード市内のクリテリウムで幕開ける。ピープルズ・チョイス・クラシックと名付けられたハイスピードレースは顔見せ的な意味合いが強く、UCIワールドツアーに含まれていないため本戦の総合成績には反映されない。休息日を挟んで火曜日の第1ステージが2018年UCIワールドツアーカレンダーの初日となる。
バロッサバレーを吹き抜ける風に注意が必要な第1ステージはスプリンター向き。そして断続的なアップダウンのあるスターリングの周回コースに至る第2ステージはペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)に代表されるパンチャー向きで、過去のステージ上位入賞者を見るとパンチャーやオールラウンダー、登れるスプリンターが入り混ざっている。再び風に注意が必要なヴィクターハーバーにフィニッシュする第3ステージを経て、総合成績が形をなすのが第4ステージと第5ステージ。
アデレード近郊の定番ヒルクライムコースで、週末はサイクリストで溢れかえるKOMノートンサミット(全長5.8km/平均5%)を越えて、さらに登り基調の山道を8km走ってフィニッシュする第4ステージは新登場のフィニッシュレイアウト。KOMオールドウィランガヒル(全長3.0km/平均7.5%)を2回登る最終日前日の第5ステージがクイーンステージであることに変わりはないが、不確定要素の多いKOMノートンサミットが刺激的な展開を生むと予想される。
サントス・ツアー・ダウンアンダー(UCIワールドツアー)
1月14日(日)ピープルズ・チョイス・クラシック 50.6km
1月16日(火)第1ステージ ポートアデレード〜リンドック 145km
1月17日(水)第2ステージ アンレー〜スターリング 148.6km
1月18日(木)第3ステージ グレネルグ〜ヴィクターハーバー 146.5km
1月19日(金)第4ステージ ノーウッド〜ウライドラ 128.2km
1月20日(土)第5ステージ マクラーレンヴェイル〜ウィランガヒル 151.5km
1月21日(日)第6ステージ アデレード〜アデレード 90km
盤石の体制で連覇を狙うBMC ユアンとサガンのスピード対決に注目
4年連続でKOMオールドウィランガヒルを制し、2017年に初の総合優勝を果たしたリッチー・ポート(オーストラリア)は強力なBMCレーシングを引き連れて連覇を目指す。ポートを支えるのは、2006年、2012年、2014年、2016年大会の総合優勝者であるサイモン・ゲランス(オーストラリア)と、2015年大会の総合優勝者でオーストラリア選手権TTで3連覇を達成したばかりのローハン・デニス(オーストラリア)。好調な地元オーストラリアの三強を揃えるアメリカチームが総合争いで主導権を握るはずだ。
オーストラリア唯一のUCIワールドチームであるミッチェルトン・スコットは、2017年に無敵のスプリント4勝を飾ったカレブ・ユアン(オーストラリア)をエースに立てる。オーストラリア選手権ロードを制したアレクサンダー・エドモンソン(オーストラリア)や2011年大会の総合優勝者キャメロン・マイヤー(オーストラリア)も揃うが、チームは例年以上にユアンのスプリントサポートに主眼を置いている印象だ。
2017年大会総合2位のジェイ・マッカーシー(ボーラ・ハンスグローエ)やネイサン・ハース(カチューシャ・アルペシン)、UniSAオーストラリアのメンバーとして出場するネイサン・アール(イスラエルサイクリングアカデミー)ら、オーストラリア選手権で調子の良さを見せた地元勢が総合上位を占めるだろう。
世界チャンピオンのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)のダウンアンダー出場は2年連続。2017年大会では集団スプリントに挑みながらユアンのスピードに敵わずステージ2位が3回。しかし今年はサガン向きの丘陵コース(第2ステージと第4ステージ)が設定されているため、ステージ優勝のチャンスは大きいと言える。チーム新加入のダニエル・オス(イタリア)やピーター・ケニャック(イギリス)との連携に注目。平坦ステージではサム・ベネット(アイルランド)とリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ)にリードアウトされるだろう。
ダウンアンダーでステージ通算16勝を飾り、2008年と2010年に総合優勝に輝いているアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)は3年ぶりの出場。同じくジャーマンスプリンターのニキアス・アルントとフィル・バウハウス(ドイツ)を揃えるサンウェブも強力で、チームスカイから移籍したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)は早速ベルギーチームのエーススプリンターとしてシーズンインする。
総合争いでオーストラリア勢に割って入ると目されるのが、過去の総合優勝者であるルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)やトムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ)、ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)やロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)ら。イサギレ兄弟(スペイン)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)を揃えるバーレーン・メリダの山岳力も強力だ。
ツール・ド・ラヴニールで総合優勝し、鳴り物入りでチームスカイ入りした20歳のエガン・ベルナル(コロンビア)が早くもシーズンイン。他にもチームスカイは2016年U23世界チャンピオンのクリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー)や次世代スプリンターのクリストファー・ローレス(イギリス)ら若手でメンバー構成を行なっており、その平均年齢は出場チームの中で最も若い24歳だ。
text:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
ノートンサミットとウィランガヒルが総合争いの鍵
南半球最大のロードレースであるサントス・ツアー・ダウンアンダーが初開催されたのは1999年のこと。1985年から1995年までアデレード市内で開催されていたF1オーストラリアグランプリが1996年にメルボルンのアルバートパークに移ったことに伴い、代替イベントとして誕生した。当初はカテゴリーの低い国内選手向けのステージレースとして開催されたが、南オーストラリア州観光局のバックアップを受けて徐々に規模を拡大。2008年にUCI(国際自転車競技連合)のトップレースカテゴリーであるUCIプロツアーレース(現在UCIワールドツアーレース)入りを果たし、ハイシーズンに向けたトレーニングに勤しむ欧米選手のシーズンデビュー戦としてのポジションを確立した。
また、ダウンアンダーは選手だけでなくファンにとっても観戦がしやすいレースとして知られている。トップ選手が揃うステージレースながら、アデレードに滞在すればほぼ毎ステージ自走で観戦ポイントに向かうことが可能。そのためオーストラリア各地から多くのサイクリストがアデレードに駆けつけ、1週間ライドをしながらレースを観戦するスタイルがすっかり定着した。
「ダウンアンダー(Down Under)」は、元々イギリスから見て地球の裏側にあるオーストラリアやニュージーランドを指す言葉。ヨーロッパ在住の選手たちは長時間のフライトを経てオーストラリア大陸に乗り込む。大きな気温差に慣れ、10時間近い時差を解消するために多くの選手たちが時間に余裕をもって現地入りしている。南半球オーストラリアは今がまさに夏の盛りで、連日気温が40度を超える年もしばしば。女子レースが開催された前週は雨降りが多かったものの、男子レース開催週は連日好天&高温の予報が出ている。なお、日本との時差は+1.5時間(現在はサマータイム)だ。
アデレード近郊には大きな山脈が無く、大会の最標高地点も標高500m程度と低い。海沿いの平野部や、ワインの産地として世界的に有名なバロッサバレー、クレアバレー、アデレードヒルズと呼ばれる丘陵地帯がコースの大部分を占めている。
8日間の戦いはアデレード市内のクリテリウムで幕開ける。ピープルズ・チョイス・クラシックと名付けられたハイスピードレースは顔見せ的な意味合いが強く、UCIワールドツアーに含まれていないため本戦の総合成績には反映されない。休息日を挟んで火曜日の第1ステージが2018年UCIワールドツアーカレンダーの初日となる。
バロッサバレーを吹き抜ける風に注意が必要な第1ステージはスプリンター向き。そして断続的なアップダウンのあるスターリングの周回コースに至る第2ステージはペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)に代表されるパンチャー向きで、過去のステージ上位入賞者を見るとパンチャーやオールラウンダー、登れるスプリンターが入り混ざっている。再び風に注意が必要なヴィクターハーバーにフィニッシュする第3ステージを経て、総合成績が形をなすのが第4ステージと第5ステージ。
アデレード近郊の定番ヒルクライムコースで、週末はサイクリストで溢れかえるKOMノートンサミット(全長5.8km/平均5%)を越えて、さらに登り基調の山道を8km走ってフィニッシュする第4ステージは新登場のフィニッシュレイアウト。KOMオールドウィランガヒル(全長3.0km/平均7.5%)を2回登る最終日前日の第5ステージがクイーンステージであることに変わりはないが、不確定要素の多いKOMノートンサミットが刺激的な展開を生むと予想される。
サントス・ツアー・ダウンアンダー(UCIワールドツアー)
1月14日(日)ピープルズ・チョイス・クラシック 50.6km
1月16日(火)第1ステージ ポートアデレード〜リンドック 145km
1月17日(水)第2ステージ アンレー〜スターリング 148.6km
1月18日(木)第3ステージ グレネルグ〜ヴィクターハーバー 146.5km
1月19日(金)第4ステージ ノーウッド〜ウライドラ 128.2km
1月20日(土)第5ステージ マクラーレンヴェイル〜ウィランガヒル 151.5km
1月21日(日)第6ステージ アデレード〜アデレード 90km
盤石の体制で連覇を狙うBMC ユアンとサガンのスピード対決に注目
4年連続でKOMオールドウィランガヒルを制し、2017年に初の総合優勝を果たしたリッチー・ポート(オーストラリア)は強力なBMCレーシングを引き連れて連覇を目指す。ポートを支えるのは、2006年、2012年、2014年、2016年大会の総合優勝者であるサイモン・ゲランス(オーストラリア)と、2015年大会の総合優勝者でオーストラリア選手権TTで3連覇を達成したばかりのローハン・デニス(オーストラリア)。好調な地元オーストラリアの三強を揃えるアメリカチームが総合争いで主導権を握るはずだ。
オーストラリア唯一のUCIワールドチームであるミッチェルトン・スコットは、2017年に無敵のスプリント4勝を飾ったカレブ・ユアン(オーストラリア)をエースに立てる。オーストラリア選手権ロードを制したアレクサンダー・エドモンソン(オーストラリア)や2011年大会の総合優勝者キャメロン・マイヤー(オーストラリア)も揃うが、チームは例年以上にユアンのスプリントサポートに主眼を置いている印象だ。
2017年大会総合2位のジェイ・マッカーシー(ボーラ・ハンスグローエ)やネイサン・ハース(カチューシャ・アルペシン)、UniSAオーストラリアのメンバーとして出場するネイサン・アール(イスラエルサイクリングアカデミー)ら、オーストラリア選手権で調子の良さを見せた地元勢が総合上位を占めるだろう。
世界チャンピオンのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)のダウンアンダー出場は2年連続。2017年大会では集団スプリントに挑みながらユアンのスピードに敵わずステージ2位が3回。しかし今年はサガン向きの丘陵コース(第2ステージと第4ステージ)が設定されているため、ステージ優勝のチャンスは大きいと言える。チーム新加入のダニエル・オス(イタリア)やピーター・ケニャック(イギリス)との連携に注目。平坦ステージではサム・ベネット(アイルランド)とリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ)にリードアウトされるだろう。
ダウンアンダーでステージ通算16勝を飾り、2008年と2010年に総合優勝に輝いているアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)は3年ぶりの出場。同じくジャーマンスプリンターのニキアス・アルントとフィル・バウハウス(ドイツ)を揃えるサンウェブも強力で、チームスカイから移籍したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)は早速ベルギーチームのエーススプリンターとしてシーズンインする。
総合争いでオーストラリア勢に割って入ると目されるのが、過去の総合優勝者であるルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)やトムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ)、ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)やロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)ら。イサギレ兄弟(スペイン)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)を揃えるバーレーン・メリダの山岳力も強力だ。
ツール・ド・ラヴニールで総合優勝し、鳴り物入りでチームスカイ入りした20歳のエガン・ベルナル(コロンビア)が早くもシーズンイン。他にもチームスカイは2016年U23世界チャンピオンのクリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー)や次世代スプリンターのクリストファー・ローレス(イギリス)ら若手でメンバー構成を行なっており、その平均年齢は出場チームの中で最も若い24歳だ。
text:Kei Tsuji in Adelaide, Australia