2017/11/01(水) - 09:03
ジャイアントから通気性と空力性能を両立したオールラウンドヘルメット「PURSUIT」をテスト。流行りのセミエアロフォルムを纏った、チームサンウェブでの使用率も高いレーシングヘルメットを紹介しよう。
高い生産能力と開発力を活かし、バイクのみならず様々なアイテムを世に送り出しているジャイアント。もちろんヘルメットもエントリーモデルからハイエンドモデルまで多様な製品がラインアップされているが、その中でもチームサンウェブによって実戦投入されているオールラウンドヘルメットが「PURSUIT」である。
ジャイアントヘルメットにおいて、ハイエンドグレードに属するモデルは3つ。軽量で通気性の高いREV、エアロダイナミクスを追求したRIVET、そしてその2つのテクノロジーを踏まえ通気性と空力性能の両立を目指し開発されたのがPURSUIT。今年のツール・ド・フランスで山岳賞を獲得したワレン・バルギル(フランス)や、ポイント賞を獲得したマイケル・マシューズ(オーストラリア)も愛用するモデルだ。
昨今プロトン内でも急激に増えたセミエアロフォルムが大きな特徴。空力性能を高める通気口の少ない流線型の帽体で、頭頂部からテール部分にかけてシェルの両サイドを削ぎ落とすことで空気の流れを調整。あらゆる風向きでも整流効果が得られるようCFD解析と風洞実験を繰り返し、優れたエアロダイナミクス性能を獲得している。
反対にヘルメット前方には8つの大きなベンチレーションホールを確保し、後方にも7つの排気口を開けることでヘルメット内のエアフローを最適化。ヘルメット内側にも空気が通るチャネルが設けられ、効率的に風が吹き抜ける設計により頭部の蒸れを防止し、高い冷却効果を生み出すことで快適な装着感を実現している。
構造はポリカーボネートでできたアウターシェルにEPSを熱圧着により貼付けるものだ。その上でEPS内部には芯材としてのポリカーボネート構造シェルを配置し高強度化と軽量化を実現しており、もしも転倒し頭部を打ったとしても帽体が破断せずにしっかりと頭をホールドしてくれるという。
ストラップは独自に開発されたLiteFormストラップを使用することで高い耐久性を実現。またCINCH PROフィットシステムと呼ばれるダイヤルタイプのクロージャーを搭載することで、細かな調節ができるとともに後頭部を包み込むような快適なフィット感を生み出している。
カラーはマットブラック・ブルー、マットブルー・ブラック、マットブラック・ライム、マットブラックの4種類となっており、サイズはM(52-58cm)とL(56-62cm)が用意される。JCF公認ヘルメットとなるため、公式レースでの使用も可能となっている。価格は19,000円(税抜)だ。
― 編集部インプレッション
筆者がこのヘルメットをテストする機会を得たのは、全世界発表を前にフランスで開催されたPROPEL DISCのグローバルローンチイベントにおいて。残暑厳しいフランスだったが、丘陵地をスピーディーに駆け抜けるライドはヘルメットの通気性を試すには絶好の場だ。
なお、プレゼン会場で渡されたPURSUITはヨーロピアンシェイプだったため(日本国内ではアジアンフィットを販売)、フィット感については言及できないことをお断りしておきたい(欧米頭の筆者にとってはベストだったが)。
まずは見た目だが、これは結構好き嫌いの分かれる部分だと思う。頭頂部の両サイドを切り欠いたフォルムはどこか宇宙船のようで、好きな人は大好きだろうし、嫌いな人は手に取ることもないだろう。しかし「もちろんデザインの好みはある。でもこれはPROPEL DISC同様エアロを突き詰めたがゆえの形状。エアロロードを選ぶ人なら気に入ってくれると思う」と、ジャイアントのギア関連を統括するジェフ・シュナイダー氏は胸を張る。
実際の走行で顕著に感じるのが、ヘルメット内部のクーリング性能が素晴らしい点。ベンチレーションホールが前方にのみ用意されているので完全に下を向くとNGだが、下ハンを握るような低い体勢でも風がどんどん入ってくる。頭頂部にはベンチレーションホールが設けられておらず、見た目には暑そうだが、意外や驚くほどに涼しいのだ。風を通すチャネルが深いため、例えばヒルクライムでも想像以上に蒸れにくく、各社用意されているセミエアロヘルメットの中での通気性はトップクラスだろう。
肝心のエアロ性能に関してはジャイアントの開発力を信じる他ないが、後頭部付近で風が暴れている感覚もない。ほんの数センチ差が明暗を分けるゴールスプリントであれば、少しの空力抵抗も削減したいところ。そういったシーンでも信頼できることと思う。
実測重量はヨーロピアンフィットのMサイズで284g。決して軽量とは言えないが、重心がちょうど真ん中に位置しているので前に滑ってきたり、首の疲れを感じたりもない。MIPSこそ搭載されていないが、肉厚のあるシェルは見た目にも落車時の安全性に期待できそうだ。
ワールドツアーでも使われるハイエンドモデルらしく、レースやそれに向けたトレーニングを行うシリアスユーザーに向けた製品だが、実はその使い勝手はノーマルヘルメット以上。ジャイアントストアなどにも既に入荷しているため、購入の前に是非フィッティングを試してもらいたい。
ジャイアント PURSUIT ASIA
JCF(公財)日本自転車競技連盟公認
サイズ:M(52-58cm)、L(56-62cm)
カラー:マットブラック・ブルー、マットブルー・ブラック、マットブラック・ライム、マットブラック
重量:245g(M)、280g(L)
価格:19,000円(税抜)
高い生産能力と開発力を活かし、バイクのみならず様々なアイテムを世に送り出しているジャイアント。もちろんヘルメットもエントリーモデルからハイエンドモデルまで多様な製品がラインアップされているが、その中でもチームサンウェブによって実戦投入されているオールラウンドヘルメットが「PURSUIT」である。
ジャイアントヘルメットにおいて、ハイエンドグレードに属するモデルは3つ。軽量で通気性の高いREV、エアロダイナミクスを追求したRIVET、そしてその2つのテクノロジーを踏まえ通気性と空力性能の両立を目指し開発されたのがPURSUIT。今年のツール・ド・フランスで山岳賞を獲得したワレン・バルギル(フランス)や、ポイント賞を獲得したマイケル・マシューズ(オーストラリア)も愛用するモデルだ。
昨今プロトン内でも急激に増えたセミエアロフォルムが大きな特徴。空力性能を高める通気口の少ない流線型の帽体で、頭頂部からテール部分にかけてシェルの両サイドを削ぎ落とすことで空気の流れを調整。あらゆる風向きでも整流効果が得られるようCFD解析と風洞実験を繰り返し、優れたエアロダイナミクス性能を獲得している。
反対にヘルメット前方には8つの大きなベンチレーションホールを確保し、後方にも7つの排気口を開けることでヘルメット内のエアフローを最適化。ヘルメット内側にも空気が通るチャネルが設けられ、効率的に風が吹き抜ける設計により頭部の蒸れを防止し、高い冷却効果を生み出すことで快適な装着感を実現している。
構造はポリカーボネートでできたアウターシェルにEPSを熱圧着により貼付けるものだ。その上でEPS内部には芯材としてのポリカーボネート構造シェルを配置し高強度化と軽量化を実現しており、もしも転倒し頭部を打ったとしても帽体が破断せずにしっかりと頭をホールドしてくれるという。
ストラップは独自に開発されたLiteFormストラップを使用することで高い耐久性を実現。またCINCH PROフィットシステムと呼ばれるダイヤルタイプのクロージャーを搭載することで、細かな調節ができるとともに後頭部を包み込むような快適なフィット感を生み出している。
カラーはマットブラック・ブルー、マットブルー・ブラック、マットブラック・ライム、マットブラックの4種類となっており、サイズはM(52-58cm)とL(56-62cm)が用意される。JCF公認ヘルメットとなるため、公式レースでの使用も可能となっている。価格は19,000円(税抜)だ。
― 編集部インプレッション
筆者がこのヘルメットをテストする機会を得たのは、全世界発表を前にフランスで開催されたPROPEL DISCのグローバルローンチイベントにおいて。残暑厳しいフランスだったが、丘陵地をスピーディーに駆け抜けるライドはヘルメットの通気性を試すには絶好の場だ。
なお、プレゼン会場で渡されたPURSUITはヨーロピアンシェイプだったため(日本国内ではアジアンフィットを販売)、フィット感については言及できないことをお断りしておきたい(欧米頭の筆者にとってはベストだったが)。
まずは見た目だが、これは結構好き嫌いの分かれる部分だと思う。頭頂部の両サイドを切り欠いたフォルムはどこか宇宙船のようで、好きな人は大好きだろうし、嫌いな人は手に取ることもないだろう。しかし「もちろんデザインの好みはある。でもこれはPROPEL DISC同様エアロを突き詰めたがゆえの形状。エアロロードを選ぶ人なら気に入ってくれると思う」と、ジャイアントのギア関連を統括するジェフ・シュナイダー氏は胸を張る。
実際の走行で顕著に感じるのが、ヘルメット内部のクーリング性能が素晴らしい点。ベンチレーションホールが前方にのみ用意されているので完全に下を向くとNGだが、下ハンを握るような低い体勢でも風がどんどん入ってくる。頭頂部にはベンチレーションホールが設けられておらず、見た目には暑そうだが、意外や驚くほどに涼しいのだ。風を通すチャネルが深いため、例えばヒルクライムでも想像以上に蒸れにくく、各社用意されているセミエアロヘルメットの中での通気性はトップクラスだろう。
肝心のエアロ性能に関してはジャイアントの開発力を信じる他ないが、後頭部付近で風が暴れている感覚もない。ほんの数センチ差が明暗を分けるゴールスプリントであれば、少しの空力抵抗も削減したいところ。そういったシーンでも信頼できることと思う。
実測重量はヨーロピアンフィットのMサイズで284g。決して軽量とは言えないが、重心がちょうど真ん中に位置しているので前に滑ってきたり、首の疲れを感じたりもない。MIPSこそ搭載されていないが、肉厚のあるシェルは見た目にも落車時の安全性に期待できそうだ。
ワールドツアーでも使われるハイエンドモデルらしく、レースやそれに向けたトレーニングを行うシリアスユーザーに向けた製品だが、実はその使い勝手はノーマルヘルメット以上。ジャイアントストアなどにも既に入荷しているため、購入の前に是非フィッティングを試してもらいたい。
ジャイアント PURSUIT ASIA
JCF(公財)日本自転車競技連盟公認
サイズ:M(52-58cm)、L(56-62cm)
カラー:マットブラック・ブルー、マットブルー・ブラック、マットブラック・ライム、マットブラック
重量:245g(M)、280g(L)
価格:19,000円(税抜)
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