2017/10/06(金) - 09:02
東日本大震災から6年。5回目の開催を迎えたツール・ド・東北を、SUBARUが一般公募したグループが走った。ちょうど大会日に台風18号が襲来し大会は混乱したが、「仲間と一緒に完走を目指す」という目標のもと、20人の参加者たちがお揃いの青いジャージで走り抜けた。
10年開催することを目標のひとつに掲げるツール・ド・東北。IT企業のヤフー株式会社と東北の新聞社である河北新報が主催する、東日本大震災の復興支援および震災の記憶を未来に残していくことを目的とした自転車イベントだ。5回目となる今大会では、CW編集部はSUBARUが一般公募により結成する「SUBARU100kmチャレンジプロジェクト」の参加者の皆さんに帯同するかたちで取材を行った。
自動車メーカーのスバルが「SUBARU 100kmチャレンジプロジェクト」として一般に参加を呼びかけたこの企画。募集人員の20名+サポートライダーからなるグループで、揃いのチームジャージを着て、グループで100kmの「北上フォンド」完走を目指そうというもの。参加条件に「100kmを完走できる経験者」とあるが、独りきりでは不安のある人でも、グループで、かつサポートがあれば安心してチャレンジできるもの。ツール・ド・東北を走りたいという参加者に、そういった後押しをすることが企画の趣旨にある。
チームリーダーに自動車ジャーナリスト・河口まなぶ氏と、MCとして活躍する傍らトライアスロンにも挑戦する一戸恵梨子さんを迎え、ウォークライド・シクロアカデミアのインストラクター&自転車競技コーチ・須田晋太郎氏がサポートにあたってくれるほか、SUBARUサイクリングクラブのサポートライダーも帯同走行してくれるため安心してチャレンジできる内容になっている。また、抽選後に参加が決定した参加者には事前にメールなどでも練習方法や当日の情報などが伝えられ、大会日を迎えた。
大会前日、土曜の夜には石巻市内にてチームの決起集会が行われた。参加者同士の顔合わせを兼ね、美味しい食事を愉しみながら親睦を深めるという趣旨だ。
須田コーチからは「イベントの前夜は腹8分目。お酒もほどほどに」というアドバイス。和やかな宴が進むが、サポート万全のこのグループを不安にさせていたのは迫りくる台風18号だろう。不安なのはもちろんこのグループだけではない。進路と速度の読めない台風に、大会事務局も翻弄されたことだろう。しかしそこはIT企業のヤフーだけあって、公式ツィッターやフェイスブック、そして事前に登録した参加者の「安否確認メール」に対して逐一開催可否や変更の決定事項が伝えられていた。
開宴前に伝えられたのは「フォンドダウン」、つまり短縮開催だ。北上フォンド100kmを走る予定が、65kmの女川・雄勝フォンドに変更になった。「被災地を走るイベントで、参加者が危険な状況に陥ることは許されない」 安全第一という考えが徹底されたツール・ド・東北。主催者の意図は、なんとか天気がもつであろう15時までに参加者全員が走り終えるようにということ。刻々と変化する台風情報にあわせ、時間を区切って明快な情報が提供された。
100kmが65kmに。距離は大幅に短縮されたが、参加者たちはそれでも読めない台風の動行に不安の色は隠せない。実際、風雨への備えを万全にすることなんてできない。サイクリング初心者の多いこのチームだけに、企画したスバル関係者やサポートスタッフにも緊張感が漂う。
だが、「雨の中でも一生懸命走れば、その姿に勇気づけられる人もいるはずです」という地元在住の方の言葉を信じ、明日は雨でも走ろうと皆が決心を固めた。
当日朝、会場の石巻専修大学は曇り空ながらまだ雨は降っていない。レインギアに身を包めば暑くなるだろう気温に、万全にした装備を少し軽くする参加者も。筆者もレインギアは一度バックパックに戻す決心をした。
スタート前に全員で黙祷を捧げる。チームの皆も、心静かに震災の日の出来事に思いを馳せる。チームのなかでもツール・ド・東北への思いは様々。初めて走る機会になるという人もいれば、「震災ボランティアで何度か来ています。あの日見た市街の光景が忘れられず、6年経った今、どうなっているか知りたくてこの募集を知って申し込みました。昨日は被災地が見渡せる高台の公園に行ってお祈りしてきたんです。今日は地域が今どうなっているかをこの目でしっかり見ながら走りたい」と話すのは鈴木さん。
「今、復興支援の仕事で南三陸の役場で働いているんです。どうしても役場の仲間たちに声をかけてからゴールしたかったんですが、コース短縮ではそれは叶わないですね。でもいつかリベンジしたい。ツール・ド・東北を知ったことで自転車を始めたんです。今日は一生懸命走ります」と言う参加者も。
走り出してみると少し暑い気温。空には青空も見える。石巻市街を出る頃、沿道からさっそく声援が飛ぶ。その脇には仮設住宅。その住民だろう。走るほどに続く声援。被災地でのイベントであることを実感する。「ツール・ド・東北、また来てくれてありがとう!」のメッセージが踊る。
大会のテーマに「応援したら、応援されてた」という言葉がある。参加者はまさにそのとおりのことを走り出してすぐに実感することになるのだ。リピーターは知っているけど、初参加の人はここで目頭が熱くなる思いをするだろう。走りながらチームの参加者のひとりが皆に言った。「沿道からの声援にはすべて手を振り返して、元気いっぱい応えようよ!」。
2グループに別れ隊列を組んで走る青いジャージのスバルチャレンジグループ。他の参加者たちにも、また沿道の人達にも揃いのジャージが格好良く映るのか、声援もひときわ大きく感じた。
少しスローな走りが前提の一戸恵梨子さんチームに対し、今年もエタップ・ドゥ・ツール完走を果たした河口まなぶさんの率いるチームはスピードが速い。「距離たった65kmでも元気いっぱいの走りをしよう」と、上り坂ではアタック合戦のようになる。
海が近づくにつれ、沿道には大漁旗が翻る。力強く勇壮な応援もまた嬉しいもの。女川駅前の第1エイドはきれいな建物が立ち並んだことにリーピーターの方々は驚いていた。ここでは女川名物のサンマのつみれ汁を頂く。
出迎えてくれたカモメの着ぐるみキャラ「シーパルちゃん」は青いハッピを着て、黄色い足。黄色いバイクシューズを履いた参加者と並べばまるでチームメンバーのようだった(笑)。
女川漁港周辺は工事箇所が多く、まだまだ復興に時間がかかりそうな様子が伺えた。ここからはアップダウンの海岸線「ブルーライン」へ。コーナーが連続するので慎重に。復興支援のイベントで事故を起こすのは避けたいもの。
分波トンネル手前では海に開けるビュースポットが。2チームがここで再集合し、お互いの様子を確認し合う。ここでペースの合うグループへの再編成も。実はスバルの岡田取締役も走っているのだが、脚の痙攣でかなり深刻な様子で、皆で励ます一幕も。サイクリストにとってたった65kmとはいえ、やっぱり初心者にはつらい距離なのだ、と再認識。そこを皆で励ましあって完走を目指すことに意義があるのだ。
海岸線にまた見事な大漁旗の乱舞が。壮観な眺めを楽しんだら雄勝エイドに到着。宮城県一の生産量を誇る名産のホタテを殻ごと豪快に焼いてくれる風景は雄勝エイドの名物だ。磯の香りが立ち上るアツアツ、ホクホクを美味しくいただく。
北上川沿いの道を走れば、震災時は黒い濁流が猛スピードで遡った映像が思い出される。74人もの子どもたちが犠牲になった悲劇の舞台となった大川小学校のあたりは広い野原となっていて、誰かに言われなければその一帯に家々が立ち並んでいたことはもはや想像できない。そこには多くの人達の暮らしがあった。心のなかで祈りを捧げながら走り抜ける。
女川・雄勝フォンドのルートにおいては、すでに倒壊した建物などは撤去されて見られない。それでも仮設住宅は沿道に多くあって、未だにその場での暮らしを強いられている人が多く居ることを感じる。
ここまで雨は降らなかったが、フィニッシュの専修大学が近づくと雲行きが怪しくなる。スバルチームの2班も一度集合してから皆で一緒にゴールラインを切ろうと事前に話し合っていた。
チームは20人全員が一団となってフィニッシュした。そのすぐ後に雨が降り始めた。ちょっと慌てながらも皆で完走を喜びあい、河口さんの挨拶で締めた。刻々と迫りくる台風に余韻に浸る時間は無く、危険を避けるためにすぐに解散。それぞれの帰路についたのだった。
台風に翻弄された感のあるツール・ド・東北だが、2日間で総勢3,721名のライダーが三陸沿岸の計7コースを走破した。スバルチームの20人は、このチャレンジをとおして友人となり、また別の機会に一緒に走ることもあるだろう。今日一日の体験を、お互い語り合う時間が持てなかったのは少し残念だった。でも、ご一緒して友人になった人とはフェイスブックなどでつながりができ、後日投稿を読めば、それぞれがどんな思いで走ったかを改めて知ることができた。
美味しいものを食べ、大いに笑って、力いっぱい走る。まだ課題を多く抱えた被災地でのサイクリングは考えさせられることが多いけど、サイクリストとして元気な姿を住民の方に見てもらう。そして応援してもらう。きっとそれでいいんだと思えたツール・ド・東北だった。
最後に、この企画を主催したスバル ネクストストーリー推進室主幹・高橋幸一さんにお話を聞いた。
高橋さん「スバルとして大会の協賛は第1回大会よりしていましたが、このチャレンジ企画は去年に続き2回め。ひとつのことを皆でやり遂げる達成感を感じて欲しいと思って企画しています。ひとりなら難しいけど、皆と一緒なら不安もなく、楽しく挑戦できるから。
スバルでは『アクティブライフスクウェア』と称して参加型イベントを応援する活動をしています。その活動には2つあって、お客さん同士がSNSを通じて交流することと、イベントなどで実際に一緒になって楽しめる場所や機会を提供することで、その思い出をまたSNSなどにアップして楽しんでもらう、そんなモデルをつくろうとしているんです。初心者向けに企画した「スポーツ自転車教室」もそのひとつです。企画は自転車だけでなく、トライアスロンへの参加、アウトドアで星を見るツアーへの参加など多岐に渡ります。イベント有りきではなく、皆が一緒に集まって楽しめる場を提供したいと思っています」。
photo&text:Makoto.AYANO
取材協力:スバル
10年開催することを目標のひとつに掲げるツール・ド・東北。IT企業のヤフー株式会社と東北の新聞社である河北新報が主催する、東日本大震災の復興支援および震災の記憶を未来に残していくことを目的とした自転車イベントだ。5回目となる今大会では、CW編集部はSUBARUが一般公募により結成する「SUBARU100kmチャレンジプロジェクト」の参加者の皆さんに帯同するかたちで取材を行った。
自動車メーカーのスバルが「SUBARU 100kmチャレンジプロジェクト」として一般に参加を呼びかけたこの企画。募集人員の20名+サポートライダーからなるグループで、揃いのチームジャージを着て、グループで100kmの「北上フォンド」完走を目指そうというもの。参加条件に「100kmを完走できる経験者」とあるが、独りきりでは不安のある人でも、グループで、かつサポートがあれば安心してチャレンジできるもの。ツール・ド・東北を走りたいという参加者に、そういった後押しをすることが企画の趣旨にある。
チームリーダーに自動車ジャーナリスト・河口まなぶ氏と、MCとして活躍する傍らトライアスロンにも挑戦する一戸恵梨子さんを迎え、ウォークライド・シクロアカデミアのインストラクター&自転車競技コーチ・須田晋太郎氏がサポートにあたってくれるほか、SUBARUサイクリングクラブのサポートライダーも帯同走行してくれるため安心してチャレンジできる内容になっている。また、抽選後に参加が決定した参加者には事前にメールなどでも練習方法や当日の情報などが伝えられ、大会日を迎えた。
大会前日、土曜の夜には石巻市内にてチームの決起集会が行われた。参加者同士の顔合わせを兼ね、美味しい食事を愉しみながら親睦を深めるという趣旨だ。
須田コーチからは「イベントの前夜は腹8分目。お酒もほどほどに」というアドバイス。和やかな宴が進むが、サポート万全のこのグループを不安にさせていたのは迫りくる台風18号だろう。不安なのはもちろんこのグループだけではない。進路と速度の読めない台風に、大会事務局も翻弄されたことだろう。しかしそこはIT企業のヤフーだけあって、公式ツィッターやフェイスブック、そして事前に登録した参加者の「安否確認メール」に対して逐一開催可否や変更の決定事項が伝えられていた。
開宴前に伝えられたのは「フォンドダウン」、つまり短縮開催だ。北上フォンド100kmを走る予定が、65kmの女川・雄勝フォンドに変更になった。「被災地を走るイベントで、参加者が危険な状況に陥ることは許されない」 安全第一という考えが徹底されたツール・ド・東北。主催者の意図は、なんとか天気がもつであろう15時までに参加者全員が走り終えるようにということ。刻々と変化する台風情報にあわせ、時間を区切って明快な情報が提供された。
100kmが65kmに。距離は大幅に短縮されたが、参加者たちはそれでも読めない台風の動行に不安の色は隠せない。実際、風雨への備えを万全にすることなんてできない。サイクリング初心者の多いこのチームだけに、企画したスバル関係者やサポートスタッフにも緊張感が漂う。
だが、「雨の中でも一生懸命走れば、その姿に勇気づけられる人もいるはずです」という地元在住の方の言葉を信じ、明日は雨でも走ろうと皆が決心を固めた。
当日朝、会場の石巻専修大学は曇り空ながらまだ雨は降っていない。レインギアに身を包めば暑くなるだろう気温に、万全にした装備を少し軽くする参加者も。筆者もレインギアは一度バックパックに戻す決心をした。
スタート前に全員で黙祷を捧げる。チームの皆も、心静かに震災の日の出来事に思いを馳せる。チームのなかでもツール・ド・東北への思いは様々。初めて走る機会になるという人もいれば、「震災ボランティアで何度か来ています。あの日見た市街の光景が忘れられず、6年経った今、どうなっているか知りたくてこの募集を知って申し込みました。昨日は被災地が見渡せる高台の公園に行ってお祈りしてきたんです。今日は地域が今どうなっているかをこの目でしっかり見ながら走りたい」と話すのは鈴木さん。
「今、復興支援の仕事で南三陸の役場で働いているんです。どうしても役場の仲間たちに声をかけてからゴールしたかったんですが、コース短縮ではそれは叶わないですね。でもいつかリベンジしたい。ツール・ド・東北を知ったことで自転車を始めたんです。今日は一生懸命走ります」と言う参加者も。
走り出してみると少し暑い気温。空には青空も見える。石巻市街を出る頃、沿道からさっそく声援が飛ぶ。その脇には仮設住宅。その住民だろう。走るほどに続く声援。被災地でのイベントであることを実感する。「ツール・ド・東北、また来てくれてありがとう!」のメッセージが踊る。
大会のテーマに「応援したら、応援されてた」という言葉がある。参加者はまさにそのとおりのことを走り出してすぐに実感することになるのだ。リピーターは知っているけど、初参加の人はここで目頭が熱くなる思いをするだろう。走りながらチームの参加者のひとりが皆に言った。「沿道からの声援にはすべて手を振り返して、元気いっぱい応えようよ!」。
2グループに別れ隊列を組んで走る青いジャージのスバルチャレンジグループ。他の参加者たちにも、また沿道の人達にも揃いのジャージが格好良く映るのか、声援もひときわ大きく感じた。
少しスローな走りが前提の一戸恵梨子さんチームに対し、今年もエタップ・ドゥ・ツール完走を果たした河口まなぶさんの率いるチームはスピードが速い。「距離たった65kmでも元気いっぱいの走りをしよう」と、上り坂ではアタック合戦のようになる。
海が近づくにつれ、沿道には大漁旗が翻る。力強く勇壮な応援もまた嬉しいもの。女川駅前の第1エイドはきれいな建物が立ち並んだことにリーピーターの方々は驚いていた。ここでは女川名物のサンマのつみれ汁を頂く。
出迎えてくれたカモメの着ぐるみキャラ「シーパルちゃん」は青いハッピを着て、黄色い足。黄色いバイクシューズを履いた参加者と並べばまるでチームメンバーのようだった(笑)。
女川漁港周辺は工事箇所が多く、まだまだ復興に時間がかかりそうな様子が伺えた。ここからはアップダウンの海岸線「ブルーライン」へ。コーナーが連続するので慎重に。復興支援のイベントで事故を起こすのは避けたいもの。
分波トンネル手前では海に開けるビュースポットが。2チームがここで再集合し、お互いの様子を確認し合う。ここでペースの合うグループへの再編成も。実はスバルの岡田取締役も走っているのだが、脚の痙攣でかなり深刻な様子で、皆で励ます一幕も。サイクリストにとってたった65kmとはいえ、やっぱり初心者にはつらい距離なのだ、と再認識。そこを皆で励ましあって完走を目指すことに意義があるのだ。
海岸線にまた見事な大漁旗の乱舞が。壮観な眺めを楽しんだら雄勝エイドに到着。宮城県一の生産量を誇る名産のホタテを殻ごと豪快に焼いてくれる風景は雄勝エイドの名物だ。磯の香りが立ち上るアツアツ、ホクホクを美味しくいただく。
北上川沿いの道を走れば、震災時は黒い濁流が猛スピードで遡った映像が思い出される。74人もの子どもたちが犠牲になった悲劇の舞台となった大川小学校のあたりは広い野原となっていて、誰かに言われなければその一帯に家々が立ち並んでいたことはもはや想像できない。そこには多くの人達の暮らしがあった。心のなかで祈りを捧げながら走り抜ける。
女川・雄勝フォンドのルートにおいては、すでに倒壊した建物などは撤去されて見られない。それでも仮設住宅は沿道に多くあって、未だにその場での暮らしを強いられている人が多く居ることを感じる。
ここまで雨は降らなかったが、フィニッシュの専修大学が近づくと雲行きが怪しくなる。スバルチームの2班も一度集合してから皆で一緒にゴールラインを切ろうと事前に話し合っていた。
チームは20人全員が一団となってフィニッシュした。そのすぐ後に雨が降り始めた。ちょっと慌てながらも皆で完走を喜びあい、河口さんの挨拶で締めた。刻々と迫りくる台風に余韻に浸る時間は無く、危険を避けるためにすぐに解散。それぞれの帰路についたのだった。
台風に翻弄された感のあるツール・ド・東北だが、2日間で総勢3,721名のライダーが三陸沿岸の計7コースを走破した。スバルチームの20人は、このチャレンジをとおして友人となり、また別の機会に一緒に走ることもあるだろう。今日一日の体験を、お互い語り合う時間が持てなかったのは少し残念だった。でも、ご一緒して友人になった人とはフェイスブックなどでつながりができ、後日投稿を読めば、それぞれがどんな思いで走ったかを改めて知ることができた。
美味しいものを食べ、大いに笑って、力いっぱい走る。まだ課題を多く抱えた被災地でのサイクリングは考えさせられることが多いけど、サイクリストとして元気な姿を住民の方に見てもらう。そして応援してもらう。きっとそれでいいんだと思えたツール・ド・東北だった。
最後に、この企画を主催したスバル ネクストストーリー推進室主幹・高橋幸一さんにお話を聞いた。
高橋さん「スバルとして大会の協賛は第1回大会よりしていましたが、このチャレンジ企画は去年に続き2回め。ひとつのことを皆でやり遂げる達成感を感じて欲しいと思って企画しています。ひとりなら難しいけど、皆と一緒なら不安もなく、楽しく挑戦できるから。
スバルでは『アクティブライフスクウェア』と称して参加型イベントを応援する活動をしています。その活動には2つあって、お客さん同士がSNSを通じて交流することと、イベントなどで実際に一緒になって楽しめる場所や機会を提供することで、その思い出をまたSNSなどにアップして楽しんでもらう、そんなモデルをつくろうとしているんです。初心者向けに企画した「スポーツ自転車教室」もそのひとつです。企画は自転車だけでなく、トライアスロンへの参加、アウトドアで星を見るツアーへの参加など多岐に渡ります。イベント有りきではなく、皆が一緒に集まって楽しめる場を提供したいと思っています」。
photo&text:Makoto.AYANO
取材協力:スバル
フォトギャラリー
Amazon.co.jp