2017/09/21(木) - 08:23
標高316mのマウントフロイエンにフィニッシュするエリート男子タイムトライアルでトム・デュムラン(オランダ)が他を圧倒。チームタイムトライアルに続く勝利で、オランダがTTのエリートカテゴリー二冠を達成した。
決してTTスペシャリスト向きとは言えない山頂フィニッシュが設定されたエリート男子タイムトライアル。他のカテゴリーと同様にベルゲン中心部をスタートし、平坦基調の16.1km小周回を約1.7周してからマウント・フロイエン(長さ3.4km/平均9.1%)を登る。登りの厳しさから、コース全長はU23(37km)よりも短い31kmとなった。
マウント・フロイエンの麓には「バイシクル・エクスジェンジ・ゾーン」が設けられ、TTバイクからノーマルバイクに乗り換えることが可能。石畳区間や11カ所の連続スイッチバック、10%オーバーの急勾配を含む登りは決してTTバイク向きとは言えず、全体の41%にあたる27名がここで軽量なノーマルバイクに乗り換える作戦をとった。
数分で天候がガラリと変わるベルゲンらしい秋の空。この日は朝と夕方が雨降りで、昼間は暖かい太陽がさす陽気。概ね前半スタートの選手はドライな路面、後半スタートの選手はウェットな路面と格闘することになる。当然前半の選手が好タイムを連発したが、後半の有力選手たちはそれらをいとも簡単にひっくり返した。
ほぼ雨の中のレースとなった最後から2番目スタートのトム・デュムラン(オランダ)の走りは冴え渡っていた。デュムランは第1計測地点(3.2km地点)こそ3番手のタイムで終えたが、そこからは他を寄せ付けないスピードを披露する。「バイシクル・エクスジェンジ・ゾーン」でバイクを交換することなくTTバイクで平均9.1%の登りを突き進み、44分41秒のトップタイムを叩き出した。最終走者トニー・マルティン(ドイツ)が1分39秒差の9位でレースを終えた時点で、デュムランの優勝が決まった。
デュムランは第5計測地点(27.6km地点)までの平坦区間を34分29秒で走り、そこからフィニッシュまでの3.4km登坂を10分11秒でこなしている。つまり平坦区間を平均48.0km/hで走り、マウント・フロイエンの登坂区間を平均20.0km/hで走りきったことになる。
デュムランよりもマウント・フロイエンの登坂区間を唯一速く走ったのは「バイクエクスチェンジゾーン」でTTバイクからノーマルバイクに乗り換えたログリッチで、デュムランよりも5秒早い登坂タイムを記録。ログリッチは第5計測地点の時点で9位だったが、最速登坂タイムを記録したことで最終的に2位まで順位を上げることに成功。ツール・ド・フランスのガリビエステージを制した元スキージャンパーのログリッチェが銀メダルを獲得している。
一方、麓(第5計測地点)で7位のフルームは、TTバイクのままマウント・フロイエンを登りきって3位のタイムでフィニッシュ。フルームはマウント・フロイエンの登坂区間だけでデュムランに30秒の差を付けられ、最終的なタイム差は1分21秒だった。小周回1周完了時の第3計測地点(16.1km地点)でデュムランと9秒差の2位につけていたローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)は雨に濡れた路面で落車し、マウント・フロイエンで3番手の登坂タイムを記録しながらも8位に終わっている。
「雨がずっと降っていたので、コーナーをかなり慎重にこなさなければならなかった。特にマウント・フロイエンの麓にある石畳区間では、TT用のタイヤがとてもよく滑った。でも走りの感触はとても良くて、故障しているんじゃないかと思うほどパワーメーターが高い数値をずっと示していた」と、ライバルたちを圧倒したデュムラン。チームタイムトライアルに続く今大会2つ目の金メダルを獲得で、ジロ・デ・イタリアを制してグランツールレーサーとして開花した26歳がまた一つ大きなタイトルを手にした。
オランダ人初の世界TTチャンピオンに輝いたデュムランは「当初はバイク交換を予定していたけど、先週金曜日に試走して、リスクを負わないことを決めた。自分はTTバイクで登りもこなせるタイプの選手。結果的に正しい判断だったと思う。日曜日のチームタイムトライアルの勝利がやる気をくれた。ライバルたちとのタイム差を見て驚いたよ。もちろん日曜日のロードレースでも勝利を狙っていく」と、大成功のシーズンに満足することなくさらなるタイトル獲得を狙っている。
「今日最強だったのは間違いなくデュムランだった。そこに疑いの余地はない」と語るのは、1分30秒後にスタートしたデュムランに迫られながら何とか振り切ってフィニッシュした3位のフルーム。「登りで少し振り返ると、飛ぶように走るオレンジ色のジャージが見えた。自分としては世界選手権での初めてのメダル獲得であり、シーズン最終戦として満足の結果。オフシーズンは家族と過ごしたい」と語り、ツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャのダブルツール制覇を含む長い2017年シーズンを締めくくった。
決してTTスペシャリスト向きとは言えない山頂フィニッシュが設定されたエリート男子タイムトライアル。他のカテゴリーと同様にベルゲン中心部をスタートし、平坦基調の16.1km小周回を約1.7周してからマウント・フロイエン(長さ3.4km/平均9.1%)を登る。登りの厳しさから、コース全長はU23(37km)よりも短い31kmとなった。
マウント・フロイエンの麓には「バイシクル・エクスジェンジ・ゾーン」が設けられ、TTバイクからノーマルバイクに乗り換えることが可能。石畳区間や11カ所の連続スイッチバック、10%オーバーの急勾配を含む登りは決してTTバイク向きとは言えず、全体の41%にあたる27名がここで軽量なノーマルバイクに乗り換える作戦をとった。
数分で天候がガラリと変わるベルゲンらしい秋の空。この日は朝と夕方が雨降りで、昼間は暖かい太陽がさす陽気。概ね前半スタートの選手はドライな路面、後半スタートの選手はウェットな路面と格闘することになる。当然前半の選手が好タイムを連発したが、後半の有力選手たちはそれらをいとも簡単にひっくり返した。
ほぼ雨の中のレースとなった最後から2番目スタートのトム・デュムラン(オランダ)の走りは冴え渡っていた。デュムランは第1計測地点(3.2km地点)こそ3番手のタイムで終えたが、そこからは他を寄せ付けないスピードを披露する。「バイシクル・エクスジェンジ・ゾーン」でバイクを交換することなくTTバイクで平均9.1%の登りを突き進み、44分41秒のトップタイムを叩き出した。最終走者トニー・マルティン(ドイツ)が1分39秒差の9位でレースを終えた時点で、デュムランの優勝が決まった。
デュムランは第5計測地点(27.6km地点)までの平坦区間を34分29秒で走り、そこからフィニッシュまでの3.4km登坂を10分11秒でこなしている。つまり平坦区間を平均48.0km/hで走り、マウント・フロイエンの登坂区間を平均20.0km/hで走りきったことになる。
デュムランよりもマウント・フロイエンの登坂区間を唯一速く走ったのは「バイクエクスチェンジゾーン」でTTバイクからノーマルバイクに乗り換えたログリッチで、デュムランよりも5秒早い登坂タイムを記録。ログリッチは第5計測地点の時点で9位だったが、最速登坂タイムを記録したことで最終的に2位まで順位を上げることに成功。ツール・ド・フランスのガリビエステージを制した元スキージャンパーのログリッチェが銀メダルを獲得している。
一方、麓(第5計測地点)で7位のフルームは、TTバイクのままマウント・フロイエンを登りきって3位のタイムでフィニッシュ。フルームはマウント・フロイエンの登坂区間だけでデュムランに30秒の差を付けられ、最終的なタイム差は1分21秒だった。小周回1周完了時の第3計測地点(16.1km地点)でデュムランと9秒差の2位につけていたローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)は雨に濡れた路面で落車し、マウント・フロイエンで3番手の登坂タイムを記録しながらも8位に終わっている。
「雨がずっと降っていたので、コーナーをかなり慎重にこなさなければならなかった。特にマウント・フロイエンの麓にある石畳区間では、TT用のタイヤがとてもよく滑った。でも走りの感触はとても良くて、故障しているんじゃないかと思うほどパワーメーターが高い数値をずっと示していた」と、ライバルたちを圧倒したデュムラン。チームタイムトライアルに続く今大会2つ目の金メダルを獲得で、ジロ・デ・イタリアを制してグランツールレーサーとして開花した26歳がまた一つ大きなタイトルを手にした。
オランダ人初の世界TTチャンピオンに輝いたデュムランは「当初はバイク交換を予定していたけど、先週金曜日に試走して、リスクを負わないことを決めた。自分はTTバイクで登りもこなせるタイプの選手。結果的に正しい判断だったと思う。日曜日のチームタイムトライアルの勝利がやる気をくれた。ライバルたちとのタイム差を見て驚いたよ。もちろん日曜日のロードレースでも勝利を狙っていく」と、大成功のシーズンに満足することなくさらなるタイトル獲得を狙っている。
「今日最強だったのは間違いなくデュムランだった。そこに疑いの余地はない」と語るのは、1分30秒後にスタートしたデュムランに迫られながら何とか振り切ってフィニッシュした3位のフルーム。「登りで少し振り返ると、飛ぶように走るオレンジ色のジャージが見えた。自分としては世界選手権での初めてのメダル獲得であり、シーズン最終戦として満足の結果。オフシーズンは家族と過ごしたい」と語り、ツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャのダブルツール制覇を含む長い2017年シーズンを締めくくった。
ロード世界選手権2017エリート男子タイムトライアル
順位 | 名前 | タイム | 登坂タイム | 平均スピード |
---|---|---|---|---|
1位 | トム・デュムラン(オランダ) | 0:44:41 | 0:10:11 | 41.626km/h |
2位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア) | 0:00:57 | 0:10:06 | 40.748km/h |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス) | 0:01:21 | 0:10:41 | 40.402km/h |
4位 | ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル) | 0:01:28 | 0:10:50 | 40.296km/h |
5位 | ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ) | 0:01:28 | 0:10:59 | 40.292km/h |
6位 | ジャンニ・モスコン(イタリア) | 0:01:29 | 0:11:00 | 40.282km/h |
7位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ) | 0:01:34 | 0:10:38 | 40.211km/h |
8位 | ローハン・デニス(オーストラリア) | 0:01:37 | 0:10:22 | 40.167km/h |
9位 | トニー・マルティン(ドイツ) | 0:01:39 | 0:11:00 | 40.131km/h |
10位 | ヤン・トラトニク(スロベニア) | 0:01:43 | 0:10:35 | 40.080km/h |
11位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク) | 0:01:49 | 0:10:39 | 39.993km/h |
12位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド) | 0:01:53 | 0:10:38 | 39.935km/h |
13位 | アレクシ・グジャール(フランス) | 0:01:53 | 0:11:18 | 39.929km/h |
14位 | ヨナタン・カストロビエホ(スペイン) | 0:02:01 | 0:11:04 | 39.823km/h |
15位 | イルヌール・ザカリン(ロシア) | 0:02:04 | 0:11:03 | 39.780km/h |
16位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー) | 0:02:08 | 0:11:06 | 39.722km/h |
17位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー) | 0:02:11 | 0:10:40 | 39.684 km/h |
18位 | アンドレー・グリブコ(ウクライナ) | 0:02:15 | 0:11:31 | 39.629km/h |
19位 | ニキアス・アルント(ドイツ) | 0:02:16 | 0:11:23 | 39.616km/h |
20位 | イグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア) | 0:02:21 | 0:11:23 | 39.544km/h |
関連ファイル
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