2017/09/12(火) - 13:27
5年ぶりのステージ優勝、大会史上初の山岳賞とポイント賞の獲得など、大学生の活躍が目立った今年のツール・ド・北海道。岡本隼(愛三工業レーシングチーム)、冨尾大地(鹿屋体育大学)、草場啓吾(日本大学)という3選手のコメントを紹介する。
ポイント賞を獲得した岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
日本大学4年生の岡本隼。今回は愛三工業レーシングチームから出場し、第2ステージで優勝。現役大学生として5年ぶりにリーダージャージを着た。総合首位を守る事は出来なかったが、ポイント賞ジャージは守った。これも大学生としては初めての事だ。
「最終日は総合も守りたかったのですが、まずはポイント賞は絶対取ると思って臨みました。結果的には同ポイントで昨日の優勝がなければ負けていたので、ギリギリの戦いでした。
今日(第3ステージ)のゴールは、前に14人いる事は知らなかったのですが、15位争いでもがき切ってなんとか1点取れた事でポイント賞が獲れました。昨日(第2ステージ)も、わずかな差で1着を取れましたが、その時その時で集中する事が重要なんだと実感しました。
ポイント賞ジャージを取れた事は、とりあえず目標達成出来たと思っています。でも函館山で最後までついて行ければ総合も取れたので、残念というか、今後詰めていかなければならない点だと思います。スプリントになれば勝てる自信はあるのですが、それでは勝てるレースは限られてしまうので、これからは総合的に走れる選手を目指さないといけないと考えています。
この後世界選手権が控えていますが、今出来る事をしっかり成し遂げて、ジャパンチームの力になれるよう頑張ります」
最終日に逆転で山岳賞を獲得した冨尾大地(鹿屋体育大学)
大学生チームとして大会史上初の山岳賞ジャージを獲得した鹿屋体育大学の冨尾大地。2日連続で逃げに乗り、3日目も逃げに乗る試みをするなど、積極的な走りも見せた。もし総合敢闘賞もあれば、冨尾が獲得しただろう。
「ツール・ド・北海道はプロと一緒に走れる貴重なレースなので、積極的に行こうと思っていました。
初日と2日目に逃げに乗れてバーチャルリーダーになっただけでもうれしかったのですが、山岳賞を取れる可能性が高くなったのでチームが協力してくれる事になりました。(山本)大喜さんは個人総合上位が狙える位置にいたのに、自分の山岳賞の可能性の方が高いからとアシストに回ってくれました。
最終日に逃げに乗った時はこのまま行けると思いましたが、日大に追いつかれた時はちょっと落ち込みました。でも山岳賞直前に(徳田)匠さんを先頭に、大喜さん、(黒枝)咲哉さんの順で引いてくれて、残り50mで咲哉さんが「行け!」と言って発射してくれました。草場選手が後ろにいるのはわかっていましたが、日本大学にはインカレで負けているので、絶対に負けられないと思っていました。先頭通過した時はガッツポーズが出ましたね。その後はU26チーム総合優勝もかかっていたので、我慢のレースでした。
大学生が山岳賞ジャージを獲得するのは初めてとの事ですが、嬉しいですね。絶対外せない賞だったし、みんなが強力してくれたので本当に感謝です」
最後まで山岳賞を争った草場啓吾(日本大学)
惜しくも最終日に山岳賞を手放す事になってしまった草場啓吾。しかし第1ステージで逃げに乗り、山岳賞ジャージを最終日まで着続けた事は、岡本の活躍と合わせて日本大学の強さを印象づけた。
「鹿屋が冨尾選手をアシストしてくるというのはわかっていたので、僕らも後輩に動いてもらう予定だったのですが、うまくいきませんでした。愛三工業がリーダージャージでホットスポットを取りに行くと聞いていたので、それまでは逃げは作らないだろうと予想していました。それで、ローテーションに加われば良い位置をキープ出来て、(山岳ポイントで)スプリントで争えば冨尾選手には負けないと考えていました。
でも予想した通りの展開にならず、予定していなかった動きに対応出来なかったのが僕らの敗因です。やっぱり鹿屋の方が、大喜さんとか咲哉さんとか、世界を経験している人がいるし、経験の差が今日の山岳賞の1点差になったのだと感じています。
ジャージを失った事で良い経験にもなりましたし、同級生の冨尾選手と良い戦いが出来ました。
初日のような逃げに乗る走りが出来れば満足だったのですが、山岳ジャージを着る事になって色々なプレッシャーもあり、一時総合4位につけていたのでチェックが厳しかったりと、レベルの高いレースでした。この経験を元に後輩が強くなってくれれば、日本大学はもっと強くなるし、次世代に伝えていくのが僕の役目だと思っています」
ツール・ド・北海道は第1回大会から大学生に出場枠が与えられている。一時期は「お荷物」と揶揄されていた事もあったが、近年は勝負に絡む事も増えてきた。そして今年、31年目にして初めて各賞ジャージを獲得するという新たな歴史が生まれた。
今年のコース設定が大学生に有利だった事もあるかもしれないが、今回の結果は大学生を含むU23世代が育ってきている事の表れと言えるだろう。
来年のツール・ド・北海道でも、彼等に続く若い力が出てくる事を期待したい。
photo:Hideaki TAKAGI,Satoru Kato
text:Satoru Kato
ポイント賞を獲得した岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
日本大学4年生の岡本隼。今回は愛三工業レーシングチームから出場し、第2ステージで優勝。現役大学生として5年ぶりにリーダージャージを着た。総合首位を守る事は出来なかったが、ポイント賞ジャージは守った。これも大学生としては初めての事だ。
「最終日は総合も守りたかったのですが、まずはポイント賞は絶対取ると思って臨みました。結果的には同ポイントで昨日の優勝がなければ負けていたので、ギリギリの戦いでした。
今日(第3ステージ)のゴールは、前に14人いる事は知らなかったのですが、15位争いでもがき切ってなんとか1点取れた事でポイント賞が獲れました。昨日(第2ステージ)も、わずかな差で1着を取れましたが、その時その時で集中する事が重要なんだと実感しました。
ポイント賞ジャージを取れた事は、とりあえず目標達成出来たと思っています。でも函館山で最後までついて行ければ総合も取れたので、残念というか、今後詰めていかなければならない点だと思います。スプリントになれば勝てる自信はあるのですが、それでは勝てるレースは限られてしまうので、これからは総合的に走れる選手を目指さないといけないと考えています。
この後世界選手権が控えていますが、今出来る事をしっかり成し遂げて、ジャパンチームの力になれるよう頑張ります」
最終日に逆転で山岳賞を獲得した冨尾大地(鹿屋体育大学)
大学生チームとして大会史上初の山岳賞ジャージを獲得した鹿屋体育大学の冨尾大地。2日連続で逃げに乗り、3日目も逃げに乗る試みをするなど、積極的な走りも見せた。もし総合敢闘賞もあれば、冨尾が獲得しただろう。
「ツール・ド・北海道はプロと一緒に走れる貴重なレースなので、積極的に行こうと思っていました。
初日と2日目に逃げに乗れてバーチャルリーダーになっただけでもうれしかったのですが、山岳賞を取れる可能性が高くなったのでチームが協力してくれる事になりました。(山本)大喜さんは個人総合上位が狙える位置にいたのに、自分の山岳賞の可能性の方が高いからとアシストに回ってくれました。
最終日に逃げに乗った時はこのまま行けると思いましたが、日大に追いつかれた時はちょっと落ち込みました。でも山岳賞直前に(徳田)匠さんを先頭に、大喜さん、(黒枝)咲哉さんの順で引いてくれて、残り50mで咲哉さんが「行け!」と言って発射してくれました。草場選手が後ろにいるのはわかっていましたが、日本大学にはインカレで負けているので、絶対に負けられないと思っていました。先頭通過した時はガッツポーズが出ましたね。その後はU26チーム総合優勝もかかっていたので、我慢のレースでした。
大学生が山岳賞ジャージを獲得するのは初めてとの事ですが、嬉しいですね。絶対外せない賞だったし、みんなが強力してくれたので本当に感謝です」
最後まで山岳賞を争った草場啓吾(日本大学)
惜しくも最終日に山岳賞を手放す事になってしまった草場啓吾。しかし第1ステージで逃げに乗り、山岳賞ジャージを最終日まで着続けた事は、岡本の活躍と合わせて日本大学の強さを印象づけた。
「鹿屋が冨尾選手をアシストしてくるというのはわかっていたので、僕らも後輩に動いてもらう予定だったのですが、うまくいきませんでした。愛三工業がリーダージャージでホットスポットを取りに行くと聞いていたので、それまでは逃げは作らないだろうと予想していました。それで、ローテーションに加われば良い位置をキープ出来て、(山岳ポイントで)スプリントで争えば冨尾選手には負けないと考えていました。
でも予想した通りの展開にならず、予定していなかった動きに対応出来なかったのが僕らの敗因です。やっぱり鹿屋の方が、大喜さんとか咲哉さんとか、世界を経験している人がいるし、経験の差が今日の山岳賞の1点差になったのだと感じています。
ジャージを失った事で良い経験にもなりましたし、同級生の冨尾選手と良い戦いが出来ました。
初日のような逃げに乗る走りが出来れば満足だったのですが、山岳ジャージを着る事になって色々なプレッシャーもあり、一時総合4位につけていたのでチェックが厳しかったりと、レベルの高いレースでした。この経験を元に後輩が強くなってくれれば、日本大学はもっと強くなるし、次世代に伝えていくのが僕の役目だと思っています」
ツール・ド・北海道は第1回大会から大学生に出場枠が与えられている。一時期は「お荷物」と揶揄されていた事もあったが、近年は勝負に絡む事も増えてきた。そして今年、31年目にして初めて各賞ジャージを獲得するという新たな歴史が生まれた。
今年のコース設定が大学生に有利だった事もあるかもしれないが、今回の結果は大学生を含むU23世代が育ってきている事の表れと言えるだろう。
来年のツール・ド・北海道でも、彼等に続く若い力が出てくる事を期待したい。
photo:Hideaki TAKAGI,Satoru Kato
text:Satoru Kato
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