2017/07/31(月) - 03:08
Jプロツアー第13戦となる「第1回JBCFやいた片岡ロードレース」が開催され、終盤に残った6人のスプリント勝負を制した横塚浩平(LEOMO Bellmare Racing team)がJプロツアー初優勝を決めた。女子は唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が前日に続いて連勝し、21勝目を挙げた。
前日の大田原クリテリウムに続き、7月最後のJプロツアーは、大田原市の南隣にある矢板市でのロードレース。このレースをもって、Jプロツアーは約1ヶ月の夏休みに入る。
前日の大田原クリテリウムに続き今年初開催となる「やいた片岡ロードレース」。1周10.3kmの公道コースは、JR矢板駅前の折り返しや、細く曲がりくねった前半、2段階の登りと長い下りの後半で構成される変化に富んだレイアウトだ。
矢板駅前のロータリーには、表彰式も行われるイベントステージや飲食ブース、Jプロツアーチームのチームピットが設けられ、駅を降りたら目の前がレース会場という今までにないロケーションが作り上げられた。
当日の天気は曇り。P1クラスタのレース中にはコースの所々で小雨が落ちてくる事もあったが、コースを濡らすほどにはならない程度。気温は28度前後だったものの、湿度の高い中でのレースとなった。
P1クラスタ 横塚浩平がJプロツアー初優勝
お昼前にスタートしたP1クラスタは9周92.7km。男子エリートのレースとしては短距離のレースだ。
スタート直後からアタック合戦が始まり、逃げと吸収が繰り返される。前日優勝した宇都宮ブリッツェンやマトリックスパワータグのメンバーが集団前方で積極的に動くが、逃げが容認されない。登りで差を広げても、その後の長い下りで後続が追いついてくるという事が繰り返される。その中で集団の人数は徐々に減って行き、94人でスタートしたレースは、中盤過ぎには半分以下まで減った。
レースが動いたのは7周目。登り区間でマトリックスパワータグの佐野淳哉、ホセ・ビセンテらのペースアップにより、先頭集団は10人ほどまで絞られる。
残り2周となる8周目に入った直後、10人の中から入部正太朗(シマノレーシング)が単独アタック。差を一気に25秒まで広げる。登りに入ったところで雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)が単独で追いかけて入部と合流する。この2人を追って土井雪広(マトリックスパワータグ)、岸崇仁(那須ブラーゼン)、飯野智行(宇都宮ブリッツェン)、横塚浩平(LEOMO Bellmare Racing team)の4人が追走して合流。先頭集団は7人となる。
最終周回の9周目、入部が再度アタック。これに飯野が反応して2人が先行。さらにコース後半の登り区間で雨澤が追いついて3人となる。数的優位になった宇都宮ブリッツェンの2人は、入部をゆさぶるように交互に攻撃をしかけるが、「余裕があったので全て対応出来た」と言う入部が2人を封じ込める。この攻防の繰り返しでスピードが落ちた間に土井、岸、横塚の3人が差を詰め、下りに入ったところで追いついて再び先頭集団は6人に。残り2kmを切って誰も決定打を繰り出せず、勝負は最後のスプリントに持ち込まれた。
最終コーナーを抜けてゴールまでは200mの登り。先頭で駆け上がってきたのは横塚。入部、雨澤、岸らが続いてくるが一列棒状で並びかける事もできない。横塚は先頭でゴールした直後に後ろを振り返り、右手のこぶしを突き上げた。
「登りスプリントは得意ですが、自分のタイミングで入ってまくられたら仕方ないと思っていました。でも最後まで持ったので良かったです」と言う横塚。今年4月のチャレンジロードでも優勝しているが、その時も登りスプリントだった。
「最後の6人に絞られた時点で正直いっぱいでした。先行した3人を追いかけていた時も登りでついて行けてなかったので、弱気になって追いつくのは厳しいと思っていました。でも土井さんと岸さんがしっかり回してくれていたので、気持ちを切らさずに頑張りました」と、今日のレースを振り返った。
「今年はチームとして動けるようになってきたので、後半戦はチーム全員がもっと力をつけてゴールを狙えるようにしていきたいです」と、シーズン後半への意気込みを語った。
宮澤監督は「横塚の脚質なら、あのくらいの少ない人数になると強いので、うまくいけば勝てると思ってました。仮に勝てなかったとしてもどういう負け方をするか・・・逃げ切られるのか、スプリントで負けるのか、それが彼の今後の成長に向けて大事になると思っていました。今回はわかりやすい展開でしたが、もうちょっと激しい展開でも他の選手を見て自分から動いて、どんなレースでも力を発揮できるようになって欲しいです」と、横塚の今後に期待する。そして、「LEOMO Bellmare Racing teamはチーム員を募集しているので、強くなりたいと思う人は是非来てほしい」と、付け加えた。
一方2位の入部は、「今日は、チームとしては逃げきりを狙った動きを最初からしていきました。最後にブリッツェンの2人の波状攻撃に遭いましたけれど、本当はあの3人で最後まで行きたかったですね。数的優位を活かすためには間違ってはいないのですが、結果的にスピードが落ちて他の3人に追いつかれてしまいました。でも最後まで攻める姿勢は貫けたかなと思います。昨日、今日と、あと少しのところで勝ちを逃してしまいましたが、表彰台には乗れたので前向きに捉えて次に繋げたいです」と、2連戦を総括した。
3位の雨澤は、U23リーダーとなり、ピュアホワイトジャージを獲得。表彰式では「明後日からナショナルチームのフランス遠征に行くので、強くなって帰ってきます」と宣言した。
Fクラスタ 唐見実世子が21勝目
女子のFクラスタは4周41.2km。2周目にJフェミニンツアーリーダーの唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)と、大堀博美(YOKOSUKA UNO RACING)の2人が先行するが、3周目に唐見がアタック。お馴染みとなった独走で後続を引き離し、昨日に続いて優勝。今季21勝目を挙げた。
「今日は吉川美穂選手(Live GARDEN BICI STELLE)がスタートアタックをしたので、1周目のアップダウンを利用する事ができず、自分の展開に持ち込むのに時間がかかりました。でも昨日のクリテリウムよりはコース的には簡単(勝負所がはっきりしている)なので、落ち着いて走りました」と、21勝目のレースを振り返る。「21勝目という事は特に意識はしていないが、自分の力で勝つ事は心掛けています」と言う。
前日の大田原クリテリウムでは中村妃智(日本体育大学)との一騎打ちとなったが、「ナショナルチームの選手相手にサシで勝負したら勝てないので、どうやったら彼女の脚を削れるかを考えてドキドキしながらレースしていました」と、どこか楽しそうに話す唐見。「9月はシクロクロスの中国遠征も控えているので、8月にベースを作り直して冬のシクロクロスシーズンに向けて切り替えていきたい」と、今後について語った。
前日の大田原クリテリウムに続き、7月最後のJプロツアーは、大田原市の南隣にある矢板市でのロードレース。このレースをもって、Jプロツアーは約1ヶ月の夏休みに入る。
前日の大田原クリテリウムに続き今年初開催となる「やいた片岡ロードレース」。1周10.3kmの公道コースは、JR矢板駅前の折り返しや、細く曲がりくねった前半、2段階の登りと長い下りの後半で構成される変化に富んだレイアウトだ。
矢板駅前のロータリーには、表彰式も行われるイベントステージや飲食ブース、Jプロツアーチームのチームピットが設けられ、駅を降りたら目の前がレース会場という今までにないロケーションが作り上げられた。
当日の天気は曇り。P1クラスタのレース中にはコースの所々で小雨が落ちてくる事もあったが、コースを濡らすほどにはならない程度。気温は28度前後だったものの、湿度の高い中でのレースとなった。
P1クラスタ 横塚浩平がJプロツアー初優勝
お昼前にスタートしたP1クラスタは9周92.7km。男子エリートのレースとしては短距離のレースだ。
スタート直後からアタック合戦が始まり、逃げと吸収が繰り返される。前日優勝した宇都宮ブリッツェンやマトリックスパワータグのメンバーが集団前方で積極的に動くが、逃げが容認されない。登りで差を広げても、その後の長い下りで後続が追いついてくるという事が繰り返される。その中で集団の人数は徐々に減って行き、94人でスタートしたレースは、中盤過ぎには半分以下まで減った。
レースが動いたのは7周目。登り区間でマトリックスパワータグの佐野淳哉、ホセ・ビセンテらのペースアップにより、先頭集団は10人ほどまで絞られる。
残り2周となる8周目に入った直後、10人の中から入部正太朗(シマノレーシング)が単独アタック。差を一気に25秒まで広げる。登りに入ったところで雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)が単独で追いかけて入部と合流する。この2人を追って土井雪広(マトリックスパワータグ)、岸崇仁(那須ブラーゼン)、飯野智行(宇都宮ブリッツェン)、横塚浩平(LEOMO Bellmare Racing team)の4人が追走して合流。先頭集団は7人となる。
最終周回の9周目、入部が再度アタック。これに飯野が反応して2人が先行。さらにコース後半の登り区間で雨澤が追いついて3人となる。数的優位になった宇都宮ブリッツェンの2人は、入部をゆさぶるように交互に攻撃をしかけるが、「余裕があったので全て対応出来た」と言う入部が2人を封じ込める。この攻防の繰り返しでスピードが落ちた間に土井、岸、横塚の3人が差を詰め、下りに入ったところで追いついて再び先頭集団は6人に。残り2kmを切って誰も決定打を繰り出せず、勝負は最後のスプリントに持ち込まれた。
最終コーナーを抜けてゴールまでは200mの登り。先頭で駆け上がってきたのは横塚。入部、雨澤、岸らが続いてくるが一列棒状で並びかける事もできない。横塚は先頭でゴールした直後に後ろを振り返り、右手のこぶしを突き上げた。
「登りスプリントは得意ですが、自分のタイミングで入ってまくられたら仕方ないと思っていました。でも最後まで持ったので良かったです」と言う横塚。今年4月のチャレンジロードでも優勝しているが、その時も登りスプリントだった。
「最後の6人に絞られた時点で正直いっぱいでした。先行した3人を追いかけていた時も登りでついて行けてなかったので、弱気になって追いつくのは厳しいと思っていました。でも土井さんと岸さんがしっかり回してくれていたので、気持ちを切らさずに頑張りました」と、今日のレースを振り返った。
「今年はチームとして動けるようになってきたので、後半戦はチーム全員がもっと力をつけてゴールを狙えるようにしていきたいです」と、シーズン後半への意気込みを語った。
宮澤監督は「横塚の脚質なら、あのくらいの少ない人数になると強いので、うまくいけば勝てると思ってました。仮に勝てなかったとしてもどういう負け方をするか・・・逃げ切られるのか、スプリントで負けるのか、それが彼の今後の成長に向けて大事になると思っていました。今回はわかりやすい展開でしたが、もうちょっと激しい展開でも他の選手を見て自分から動いて、どんなレースでも力を発揮できるようになって欲しいです」と、横塚の今後に期待する。そして、「LEOMO Bellmare Racing teamはチーム員を募集しているので、強くなりたいと思う人は是非来てほしい」と、付け加えた。
一方2位の入部は、「今日は、チームとしては逃げきりを狙った動きを最初からしていきました。最後にブリッツェンの2人の波状攻撃に遭いましたけれど、本当はあの3人で最後まで行きたかったですね。数的優位を活かすためには間違ってはいないのですが、結果的にスピードが落ちて他の3人に追いつかれてしまいました。でも最後まで攻める姿勢は貫けたかなと思います。昨日、今日と、あと少しのところで勝ちを逃してしまいましたが、表彰台には乗れたので前向きに捉えて次に繋げたいです」と、2連戦を総括した。
3位の雨澤は、U23リーダーとなり、ピュアホワイトジャージを獲得。表彰式では「明後日からナショナルチームのフランス遠征に行くので、強くなって帰ってきます」と宣言した。
Fクラスタ 唐見実世子が21勝目
女子のFクラスタは4周41.2km。2周目にJフェミニンツアーリーダーの唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)と、大堀博美(YOKOSUKA UNO RACING)の2人が先行するが、3周目に唐見がアタック。お馴染みとなった独走で後続を引き離し、昨日に続いて優勝。今季21勝目を挙げた。
「今日は吉川美穂選手(Live GARDEN BICI STELLE)がスタートアタックをしたので、1周目のアップダウンを利用する事ができず、自分の展開に持ち込むのに時間がかかりました。でも昨日のクリテリウムよりはコース的には簡単(勝負所がはっきりしている)なので、落ち着いて走りました」と、21勝目のレースを振り返る。「21勝目という事は特に意識はしていないが、自分の力で勝つ事は心掛けています」と言う。
前日の大田原クリテリウムでは中村妃智(日本体育大学)との一騎打ちとなったが、「ナショナルチームの選手相手にサシで勝負したら勝てないので、どうやったら彼女の脚を削れるかを考えてドキドキしながらレースしていました」と、どこか楽しそうに話す唐見。「9月はシクロクロスの中国遠征も控えているので、8月にベースを作り直して冬のシクロクロスシーズンに向けて切り替えていきたい」と、今後について語った。
第1回JBCFやいた片岡ロードレース 結果
Jプロツアーリーダー:ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)
U23リーダー:雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)
U23リーダー:雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)
Jフェミニンツアーリーダー:唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)
Jエリートツアーリーダー:岩崎晶雲(グランペールサイクリングチーム)
E2(41.2km) | ||
---|---|---|
1位 | 永富一騎(VENTOS FRECCIA) | 1時間1分29秒 |
2位 | 神原真人(Unity) | +0秒 |
3位 | 福吉紳悟(YOKOSUKA UNO RACING) | |
4位 | 渋谷秀俊(クラブ二輪俱) | |
5位 | 小泉雅人(Team SHIDO) | |
6位 | 雨澤弘機(ブラウ・ブリッツェン) |
E3(30.9km) | ||
---|---|---|
1位 | 奥秋 篤(コムリン) | 45分50秒 |
2位 | 本間豪紀(NAK Racing) | +0秒 |
3位 | 片桐直紀(じてんしゃの杜) | |
4位 | 高杉知彰(PROJECT-Y) | |
5位 | パク・ジョンオン(Honda栃木JET) | |
6位 | 横田隼人(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ) |
text&photo:Satoru Kato
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