第80回ブエルタ・ア・エスパーニャが大会史上初となるイタリアで開幕した。その初日は集団スプリントに持ち込まれ、アルペシン・ドゥクーニンクが盤石なリードアウトを披露。ツール・ド・フランスで落車リタイアしたヤスペル・フィリプセン(ベルギー)が圧巻のスプリントで勝利を飾り、マイヨロホに袖を通した。

総合上位を目指すピドコック photo:CorVos 
初日勝利が期待されたフィリプセン photo:CorVos

総合優勝の有力候補であるヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
8月23日(土)第1ステージ
トリノ〜ノヴァーラ 186.1km(平坦)
獲得標高差1,337m

第1ステージ トリノ〜ノヴァーラ image:A.S.O.
今年のグランツールを締めくくるブエルタ・ア・エスパーニャの開幕地は、イタリア第4の都市トリノ。最初の63.3kmまでは丘一つない平坦路で、今大会最初の山岳である3級山岳ラ・セッラ(距離6.4km/平均5.3%)はマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)争いの口火を切るにはちょうどよい難易度。そして残り90.6km地点の中間スプリントを経て、ミラノ〜サンレモでもお馴染みのノヴァーラにフィニッシュするレイアウトだ。
予想された結末はもちろん集団でのスプリントバトル。これは2007年以来18年ぶりに、スプリンターにマイヨロホ着用のチャンスが訪れることを意味する。

イタリア・トリノをスタートした184名の選手たち photo:A.S.O.
晴天の気温26度とレース日和となったなか、最終日のマドリッドに向かう総距離3,189.8kmの2025年ブエルタが始まる。アクチュアルスタートの旗が振られた直後から逃げを目指したアタックが繰り広げられ、その結果、母国イタリア出身のアレッサンドロ・ヴェッレ(アルケア・B&Bホテルズ)ら6名が飛び出す。メイン集団がこれを容認したことで、この日の逃げが成立した。
ブエルタ第1ステージで逃げた6名
ペピン・レンデリンク(オランダ、スーダル・クイックステップ)
ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、XDSアスタナ)
ジョエル・ニコラウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
クーン・ボウマン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
アレッサンドロ・ヴェッレ(イタリア、アルケア・B&Bホテルズ)
ウゴ・デラカジェ(スペイン、ブルゴス・ブルペレットBH)
31歳のボウマンからグランツールデビューの21歳デラカジェまで、幅広い年齢で構成された逃げグループは、ローテーションを回しながら早々と1分のアドバンテージを得た。しかしアルペシン・ドゥクーニンクやリドル・トレックらスプリンターチームが牽引するプロトンは、2分前後のリードしか許さない。そして今年のジロ・デ・イタリアにも登場した3級山岳ラ・セッラに入ると、頂上まで1.5kmを残した地点からレンデリンクが仕掛けた。

クーン・ボウマン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)ら6名が逃げグループを形成した photo:CorVos
その目的はもちろん、トップ通過者に与えられるマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)の獲得で。しかしブエルタデビューのレンデリンクの仕掛けは実らず、ヴェッレが先頭で通過。母国イタリアの表彰台で、白地に水玉模様のマイヨモンターニャ着用の権利を手にした。
アタックが失敗に終わったレンデリンクだったが、その直後、残り90.6km地点に設定された中間スプリントをトップ通過する。ボーナスタイム6秒を加算し、名選手であったアレクサンドル・ヴィノクロフの息子ニコラスが2位で通過。後方のプロトンでは相変わらずアルペシンとリドルが牽引し、徐々に逃げとの距離を縮めていった。

中間スプリントをトップ通過するペピン・レンデリンク(オランダ、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

プロトンはアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア、リドル・トレック)が中心となりペースを作った photo:A.S.O.

最後まで一人粘ったウゴ・デラカジェ(スペイン、ブルゴス・ブルペレットBH) photo:CorVos
そのため残り85km地点で、早くもプロトンは逃げた6名を視界に捉える。するとデラカジェがアタック。昨年のスペインU23王者であり、ネオプロ(1年目)のデラカジェはタイムギャップを48秒まで戻し、母国最大のステージレースで見せ場を作った。
しかしそんなデラカジェの試みも、ベテランルーラーであるアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア、リドル・トレック)が残り38kmで吸収する。再びひと塊となった集団の先頭には、総合優勝を狙うUAEチームエミレーツXRGやヴィスマ・リースアバイクも牽引に選手を送り込み、184名の選手たちを率いてノヴァーラに到着。ここから白熱のスプリントバトルが幕を開けた。
残り1kmバナーはイスラエル・プレミアテックが先頭で通過し、若きエーススプリンターであるイーサン・ヴァーノン(イギリス)を好位置まで運ぶ。その後、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)擁するロットからアルペシン・ドゥクーニンクへと先頭が代わる。後方ではトレインの枚数が足りず、番手を上げられないマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)を尻目に、アルペシンがヨナス・リカールトからエドワルト・プランカールトへとベルジャンリードアウトトレインを繋ぎ、満を持してフィリプセンが踏み込んだ。

圧巻のスプリントでフィニッシュに飛び込んだヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

ツールに続き、ブエルタの初日を制したヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
絶好の位置からスプリントを開始したフィリプセンは、緩く右に曲がる最終ストレートのイン側から加速。外側からヴァーノン、背後からオールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター)が迫ったものの、ライバルたちに並ばせることすら許さない圧巻のスピードで、フィニッシュに飛び込んだ。
今年のツール・ド・フランス初日にもスプリント勝利を決めたフィリプセン。しかし第3ステージで落車して鎖骨&肋骨骨折でリタイア。僅か1ヶ月後に実戦復帰してからは勝利に絡む走りができていなかったため、抱かれていた不安を見事な勝利で一蹴した。
「長く準備を進め、大きな目標だったツール・ド・フランスで落車リタイアしてしまい、酷く落ち込んだ。そんな中でブエルタという新たな目標を見つけた。僕のような選手(ピュアスプリンター)にチャンスの少ないブエルタだから、今後は辛いステージが待っているだろう」と、ブエルタ通算4勝目を振り返った。

骨折からの復活勝利を飾ったヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

マイヨロホを着用したヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
そして表彰式でフィリプセンは、自身初となるマイヨロホに袖を通すと「まだ鏡を見ていないので、赤色ジャージが自分に似合っているのかは分からない。でも赤は良い色だし、スプリンターとして貴重なチャンスを掴めて嬉しいよ」と喜んだ。
2位のヴァーノンはマイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)を着用し、3位にはアウラール、36歳のベテランであるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ロット)が4位となった。また有力候補に挙げられていたピーダスンは14位に終わっている。



8月23日(土)第1ステージ
トリノ〜ノヴァーラ 186.1km(平坦)
獲得標高差1,337m

今年のグランツールを締めくくるブエルタ・ア・エスパーニャの開幕地は、イタリア第4の都市トリノ。最初の63.3kmまでは丘一つない平坦路で、今大会最初の山岳である3級山岳ラ・セッラ(距離6.4km/平均5.3%)はマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)争いの口火を切るにはちょうどよい難易度。そして残り90.6km地点の中間スプリントを経て、ミラノ〜サンレモでもお馴染みのノヴァーラにフィニッシュするレイアウトだ。
予想された結末はもちろん集団でのスプリントバトル。これは2007年以来18年ぶりに、スプリンターにマイヨロホ着用のチャンスが訪れることを意味する。

晴天の気温26度とレース日和となったなか、最終日のマドリッドに向かう総距離3,189.8kmの2025年ブエルタが始まる。アクチュアルスタートの旗が振られた直後から逃げを目指したアタックが繰り広げられ、その結果、母国イタリア出身のアレッサンドロ・ヴェッレ(アルケア・B&Bホテルズ)ら6名が飛び出す。メイン集団がこれを容認したことで、この日の逃げが成立した。
ブエルタ第1ステージで逃げた6名
ペピン・レンデリンク(オランダ、スーダル・クイックステップ)
ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、XDSアスタナ)
ジョエル・ニコラウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
クーン・ボウマン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
アレッサンドロ・ヴェッレ(イタリア、アルケア・B&Bホテルズ)
ウゴ・デラカジェ(スペイン、ブルゴス・ブルペレットBH)
31歳のボウマンからグランツールデビューの21歳デラカジェまで、幅広い年齢で構成された逃げグループは、ローテーションを回しながら早々と1分のアドバンテージを得た。しかしアルペシン・ドゥクーニンクやリドル・トレックらスプリンターチームが牽引するプロトンは、2分前後のリードしか許さない。そして今年のジロ・デ・イタリアにも登場した3級山岳ラ・セッラに入ると、頂上まで1.5kmを残した地点からレンデリンクが仕掛けた。

その目的はもちろん、トップ通過者に与えられるマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)の獲得で。しかしブエルタデビューのレンデリンクの仕掛けは実らず、ヴェッレが先頭で通過。母国イタリアの表彰台で、白地に水玉模様のマイヨモンターニャ着用の権利を手にした。
アタックが失敗に終わったレンデリンクだったが、その直後、残り90.6km地点に設定された中間スプリントをトップ通過する。ボーナスタイム6秒を加算し、名選手であったアレクサンドル・ヴィノクロフの息子ニコラスが2位で通過。後方のプロトンでは相変わらずアルペシンとリドルが牽引し、徐々に逃げとの距離を縮めていった。



そのため残り85km地点で、早くもプロトンは逃げた6名を視界に捉える。するとデラカジェがアタック。昨年のスペインU23王者であり、ネオプロ(1年目)のデラカジェはタイムギャップを48秒まで戻し、母国最大のステージレースで見せ場を作った。
しかしそんなデラカジェの試みも、ベテランルーラーであるアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア、リドル・トレック)が残り38kmで吸収する。再びひと塊となった集団の先頭には、総合優勝を狙うUAEチームエミレーツXRGやヴィスマ・リースアバイクも牽引に選手を送り込み、184名の選手たちを率いてノヴァーラに到着。ここから白熱のスプリントバトルが幕を開けた。
残り1kmバナーはイスラエル・プレミアテックが先頭で通過し、若きエーススプリンターであるイーサン・ヴァーノン(イギリス)を好位置まで運ぶ。その後、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)擁するロットからアルペシン・ドゥクーニンクへと先頭が代わる。後方ではトレインの枚数が足りず、番手を上げられないマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)を尻目に、アルペシンがヨナス・リカールトからエドワルト・プランカールトへとベルジャンリードアウトトレインを繋ぎ、満を持してフィリプセンが踏み込んだ。


絶好の位置からスプリントを開始したフィリプセンは、緩く右に曲がる最終ストレートのイン側から加速。外側からヴァーノン、背後からオールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター)が迫ったものの、ライバルたちに並ばせることすら許さない圧巻のスピードで、フィニッシュに飛び込んだ。
今年のツール・ド・フランス初日にもスプリント勝利を決めたフィリプセン。しかし第3ステージで落車して鎖骨&肋骨骨折でリタイア。僅か1ヶ月後に実戦復帰してからは勝利に絡む走りができていなかったため、抱かれていた不安を見事な勝利で一蹴した。
「長く準備を進め、大きな目標だったツール・ド・フランスで落車リタイアしてしまい、酷く落ち込んだ。そんな中でブエルタという新たな目標を見つけた。僕のような選手(ピュアスプリンター)にチャンスの少ないブエルタだから、今後は辛いステージが待っているだろう」と、ブエルタ通算4勝目を振り返った。


そして表彰式でフィリプセンは、自身初となるマイヨロホに袖を通すと「まだ鏡を見ていないので、赤色ジャージが自分に似合っているのかは分からない。でも赤は良い色だし、スプリンターとして貴重なチャンスを掴めて嬉しいよ」と喜んだ。
2位のヴァーノンはマイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)を着用し、3位にはアウラール、36歳のベテランであるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ロット)が4位となった。また有力候補に挙げられていたピーダスンは14位に終わっている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2025第1ステージ
1位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 4:09:12 |
2位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | |
3位 | オールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター) | |
4位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ロット) | |
5位 | イバン・ガルシア(スペイン、モビスター) | |
6位 | ダビド・ゴンサレス(スペイン、Q36.5プロサイクリング) | |
7位 | ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) | |
8位 | ギリェルモ・シルバ(ウルグアイ、カハルラル・セグロスRGA) | |
9位 | トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) | |
10位 | マディス・ミケルス(エストニア、EFエデュケーション・イージーポスト) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 4:09:02 |
2位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | +0:04 |
3位 | ペピン・レンデリンク(オランダ、スーダル・クイックステップ) | |
4位 | オールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター) | +0:06 |
5位 | ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、XDSアスタナ) | |
6位 | クーン・ボウマン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) | +0:08 |
7位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ロット) | +0:10 |
8位 | イバン・ガルシア(スペイン、モビスター) | |
9位 | ダビド・ゴンサレス(スペイン、Q36.5プロサイクリング) | |
10位 | ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 50pts |
2位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | 30pts |
3位 | ペピン・レンデリンク(オランダ、スーダル・クイックステップ) | 20pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | アレッサンドロ・ヴェッレ(イタリア、アルケア・B&Bホテルズ) | 3pts |
2位 | ジョエル・ニコラウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | 2pts |
3位 | ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、XDSアスタナ) | 1pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | 4:09:06 |
2位 | ペピン・レンデリンク(オランダ、スーダル・クイックステップ) | |
3位 | ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、XDSアスタナ) | +0:02 |
チーム総合成績
1位 | Q36.5プロサイクリング | 12:27:36 |
2位 | アルペシン・ドゥクーニンク | |
3位 | モビスター |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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