Jプロツアー第9戦となる第16回JBCF石川サイクルロードレースが開催され、宇都宮ブリッツェンの雨澤毅明が優勝した。ジュニア男子は白河実業高校の角田光が優勝。女子は弱虫ペダルサイクリングチームの唐見実世子が今季16勝目を挙げた。




ストライダーのキッズたちも学法石川高校前に並ぶストライダーのキッズたちも学法石川高校前に並ぶ photo:Hideaki TAKAGI
石川町の山間部を行くP1クラスタの集団石川町の山間部を行くP1クラスタの集団 photo:Satoru Katoコース沿いに咲くアジサイの花コース沿いに咲くアジサイの花 photo:Satoru Kato

西日本ロードクラシック広島大会から2週間のインターバルをおいて迎えた第9戦は、今年16回目の開催となる石川サイクルロードレース。福島県南部の石川町に設定されるコースは、アップダウンに富む1周13.6km。レースレーティングは2番目に高いランクとなるAAA(トリプル・エー)に指定される。

過去には佐野淳哉(チームNIPPO・現マトリックスパワータグ)、西薗良太(シマノレーシング・現ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、ホセ・ビセンテ(チーム右京・現マトリックスパワータグ)と、実力ある選手が勝っている事からも、レース難易度の高さが理解できよう。

毎年、梅雨が明けるか明けないかという時季に開催される石川サイクルロードレース。今年は梅雨明け前の開催となったが、レース当日は雲が多めながらも時々陽が差して30℃を超える暑さ。午後から行われた女子やE3のレース中に雨が落ちてきたものの、午前のJプロツアーのレース中は終始暑さとの戦いにもなった。



雨澤毅明が残り1周を逃げ切ってJプロツアー初優勝

1周目 先行する5人1周目 先行する5人 photo:Satoru Kato4周目 土井雪広(マトリックスパワータグ)を先頭にまとまった集団4周目 土井雪広(マトリックスパワータグ)を先頭にまとまった集団 photo:Satoru Kato

Jプロツアーは、石川町の学法石川高校前をパレードスタートしたのち、周回コースを7周する102.2km。

レースは1周目から動いた。5人が抜け出して先行、2周目までに1人が集団に戻り、4人がそのまま先行する。メンバーは、湊諒(シマノレーシング)、新城銀二(那須ブラーゼン)、中里仁(群馬グリフィン)、渡邊聡(なるしまフレンドレーシングチーム)。メイン集団との差は2周目には1分まで開くものの、3周目には30秒まで縮まり、4周目には吸収される。

5周目 単独先行する安原大貴(マトリックスパワータグ)5周目 単独先行する安原大貴(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato5周目 先行する安原大貴(マトリックスパワータグ)を追う集団5周目 先行する安原大貴(マトリックスパワータグ)を追う集団 photo:Satoru Kato

6周目後半の坂でアタックする雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)6周目後半の坂でアタックする雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki TAKAGI
5周目、安原大貴(マトリックスパワータグ)が単独で先行。10秒ほどの差で、ルビーレッドジャージのホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)を含む15人ほどが追走する。6周目に安原が吸収された後、雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)がコース後半の登り区間でアタック。およそ10秒遅れて才田直人(レオモ・ベルマーレ・レーシングチーム)、さらに20秒遅れて田窪賢次(マトリックスパワータグ)の順に続いていく。

ブリッツェンサポーターを背にゴールする雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)ブリッツェンサポーターを背にゴールする雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru Kato2位田窪賢次(マトリックスパワータグ)、3位才田直人(レオモ・ベルマーレレーシングチーム)2位田窪賢次(マトリックスパワータグ)、3位才田直人(レオモ・ベルマーレレーシングチーム) photo:Satoru Kato

最終周回の7周目、雨澤は単独で逃げ続ける一方、追走する才田に田窪が追いつく。しかし先行する雨澤との差は縮まるどころか広がりはじめる。雨澤はそのまま逃げ切り、ブリッツェンサポーターの歓喜の声に押されるようにしてゴール。自身のJプロツアー初優勝と同時に、今季Jプロツアー初優勝をチームにもたらした。

ダウンしながら鈴木譲と話す雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)今季初優勝に笑顔がこぼれるダウンしながら鈴木譲と話す雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)今季初優勝に笑顔がこぼれる photo:Satoru Kato「ブリッツェンは勝たなければいけないチームなので、チームも自分もやっと勝てて一安心です。登りが厳しいほど得意なので、石川のコースは自分向きで優勝を狙っていました」と言う雨澤。

「マトリックスのホセ選手は非常に強いので、一緒に行ってしまったら厳しくなると考えていました。残り2周でアタックした時、ホセ選手が遅れていて、他チームの選手もきつそうで、チームは(鈴木)譲さんと飯野(智行)さんが同じ集団にいました。これは行くしかないと思いましたね。最終周回は登りで足がつりそうになってハラハラしていました。P1 エスコートキッズと共に表彰式P1 エスコートキッズと共に表彰式 photo:Satoru Kato

残り300mまで来て、後ろを見たら追走が全然来ていなかったので、勝ったと思いました」と、初優勝の瞬間を振り返った。

今季はツアー・オブ・ジャパンや全日本選手権で好調さを見せる場面もあったが、勝利にはなかなか手が届かなかった雨澤。「そこそこ良い成績を出していても、『強くても勝てない』と思われるのもイヤですし・・・。ここで勝てたのは今後の自信になるし、他の選手へのアピールとプレッシャーにもなるかなと思います」と、初優勝の手応えを語った。

ブリッツェンサポーターと優勝記念撮影ブリッツェンサポーターと優勝記念撮影 photo:Satoru Kato宇都宮ブリッツェンの清水監督は、「今日は雨澤を中心に考えていましたが、逃げ切りの集団からホセ選手をうまく出し抜いて行くか、スプリントのどちらかを考えていました。終盤の展開からスプリントになるかなと思っていましたが、雨澤が良いトライをしてくれました。これまでも積極的に逃げを繰り返してきたのですが、今回はそれが功を奏しました」と、雨澤を評価する。

「(増田、岡を欠いて)まだしばらく6人で戦わなければならないので、この1勝で楽観できる状態ではないです。でも6人での戦い方・・・力の抑え方とか出し方とか、解ってきた気がするので、次のレースもそこに見合った戦い方でしっかりやっていきたいと考えています」と、シーズン後半に向けての展望を語った。



Y/男子ジュニア 3人のスプリント勝負を制した角田光が優勝

Y/J 角田光(白河実業高等学校)がスプリントを制して優勝Y/J 角田光(白河実業高等学校)がスプリントを制して優勝 photo:Satoru Kato
Y/J 表彰Y/J 表彰 photo:Hideaki TAKAGIJユースツアーリーダーは津田悠義(EQADS)Jユースツアーリーダーは津田悠義(EQADS) photo:Hideaki TAKAGI

Jユースツアー(Yクラスタ)とジュニアを合わせたY/ジュニアは、P1クラスタと同じく学法石川高校をパレードスタートし、周回コースを4周する61.4㎞。

レースは周回ごとに集団の人数が減っていくが、勝負を決定づける逃げが生まれないまま進行。最終周回、全日本選手権タイムトライアルのU17で優勝した津田悠義(EQADS)のアタックに、角田光(白河実業高等学校)と、岩瀬照(吉田高等学校)が反応して合流。3人は集団に10秒ほど先行して逃げ切り、最後のスプリント勝負を角田が制して優勝した。

「津田君が行ったのを岩瀬君が追って、自分がそれに続いて行きました。最後は3人になりましたが、残り距離が少なかったのでスプリントでの勝負を考えました。最後はきつかったのですが、残り100mから仕掛けたのがうまくいきました。今月末にはインターハイを控えていますが、自分のベストを出せるようにしたいです」と角田。

一方2位の津田は、Jユースツアーのリーダージャージを獲得。「ラスト1周逃げ切るつもりでアタックしましたが、最後の登りで捕まってしまいました。リーダージャージは嬉しいですが、総合2位と同ポイントなので、次のみやだクリテリウムで少しでも差をつけられるようにしたいです」と、今日の反省と次戦の目標を語った。



Fクラスタは唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が今季16勝目を挙げる

1周目にアタックする唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)1周目にアタックする唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Hideaki TAKAGIF(女子) 表彰式F(女子) 表彰式 photo:Satoru Kato
E1 表彰式E1 表彰式 photo:Satoru KatoE1 ネクストイエロージャージは岩崎晶雲(グランペールサイクリングチーム)が防衛E1 ネクストイエロージャージは岩崎晶雲(グランペールサイクリングチーム)が防衛 photo:Satoru Kato
E2 表彰式E2 表彰式 photo:Satoru KatoE3 表彰式E3 表彰式 photo:Satoru Kato
H3
第16回JBCF石川サイクルロードレース 結果
P1(102.2km)
1位 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) 2時間39分7秒
2位 田窪賢次(マトリックスパワータグ) +48秒
3位 才田直人(レオモ・ベルマーレレーシングチーム) +52秒
4位 ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ) +1分42秒
5位 西村大輝(シマノレーシング) +1分45秒
6位 秋田拓磨(シマノレーシング) +1分49秒
E1(75km)
1位 寺崎武郎(バルバレーシングクラブ) 2時間1分47秒
2位 高橋利尚(チーム・ウォークライド) +1秒
3位 佐川祐太(サイタマサイクルプロジェクト)
4位 岩崎晶雲(グランペールサイクリングチーム) +24秒
5位 須崎尚樹(ACQUA TAMA) +26秒
6位 岡 泰誠(イナーメ信濃山形)
E2(40.8km)
1位 浜田大雅(EQADS) 1時間3分40秒
2位 風間翔眞(東北学院大学) +2秒
3位 加藤健悟(サイタマサイクルプロジェクト) +3秒
4位 吉澤祐介(Team SHIDO)
5位 石神 宇(パラディアムTOKYO) +4秒
6位 菅野正明(Link TOHOKU)
E3(40.8km)
1位 白崎 剛(バルバレーシングクラブ) 1時間5分36秒
2位 川久保大海(彩北ツブラーゼ) +1秒
3位 佐藤智史(エルドラード・エスペランサ)
4位 黒澤章雄(RIDE Freaks) +2秒
5位 藤田 豊(サガミレーシング)
6位 福岡 実(チバポンズ) +4秒
Y/ジュニア男子
1位 角田 光(白河実業高等学校) 1時間40分49秒
2位 津田悠義(EQUADS) +0秒
3位 岩瀬 照(吉田高等学校)
4位 中村龍吉(学校法人石川高等学校) +11秒
5位 福地 猛(学校法人石川高等学校) +15秒
6位 小笠原匠海(八王子桑志高等学校)
F(女子・40.8km)
1位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) 1時間11分18秒
2位 西加南子(LUMINARIA) +4分37秒
3位 望月美和子(フィッツ)
text:Satoru Kato
photo:Hideaki TAKAGI,Satoru Kato

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