落車により波乱の展開となったツール・ド・フランス第9ステージ。カテゴリー山岳が次々と登場するクイーンステージを制したリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)をはじめステージ上位勢と総合勢のコメントを紹介しよう。



ステージ優勝を果たしたリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)

僅差のスプリントで勝利したリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)僅差のスプリントで勝利したリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) photo:Kei Tsuji / TDWsport
信じられない勝利だよ。まだこの状況が現実なんだって受け止められない。スプリントでどちらが勝ったのかわからなくて、優勝した事を知ったのはドーピング検査を受けてからだった。本当に驚いているんだ。リッチー・ポートとダニエル・マーティンが落車したとき、マーティンが僕にぶつかって、変速器が壊れてしまったんだ。だから下りは壊れたまま走るしかなかった。どうにか力を残して走ろうと考えながら走っていたんだ。

惜しくもステージ優勝を逃したワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)

4年前、僕はリゴ(ウラン)をブエルタ・ア・エスパーニャの第16ステージで打ち負かしたけど、今日は逆に負けてしまった。逃げで力を使ったからか、今は脚が重い。これは勝つか負けるかのスプリントを行った勲章のようなものだ。もちろん勝てなかったことは残念だけど、一日中動いてくれたチームを誇りに思う。

昨日に続き今日も逃げた選手は少ないから自分自身の動きについても満足している。最初のヒルクライムは辛かったけど、次第にいい感触が戻ってきた。マラソンのようなステージで、それが自分にあっていたのだろう。昨日との違いは、自分自身が完璧に調子が良かったこと。3級山岳ではポイント争いには加わらず、超級山岳のために温存していた。山岳賞には興味がなかったけれど、最終的にはポルカドットジャージを獲得した。これからも攻撃的に仕掛けていきたい。

マイヨアポワを手にしたワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)マイヨアポワを手にしたワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) photo:Kei Tsuji / TDWsportマイヨジョーヌのリードを広げたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌのリードを広げたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport


マイヨジョーヌを守ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)

ステージが終わって、とても複雑な気分だよ。ジャージを守れたことはもちろん嬉しい。でも、かなり危険なステージだった。リッチー・ポートが落車したシーンは、本当に恐怖を感じたよ。彼が無事でいることを願っている。もちろんチームメイトであるゲラント・トーマスが骨折でリタイアしてしまったことも、非常に悲しいし、彼の回復を祈っている。

チームの皆はよく僕を支えてくれた。今日のようなレースをコントロールするのは並大抵のことではないけれど、皆はそれを成し遂げた。モン=デュ=シャの麓でメカトラブルが起きてしまい、バイクを交換する必要がでた。その時、リッチー・ポートはグループをまとめてくれ、僕を待ってくれたんだ。一刻も早く彼が回復することを願っているよ。明日の休息日は、きっと誰もが疲れ果てているはずだから、みんな大歓迎だろう。僕もぐっすり眠るつもりだ。

総合3位のロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)

平坦区間を独走するロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)平坦区間を独走するロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Tim de Waele / TDWsport
悪いことに向かい風が少し強かった。チームが望むようにレース展開を作っていただけに残念だけど、それだけでは十分ではなかった。チームは一日中働いてたし、それに応える責任もあったし、モン=デュ=シャの下りでは勝ちを望んでいたよ。でも、最後のスプリントでは残っていた力を振り絞ったので、後悔することはない。勝利に近づくことができただけに残念だけど、自分自身の調子やチームの素晴らしい動きには満足している。

今は総合3位につけているけど、ピレネーやアルプスでの戦いが残っている。今日は強力な総合勢と同じレベルで闘うことができている。今シーズンはツールにフォーカスしていて、まだ先頭で闘えると感じている。自分の気持の状態もいいし、チームも準備ができている。あとは、来る日で挑戦するだけだ。モン=デュ=シャの下りではマイヨジョーヌを着ることを考えていた。それは僕の夢だけど、獲得しても驚きはしない。僕らはペダルを漕ぎ続けなければならないが、今日はそれができなかった。

ステージ5位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)

積極的にペースを上げるファビオ・アル(イタリア、アスタナ)積極的にペースを上げるファビオ・アル(イタリア、アスタナ) (c)CorVos
とてもタフで、危険なステージだった。でも僕らのチームはとても高いパフォーマンスを見せてくれたし、最終的な結果には満足している。今日はもともとアタックすることを計画していたんだ。モン=デュ=シャでは、できるだけ麓からアタックしようと思っていたんだ。良いタイミングだと思ってアタックしたんだ、実際フルームがメカトラブルに見舞われたというのは把握していなかった。アタックする瞬間を見極めるためにとても集中していたんだ。でも、仕掛けてから彼がメカトラブルで遅れているという無線を聞いて、彼を待つために集団に戻ったんだ。

モン=デュ=シャの下りはとても危険だったけれど、出来るだけリスクは取らないように慎重に下った。最後はステージ優勝の可能性があったから、全力だったよ。ライバルたちにタイム差を付けることもできたしね。

ステージ6位 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)

超級山岳モン=デュ=シャを登るヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)超級山岳モン=デュ=シャを登るヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) photo:Tim de Waele / TDWsportウランがとても強いのは知っていたから、スプリントに持ち込むのではなくて、遠くから仕掛けて皆の虚を衝こうと考えていたんだ。でもあまり効果は無かったね。とにかく、今日の自分のパフォーマンスにはとても満足している。一日中、調子はとても良かったし、総合成績も15位から5位へとジャンプアップできた。とても素晴らしいことだ。

アルと共にアタックを仕掛けてライバルたちにプレッシャーを掛ける作戦だった。モン=デュ=シャでの僕の動きはそのプランの一部だったんだ。結局、全ての選手たちが全力を出して登ることになった。キンタナのように、ここで遅れたライバル達からどれだけタイム差を奪えるかが焦点になったね。

落車に巻き込まれたダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)

1分15秒遅れたダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)やナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)1分15秒遅れたダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)やナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) photo:Kei Tsuji / TDWsportゲラント・トーマスが落車したときに、彼のバイクが僕のハンドルに当たったんだけど落車せずに済んだのは幸いだった。でも、ツイていたのはそこまでだった。結局はポートが落車したのに巻き込まれてしまった。木の下で、かなりスリッピーな下りで、ポートはリアホイールを滑らせて、道路の外にはみ出て派手にクラッシュしてしまった。

僕のラインでは逃げ場が無かったよ。ニュートラルサポートから前輪を交換してもらって、下っていくのは大変なことだった。良かったといえば、何人かの選手と協力して追い上げることが出来たことくらいだろうか。チームタイムトライアルのように全力を出し切ったよ。

ライバル達から1分遅れたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

チームの皆が全力で戦い、力及ばずタイムを失ってしまった。常に最高のコンディションを保ち続けるのはとても難しいことだ。ただ幸運なことに、落車に見舞われることは無かった。どうやって、落車に合わずに済んだのかはもうわからないけれど、とにかく無事だったことは喜ばしい。下手をすれば、ツールを去ることにも繋がってしまうからね。

それはそれとして、まだ僕たちは2週間を戦い抜く必要がある。レース前に期待していたよりも、僕たちの力は強くは無かったけれど、それは仕方のないこと。一歩一歩、進みながらどうやって戦うことが出来るか、冷静に考え続けないといけない。


ライバル達から1分遅れたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ライバル達から1分遅れたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) (c)CorVosフルーム集団に遅れてモンデュシャを下るアルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード)フルーム集団に遅れてモンデュシャを下るアルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード) photo:Makoto.AYANO

2度落車し大きく遅れたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)

今日はあまり良い一日ではなかったね。マイカが僕の目の前で落車して、それを避けることが出来なかった。キンタナが僕の自転車に引っかかって、もう一度落車。少し力が入らなくなったのを感じたけれど、何とかリカバリーしようと努力していた。最終的にはそこまで悪い結果にはならなかったね。

モレマとパンタノが前の集団で大人しくしていたのは、僕がアタックを仕掛ける作戦だったから。昨日のステージで動かず足を温存していたのも、そのプランのためだったんだけど、結果的には完全に失敗してしまったね。落車によってダメージがあったというのは、おまけのようなもので、実際はあまり脚が動かなかった。モレマはとてもいい仕事をしてくれた。チームとして、これからのツールをどう戦っていくのか、少し計画を練り直す必要があるね。

落車の影響で後方集団に取り残された新城幸也(バーレーン・メリダ)

モンデュシャの下りでカメラマンを見つけ笑顔を見せる新城幸也(バーレーン・メリダ)モンデュシャの下りでカメラマンを見つけ笑顔を見せる新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Makoto.AYANO今年のツールの1つ目の山場が来た。 スタートから11kmの登り、1日で7つのカテゴリーが付いた山岳ポイントを超えて行く。これまでは暑いフランスだったが、今日は山岳部でオラージュ(爆弾低気圧)のせい天気が不安定。濡れているところもあれば乾いてるところもあるうえ、道幅は細いから落車が多発。そんな中でも無事にゴールにたどり着けたので良かった。グランコロンビエに向かう下りでの落車の影響でメイン集団に戻る事は出来なかったが、今日の自分のパフォーマンスには満足した。明日はしっかりと休み2週目に備えます!(チームユキヤ通信より)


text:CW編集部

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