2017/06/17(土) - 15:35
4シーズン目を迎えたDOWNHILL SERIES。梅雨入りが発表される直前の週末、シリーズ開始以来、毎年初戦を担当してきた山口県十種ヶ峰WOODPARKは4年目にして初の快晴に恵まれた。
昨年から国内最高峰のCoupe du japon(CJ)のUCIレースを誘致するまでになった十種ヶ峰WOODPARKは、コース造成以降、ローカルライダーたちによって愛され、西日本各地からライダーが集まるコースへと日々進化を続けている。
初日に行われたタイムドセッションでは、今年からDOWNHILL SERIESのメインパートナーとなったKONAに乗る泉野龍雅選手(AKI FACTORY/自転車道)が2分00秒266のタイムでトップ。2番手にはエリートクラスの藤村飛丸選手(COMMENCAL/BlankyDog)が2分4秒971、3番手にはPROクラスの阿藤寛選手(Acciarponebikes)が2分5秒589と続いた。
タイムドセッション後には十種ヶ峰会場ではすっかり定番となった100mのスキルアップコースを使ったショートレース「WOODPARK CUP」が行われた。小学校低学年クラスを始め、年齢別に分けられたこのレースは、スタートからフィニッシュまでが丸見えであることもあって、例年大盛り上がりを見せる。こちらも、泉野龍雅選手が9秒488で優勝。
お楽しみレース後は、DOWNHILL SERIES恒例のPROライダーによる参加者交流企画「コースウォーク」。公式戦では声をかけることもためらうようなPROライダー達から直接ライン取りを学び、その場で質問もできるという人気企画である。今回の講師は、AKI FACTORYの井手川直樹選手と泉野龍雅選手。前週のCJ富士見大会で肩を脱臼し、今回のレースは監督業に専念していた井手川選手だったが、「その分、包み隠さず全部教えます!」と話してくれた通り、2時間近い時間をかけての綿密なコースウォークは参加者にとって貴重な時間となった。
日曜日は朝から風も弱く、前日より気温が上がった。コースはもちろんスーパードライ。フィニッシュのあるベースエリアからもよく見えるロードギャップ→激坂のセクションでは、バフバフに乾いた路面の影響でコースアウトが続出。昨年のような、まともにまっすぐ走れないほどのマッドコンディション時とはまた違う展開に、観客も声援を送る。
ファーストタイマー男子では普段はBMXに乗るDOWNHILL SERIES初参加の川本鋼選手(ECO RACING)が優勝。スポーツ男子では今年から十種ヶ峰WOODPARKの職員となった内富哲男選手(VAN-QUISHトクサガミネ)、エキスパート男子では大学受験のためこれが今シーズン最後のレースとなった相良一茶選手(VAN-QUISH)、エリート女子では毎年大会のパトロールスタッフとしても活躍してくれている村田実里選手(VAN-QUISH)が優勝。十種ヶ峰のローカルライダーたちが3クラスを制した。
エリート男子クラスでは、前日のタイムドセッションのトップタイムを3秒も上回る結果で藤村選手が優勝。フィニッシュ直後、MCブース前で「まだ(タイムを)伸ばせます」という言葉を残し、PROクラスに挑戦する「下克上」の権利を得て再びスタート地点に向かった。
PROクラス、最初の走者はエリートクラス優勝の「下克上」藤村選手。が、タイムは伸びない。続いて田丸裕選手(Acciarponebikes)、阿藤選手も2分を切れない。最後の走者、泉野選手がフィニッシュ。「1分55秒654〜!」とタイムが読み上げられると会場が歓声と拍手に包まれた。唯一の2分切りで、2位に5秒705の差をつけての完勝。井手川監督の怪我のため急遽出場することになった泉野選手だったが、そのプレッシャーを撥ねのけ、自身初のDOWNHILL SERIES優勝という結果でレースを終えた。
また、今シーズンから、エリートクラスで優勝した藤村飛丸選手と中学生唯一のエリートクラスライダーである古城栄翔選手がコメンサルのサポートライダーとなることが発表された。DOWNHILL SERIESの初年度からレースに参加してくれている2人は、今では公式戦CJで活躍するライダーにまで成長した。九州や中国地方といった地域での開催が多いDOWNHILL SERIESの参加者には、公式戦であるCJにはなかなか手が届かない、といった声がある。しかし、彼らDOWNHILL SERIES出身のライダーたちが活躍し、DOWNHILL SERIES発足当初からの想いがやっと形になってきたような気がする嬉しいニュースだった。
ちなみに、今回の全参加者のうち、小・中学生のエントリーは10人。そのなかに小学3年生で初参加のライダーがいた。土曜朝の受付時、不安そうな顔をしていたため、大会事務局と保護者で協議した結果、お父さんが伴走をしながらレースを走ることに。何度も何度も試走を繰り返した結果、タイムドセッション・本戦ともに派手に前転してしまったが一人で立ち上がり、大人と同じコースを一人で降りてきた。
大丈夫かなと心配するのは大人たちだけで、フィニッシュした後の本人の顔は満面の笑み。こんな風に、「やってみたい」という気持ちのあるキッズライダー達を私たちは応援したい。そしていつかは、藤村選手や古城選手のように、公式戦CJに参加し、もっともっと強くなっていってほしい。小学生は出場できない公式戦CJ、DOWNHILL SERIESはその下でピラミッドの裾野を広げていくようなレースとして、今後も活動を続けていきたいと思う。
そんなキッズライダーだけでなく、今回優勝した泉野選手は18歳、昨年エリートクラスで3連勝し異例のPROクラス昇格となった田丸選手も18歳、そしてエリートクラス優勝の藤村選手は22歳。高校を卒業したばかりの若手ライダーたちの活躍が目覚ましい開幕戦となった。そして次戦はこのメンバーに、SRAM PARK大会2連覇達成中の18歳の井岡祐介選手が加わり、若者達の闘いは更に白熱することだろう。
第2戦SRAM PARK(愛知)は6月17-18日に開催される。
text&photo:DOWNHILL SERIES
昨年から国内最高峰のCoupe du japon(CJ)のUCIレースを誘致するまでになった十種ヶ峰WOODPARKは、コース造成以降、ローカルライダーたちによって愛され、西日本各地からライダーが集まるコースへと日々進化を続けている。
初日に行われたタイムドセッションでは、今年からDOWNHILL SERIESのメインパートナーとなったKONAに乗る泉野龍雅選手(AKI FACTORY/自転車道)が2分00秒266のタイムでトップ。2番手にはエリートクラスの藤村飛丸選手(COMMENCAL/BlankyDog)が2分4秒971、3番手にはPROクラスの阿藤寛選手(Acciarponebikes)が2分5秒589と続いた。
タイムドセッション後には十種ヶ峰会場ではすっかり定番となった100mのスキルアップコースを使ったショートレース「WOODPARK CUP」が行われた。小学校低学年クラスを始め、年齢別に分けられたこのレースは、スタートからフィニッシュまでが丸見えであることもあって、例年大盛り上がりを見せる。こちらも、泉野龍雅選手が9秒488で優勝。
お楽しみレース後は、DOWNHILL SERIES恒例のPROライダーによる参加者交流企画「コースウォーク」。公式戦では声をかけることもためらうようなPROライダー達から直接ライン取りを学び、その場で質問もできるという人気企画である。今回の講師は、AKI FACTORYの井手川直樹選手と泉野龍雅選手。前週のCJ富士見大会で肩を脱臼し、今回のレースは監督業に専念していた井手川選手だったが、「その分、包み隠さず全部教えます!」と話してくれた通り、2時間近い時間をかけての綿密なコースウォークは参加者にとって貴重な時間となった。
日曜日は朝から風も弱く、前日より気温が上がった。コースはもちろんスーパードライ。フィニッシュのあるベースエリアからもよく見えるロードギャップ→激坂のセクションでは、バフバフに乾いた路面の影響でコースアウトが続出。昨年のような、まともにまっすぐ走れないほどのマッドコンディション時とはまた違う展開に、観客も声援を送る。
ファーストタイマー男子では普段はBMXに乗るDOWNHILL SERIES初参加の川本鋼選手(ECO RACING)が優勝。スポーツ男子では今年から十種ヶ峰WOODPARKの職員となった内富哲男選手(VAN-QUISHトクサガミネ)、エキスパート男子では大学受験のためこれが今シーズン最後のレースとなった相良一茶選手(VAN-QUISH)、エリート女子では毎年大会のパトロールスタッフとしても活躍してくれている村田実里選手(VAN-QUISH)が優勝。十種ヶ峰のローカルライダーたちが3クラスを制した。
エリート男子クラスでは、前日のタイムドセッションのトップタイムを3秒も上回る結果で藤村選手が優勝。フィニッシュ直後、MCブース前で「まだ(タイムを)伸ばせます」という言葉を残し、PROクラスに挑戦する「下克上」の権利を得て再びスタート地点に向かった。
PROクラス、最初の走者はエリートクラス優勝の「下克上」藤村選手。が、タイムは伸びない。続いて田丸裕選手(Acciarponebikes)、阿藤選手も2分を切れない。最後の走者、泉野選手がフィニッシュ。「1分55秒654〜!」とタイムが読み上げられると会場が歓声と拍手に包まれた。唯一の2分切りで、2位に5秒705の差をつけての完勝。井手川監督の怪我のため急遽出場することになった泉野選手だったが、そのプレッシャーを撥ねのけ、自身初のDOWNHILL SERIES優勝という結果でレースを終えた。
また、今シーズンから、エリートクラスで優勝した藤村飛丸選手と中学生唯一のエリートクラスライダーである古城栄翔選手がコメンサルのサポートライダーとなることが発表された。DOWNHILL SERIESの初年度からレースに参加してくれている2人は、今では公式戦CJで活躍するライダーにまで成長した。九州や中国地方といった地域での開催が多いDOWNHILL SERIESの参加者には、公式戦であるCJにはなかなか手が届かない、といった声がある。しかし、彼らDOWNHILL SERIES出身のライダーたちが活躍し、DOWNHILL SERIES発足当初からの想いがやっと形になってきたような気がする嬉しいニュースだった。
ちなみに、今回の全参加者のうち、小・中学生のエントリーは10人。そのなかに小学3年生で初参加のライダーがいた。土曜朝の受付時、不安そうな顔をしていたため、大会事務局と保護者で協議した結果、お父さんが伴走をしながらレースを走ることに。何度も何度も試走を繰り返した結果、タイムドセッション・本戦ともに派手に前転してしまったが一人で立ち上がり、大人と同じコースを一人で降りてきた。
大丈夫かなと心配するのは大人たちだけで、フィニッシュした後の本人の顔は満面の笑み。こんな風に、「やってみたい」という気持ちのあるキッズライダー達を私たちは応援したい。そしていつかは、藤村選手や古城選手のように、公式戦CJに参加し、もっともっと強くなっていってほしい。小学生は出場できない公式戦CJ、DOWNHILL SERIESはその下でピラミッドの裾野を広げていくようなレースとして、今後も活動を続けていきたいと思う。
そんなキッズライダーだけでなく、今回優勝した泉野選手は18歳、昨年エリートクラスで3連勝し異例のPROクラス昇格となった田丸選手も18歳、そしてエリートクラス優勝の藤村選手は22歳。高校を卒業したばかりの若手ライダーたちの活躍が目覚ましい開幕戦となった。そして次戦はこのメンバーに、SRAM PARK大会2連覇達成中の18歳の井岡祐介選手が加わり、若者達の闘いは更に白熱することだろう。
第2戦SRAM PARK(愛知)は6月17-18日に開催される。
text&photo:DOWNHILL SERIES
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