2009/03/07(土) - 13:58
国内でも稀な「自転車関係ではない企業」がスポンサーにつく愛三工業レーシングチーム。ジャージをオールブルーに一新したチームは、UCIアジアツアーでの活躍と4年後のロンドン五輪を視野に入れたチーム力の強化を図っていく。チーム体制を明らかにするとともに、選手やスタッフに今シーズンの抱負を訊いた。
2009年度活動方針
自動車部品メーカーの愛三工業(株)を母体とする愛三工業レーシングチーム(UCI登録名:AISAN Racing Team、実業団登録名:愛三工業レーシングチーム)は、国内でも稀な「自転車関係ではない企業が母体」となっている。
会社の同好会から実業団チームとなり、2006年からは「世界」に向けて活動の場を広げている。チームの活動内容は「ロードレース」が主体だが、「トラックレース」でも世界水準で走る選手を擁しているのが特徴だ。
2009年シーズンはUCIコンチネンタルチームとして4年目を迎え、これまで通り「UCIアジアツアーでの地盤固め」を継続しながら、UCIアジアツアーにおけるチームランキングのアップに主眼を置く。
また、国内では悲願の日本チャンピオン獲得を目標に、8名の選手が戦う。昨年はチーム最大の目標であるオリンピック出場を目指したが、あと一歩手が届かず涙を飲んだ。しかし、オリンピックイヤーまでの活動において、世界を目指し、UCIアジアツアーを中心に活動をし、UCIランキングで上位に食い込んだことが、日本のオリンピック出場枠獲得に大きく貢献したことも忘れてはならない。
オリンピック出場はチームにとってひとつの目標でもあった。そして、この4年をひとくくりと見据えて、2009年シーズンはチームユニホームを一新。また、新たな海外サプライヤーも獲得し、心機一転、4年後のロンドンを視野に入れたチーム力の強化を図るシーズンになる。
2009年も国内外で開催されるUCIアジアツアーを中心に転戦し、UCIポイントの獲得を第一の目標として走る。また、国内のJサイクルツアー(実業団レース)にも出場し、国内レースのレベルアップへの貢献していきたい。加えて国内選手育成を目的とした「テストライダー制度」や「UCI Trainees制度」も昨年に続いて実施する。
2008年に発足したチームファンクラブ「愛三工業レーシングチームサポーターズクラブ」は順調に会員を増やしており、地元を中心に全国からの強力な応援も得て2009年シーズンを戦っていく。
そして社会人として、ファンとの交流会、社会貢献活動にも積極的に活動してゆく。
2009年シーズンはベテラン廣瀬敏と鈴木譲がチームを去り、新たに松村光浩が新メンバーとして加わった。松村は日本大学自転車部出身で、2003年のインカレロードチャンピオン。昨年のツール・ド・おきなわチャンピオンレースで3位の表彰台に上がっている。ロードだけでなくトラックもこなす期待の新人だ。各選手のコメントともに紹介しよう。
チーム最年長となった別府匠がレースの司令塔として走る。別府は2008年は怪我に泣かされたシーズンとなったが、これまで培ってきたレース分析能力や国内外での豊富な経験を生かし、チームの柱として活躍することが期待される。
別府「2008年はケガの多いシーズンだったので、チームにいなかったようなものでした。ケガを明けてまたケガということを繰り返して、落車し尽くしたと思うので、今年はもう落車しないでしょう。気がつけば最年長です。今年は勝利に近づく走りができるようにしたい。昨年出場できなかったツアー・オブジャパンをもう一度狙いたい。昨年レースから離れたことで、苦しさを少し忘れたので、フレッシュな気持ちで再挑戦できると思う」。
中堅で的確なアシストが光る綾部勇成は、今シーズンよりキャプテンとして新たな役割を担っていく。冷静沈着なレース運び、献身的なアシストとしてチームを支えるとともに、レースによってはエースとしてその実力を発揮することだろう。
綾部「今年は自分がキャプテンを任されますが、チームは選手やスタッフ皆の力で成り立っているので、僕は選手たちの統括をやるというイメージでいます。僕を含めた8人の選手たちでうまく走り、勝つチャンスをものにするべく、僕が選手たちをまとめながら動くというイメージです。そのために一役買いたいですね。
昨シーズンはチームの目標だったオリンピックに向けて頑張っていたけれど、それが叶わず。そして落車で鎖骨を折ってしまった。後半がまったく走れなかったので、今年はシーズン通して走りたいと思う。チームの勝利を増やすというのが目標。そのなかに自分の勝利も含まれていれば申し分ないから、チームが導いた勝利のひとつになれるようにがんばりたいと思います。
チームのエースは西谷泰治。UCIアジアツアーではコンスタントにその力を発揮し、彼の走りに共感するファンも多い。2008年ツアー・オブ・ジャパンでは総合スプリント賞を獲得。ツール・ド・北海道では徹底したアシストをしながらも最終日にステージ優勝するなど、その存在感を確固たるものとした。
西谷「昨年は目標としてきた全日本を落として、オリンピックに出場することは叶わなかったわけですが、勝つために必要なことは学べたので、自分自身にとってはいいシーズンになったと思います。今年はやはり全日本を獲りたい。そしてジャパンカップとヘラルドサンツアーで海外選手と闘って成績を残すことを目標に走ります」。
もう一人のエース盛一大は、2009年も引き続きトラック競技とロードを両立させる。先日のトラックワールドカップ最終戦スクラッチでは念願の金メダルを獲得。トラック競技は今後もワールドカップ、さらには世界チャンピオンタイトルのかかる世界選手権を目標に活動する。
盛はロードでの活躍が目覚しくアシストから、エースとして勝てる選手へと大きく成長を遂げた。今シーズンは頼れるエース盛の存在を示すはずだ。
盛「去年からエースの役目をつとめるレースが出てきているけれど、自分でもステップアップできているという実感はある。エース、アシスト両面でしっかりこなせるように走りたい。トラックのほうでは日本代表として走らせてもらっているが、3月末のポーランド世界選手権での優勝を狙いたい。少ないチャンスを確実にものにできる選手になりたい。今年の愛三は、常に表彰台の中央にいるチームになることができると思う」。
2008年に新加入した品川真寛は、即戦力というチームのオーダーに対してその走りで応えた。品川の経験が移籍一年目から上手くチームの戦い方にフィットした。2009年は自身の勝利も視野に入れたアグレッシブな走りが期待できる。
品川「年末のオフトレのランニングで捻挫してしまい、シーズンの始動が遅れてしまった。でも二週間の沖縄合宿で余裕を持って調整できたので、後半は調子が上がってきている。昨年はアシストに徹した一年だったけれど、今年はエースで走るレースの話もいくつか頂いているので、そこで期待に応えられるようにしたい。とくにUCIレースで活躍できるようにしたい。
マトリックス・パワータグから移籍してきた和歌山県出身の24歳。平坦路でのスピードを持ち味にしており、ツール・ド・おきなわ2008では3位の成績を残す。
松村「昨年の夏ごろから愛三工業レーシングに入りたいと、中根監督にラブコールを送っていたんです。そしてOKが出たとき、練習中に『よっしゃ~!』と大声で叫んでしまいました。
それだけ思い入れのあるチームですので、心から頑張りたいと思います。このチームで走れば確実にレベルアップできると思う。西谷さん、盛さんという脚質の似ている大先輩がいるので、しっかりアシストをして学びたいと思います。自分の目標よりも、アシストとして頑張ることでチームの勝利数を伸ばしたい。これからは"まっつん"と呼んでください(笑)」。
チーム加入3年目となる鈴木謙一の2009年は正念場となる。レベルアップを図りながら、チームの勝利に貢献する走り=チームオーダーに応える走りができるかが、チームの全体の成績を大きく左右することとなってくる。
鈴木「昨シーズンはケガなく一年過ごせたので、いろいろなレースに出て経験を積め、学ぶ事が多かった。チームの中での役割は UCIのレースでは自分の仕事をまっとうすることができるようにしたい。勝てる選手になります」。
鈴木と同じくチーム加入3年目となる秋山。アシストとして走りながらも実業団レースでは自らの勝利を狙う走りが許される。そのチャンスを生かすことができるかに期待だ。
秋山「自分には足りない部分が多いので、まだまだレベルアップすれう必要がある。今年は実業団レースで3位以内に3回なることを目標に走ります。沖縄合宿ではいいトレーニングができた。皆さんの期待に応えられる選手になりたい」。
就任して今年で3シーズン目を迎える田中光輝が引き続き監督を務める。
田中「沖縄合宿をみる限り新加入の選手、スタッフともに馴染んでいる。合宿期間を長くとったおかげで余裕を持って調整できた。例年よりもいい感じに仕上っている。チームは年々勝利数を増やしているが、今年も一丸となって勝利の増産を目指したい」
また今シーズンより専属メカニックとして海外経験も豊富な中島康仁が加入する。
中島「チームNIPPOで5年間、イタリアを拠点に活動してきましたが、次の活躍の場として愛三工業を選ばせていただきました。メカニックの仕事は、目立つ=トラブルがある、ということになるので、極力目立たないように、おとなしくしているようにしたいと思います(笑)。
マッサージを担当する「マッサー」赤星。選手の疲れを取るだけでなく、チーム活動全般の面倒を見るという激務だ。
赤星「チーム全員が仲が良いので、何の心配も要らない。自分の健康第一に頑張りたい。自分が健康を害すると、選手たちの面倒がみれないから(笑)」。
別府 匠 Takumi BEPPU
1979 年9 月29 日生まれ
神奈川県出身
169cm / 60kg / O 型
綾部 勇成 Takeaki AYABE
1980 年9 月5 日生まれ
神奈川県出身
174cm / 57kg / A 型
西谷 泰治 Taiji NISHITANI
1981 年2 月1 日生まれ
広島県出身
166cm / 61kg / A 型
盛 一大 Kazuhiro MORI
1982 年9 月17 日生まれ
千葉県出身
176cm / 68kg / AB 型
品川 真寛 Masahiro SHINAGAWA
1982 年2 月15 日生まれ
京都府出身
170cm / 58kg / O 型
鈴木 謙一 Kenichi SUZUKI
1981 年5 月7 日生まれ
静岡県出身
166cm / 61kg / A 型
秋山 英也 Hideya AKIYAMA
1984 年7 月9 日生まれ
長野県出身
169cm / 63kg / A 型
松村 光浩 Mitsuhiro Matsumura
1984年10 月22 日生まれ
和歌山県出身
169cm / 60kg / A 型
田中 光輝 Mitsuteru TANAKA
1971 年9 月27 日生まれ
岐阜県出身
中根 賢二 Kenji NAKANE
1964 年10 月17 日生まれ
愛知県出身
アドバイザー/市川 雅敏 Masatoshi ICHIKAWA
アドバイザー/別府 始 Hajime BEPPU
チーフメカニック/中島 康仁 Yasuhito NAKAJIMA
マッサー/赤星 太朗 Taro AKABOSHI
2009レーススケジュール
3 月8 日~14 日 ツール・ド・台湾 UCI 2.2
3 月15 日 西日本チャレンジ
3 月25 日~29日 トラック世界選手権(ポーランド) World Championships
4 月5 日 チャレンジサイクルロード(日本CSC)
4 月14 日~26 日 ジェラジャ・マレーシア UCI 2.2
4 月26 日 Jサイクルツアー 東日本(群馬)
4 月30 日~5 月3 日 ツール・ド・シンカラ(インドネシア) UCI 2.2
5 月17 日~24 日 ツアー・オブ・ジャパン UCI 2.2
5 月28 日~31 日 ツール・ド・熊野 UCI 2.2
6 月14 日 全日本選手権TT(秋田)
6 月13 日~21 日 ツール・ド・コリア UCI 2.2
6 月14 日 Jサイクルツアー TT(長野)
6 月21 日 Jサイクルツアー 西日本(広島)
6 月28 日 全日本選手権ロード(広島) National Championships
8 月8 日~16 日 ツアー・オブ・イーストジャワ(インドネシア) UCI 2.2
8 月30 日 シマノ鈴鹿国際ロード(三重)
9 月11 日~15 日 ツール・ド・北海道 UCI 2.2
9 月20 日 全日本実業団トラック(愛知)
9 月23 日~26 日 ロード世界選手権(スイス) World Championships
9 月27 日 Jサイクルツアー 飯田(長野)
9 月6 日 Jサイクルツアー 加東(兵庫)
10 月11 日〜17 日 ヘラルドサンツアー(オーストラリア) UCI 2.1
10 月26 日 ジャパンカップ UCI 1.HC
10 月3日 ~4 日 Jサイクルツアー いわきクリテ(福島)
10 月未定 ツアー・オブ・香港上海 UCI 2.2
11 月14 日〜15 日 ツール・ド・おきなわ UCI 2.2
11 月未定 熊本国際大会(仮) UCI 1.2 or 2.2
11 月未定 ツアー・オブ・ハイナン(中国) UCI 2.1
取材協力:愛三工業レーシングチーム
text&photo:綾野 真
2009年度活動方針
自動車部品メーカーの愛三工業(株)を母体とする愛三工業レーシングチーム(UCI登録名:AISAN Racing Team、実業団登録名:愛三工業レーシングチーム)は、国内でも稀な「自転車関係ではない企業が母体」となっている。
会社の同好会から実業団チームとなり、2006年からは「世界」に向けて活動の場を広げている。チームの活動内容は「ロードレース」が主体だが、「トラックレース」でも世界水準で走る選手を擁しているのが特徴だ。
2009年シーズンはUCIコンチネンタルチームとして4年目を迎え、これまで通り「UCIアジアツアーでの地盤固め」を継続しながら、UCIアジアツアーにおけるチームランキングのアップに主眼を置く。
また、国内では悲願の日本チャンピオン獲得を目標に、8名の選手が戦う。昨年はチーム最大の目標であるオリンピック出場を目指したが、あと一歩手が届かず涙を飲んだ。しかし、オリンピックイヤーまでの活動において、世界を目指し、UCIアジアツアーを中心に活動をし、UCIランキングで上位に食い込んだことが、日本のオリンピック出場枠獲得に大きく貢献したことも忘れてはならない。
オリンピック出場はチームにとってひとつの目標でもあった。そして、この4年をひとくくりと見据えて、2009年シーズンはチームユニホームを一新。また、新たな海外サプライヤーも獲得し、心機一転、4年後のロンドンを視野に入れたチーム力の強化を図るシーズンになる。
2009年も国内外で開催されるUCIアジアツアーを中心に転戦し、UCIポイントの獲得を第一の目標として走る。また、国内のJサイクルツアー(実業団レース)にも出場し、国内レースのレベルアップへの貢献していきたい。加えて国内選手育成を目的とした「テストライダー制度」や「UCI Trainees制度」も昨年に続いて実施する。
2008年に発足したチームファンクラブ「愛三工業レーシングチームサポーターズクラブ」は順調に会員を増やしており、地元を中心に全国からの強力な応援も得て2009年シーズンを戦っていく。
そして社会人として、ファンとの交流会、社会貢献活動にも積極的に活動してゆく。
2009年チーム体制 各選手の抱負
2009年シーズンはベテラン廣瀬敏と鈴木譲がチームを去り、新たに松村光浩が新メンバーとして加わった。松村は日本大学自転車部出身で、2003年のインカレロードチャンピオン。昨年のツール・ド・おきなわチャンピオンレースで3位の表彰台に上がっている。ロードだけでなくトラックもこなす期待の新人だ。各選手のコメントともに紹介しよう。
別府匠
チーム最年長となった別府匠がレースの司令塔として走る。別府は2008年は怪我に泣かされたシーズンとなったが、これまで培ってきたレース分析能力や国内外での豊富な経験を生かし、チームの柱として活躍することが期待される。
別府「2008年はケガの多いシーズンだったので、チームにいなかったようなものでした。ケガを明けてまたケガということを繰り返して、落車し尽くしたと思うので、今年はもう落車しないでしょう。気がつけば最年長です。今年は勝利に近づく走りができるようにしたい。昨年出場できなかったツアー・オブジャパンをもう一度狙いたい。昨年レースから離れたことで、苦しさを少し忘れたので、フレッシュな気持ちで再挑戦できると思う」。
綾部勇成
中堅で的確なアシストが光る綾部勇成は、今シーズンよりキャプテンとして新たな役割を担っていく。冷静沈着なレース運び、献身的なアシストとしてチームを支えるとともに、レースによってはエースとしてその実力を発揮することだろう。
綾部「今年は自分がキャプテンを任されますが、チームは選手やスタッフ皆の力で成り立っているので、僕は選手たちの統括をやるというイメージでいます。僕を含めた8人の選手たちでうまく走り、勝つチャンスをものにするべく、僕が選手たちをまとめながら動くというイメージです。そのために一役買いたいですね。
昨シーズンはチームの目標だったオリンピックに向けて頑張っていたけれど、それが叶わず。そして落車で鎖骨を折ってしまった。後半がまったく走れなかったので、今年はシーズン通して走りたいと思う。チームの勝利を増やすというのが目標。そのなかに自分の勝利も含まれていれば申し分ないから、チームが導いた勝利のひとつになれるようにがんばりたいと思います。
西谷泰治
チームのエースは西谷泰治。UCIアジアツアーではコンスタントにその力を発揮し、彼の走りに共感するファンも多い。2008年ツアー・オブ・ジャパンでは総合スプリント賞を獲得。ツール・ド・北海道では徹底したアシストをしながらも最終日にステージ優勝するなど、その存在感を確固たるものとした。
西谷「昨年は目標としてきた全日本を落として、オリンピックに出場することは叶わなかったわけですが、勝つために必要なことは学べたので、自分自身にとってはいいシーズンになったと思います。今年はやはり全日本を獲りたい。そしてジャパンカップとヘラルドサンツアーで海外選手と闘って成績を残すことを目標に走ります」。
盛一大
もう一人のエース盛一大は、2009年も引き続きトラック競技とロードを両立させる。先日のトラックワールドカップ最終戦スクラッチでは念願の金メダルを獲得。トラック競技は今後もワールドカップ、さらには世界チャンピオンタイトルのかかる世界選手権を目標に活動する。
盛はロードでの活躍が目覚しくアシストから、エースとして勝てる選手へと大きく成長を遂げた。今シーズンは頼れるエース盛の存在を示すはずだ。
盛「去年からエースの役目をつとめるレースが出てきているけれど、自分でもステップアップできているという実感はある。エース、アシスト両面でしっかりこなせるように走りたい。トラックのほうでは日本代表として走らせてもらっているが、3月末のポーランド世界選手権での優勝を狙いたい。少ないチャンスを確実にものにできる選手になりたい。今年の愛三は、常に表彰台の中央にいるチームになることができると思う」。
品川真寛
2008年に新加入した品川真寛は、即戦力というチームのオーダーに対してその走りで応えた。品川の経験が移籍一年目から上手くチームの戦い方にフィットした。2009年は自身の勝利も視野に入れたアグレッシブな走りが期待できる。
品川「年末のオフトレのランニングで捻挫してしまい、シーズンの始動が遅れてしまった。でも二週間の沖縄合宿で余裕を持って調整できたので、後半は調子が上がってきている。昨年はアシストに徹した一年だったけれど、今年はエースで走るレースの話もいくつか頂いているので、そこで期待に応えられるようにしたい。とくにUCIレースで活躍できるようにしたい。
松村光浩
マトリックス・パワータグから移籍してきた和歌山県出身の24歳。平坦路でのスピードを持ち味にしており、ツール・ド・おきなわ2008では3位の成績を残す。
松村「昨年の夏ごろから愛三工業レーシングに入りたいと、中根監督にラブコールを送っていたんです。そしてOKが出たとき、練習中に『よっしゃ~!』と大声で叫んでしまいました。
それだけ思い入れのあるチームですので、心から頑張りたいと思います。このチームで走れば確実にレベルアップできると思う。西谷さん、盛さんという脚質の似ている大先輩がいるので、しっかりアシストをして学びたいと思います。自分の目標よりも、アシストとして頑張ることでチームの勝利数を伸ばしたい。これからは"まっつん"と呼んでください(笑)」。
鈴木謙一
チーム加入3年目となる鈴木謙一の2009年は正念場となる。レベルアップを図りながら、チームの勝利に貢献する走り=チームオーダーに応える走りができるかが、チームの全体の成績を大きく左右することとなってくる。
鈴木「昨シーズンはケガなく一年過ごせたので、いろいろなレースに出て経験を積め、学ぶ事が多かった。チームの中での役割は UCIのレースでは自分の仕事をまっとうすることができるようにしたい。勝てる選手になります」。
秋山英也
鈴木と同じくチーム加入3年目となる秋山。アシストとして走りながらも実業団レースでは自らの勝利を狙う走りが許される。そのチャンスを生かすことができるかに期待だ。
秋山「自分には足りない部分が多いので、まだまだレベルアップすれう必要がある。今年は実業団レースで3位以内に3回なることを目標に走ります。沖縄合宿ではいいトレーニングができた。皆さんの期待に応えられる選手になりたい」。
田中光輝監督
就任して今年で3シーズン目を迎える田中光輝が引き続き監督を務める。
田中「沖縄合宿をみる限り新加入の選手、スタッフともに馴染んでいる。合宿期間を長くとったおかげで余裕を持って調整できた。例年よりもいい感じに仕上っている。チームは年々勝利数を増やしているが、今年も一丸となって勝利の増産を目指したい」
中島康仁メカニック
また今シーズンより専属メカニックとして海外経験も豊富な中島康仁が加入する。
中島「チームNIPPOで5年間、イタリアを拠点に活動してきましたが、次の活躍の場として愛三工業を選ばせていただきました。メカニックの仕事は、目立つ=トラブルがある、ということになるので、極力目立たないように、おとなしくしているようにしたいと思います(笑)。
赤星太朗マッサー
マッサージを担当する「マッサー」赤星。選手の疲れを取るだけでなく、チーム活動全般の面倒を見るという激務だ。
赤星「チーム全員が仲が良いので、何の心配も要らない。自分の健康第一に頑張りたい。自分が健康を害すると、選手たちの面倒がみれないから(笑)」。
2009愛三工業レーシングチームメンバー データ
別府 匠 Takumi BEPPU
1979 年9 月29 日生まれ
神奈川県出身
169cm / 60kg / O 型
綾部 勇成 Takeaki AYABE
1980 年9 月5 日生まれ
神奈川県出身
174cm / 57kg / A 型
西谷 泰治 Taiji NISHITANI
1981 年2 月1 日生まれ
広島県出身
166cm / 61kg / A 型
盛 一大 Kazuhiro MORI
1982 年9 月17 日生まれ
千葉県出身
176cm / 68kg / AB 型
品川 真寛 Masahiro SHINAGAWA
1982 年2 月15 日生まれ
京都府出身
170cm / 58kg / O 型
鈴木 謙一 Kenichi SUZUKI
1981 年5 月7 日生まれ
静岡県出身
166cm / 61kg / A 型
秋山 英也 Hideya AKIYAMA
1984 年7 月9 日生まれ
長野県出身
169cm / 63kg / A 型
松村 光浩 Mitsuhiro Matsumura
1984年10 月22 日生まれ
和歌山県出身
169cm / 60kg / A 型
監督
田中 光輝 Mitsuteru TANAKA
1971 年9 月27 日生まれ
岐阜県出身
ゼネラルマネージャー
中根 賢二 Kenji NAKANE
1964 年10 月17 日生まれ
愛知県出身
スタッフ
アドバイザー/市川 雅敏 Masatoshi ICHIKAWA
アドバイザー/別府 始 Hajime BEPPU
チーフメカニック/中島 康仁 Yasuhito NAKAJIMA
マッサー/赤星 太朗 Taro AKABOSHI
2009レーススケジュール
3 月8 日~14 日 ツール・ド・台湾 UCI 2.2
3 月15 日 西日本チャレンジ
3 月25 日~29日 トラック世界選手権(ポーランド) World Championships
4 月5 日 チャレンジサイクルロード(日本CSC)
4 月14 日~26 日 ジェラジャ・マレーシア UCI 2.2
4 月26 日 Jサイクルツアー 東日本(群馬)
4 月30 日~5 月3 日 ツール・ド・シンカラ(インドネシア) UCI 2.2
5 月17 日~24 日 ツアー・オブ・ジャパン UCI 2.2
5 月28 日~31 日 ツール・ド・熊野 UCI 2.2
6 月14 日 全日本選手権TT(秋田)
6 月13 日~21 日 ツール・ド・コリア UCI 2.2
6 月14 日 Jサイクルツアー TT(長野)
6 月21 日 Jサイクルツアー 西日本(広島)
6 月28 日 全日本選手権ロード(広島) National Championships
8 月8 日~16 日 ツアー・オブ・イーストジャワ(インドネシア) UCI 2.2
8 月30 日 シマノ鈴鹿国際ロード(三重)
9 月11 日~15 日 ツール・ド・北海道 UCI 2.2
9 月20 日 全日本実業団トラック(愛知)
9 月23 日~26 日 ロード世界選手権(スイス) World Championships
9 月27 日 Jサイクルツアー 飯田(長野)
9 月6 日 Jサイクルツアー 加東(兵庫)
10 月11 日〜17 日 ヘラルドサンツアー(オーストラリア) UCI 2.1
10 月26 日 ジャパンカップ UCI 1.HC
10 月3日 ~4 日 Jサイクルツアー いわきクリテ(福島)
10 月未定 ツアー・オブ・香港上海 UCI 2.2
11 月14 日〜15 日 ツール・ド・おきなわ UCI 2.2
11 月未定 熊本国際大会(仮) UCI 1.2 or 2.2
11 月未定 ツアー・オブ・ハイナン(中国) UCI 2.1
取材協力:愛三工業レーシングチーム
text&photo:綾野 真
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