2017/04/07(金) - 13:43
バスク最大の都市ビルバオに向かって残り2.5km地点から飛び出したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)が独走勝利。ブエルタ・アル・パイスバスコ第4ステージを終え、TTを得意とする元スキージャンパーが0秒差の総合2位につけた。
ビスケー湾に面したサンセバスティアンから西に進路をとり、バスク最大の都市ビルバオにフィニッシュする174kmコースで行われたブエルタ・アル・パイスバスコ第4ステージ。登場するカテゴリー山岳は2つだが、細かいアップダウンを繰り返すためこの日も獲得標高差は3,000m近い。
残り14km地点に登場する2級山岳エル・ビベロ(4.2km/平均8.5%)がこの日最大の勝負どころで、その頂上からフィニッシュラインまでは約14km。ビベロのビルバオの組み合わせは定番中の定番で、2016年ブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージと共通のレイアウトだ。
激しいアタック合戦の末にマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、アマエル・モワナール(フランス、BMCレーシング)、トムス・スクインシュ(ラトビア、キャノンデール・ドラパック)、ホナタン・ラストラ(スペイン、カハルーラル)という強力な4名の逃げグループが形成されたが、クイックステップフロアーズはタイム差を4分以内に押さえ込んだ。1つ目の2級山岳を越え、残り30kmの時点でタイム差は1分に。
集団内ではダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)やスティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ)らが落車し、いずれの選手もリタイアを余儀なくされている。アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)も落車に巻き込まれたが負傷は免れた。
逃げグループを飲み込んだメイン集団は2級山岳エル・ビベロでアタック合戦を繰り広げた。セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、オリカ・スコット)、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)らがそれぞれアタックを仕掛けたが、誰一人としてリードを得ることができないまま頂上に達してしまう。
ハイスピードダウンヒルを経て先頭集団は約40名。下り区間で再び動いたログリッチェはクイックステップフロアーズ勢の牽引によって吸収される。しかしその後もログリッチェの積極性は失われなかった。ビルバオの街に向かうアップダウン区間で3度目のアタックを仕掛けたログリッチェがついにメイン集団から抜け出すことに成功した。
フィニッシュまでの2.5kmを独走したログリッチェが小集団を振り切った。マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)を先頭にスプリント体制に入った小集団を3秒振り切ったログリッチェが独走勝利を飾った。
「集団先頭でアタックを繰り返していると『ここだ!』というタイミングがあったので一気に仕掛けた。そこからリードを失わないように全力を尽くしたよ。勝ち方も含めてこの勝利は言葉にならない」と、27歳のスロベニアンライダーは語る。2007年にスキージャンプのジュニア世界チャンピオンに輝いたログリッチェは2012年にロードレースに転向。2016年からロットNLユンボで走っており、同年ジロ・デ・イタリアの開幕個人タイムトライアルで0.01秒差の2位に。第9ステージの40.5km個人TTで勝利している。
ログリッチェは総合でもトップと0秒差の2位に浮上。今シーズンはヴォルタ・アン・アルガルヴェで総合優勝し、ティレーノ〜アドリアティコで総合4位という成績を残している。ブエルタ・アル・パイスバスコの最終的な総合争いに向けてポールポジションにつけた。
2級山岳エル・ビベロでメカトラに見舞われたコンタドールはチームメイトのバイクで再スタートし、先頭集団内でフィニッシュに向かったが、最終コーナーの落車に巻き込まれて再びストップ。ジャージの両肩を破った状態でフィニッシュしている。安全に先頭集団でフィニッシュしたダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)はリーダージャージを着て翌日のクイーンステージに挑むことに。
「今日は7人以上の逃げグルーができるような場合は自分もそこに入るために動いていたが、4選手での逃げグループだったので見送った(容認した)」と語る新城幸也(バーレーン・メリダ)はホン・イサギレ(スペイン)のアシストに徹した。「90km地点の補給所過ぎてからはイザギレの位置取り。今日のビルバオのゴールは去年のブエルタ第12ステージで走ったコースなので、道は知っていた。 最後の登り口も知っていたのでしっかりとイザギレを前に位置取りして今日のお仕事は終了。なかなか位置取りでハードは1日だった」と語り、9分遅れでビルバオにフィニッシュしている(チームユキヤ通信より)。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2017第4ステージ結果
1位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) 4h23'46"
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) +03"
3位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)
4位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
5位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)
6位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 ルディ・モラール(フランス、エフデジ)
8位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
9位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
10位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
102位 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +9'12"
個人総合成績
1位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) 16h38'43"
2位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)
3位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) +03"
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ルディ・モラール(フランス、エフデジ)
7位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)
8位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)
10位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
ポイント賞
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ) 59pts
2位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) 40pts
3位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) 36pts
山岳賞
1位 アレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) 16pts
2位 ヨアン・バゴ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) 15pts
3位 イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ) 14pts
チーム総合成績
1位 バーレーン・メリダ 49h56'18"
2位 ロットNLユンボ +56"
3位 サンウェブ +59"
text:Kei Tsuji
ビスケー湾に面したサンセバスティアンから西に進路をとり、バスク最大の都市ビルバオにフィニッシュする174kmコースで行われたブエルタ・アル・パイスバスコ第4ステージ。登場するカテゴリー山岳は2つだが、細かいアップダウンを繰り返すためこの日も獲得標高差は3,000m近い。
残り14km地点に登場する2級山岳エル・ビベロ(4.2km/平均8.5%)がこの日最大の勝負どころで、その頂上からフィニッシュラインまでは約14km。ビベロのビルバオの組み合わせは定番中の定番で、2016年ブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージと共通のレイアウトだ。
激しいアタック合戦の末にマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、アマエル・モワナール(フランス、BMCレーシング)、トムス・スクインシュ(ラトビア、キャノンデール・ドラパック)、ホナタン・ラストラ(スペイン、カハルーラル)という強力な4名の逃げグループが形成されたが、クイックステップフロアーズはタイム差を4分以内に押さえ込んだ。1つ目の2級山岳を越え、残り30kmの時点でタイム差は1分に。
集団内ではダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)やスティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ)らが落車し、いずれの選手もリタイアを余儀なくされている。アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)も落車に巻き込まれたが負傷は免れた。
逃げグループを飲み込んだメイン集団は2級山岳エル・ビベロでアタック合戦を繰り広げた。セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、オリカ・スコット)、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)らがそれぞれアタックを仕掛けたが、誰一人としてリードを得ることができないまま頂上に達してしまう。
ハイスピードダウンヒルを経て先頭集団は約40名。下り区間で再び動いたログリッチェはクイックステップフロアーズ勢の牽引によって吸収される。しかしその後もログリッチェの積極性は失われなかった。ビルバオの街に向かうアップダウン区間で3度目のアタックを仕掛けたログリッチェがついにメイン集団から抜け出すことに成功した。
フィニッシュまでの2.5kmを独走したログリッチェが小集団を振り切った。マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)を先頭にスプリント体制に入った小集団を3秒振り切ったログリッチェが独走勝利を飾った。
「集団先頭でアタックを繰り返していると『ここだ!』というタイミングがあったので一気に仕掛けた。そこからリードを失わないように全力を尽くしたよ。勝ち方も含めてこの勝利は言葉にならない」と、27歳のスロベニアンライダーは語る。2007年にスキージャンプのジュニア世界チャンピオンに輝いたログリッチェは2012年にロードレースに転向。2016年からロットNLユンボで走っており、同年ジロ・デ・イタリアの開幕個人タイムトライアルで0.01秒差の2位に。第9ステージの40.5km個人TTで勝利している。
ログリッチェは総合でもトップと0秒差の2位に浮上。今シーズンはヴォルタ・アン・アルガルヴェで総合優勝し、ティレーノ〜アドリアティコで総合4位という成績を残している。ブエルタ・アル・パイスバスコの最終的な総合争いに向けてポールポジションにつけた。
2級山岳エル・ビベロでメカトラに見舞われたコンタドールはチームメイトのバイクで再スタートし、先頭集団内でフィニッシュに向かったが、最終コーナーの落車に巻き込まれて再びストップ。ジャージの両肩を破った状態でフィニッシュしている。安全に先頭集団でフィニッシュしたダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)はリーダージャージを着て翌日のクイーンステージに挑むことに。
「今日は7人以上の逃げグルーができるような場合は自分もそこに入るために動いていたが、4選手での逃げグループだったので見送った(容認した)」と語る新城幸也(バーレーン・メリダ)はホン・イサギレ(スペイン)のアシストに徹した。「90km地点の補給所過ぎてからはイザギレの位置取り。今日のビルバオのゴールは去年のブエルタ第12ステージで走ったコースなので、道は知っていた。 最後の登り口も知っていたのでしっかりとイザギレを前に位置取りして今日のお仕事は終了。なかなか位置取りでハードは1日だった」と語り、9分遅れでビルバオにフィニッシュしている(チームユキヤ通信より)。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2017第4ステージ結果
1位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) 4h23'46"
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) +03"
3位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)
4位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
5位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)
6位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 ルディ・モラール(フランス、エフデジ)
8位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
9位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
10位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
102位 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +9'12"
個人総合成績
1位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) 16h38'43"
2位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)
3位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) +03"
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ルディ・モラール(フランス、エフデジ)
7位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)
8位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)
10位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
ポイント賞
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ) 59pts
2位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) 40pts
3位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) 36pts
山岳賞
1位 アレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) 16pts
2位 ヨアン・バゴ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) 15pts
3位 イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ) 14pts
チーム総合成績
1位 バーレーン・メリダ 49h56'18"
2位 ロットNLユンボ +56"
3位 サンウェブ +59"
text:Kei Tsuji
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