2017/03/14(火) - 09:45
終盤の上りでセレクションがかかった小集団によるスプリント。ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)との一騎打ちに持ち込んだ22歳のフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が2年連続ステージ優勝をつかんだ。
翌日に最終個人タイムトライアルを控えたティレーノ〜アドリアティコ第6ステージはスプリンターにとってのラストチャンス。とは言っても完全なフラットコースではなく、週末に迫るミラノ〜サンレモを想定したようなレイアウトが設定されている。
残り7km地点でピークを迎えるチヴィタノーヴァアルタ(1.4km/6.3%)はさながらミラノ〜サンレモのポッジオだ。
レースは序盤からUCIプロコンチネンタルライダーを中心に構成された8名の逃げグループが先行。タイム差は2分台に抑え込まれたが、レース中盤(残り88km地点)の踏切でメイン集団がストップを余儀なくされる。メイン集団が止まった時間だけ逃げグループもストップし、踏切前と同じ状態でレースは再スタートが切られた。
この日唯一のGPM(カテゴリー山岳)では、次点で緑の山岳賞ジャージを着るダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ)を下したアラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)が先頭通過する。その結果、バッレリーニが山岳賞1位、マランゴーニが山岳賞2位に。翌日の個人タイムトライアルにはGPMが設定されないため、バッレリーニが山岳賞獲得を確定させた。
モビスター、ロット・ソウダル、クイックステップフロアーズの集団コントロールによってタイム差は縮まり、先頭グループは30秒リードでチヴィタノーヴァマルケのフィニッシュラインを通過。上りを含む15kmの周回コースへと入っていく。
チヴィタノーヴァアルタの上りが始まると、総合27位に沈むヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がアタック。メイン集団の先頭ではアタックが続発し、ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)とニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)、マテイ・モホリッチ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)らが抜け出すことに成功した。
フェリーネらはそれまで逃げていたバッレリーニらに合流し、先頭グループを形成して下り区間に突入した。後方ではペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が動いてフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が反応するシーンも。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)をはじめとする多くのスプリンターはこの上りで脱落した。
先頭グループは5秒程度のリードで残り3kmを切ったが、モホリッチが落車で離脱し、他の逃げメンバーもメイン集団に飲み込まれる。80名前後に絞り込まれた集団を完全に支配するスプリンターチームは現れず、混戦状態のまま最終ストレートに突入。ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)のリードアウトが終わると、ガビリアとサガンが加速力勝負が始まった。
真っ平らなストレートで先行したのはトラックレース出身のガビリアだった。チームメイトのマッテーオ・トレンティン(イタリア)が後方で手を挙げる中、ガビリアが先頭でハンドルを投げ込んだ。
1994年8月19日生まれの22歳ガビリアはトラックレーサーとしてジュニア時代から台頭。2015年と2016年にUCIトラック世界選手権でオムニアムの世界チャンピオンに輝き、本格的にロード選手としてのキャリアをスタートさせた2016年にパリ〜トゥールを含むシーズン7勝を飾っている。
今シーズン4勝目を飾ったガビリアは「複雑で危険なスプリントだった。最後はサガンとの一騎打ちになり、ハンドルを投げ込む接戦でなんとか勝つことができた。上りでサガンと2人で飛び出した時、チームメイトのニキ・テルプストラが先行していたのでローテーションを組めなかった。そのことを彼に謝りに行ったよ」とコメントする。ガビリアはこれがティレーノのステージ通算2勝目。23歳以下でステージ通算2勝を飾ったのはジュゼッペ・サロンニとモレーノ・アルゼンティンに続く史上3人目となる。
ガビリアは2016年のミラノ〜サンレモで精鋭集団に残ったが、スプリント開始直前に落車してチャンスを失っている。週末の大一番に向けてガビリアは「ミラノ〜サンレモはまた別の話。290kmという長丁場であり、仮にサガンがポッジオでアタックすればそのまま逃げ切ってしまうと思う」と、4歳年上の世界チャンピオンを警戒している。
スプリント時のガビリアの最高スピードは69.8km/h。最大パワーは1277Wで、本格的に踏んだ14秒間のパワーは1017Wだった。なお、終盤のチヴィタノーヴァアルタ(1.4km/6.3%)登坂時にガビリアは平均478Wを2分43秒間にわたって出しており、単に高い最大パワーを出すだけでは勝負に絡めないことがよくわかる(体重70kg)。
ステージ3勝目を逃したサガンは「負けたことに怒っているわけじゃない。ここまでティレーノ〜アドリアティコには満足している。今日は終盤に下りがあって、何名かが飛び出す厄介な展開だった。決してスタンダードなスプリントではなかった」と語る。また、ガビリアについて「彼がミラノ〜サンレモにおける重要なライバルだ。でも予測不能なレースであり、彼以外にも警戒すべきライバルは多い」とコメントしている。
「トラックレース出身のコロンビアンスプリンターのガビリアが台頭していることを嬉しく思う」と語るのはリーダージャージを着るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)だ。「これまでコロンビアのレースと言えば決まって山頂フィニッシュが設定された山岳コースだったけど、時代は変わった。新世代の選手たちが多く出てきている。ヤングライダー賞トップのエガン・ベルナルのことは知らなかったけど、彼もトップレーサーに成長するポテンシャルの持ち主だと思う」。
キンタナは2度目の総合優勝に王手。ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)から50秒、ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)から1分06秒のリードで最終日の個人タイムトライアルに挑む。「明日は重要なテストになる。自分はまだ100%のコンディションではなく、ジロに向けてまだまだやることがあるんだ」。
ティレーノ〜アドリアティコ2017第6ステージ結果
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)4h09'31"
2位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
4位 マッテーオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)
5位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
6位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
7位 スコット・スウェイツ(イギリス、ディメンションデータ)
8位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
9位 アントニー・ルー(フランス、エフデジ)
10位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 25h44'28"
2位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +50"
3位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) +1'06"
4位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) +1'15"
5位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +1'19"
6位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +1'23"
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) +1'30"
8位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) +1'32"
9位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +1'37"
10位 シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) +1'59"
ポイント賞
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 42pts
2位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) 40pts
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 29pts
山岳賞
1位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ) 18pts
2位 アラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 16pts
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 15pts
ヤングライダー賞
1位 エガン・ベルナル(コロンビア、アンドローニジョカトリ) 25h47'08"
2位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +16"
3位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) +13'32"
チーム総合成績
1位 モビスター 76h29'59"
2位 BMCレーシング +3'22"
3位 チームスカイ +7'32"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
翌日に最終個人タイムトライアルを控えたティレーノ〜アドリアティコ第6ステージはスプリンターにとってのラストチャンス。とは言っても完全なフラットコースではなく、週末に迫るミラノ〜サンレモを想定したようなレイアウトが設定されている。
残り7km地点でピークを迎えるチヴィタノーヴァアルタ(1.4km/6.3%)はさながらミラノ〜サンレモのポッジオだ。
レースは序盤からUCIプロコンチネンタルライダーを中心に構成された8名の逃げグループが先行。タイム差は2分台に抑え込まれたが、レース中盤(残り88km地点)の踏切でメイン集団がストップを余儀なくされる。メイン集団が止まった時間だけ逃げグループもストップし、踏切前と同じ状態でレースは再スタートが切られた。
この日唯一のGPM(カテゴリー山岳)では、次点で緑の山岳賞ジャージを着るダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ)を下したアラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)が先頭通過する。その結果、バッレリーニが山岳賞1位、マランゴーニが山岳賞2位に。翌日の個人タイムトライアルにはGPMが設定されないため、バッレリーニが山岳賞獲得を確定させた。
モビスター、ロット・ソウダル、クイックステップフロアーズの集団コントロールによってタイム差は縮まり、先頭グループは30秒リードでチヴィタノーヴァマルケのフィニッシュラインを通過。上りを含む15kmの周回コースへと入っていく。
チヴィタノーヴァアルタの上りが始まると、総合27位に沈むヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がアタック。メイン集団の先頭ではアタックが続発し、ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)とニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)、マテイ・モホリッチ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)らが抜け出すことに成功した。
フェリーネらはそれまで逃げていたバッレリーニらに合流し、先頭グループを形成して下り区間に突入した。後方ではペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が動いてフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が反応するシーンも。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)をはじめとする多くのスプリンターはこの上りで脱落した。
先頭グループは5秒程度のリードで残り3kmを切ったが、モホリッチが落車で離脱し、他の逃げメンバーもメイン集団に飲み込まれる。80名前後に絞り込まれた集団を完全に支配するスプリンターチームは現れず、混戦状態のまま最終ストレートに突入。ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)のリードアウトが終わると、ガビリアとサガンが加速力勝負が始まった。
真っ平らなストレートで先行したのはトラックレース出身のガビリアだった。チームメイトのマッテーオ・トレンティン(イタリア)が後方で手を挙げる中、ガビリアが先頭でハンドルを投げ込んだ。
1994年8月19日生まれの22歳ガビリアはトラックレーサーとしてジュニア時代から台頭。2015年と2016年にUCIトラック世界選手権でオムニアムの世界チャンピオンに輝き、本格的にロード選手としてのキャリアをスタートさせた2016年にパリ〜トゥールを含むシーズン7勝を飾っている。
今シーズン4勝目を飾ったガビリアは「複雑で危険なスプリントだった。最後はサガンとの一騎打ちになり、ハンドルを投げ込む接戦でなんとか勝つことができた。上りでサガンと2人で飛び出した時、チームメイトのニキ・テルプストラが先行していたのでローテーションを組めなかった。そのことを彼に謝りに行ったよ」とコメントする。ガビリアはこれがティレーノのステージ通算2勝目。23歳以下でステージ通算2勝を飾ったのはジュゼッペ・サロンニとモレーノ・アルゼンティンに続く史上3人目となる。
ガビリアは2016年のミラノ〜サンレモで精鋭集団に残ったが、スプリント開始直前に落車してチャンスを失っている。週末の大一番に向けてガビリアは「ミラノ〜サンレモはまた別の話。290kmという長丁場であり、仮にサガンがポッジオでアタックすればそのまま逃げ切ってしまうと思う」と、4歳年上の世界チャンピオンを警戒している。
スプリント時のガビリアの最高スピードは69.8km/h。最大パワーは1277Wで、本格的に踏んだ14秒間のパワーは1017Wだった。なお、終盤のチヴィタノーヴァアルタ(1.4km/6.3%)登坂時にガビリアは平均478Wを2分43秒間にわたって出しており、単に高い最大パワーを出すだけでは勝負に絡めないことがよくわかる(体重70kg)。
ステージ3勝目を逃したサガンは「負けたことに怒っているわけじゃない。ここまでティレーノ〜アドリアティコには満足している。今日は終盤に下りがあって、何名かが飛び出す厄介な展開だった。決してスタンダードなスプリントではなかった」と語る。また、ガビリアについて「彼がミラノ〜サンレモにおける重要なライバルだ。でも予測不能なレースであり、彼以外にも警戒すべきライバルは多い」とコメントしている。
「トラックレース出身のコロンビアンスプリンターのガビリアが台頭していることを嬉しく思う」と語るのはリーダージャージを着るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)だ。「これまでコロンビアのレースと言えば決まって山頂フィニッシュが設定された山岳コースだったけど、時代は変わった。新世代の選手たちが多く出てきている。ヤングライダー賞トップのエガン・ベルナルのことは知らなかったけど、彼もトップレーサーに成長するポテンシャルの持ち主だと思う」。
キンタナは2度目の総合優勝に王手。ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)から50秒、ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)から1分06秒のリードで最終日の個人タイムトライアルに挑む。「明日は重要なテストになる。自分はまだ100%のコンディションではなく、ジロに向けてまだまだやることがあるんだ」。
ティレーノ〜アドリアティコ2017第6ステージ結果
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)4h09'31"
2位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
4位 マッテーオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)
5位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
6位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
7位 スコット・スウェイツ(イギリス、ディメンションデータ)
8位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
9位 アントニー・ルー(フランス、エフデジ)
10位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 25h44'28"
2位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +50"
3位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) +1'06"
4位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) +1'15"
5位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +1'19"
6位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +1'23"
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) +1'30"
8位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) +1'32"
9位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +1'37"
10位 シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) +1'59"
ポイント賞
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 42pts
2位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) 40pts
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 29pts
山岳賞
1位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ) 18pts
2位 アラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 16pts
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 15pts
ヤングライダー賞
1位 エガン・ベルナル(コロンビア、アンドローニジョカトリ) 25h47'08"
2位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +16"
3位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) +13'32"
チーム総合成績
1位 モビスター 76h29'59"
2位 BMCレーシング +3'22"
3位 チームスカイ +7'32"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
Amazon.co.jp
パナレーサー ワンタッチフロアポンプ [BFP-02AGEZ-S] 米式 仏式 英式 BFP-02AGEZ-S
パナレーサー(Panaracer)