2017/03/12(日) - 12:09
地元イタリア勢が下位に沈む中、標高1,675mのテルミニッロ山頂に向かってナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が加速。追いすがるゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)を振り切ったキンタナがステージ優勝とリーダージャージを同時に手にした。
ティレーノ〜アドリアティコのクイーンステージが大会4日目に登場。イタリア半島の背骨を形成するアペニン山脈に分け入り、標高1,675mのGPMテルミニッロを駆け上がる。
ティレーノの名物峠になりつつある(年によっては大雪が降る)テルミニッロの登坂距離は16.1kmで、平均勾配は7.3%。登坂時間45分弱の上りで総合争いが動いた。
レース開始直後に形成されたのは山岳賞ジャージを着るダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ)を含んだ6名の逃げ。タイム差は10分半まで広がったが、総合トップ4までを独占するBMCレーシングの集団コントロールによってレース中盤には縮小を始める。
サンウェブの集団牽引合流によって着々とタイム差が縮まる中、残り25km地点で先頭はバッレリーニ、マトヴィ・マミキン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、マルコ・クンプ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の3名に絞られる。
下りコーナーでオーバーランしてガードレール下まで落ちたマミキン(怪我は無し)に続いてクンプも脱落すると先頭はバッレリーニ単独に。山岳賞リード防衛のために逃げ続けたバッレリーニだったが、テルミニッロの長い上りが始まってすぐ、バーレーン・メリダ率いるメイン集団に吸収された。
続いてメイン集団から飛び出したのはシモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン)やミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、オリカ・スコット)、ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)ら。サブエース級選手で形成されたこの精鋭グループはメイン集団から50秒のリードを得た。
やがて頂上まで7kmを残してスピラックとクウィアトコウスキーが先行を開始すると、タイム差を詰めつつあったメイン集団からはトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)が先陣を切ってアタック。続いてティボー・ピノ(フランス、エフデジ)らも動きを見せたが決まらない。
アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)やゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)らが集団先頭でペースを上げた一方で、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)やヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は失速してしまう。ここからは地元イタリア勢を欠いた総合争いが繰り広げられることに。
残り3kmでついに本命ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が動くと、すかさずトーマスやイェーツらがチェックに入る。しかしキンタナの再度の加速には誰も反応できなかった。スピラクを追い抜いて先頭に立ったキンタナ。淡々とペースを刻んで追走したトーマスとのタイム差は徐々に広がっていった。
「数日前に風邪をひいてしまった影響で、今日は慎重なレース運びを強いられた。作戦通りチームメイトたちにエスコートされてテルミニッロの上りに突入。カストロビエホを先行させて、自分がアタックするまでアマドールとモレーノがボディーガードのように守ってくれた」と語るキンタナがステージ優勝。さらに総合争いにおいてもトップに立った。
キンタナは2015年に続く2度目のテルミニッロ制覇を果たした。なお、ティレーノ〜アドリアティコが標高のある山岳を取り入れた2012年以降、クイーンステージで勝利しているのはグランツールの総合優勝経験者のみ。2012年のプラーティ・ディ・ティヴォはニーバリ、2013年のプラーティ・ディ・ティヴォはフルーム、2014年のチッタレアーレはコンタドール、そして2015年と2017年のテルミニッロはキンタナが制した(2016年のクイーンステージは雪でキャンセル)。
総合2位イェーツから33秒、総合3位ピノから56秒のリードを得ているキンタナは「まだレースは終わっていないし、明日のステージは今日よりも難易度が高い。今の総合リードを守った状態で最終日の個人タイムトライアルに挑みたい」とコメントしている。
ローラー台でクーリングダウンしながら「フルーミーに次いで世界で2番目に登坂力のあるキンタナについていけなかった」と笑いながら答えたのは、18秒差のステージ2位に入ったトーマス。「自分の走りには満足しているし、これは(ジロに向けて)自信につながる結果。キンタナの加速は凄まじく、すぐに敵わないと感じた。そこから自分のペースを刻んで、レッドゾーンぎりぎりのところで踏み続けたんだ。するとキンタナとの距離が少し縮まったけど、そこから彼はもう一段ペースを上げて飛んで行った」
トーマスは総合8位まで順位を上げたが、初日のチームTTでチームスカイが大きくタイムを失った影響でキンタナから1分23秒遅れている。「まだジロ開幕まで時間があるので、どこ選手がどこまで調子を上げてくるのか分からない。自分にとっては初めて総合成績を狙うグランツールであり、ランダとのダブルリーダー体制で結果を残せると思う」とトーマスは語っている。
Velon(ヴェロン)が公開しているデータによると、この日ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)はテルミニッロを平均394Wで踏み抜いたが、ステージ15位でリーダージャージを失っている。3分間の最大出力は427Wだった(体重70kg)。
ティレーノ〜アドリアティコ2017第4ステージ結果
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 5h27'22"
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +18"
3位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +24"
4位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)
5位 シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) +29"
6位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +41"
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)
8位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)
9位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +46"
10位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) +51"
11位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
12位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)
14位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、オリカ・スコット) +1'10"
15位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) +1'17"
17位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +1'22"
19位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +1'39"
24位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1'43"
25位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +1'47"
29位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +2'19"
37位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +4'06"
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 16h34'46"
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +33"
3位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +56"
4位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) +1'01"
5位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) +1'06"
6位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +1'19"
7位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)
8位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +1'23"
9位 ダニエル・モレーノ(スペイン、モビスター) +1'27"
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +1'29"
ポイント賞
1位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) 30pts
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 22pts
3位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 20pts
山岳賞
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 15pts
2位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ) 13pts
3位 アラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 11pts
ヤングライダー賞
1位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) 16h35'19"
2位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +1'19"
3位 エガン・ベルナル(コロンビア、アンドローニジョカトリ) +2'01"
チーム総合成績
1位 モビスター 48h59'32"
2位 チームスカイ +1'49"
3位 BMCレーシング +2'50"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
ティレーノ〜アドリアティコのクイーンステージが大会4日目に登場。イタリア半島の背骨を形成するアペニン山脈に分け入り、標高1,675mのGPMテルミニッロを駆け上がる。
ティレーノの名物峠になりつつある(年によっては大雪が降る)テルミニッロの登坂距離は16.1kmで、平均勾配は7.3%。登坂時間45分弱の上りで総合争いが動いた。
レース開始直後に形成されたのは山岳賞ジャージを着るダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ)を含んだ6名の逃げ。タイム差は10分半まで広がったが、総合トップ4までを独占するBMCレーシングの集団コントロールによってレース中盤には縮小を始める。
サンウェブの集団牽引合流によって着々とタイム差が縮まる中、残り25km地点で先頭はバッレリーニ、マトヴィ・マミキン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、マルコ・クンプ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の3名に絞られる。
下りコーナーでオーバーランしてガードレール下まで落ちたマミキン(怪我は無し)に続いてクンプも脱落すると先頭はバッレリーニ単独に。山岳賞リード防衛のために逃げ続けたバッレリーニだったが、テルミニッロの長い上りが始まってすぐ、バーレーン・メリダ率いるメイン集団に吸収された。
続いてメイン集団から飛び出したのはシモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン)やミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、オリカ・スコット)、ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)ら。サブエース級選手で形成されたこの精鋭グループはメイン集団から50秒のリードを得た。
やがて頂上まで7kmを残してスピラックとクウィアトコウスキーが先行を開始すると、タイム差を詰めつつあったメイン集団からはトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)が先陣を切ってアタック。続いてティボー・ピノ(フランス、エフデジ)らも動きを見せたが決まらない。
アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)やゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)らが集団先頭でペースを上げた一方で、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)やヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は失速してしまう。ここからは地元イタリア勢を欠いた総合争いが繰り広げられることに。
残り3kmでついに本命ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が動くと、すかさずトーマスやイェーツらがチェックに入る。しかしキンタナの再度の加速には誰も反応できなかった。スピラクを追い抜いて先頭に立ったキンタナ。淡々とペースを刻んで追走したトーマスとのタイム差は徐々に広がっていった。
「数日前に風邪をひいてしまった影響で、今日は慎重なレース運びを強いられた。作戦通りチームメイトたちにエスコートされてテルミニッロの上りに突入。カストロビエホを先行させて、自分がアタックするまでアマドールとモレーノがボディーガードのように守ってくれた」と語るキンタナがステージ優勝。さらに総合争いにおいてもトップに立った。
キンタナは2015年に続く2度目のテルミニッロ制覇を果たした。なお、ティレーノ〜アドリアティコが標高のある山岳を取り入れた2012年以降、クイーンステージで勝利しているのはグランツールの総合優勝経験者のみ。2012年のプラーティ・ディ・ティヴォはニーバリ、2013年のプラーティ・ディ・ティヴォはフルーム、2014年のチッタレアーレはコンタドール、そして2015年と2017年のテルミニッロはキンタナが制した(2016年のクイーンステージは雪でキャンセル)。
総合2位イェーツから33秒、総合3位ピノから56秒のリードを得ているキンタナは「まだレースは終わっていないし、明日のステージは今日よりも難易度が高い。今の総合リードを守った状態で最終日の個人タイムトライアルに挑みたい」とコメントしている。
ローラー台でクーリングダウンしながら「フルーミーに次いで世界で2番目に登坂力のあるキンタナについていけなかった」と笑いながら答えたのは、18秒差のステージ2位に入ったトーマス。「自分の走りには満足しているし、これは(ジロに向けて)自信につながる結果。キンタナの加速は凄まじく、すぐに敵わないと感じた。そこから自分のペースを刻んで、レッドゾーンぎりぎりのところで踏み続けたんだ。するとキンタナとの距離が少し縮まったけど、そこから彼はもう一段ペースを上げて飛んで行った」
トーマスは総合8位まで順位を上げたが、初日のチームTTでチームスカイが大きくタイムを失った影響でキンタナから1分23秒遅れている。「まだジロ開幕まで時間があるので、どこ選手がどこまで調子を上げてくるのか分からない。自分にとっては初めて総合成績を狙うグランツールであり、ランダとのダブルリーダー体制で結果を残せると思う」とトーマスは語っている。
Velon(ヴェロン)が公開しているデータによると、この日ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)はテルミニッロを平均394Wで踏み抜いたが、ステージ15位でリーダージャージを失っている。3分間の最大出力は427Wだった(体重70kg)。
ティレーノ〜アドリアティコ2017第4ステージ結果
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 5h27'22"
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +18"
3位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +24"
4位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)
5位 シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) +29"
6位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +41"
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)
8位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)
9位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +46"
10位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) +51"
11位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
12位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)
14位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、オリカ・スコット) +1'10"
15位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) +1'17"
17位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +1'22"
19位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +1'39"
24位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1'43"
25位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +1'47"
29位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +2'19"
37位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +4'06"
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 16h34'46"
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +33"
3位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +56"
4位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) +1'01"
5位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) +1'06"
6位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +1'19"
7位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)
8位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +1'23"
9位 ダニエル・モレーノ(スペイン、モビスター) +1'27"
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +1'29"
ポイント賞
1位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) 30pts
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 22pts
3位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 20pts
山岳賞
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 15pts
2位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ) 13pts
3位 アラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 11pts
ヤングライダー賞
1位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) 16h35'19"
2位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +1'19"
3位 エガン・ベルナル(コロンビア、アンドローニジョカトリ) +2'01"
チーム総合成績
1位 モビスター 48h59'32"
2位 チームスカイ +1'49"
3位 BMCレーシング +2'50"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
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