2017/01/07(土) - 09:05
アメリカとドイツを拠点に持つフェルト。同社のオールラウンドレーシングバイク「F」シリーズが、2017年モデルより「FR」シリーズへと刷新された。そのラインアップよりセカンドグレードにあたる「FR1」をインプレッション。
創設者ジム・フェルト氏が手がけたトライアスロンバイクをルーツに持つフェルト。製品開発を続けロードバイクやシクロクロスバイク、MTB等ラインアップを拡大し、総合自転車メーカー「フェルト社」として活動を始めたのは2001年と、比較的新しいブランドだ。フレームの魔術師たるフェルト氏独自の設計理論に基づき、空力性能やライディングポジションを最適化することで洗練されたバイクを世に送り出してきた。
過去にはアルゴス・シマノやガーミン・トランジションといったチームを、発展途上段階からサポートし、トップレース常勝チームへと育て上げてきたフェルト。現在は昨年夏に発表されたばかりのオールラウンドモデル「FR」と、アドベンチャーバイクとしての側面も持つ「VR」、そしてエアロを優先した「AR」という3本柱を据えており、中でもFRはその前身たるFの時代から、マルセル・キッテル(ドイツ、当時アルゴス・シマノ)のツール・ド・フランス第100回記念大会におけるステージ4勝に貢献するなど、状況を問わず幾多の勝ち星を上げてきた。
フルモデルチェンジを遂げたFRシリーズが目指したのは、ロードバイクらしいオーソドックスなルックスはそのままに、ジオメトリーを見直すことで従来の特徴であるハンドリングや反応性、加速性能を維持し、レーサーとしての質を高めるべく剛性と快適性を高めること。フェルトの開発チームは0.1mm単位の形状変更による強度・剛性変化を数値化できる独自のフレーム解析技術を新たに投入することで、そのコンセプトを現実のものとした。
今回インプレッションを行った「FR1」は、トップモデルである「FR FRD」に次ぐセカンドグレード。同一のジオメトリーを採用しつつ、フェルト独自のUHC Advancedカーボン(FRDはUHC Ultimateカーボン)とスウェーデンOxeon社製のTeXtremeカーボンをミックスすることで軽量性と剛性を高次元でミックスし、なおかつフレームセット価格を28万8千円に抑えたバリューモデルである。
従来のFに対して、設計上の大きな変更点はシートポスト下のトップチューブ~シートチューブ~シートステーの接合部分。従来はシートステーとシートチューブがほぼ同一の幅で接続していたが、新型ではシートステーがシートチューブの横を沿う形でトップチューブへと繋がるワイドフォルムに。従来ではリアバックのしなりに対してシートチューブが捻れロスが生じていたが、今回の形状変更によって+30%もの横方向の捻れ剛性を向上させている。
シートステー自体の形状もシートチューブ接続部へ近づくにつれて扁平形状へ変化。更にブレーキブリッジを廃したことでしなやかさを高め、リアバックの垂直柔軟性は12%の向上を見た。同時にフロントフォークの断面形状をひし形に変更したことで、フロント周りのスタビリティ向上に貢献するなど、これらの変更により路面追従性を高め、走行時のエネルギーロスを抑える役目を果たしている。
ヘッドチューブ長にも変更が加えられ、より多くのライダーにフィットするポジションを追求した結果、従来モデルよりもヘッドが延長されたジオメトリーが採用されている。それによって大柄な選手でもスペーサーを使用せずとも理想のポジションを出すことが可能となり、これは供給チームからの要求に応えた結果だ。もちろんステムの合わせ方によっては、従来通りのアグレッシブなポジションにも対応する。
また、サイズの違いによる乗り味の変化を防ぐため、ヘッド下側のベアリング径をフレームの大きさによって変更。1-1/8、1-1/4、1-1/2という3種類の径をフレームサイズによって使い分けることで、ヘッドの剛性を調整している。さらにフレームのパフォーマンスを最大限発揮できるよう、強度低下に繋がるケーブルルーティング用の穴あけ加工も最小限に留めている。そのため、機械式コンポーネントはワイヤーが外装式となる。メンテナンス性を踏まえれば、一般ユーザーには歓迎すべき事項だろう。
ボトムブラケット規格は従来のBB30からBB386へと変更されており、シェル幅が18.5mm拡大したことで28cタイヤまでに対応するクリアランスを確保。BB周りのフレーム剛性を高めるとともに、トレーニングや林道ツーリングなどでは28cタイヤを、レースでは23cタイヤをと言った使い分けも可能となっている。リアブレーキは剛性の高いBB下へのダイレクトマウントとなり、高速域でのブレーキングでもフレームがたわむことなく安定した制動力を見せ、低重心化にも貢献している。
およそ3年の開発期間を経てリリースされた新型ピュアレーシングマシン「FR1」。上級モデルであるFR FRDは早速夏にデビューウィンを飾っており、FR1はそんなレーサーとしての資質を色濃く受け継ぐ、一般レーサーに最適なモデルだ。フェルトきってのレーシングバイクを2人のインプレッションライダーはどう評価するのか。それではインプレッションに移ろう。
ー インプレッション
「レースでの勝利を狙う高剛性が特徴のバイク」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)
高い剛性を持ったよく進むバイクで、純粋に速さを追求しているなという印象を受けました。踏み心地が硬くどんな踏み方をしても力が伝わりやすく、ダイレクトな反応が楽しめる1台です。快適性こそ他のコンフォートバイクに譲りますが、レーシングバイクらしいスパルタンな走りが持ち味ですね。
特にBB周りは硬く作ってあり、力をかけて踏んでも全くたわむ気配はありません。それにより高いパワーでもしっかり加速に繋げてくれる感覚がありました。踏んだ分だけグッと加速してくれるため、平坦でのスピードの伸びや速度維持が素晴らしく、クリテリウムのようなストップ・アンド・ゴーを繰り返すシーンには最適でしょう。
ハンドリングはクイックで、ハンドルを少し切っただけで思った以上に曲がりました。初めてだと驚いてしまいますが、慣れれば問題ないレベルだと感じました。コーナーでバシッとブレずにターンできるので、特にレースではコーナーでインをしっかり突いていくコーナーリングができるので、うまく操ってあげればテクニカルなコースで武器になりそうですね。
前述した通り高剛性ですから、正直なところ快適性は多少犠牲になっていると感じました。ただ純粋なレースバイクですから、個人的には硬めのホイールで反応性をより引き上げて、短時間のヒルクライムやクリテリウムで使ってみたいと思います。強めに踏み込んだ際の反発もなかなかですから、ゆったりロングライドを楽しみたいという方には別の選択肢があるでしょう。
もちろんレースでこそ光るフレームですし、乗鞍のヒルクライムや実業団レースで勝ちを狙いたい人には間違いはないと思います。ただ、楽しく乗るためにはある程度の脚力を要求してきますので、乗りこなすにはそれなりの練習が必要かもしれません。疲労が溜まると踏み直しがきかないため注意が必要ですね。
これだけの高性能ながら、フレームセット28万円のプライスは圧倒的にお買い得でしょう。ロングライドもレースも、という万能的な雰囲気ではありませんが、レース用に硬く反応性が良いバイクが欲しいという方には是非乗って頂きたい。そう思わせてくれるバイクでした。
「路面追従性が高く、安定感のあるピュアレーシングバイク」佐藤淳(カミハギサイクル)
路面追従性の高さが際立ち、トラクションの掛かりやすさが光るバイクですね。特にリアバック全体に柔軟性があり、荒れた道でもリアタイヤがしっかり路面に接地してくれます。そのため高速走行中でもバイクの跳ねによる不安を覚えることはありませんし、多少の悪路でもグイグイ進んでくれました。
だからといって、快適性を追求したエンデュランスモデルということではありません。レーシングバイクらしくパワー入力に対し高い反応性を持っています。トルクを掛けた高い出力で踏んだ際は、リアバックのしなりも手伝って、少し溜めてから加速してくれますね。逆に軽い力でくるくると回すと、フレームそのものの重量の軽さも手伝ってか、面白いほど軽快に進んでくれます。どちらかと言えば高ケイデンスでスピードを乗せていく方がフレームの性格に合っていると感じました。
ハンドリングはレーシングモデルらしくクイックな操舵感です。ハンドルを深く切りすぎると、ある角度から急に切れ込むクセがありますが、乗り込んで慣れていけば問題無い範囲です。低速域の扱いやすさよりも、ハイスピードな走行状態での浅いハンドルの切れ角に対応したレーシーな味付けになっていますね。
今回は比較的柔らかめなホイールがアッセンブルされていましたが、リアバックのしなりと相まって振動吸収性が高くなり、とても快適な乗り心地になっていました。反対にフルクラムレーシングゼロのような硬いホイールを付けたとしてもコーナーリングでの剛性感が高まり、よりレーシーな走りを体感することが出来ると思います。
このFR1はフレームセットでの販売ですが、機械式コンポーネントではワイヤー類が外装になる設計で整備性が良く、自分でメンテナンスをする方には扱いやすいでしょう。電動式コンポーネントを選択した場合はケーブルを内装出来ますので、スッキリした外見になりますね。リアブレーキがBB下へのダイレクトマウントとなるため、アウターワイヤーの取り回しには注意を払う必要があります。
全体的な性能は高く、一般ユーザーでもホビーレースなどのハイテンポに走るシーンでそのポテンシャルを発揮するでしょう。個人的には高ケイデンスの回転型ライダーと相性の良いフレームだと感じました。レーシーな走り方を楽しみつつ、しっかりとした安定感があるバイクが欲しいという方にはオススメの一台です。
フェルト FR1 フレームキット
フレーム:UHC Advanced + TeXtremeカーボン
フォーク:UHC Ultimate + TeXtreme カーボンモノコック
BB規格:BB386
サイズ:430、470、510、540、560、580
重量:フレーム900g(540mm、ハンガー・シートクランプ込み重量)、フォーク300g
価格:288,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)
滋賀県草津市にあるストラーダバイシクルズ滋賀本店の店長。2011、2012年の全日本マウンテンバイク選手権クロスカントリーマスタークラスチャンピオン。ストイックに自転車競技に取り組んできたが、ストラーダに入社後は、ビギナーライダーのライド初体験の笑顔に魅せられエントリーのお客様にバイクの楽しさを伝えることが楽しみ。最近はトライアスロンに挑戦中。
ストラーダバイシクルズ滋賀本店(CWレコメンドショップ)
ストラーダバイシクルズHP
佐藤淳(カミハギサイクル FIT&RIDE STORE)
愛知県豊山町に店舗を構えるカミハギサイクルのスペシャライズド専門店「FIT&RIDE STORE」にて、メカニックから接客まで幅広く担当する。自転車にのめり込んだきっかけは何の気なしに購入したMTB。購入後すぐに3日間のツーリングで550kmを走り切ったことでその道に進んだロングライド派。常にビギナー目線での接客を心掛け、対話の中からお客様の本当に求めているものを探り、提案していくことを心がけている。
CWレコメンドショップページ(緑店)
CWレコメンドショップページ(小牧本店)
ウェア協力:Rapha
text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
創設者ジム・フェルト氏が手がけたトライアスロンバイクをルーツに持つフェルト。製品開発を続けロードバイクやシクロクロスバイク、MTB等ラインアップを拡大し、総合自転車メーカー「フェルト社」として活動を始めたのは2001年と、比較的新しいブランドだ。フレームの魔術師たるフェルト氏独自の設計理論に基づき、空力性能やライディングポジションを最適化することで洗練されたバイクを世に送り出してきた。
過去にはアルゴス・シマノやガーミン・トランジションといったチームを、発展途上段階からサポートし、トップレース常勝チームへと育て上げてきたフェルト。現在は昨年夏に発表されたばかりのオールラウンドモデル「FR」と、アドベンチャーバイクとしての側面も持つ「VR」、そしてエアロを優先した「AR」という3本柱を据えており、中でもFRはその前身たるFの時代から、マルセル・キッテル(ドイツ、当時アルゴス・シマノ)のツール・ド・フランス第100回記念大会におけるステージ4勝に貢献するなど、状況を問わず幾多の勝ち星を上げてきた。
フルモデルチェンジを遂げたFRシリーズが目指したのは、ロードバイクらしいオーソドックスなルックスはそのままに、ジオメトリーを見直すことで従来の特徴であるハンドリングや反応性、加速性能を維持し、レーサーとしての質を高めるべく剛性と快適性を高めること。フェルトの開発チームは0.1mm単位の形状変更による強度・剛性変化を数値化できる独自のフレーム解析技術を新たに投入することで、そのコンセプトを現実のものとした。
今回インプレッションを行った「FR1」は、トップモデルである「FR FRD」に次ぐセカンドグレード。同一のジオメトリーを採用しつつ、フェルト独自のUHC Advancedカーボン(FRDはUHC Ultimateカーボン)とスウェーデンOxeon社製のTeXtremeカーボンをミックスすることで軽量性と剛性を高次元でミックスし、なおかつフレームセット価格を28万8千円に抑えたバリューモデルである。
従来のFに対して、設計上の大きな変更点はシートポスト下のトップチューブ~シートチューブ~シートステーの接合部分。従来はシートステーとシートチューブがほぼ同一の幅で接続していたが、新型ではシートステーがシートチューブの横を沿う形でトップチューブへと繋がるワイドフォルムに。従来ではリアバックのしなりに対してシートチューブが捻れロスが生じていたが、今回の形状変更によって+30%もの横方向の捻れ剛性を向上させている。
シートステー自体の形状もシートチューブ接続部へ近づくにつれて扁平形状へ変化。更にブレーキブリッジを廃したことでしなやかさを高め、リアバックの垂直柔軟性は12%の向上を見た。同時にフロントフォークの断面形状をひし形に変更したことで、フロント周りのスタビリティ向上に貢献するなど、これらの変更により路面追従性を高め、走行時のエネルギーロスを抑える役目を果たしている。
ヘッドチューブ長にも変更が加えられ、より多くのライダーにフィットするポジションを追求した結果、従来モデルよりもヘッドが延長されたジオメトリーが採用されている。それによって大柄な選手でもスペーサーを使用せずとも理想のポジションを出すことが可能となり、これは供給チームからの要求に応えた結果だ。もちろんステムの合わせ方によっては、従来通りのアグレッシブなポジションにも対応する。
また、サイズの違いによる乗り味の変化を防ぐため、ヘッド下側のベアリング径をフレームの大きさによって変更。1-1/8、1-1/4、1-1/2という3種類の径をフレームサイズによって使い分けることで、ヘッドの剛性を調整している。さらにフレームのパフォーマンスを最大限発揮できるよう、強度低下に繋がるケーブルルーティング用の穴あけ加工も最小限に留めている。そのため、機械式コンポーネントはワイヤーが外装式となる。メンテナンス性を踏まえれば、一般ユーザーには歓迎すべき事項だろう。
ボトムブラケット規格は従来のBB30からBB386へと変更されており、シェル幅が18.5mm拡大したことで28cタイヤまでに対応するクリアランスを確保。BB周りのフレーム剛性を高めるとともに、トレーニングや林道ツーリングなどでは28cタイヤを、レースでは23cタイヤをと言った使い分けも可能となっている。リアブレーキは剛性の高いBB下へのダイレクトマウントとなり、高速域でのブレーキングでもフレームがたわむことなく安定した制動力を見せ、低重心化にも貢献している。
およそ3年の開発期間を経てリリースされた新型ピュアレーシングマシン「FR1」。上級モデルであるFR FRDは早速夏にデビューウィンを飾っており、FR1はそんなレーサーとしての資質を色濃く受け継ぐ、一般レーサーに最適なモデルだ。フェルトきってのレーシングバイクを2人のインプレッションライダーはどう評価するのか。それではインプレッションに移ろう。
ー インプレッション
「レースでの勝利を狙う高剛性が特徴のバイク」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)
高い剛性を持ったよく進むバイクで、純粋に速さを追求しているなという印象を受けました。踏み心地が硬くどんな踏み方をしても力が伝わりやすく、ダイレクトな反応が楽しめる1台です。快適性こそ他のコンフォートバイクに譲りますが、レーシングバイクらしいスパルタンな走りが持ち味ですね。
特にBB周りは硬く作ってあり、力をかけて踏んでも全くたわむ気配はありません。それにより高いパワーでもしっかり加速に繋げてくれる感覚がありました。踏んだ分だけグッと加速してくれるため、平坦でのスピードの伸びや速度維持が素晴らしく、クリテリウムのようなストップ・アンド・ゴーを繰り返すシーンには最適でしょう。
ハンドリングはクイックで、ハンドルを少し切っただけで思った以上に曲がりました。初めてだと驚いてしまいますが、慣れれば問題ないレベルだと感じました。コーナーでバシッとブレずにターンできるので、特にレースではコーナーでインをしっかり突いていくコーナーリングができるので、うまく操ってあげればテクニカルなコースで武器になりそうですね。
前述した通り高剛性ですから、正直なところ快適性は多少犠牲になっていると感じました。ただ純粋なレースバイクですから、個人的には硬めのホイールで反応性をより引き上げて、短時間のヒルクライムやクリテリウムで使ってみたいと思います。強めに踏み込んだ際の反発もなかなかですから、ゆったりロングライドを楽しみたいという方には別の選択肢があるでしょう。
もちろんレースでこそ光るフレームですし、乗鞍のヒルクライムや実業団レースで勝ちを狙いたい人には間違いはないと思います。ただ、楽しく乗るためにはある程度の脚力を要求してきますので、乗りこなすにはそれなりの練習が必要かもしれません。疲労が溜まると踏み直しがきかないため注意が必要ですね。
これだけの高性能ながら、フレームセット28万円のプライスは圧倒的にお買い得でしょう。ロングライドもレースも、という万能的な雰囲気ではありませんが、レース用に硬く反応性が良いバイクが欲しいという方には是非乗って頂きたい。そう思わせてくれるバイクでした。
「路面追従性が高く、安定感のあるピュアレーシングバイク」佐藤淳(カミハギサイクル)
路面追従性の高さが際立ち、トラクションの掛かりやすさが光るバイクですね。特にリアバック全体に柔軟性があり、荒れた道でもリアタイヤがしっかり路面に接地してくれます。そのため高速走行中でもバイクの跳ねによる不安を覚えることはありませんし、多少の悪路でもグイグイ進んでくれました。
だからといって、快適性を追求したエンデュランスモデルということではありません。レーシングバイクらしくパワー入力に対し高い反応性を持っています。トルクを掛けた高い出力で踏んだ際は、リアバックのしなりも手伝って、少し溜めてから加速してくれますね。逆に軽い力でくるくると回すと、フレームそのものの重量の軽さも手伝ってか、面白いほど軽快に進んでくれます。どちらかと言えば高ケイデンスでスピードを乗せていく方がフレームの性格に合っていると感じました。
ハンドリングはレーシングモデルらしくクイックな操舵感です。ハンドルを深く切りすぎると、ある角度から急に切れ込むクセがありますが、乗り込んで慣れていけば問題無い範囲です。低速域の扱いやすさよりも、ハイスピードな走行状態での浅いハンドルの切れ角に対応したレーシーな味付けになっていますね。
今回は比較的柔らかめなホイールがアッセンブルされていましたが、リアバックのしなりと相まって振動吸収性が高くなり、とても快適な乗り心地になっていました。反対にフルクラムレーシングゼロのような硬いホイールを付けたとしてもコーナーリングでの剛性感が高まり、よりレーシーな走りを体感することが出来ると思います。
このFR1はフレームセットでの販売ですが、機械式コンポーネントではワイヤー類が外装になる設計で整備性が良く、自分でメンテナンスをする方には扱いやすいでしょう。電動式コンポーネントを選択した場合はケーブルを内装出来ますので、スッキリした外見になりますね。リアブレーキがBB下へのダイレクトマウントとなるため、アウターワイヤーの取り回しには注意を払う必要があります。
全体的な性能は高く、一般ユーザーでもホビーレースなどのハイテンポに走るシーンでそのポテンシャルを発揮するでしょう。個人的には高ケイデンスの回転型ライダーと相性の良いフレームだと感じました。レーシーな走り方を楽しみつつ、しっかりとした安定感があるバイクが欲しいという方にはオススメの一台です。
フェルト FR1 フレームキット
フレーム:UHC Advanced + TeXtremeカーボン
フォーク:UHC Ultimate + TeXtreme カーボンモノコック
BB規格:BB386
サイズ:430、470、510、540、560、580
重量:フレーム900g(540mm、ハンガー・シートクランプ込み重量)、フォーク300g
価格:288,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)
滋賀県草津市にあるストラーダバイシクルズ滋賀本店の店長。2011、2012年の全日本マウンテンバイク選手権クロスカントリーマスタークラスチャンピオン。ストイックに自転車競技に取り組んできたが、ストラーダに入社後は、ビギナーライダーのライド初体験の笑顔に魅せられエントリーのお客様にバイクの楽しさを伝えることが楽しみ。最近はトライアスロンに挑戦中。
ストラーダバイシクルズ滋賀本店(CWレコメンドショップ)
ストラーダバイシクルズHP
佐藤淳(カミハギサイクル FIT&RIDE STORE)
愛知県豊山町に店舗を構えるカミハギサイクルのスペシャライズド専門店「FIT&RIDE STORE」にて、メカニックから接客まで幅広く担当する。自転車にのめり込んだきっかけは何の気なしに購入したMTB。購入後すぐに3日間のツーリングで550kmを走り切ったことでその道に進んだロングライド派。常にビギナー目線での接客を心掛け、対話の中からお客様の本当に求めているものを探り、提案していくことを心がけている。
CWレコメンドショップページ(緑店)
CWレコメンドショップページ(小牧本店)
ウェア協力:Rapha
text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
リンク
Amazon.co.jp