2016/08/02(火) - 17:58
ツール・ド・フランスを走った全22チームのロードバイク&TTマシンを、3チーム毎、全7回で紹介。第1弾ではチームスカイのピナレロ、モビスターのキャニオン、トレック・セガフレードのトレックをピックアップします。
チームスカイ【ピナレロ DOGMA F8 Xlight、DOGMA F8、BOLIDE TT】
クリス・フルーム(イギリス)が2年連続3度目となる個人総合優勝を果たしたチームスカイ。その鉄壁の走りを支えたピナレロは、数あるバイクメーカーの中で最多ツール総合優勝を誇り、今回のフルームの優勝でその記録を12回に伸ばした。また、ツール期間中にはチームスカイとのパートナーシップ契約を2020年まで延長することを発表している。
今ツールのためにピナレロは、フラッグシップ「DOGMA F8」をベースに、フレームセットで100gもの軽量化を果たした「DOGMA F8 Xlight」を投入。フルーム、ゲラント・トーマス(イギリス)、ミケル・ランダ(スペイン)の3名がDOGMA F8と併用した。また、フルームのためには数種類のスペシャルペイントバイクを日替わりで用意しており、マイヨジョーヌ着用にあわせてカラーを変化させた。対応したメカニックたちはさぞ大変だったに違いない。
コンポーネントやホイールはシマノ9000系DURA-ACE Di2がメインだが、フルームはツール開幕前に発表されたR9100系新型DURA-ACEのホイールを使用した。それも重要なステージで、40mmハイトのホイール(WH-R9100-C40)や、SPD-SLペダル(PD-R9100)を好んで使用していた。チェーンリングは長年愛用する非真円タイプのオーシンメトリック。スポンサー外であるため、黒塗りされているのもお約束だ。
タイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデルである「COMPETITION PROLTD」。ハンドル&ステムやバーテープはPROで統一し、フルームはバイクによってハンドルまわりを変える興味深いセッティングを行っており、「DOGMA F8」にはアルミ製の「VIBE」シリーズが、「DOGMA F8 Xlight」にはカーボン製ステム一体型ハンドル「STEALTH」がアッセンブルされていた。その他、パワーメーターはクランク式のステージズパワー、サドルはフィジーク、ボトル&ケージはエリートを採用する。
TTバイクは、ロードと同様に新型マシンである「BOLIDE TT」。より複雑さを増したフレーム設計によってエアロダイナミクスを更に向上させている。ホイールは通常、前後共にTeXtreamカーボンを使うPRO製品を採用するが、フルームのバイクにはステッカーでPRO製品に似せた詳細不明のディスクホイールが取り付けられていた。現TT世界王者のヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)は、シマノに設定のない大きな歯数のサードパーティー製チェーンリングを使用する。
モビスター【キャニオン ULTIMATE CF SLX、AEROAD CF SLX、SPEEDMAX CF SLX(TTバイク)】
チーム総合優勝を飾り、ヨン・イサギーレ(スペイン)が区間1勝、ナイロ・キンタナ(コロンビア)が総合3位のモビスター。バイクサプライヤーはドイツのキャニオンで、ライダーの好みによってオールラウンドモデルの「ULTIMATE CF SLX」とエアロロード「AEROAD CF SLX」を使い分けた。なお、写真は無いものの、新型TTバイク「SPEEDMAX CF SLX」が投入されていた。
長年の協力関係にあるカンパニョーロのサポートを受け、コンポーネントは電子式のSUPERRECORD EPSを、ホイールはBORA ULTRAシリーズを使用する。パワーメーターは、クランク式のPower2maxのカンパニョーロ4アームモデル。ホイールのデカールや、クランクのスパイダー部分は、モビスター社のコーポレートカラーであるライトグリーンに変更されている。
タイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデルCOMPETITION PROLTDだが、センターとサイドでドットの大きさが変えられ、割りモールドのバリが無いなど、これまでとは仕様がやや異なっていた。ハンドルとステムはキャニオンのオリジナルで、AEROADにはステム一体型のエアロハンドルが、ULTIMATEにはアルミ製のハンドル&ステムが多く取り付けられていた。その他、サドルはフィジーク、バーテープはリザードスキン、ペダルはルック Keo Blade、ボトルとケージはエリートを採用する。
トレック・セガフレード【トレック Madone 9、Emonda SLR、Speed Concept9.9(TTバイク)】
キャリア最後のツールとなったファビアン・カンチェラーラ(スイス)は、今春に登場した新型の「Domane SLR」ではなく、エアロロード「Madone 9」にスプラッシュペイントを施した特別仕様のマシンをチョイス。バウク・モレマ(オランダ)ら総合系ライダーは軽量マシン「Emonda SLR」を駆った。
パーツアッセンブルは、ハンドル、ホイール、ステム、サドル、ボトルケージと、ほとんどがボントレガー製品となっている。ホイ-ルはAeolusシリーズで、山岳では30mmハイトの「D3」、平地では50mmハイトの「D5」という形で使い分けているよう。なお、組み合わせるタイヤはボントレガーではなく、イタリアのヴェロフレックスを採用している。
コンポーネントとペダルはシマノからサポート受け、9000系DURA-ACEを使用。大多数がDi2だが、カンチェラーラは従来通り機械式を選択している。パワーメーターはプロチームの定番であるクランク式のSRMだ。
TTバイクには継続して「Speed Concept9.9」を使用。また、モレマが第13ステージで駆ったTTバイクはマットブラックの仕上げとなっていることからプロトタイプとも考えられ、軽量化などの改良が施されている可能性がありそうだ。ディスクホイールはボントレガーが製造していないことから、ジップやライトウェイト。また、カンチェラーラが駆ったスパルタクス仕様のSpeed Concept9.9には、ヴェロフレックスではなく、FMBのチューブラータイヤが取り付けられていた。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
チームスカイ【ピナレロ DOGMA F8 Xlight、DOGMA F8、BOLIDE TT】
クリス・フルーム(イギリス)が2年連続3度目となる個人総合優勝を果たしたチームスカイ。その鉄壁の走りを支えたピナレロは、数あるバイクメーカーの中で最多ツール総合優勝を誇り、今回のフルームの優勝でその記録を12回に伸ばした。また、ツール期間中にはチームスカイとのパートナーシップ契約を2020年まで延長することを発表している。
今ツールのためにピナレロは、フラッグシップ「DOGMA F8」をベースに、フレームセットで100gもの軽量化を果たした「DOGMA F8 Xlight」を投入。フルーム、ゲラント・トーマス(イギリス)、ミケル・ランダ(スペイン)の3名がDOGMA F8と併用した。また、フルームのためには数種類のスペシャルペイントバイクを日替わりで用意しており、マイヨジョーヌ着用にあわせてカラーを変化させた。対応したメカニックたちはさぞ大変だったに違いない。
コンポーネントやホイールはシマノ9000系DURA-ACE Di2がメインだが、フルームはツール開幕前に発表されたR9100系新型DURA-ACEのホイールを使用した。それも重要なステージで、40mmハイトのホイール(WH-R9100-C40)や、SPD-SLペダル(PD-R9100)を好んで使用していた。チェーンリングは長年愛用する非真円タイプのオーシンメトリック。スポンサー外であるため、黒塗りされているのもお約束だ。
タイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデルである「COMPETITION PROLTD」。ハンドル&ステムやバーテープはPROで統一し、フルームはバイクによってハンドルまわりを変える興味深いセッティングを行っており、「DOGMA F8」にはアルミ製の「VIBE」シリーズが、「DOGMA F8 Xlight」にはカーボン製ステム一体型ハンドル「STEALTH」がアッセンブルされていた。その他、パワーメーターはクランク式のステージズパワー、サドルはフィジーク、ボトル&ケージはエリートを採用する。
TTバイクは、ロードと同様に新型マシンである「BOLIDE TT」。より複雑さを増したフレーム設計によってエアロダイナミクスを更に向上させている。ホイールは通常、前後共にTeXtreamカーボンを使うPRO製品を採用するが、フルームのバイクにはステッカーでPRO製品に似せた詳細不明のディスクホイールが取り付けられていた。現TT世界王者のヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)は、シマノに設定のない大きな歯数のサードパーティー製チェーンリングを使用する。
モビスター【キャニオン ULTIMATE CF SLX、AEROAD CF SLX、SPEEDMAX CF SLX(TTバイク)】
チーム総合優勝を飾り、ヨン・イサギーレ(スペイン)が区間1勝、ナイロ・キンタナ(コロンビア)が総合3位のモビスター。バイクサプライヤーはドイツのキャニオンで、ライダーの好みによってオールラウンドモデルの「ULTIMATE CF SLX」とエアロロード「AEROAD CF SLX」を使い分けた。なお、写真は無いものの、新型TTバイク「SPEEDMAX CF SLX」が投入されていた。
長年の協力関係にあるカンパニョーロのサポートを受け、コンポーネントは電子式のSUPERRECORD EPSを、ホイールはBORA ULTRAシリーズを使用する。パワーメーターは、クランク式のPower2maxのカンパニョーロ4アームモデル。ホイールのデカールや、クランクのスパイダー部分は、モビスター社のコーポレートカラーであるライトグリーンに変更されている。
タイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデルCOMPETITION PROLTDだが、センターとサイドでドットの大きさが変えられ、割りモールドのバリが無いなど、これまでとは仕様がやや異なっていた。ハンドルとステムはキャニオンのオリジナルで、AEROADにはステム一体型のエアロハンドルが、ULTIMATEにはアルミ製のハンドル&ステムが多く取り付けられていた。その他、サドルはフィジーク、バーテープはリザードスキン、ペダルはルック Keo Blade、ボトルとケージはエリートを採用する。
トレック・セガフレード【トレック Madone 9、Emonda SLR、Speed Concept9.9(TTバイク)】
キャリア最後のツールとなったファビアン・カンチェラーラ(スイス)は、今春に登場した新型の「Domane SLR」ではなく、エアロロード「Madone 9」にスプラッシュペイントを施した特別仕様のマシンをチョイス。バウク・モレマ(オランダ)ら総合系ライダーは軽量マシン「Emonda SLR」を駆った。
パーツアッセンブルは、ハンドル、ホイール、ステム、サドル、ボトルケージと、ほとんどがボントレガー製品となっている。ホイ-ルはAeolusシリーズで、山岳では30mmハイトの「D3」、平地では50mmハイトの「D5」という形で使い分けているよう。なお、組み合わせるタイヤはボントレガーではなく、イタリアのヴェロフレックスを採用している。
コンポーネントとペダルはシマノからサポート受け、9000系DURA-ACEを使用。大多数がDi2だが、カンチェラーラは従来通り機械式を選択している。パワーメーターはプロチームの定番であるクランク式のSRMだ。
TTバイクには継続して「Speed Concept9.9」を使用。また、モレマが第13ステージで駆ったTTバイクはマットブラックの仕上げとなっていることからプロトタイプとも考えられ、軽量化などの改良が施されている可能性がありそうだ。ディスクホイールはボントレガーが製造していないことから、ジップやライトウェイト。また、カンチェラーラが駆ったスパルタクス仕様のSpeed Concept9.9には、ヴェロフレックスではなく、FMBのチューブラータイヤが取り付けられていた。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto