悪天候による2度のコース変更で、わずか47kmコースで争われたパリ〜ニース第7ステージ。フランス王者ドリアン・ゴドン(イネオス・グレナディアーズ)がスプリンターたちを退け、移籍後初勝利を手に入れた。



万全な雨対策を施したイェンセン・プロウライト(オーストラリア、アルペシン・プレミアテック) photo:A.S.O.

ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)が総合首位を快走するパリ〜ニース(UCIワールドツアー)第7ステージは、最終目的地ニースを出発する138.7kmで争われる予定だった。しかし、この日は朝から雨が降り、標高1,000m以上では降雪となったため、当初のフィニッシュ地点であるオロン(標高1,614m)はフィニッシュ不可能と判断。そのためフィニッシュ地点はイゾラへと変更されたものの、さらに悪天候の影響を受け、最終的にはイゾラ中腹を目指すわずか47kmの緩斜面を駆け上がる短縮ステージとなった。

その変更を雨のなか、チームバスで待っていた選手たちは、そのままスタート地点から移動。新たな場所ポン・ルイ・ニュセラから、異例とも言える距離のレースが午後2時に始まった。

しかしアクチュアルスタートを前にしたラウンドアバウトで集団落車が発生する。さらにメカトラも重なり、3度のやり直しの末、ようやくスタート。ヴィスマ・リースアバイクが先導する集団からティム・マルスマン(オランダ、アルペシン・プレミアテック)が飛び出す。これに追随する選手は現れず、今年プロデビューした25歳が単独逃げを披露した。

単独逃げを打ったティム・マルスマン(オランダ、アルペシン・プレミアテック) photo:A.S.O.

プロトンはヴィスマ・リースアバイクが先導する photo:A.S.O.

ヴィスマを中心に総合上位に選手を擁するチームが集団前方に固まり、緩斜面をひたすら登る選手たちは身体が温まりはじめ、徐々に集団のペースが上がる。その結果マルスマンは残り9.4km地点で引き戻され、残り7.3kmでニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、XDSアスタナ)がカウンターアタック。ニース生まれニース育ちの23歳が、熟知した道での勝利を狙った。

しかしステージ優勝はもちろん、ヴィンゲゴーの総合首位を守るべくヴィスマがハイペースに持ち込み、すぐにヴィノクロフをキャッチ。終盤には2度連続した集団落車が起こり、前日勝者、アロルド・テハダ(コロンビア、XDSアスタナ)も巻き込まれる場面があった。しかし棄権者が出ることはなく、勝負はスプリンターたちの戦いへともつれ込んだ。

マルスマンを捉え、集団がひと塊のままスプリントへ photo:A.S.O.

サムエル・ワトソン(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)のリードアウトで最終ストレートに入ると、その背後から前日2位だったドリアン・ゴドン(フランス)がスプリントを開始。背後から迫るビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NSNサイクリングチーム)やケース・ボル(オランダ、デカトロンCMA CGM)ら強豪スプリンターを退け、ゴドンが勝利を掴んだ。

リードアウトを勝利につなげたドリアン・ゴドン(フランス、イネオス・グレナディアーズ) photo:A.S.O.

移籍後初勝利を飾ったドリアン・ゴドン(フランス、イネオス・グレナディアーズ) photo:A.S.O.
総合首位をキープし、翌日の最終日に臨むヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.


レインウェアの下に着るフランス王者ジャージを叩き、勝利を喜んだゴドン。2019年から7年所属したデカトロンCMA CGMを離れ、加入したイネオスでの初勝利を「天候のため王者ジャージを見せることができなかったのは残念。だがこのチームで勝てて本当に嬉しい。今週はずっと惜しい結果が続き、今日はチーム全員が高い集中力で臨み、それが結果に繋がった」と喜んだ。

総合順位に変動はなく、翌日の大会最終日はニースに発着する129.2km。山頂フィニッシュではないものの、3つの1級山岳を越える山岳ステージだ。
パリ〜ニース2026第7ステージ結果
1位 ドリアン・ゴドン(フランス、イネオス・グレナディアーズ) 1:01:48
2位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NSNサイクリングチーム)
3位 ケース・ボル(オランダ、デカトロンCMA CGM)
4位 ローレンス・ピシー(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
5位 ルーク・ランパーティ(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)
6位 マイク・トゥーニッセン(オランダ、XDSアスタナ)
7位 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、アルペシン・プレミアテック)
8位 ヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
9位 マッテオ・トレンティン(イタリア、チューダープロサイクリング)
10位 サムエル・ワトソン(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
個人総合成績
1位 ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) 22:18:38
2位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +3:22
3位 ゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト) +5:50
4位 ケヴィン・ヴォークラン(フランス、イネオス・グレナディアーズ) +6:09
5位 レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) +7:37
6位 マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) +8:15
7位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) +9:02
8位 マティス・ロンデル(フランス、チューダープロサイクリング) +10:06
9位 アレックス・ボーダン(フランス、EFエデュケーション・イージーポスト) +10:16
10位 アロルド・テハダ(コロンビア、XDSアスタナ) +11:27
その他の特別賞
ポイント賞 ドリアン・ゴドン(フランス、イネオス・グレナディアーズ)
山岳賞 ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)
ヤングライダー賞 ゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:A.S.O.