2016/07/10(日) - 09:02
下りでの奇襲攻撃を成功させ、マイヨジョーヌを得たクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)をはじめ、ピレネー2日目に活躍した選手たちのコメントを紹介します。
下りアタックを成功させたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
今日はスタートからフィニッシュまでトイレ休憩する暇さえなかった。アタックは予定していなかったけど、チームメイトたちの献身にどうにかして応えたかったんだ。登りで何度かアタックがかかったものの決まらなかった。頂上手前で一瞬緩んだ隙をついて、下りを利用してアタックすることにした。とても古典的な戦法だった。
普段からよくチームメイトたちと下りで千切りあう練習をしている。今日はその成果が出たよ。そして今日はアウターチェーンリングを53Tではなく54Tにしていたんだ。下りを少しでも速く走るためにバイクの上で試行錯誤していた。このペイルスルド峠の下りは初めてだったけど映像で予習済み。リスクを負ったけど攻めすぎることはなかった。アドレナリンが分泌されているのを感じたよ。なんてレースは楽しいんだと思った。
マイヨジョーヌに再び袖を通すことができて嬉しいし、素晴らしい気持ちに包まれている。でも少し力を使いすぎた気もする。明日はハードなステージ。この先に待っているハードな山頂フィニッシュではもっとセレクティブなレースが展開されるだろう。16秒のリードは全く決定的ではないけど、今の段階では1秒でも先行しているほうがいい。
ステージ2位に入ったダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)
今日はジュリアン(アラフィリップ)がアシストとして全力で走ってくれた。自分は常に落ち着いていたし、ライバルたちがアタックを掛け合う中でも良いポジションをキープしていた。頂上手前でアタックしたクリス(フルーム)はすぐに数秒のリードを築いた。他のメンバーと追いかけたものの追いつかなかった。
ツール前の山岳でのハードトレーニングが今の調子の良さにつながっている。総合でも良い位置につけているし、ステージ優勝は手の届くところにあると感じた。
総合3位に浮上したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
前半の平坦区間を信じられないスピードで走ったけど、調子は良く、登りでは良い感触を得た。フルームには脱帽だ。誰もフルームのアタックは予想していなかったし、完全に不意打ちを食らった。気付いた時には埋められないタイム差がついていた。
でもまだ総合争いが終わったわけじゃない。総合3位という良いポジションにつけているし、明日の厳しいステージに向けてリカバリーしたい。
判断ミスを悔やむナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
1日を通してチームは素晴らしい走りをした。チームは作戦を忠実に守って走り、最後のペイルスルド峠でも順調にレースを進めていた。でもペイルスルド峠の頂上でリフレッシュするために沿道のスタッフからボトルを受け取った瞬間、フルームがアタックした。数秒だけ躊躇している間に彼は下りでどんどん差を広げた。アレハンドロ(バルベルデ)が全開で引いてくれたけど届かなかった。
今日ついてしまったタイム差(16秒)でツールの総合優勝が決まらないことを願う。チームメイトの働きは素晴らしかった。ただ単に最後の最後で自分がミスをしてしまったんだ。
ペイルスルド峠でアタックしたロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
暑くて厳しいステージだったものの、自分にとっては良い1日になった。チームメイト3人が常に巡回して、飲み物や氷、補給食を持ってきてくれた。
山岳が連続して登場する今日のようなステージが好き。標高が上がれば上がるほど自分の調子の良さを感じるよ。ここまでの走りには満足している。そしてここからツールが始まる。まだパリは遠いし、明日は山頂フィニッシュだ。経験も増え、落ち着いてレースに挑めている。ネガティブなプレッシャーなんてないし、最高のツールを迎える準備はできている。
ヤングライダー賞2位に浮上したルイス・マインティーズ(南アフリカ、ランプレ・メリダ)
自分にとって良い1日になった。自分のパフォーマンスには満足している。もちろんチームスカイが積極的にペースを上げるハードなステージだったけど、ずっと身体の感触は良くて、限界まで追い込むことなく集団内で走った。
集団内でペイルスルド峠の頂上に到達したことに満足感を得たけど、勝負はまだ終わっていなかった。下りに向けてフルームがアタックしたので、集団のスピードは極めて速く、食らいつくのに精一杯だった。集団内でヤングライダー賞のライバルはイェーツだけだった。とても暑い気候だけど今のところ何も問題はない。毎日を大切に走っていきたい。
マイヨアポワに袖を通したラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)
フィニッシュして初めて自分が山岳賞ランキング1位だと知った。トゥールマレー峠を登るのが初めてだったので、先頭で走るために登り口で飛び出した。先頭で待機していれば、後半にアルベルト・コンタドールやロマン・クロイツィゲルのアシストとして動くこともできる。
ジロ・デ・イタリアに続くツールで徐々に調子は上がっているものの、まだ最高のコンディションには程遠い。先頭で逃げ続けるのは簡単なことではなかった。少なくとも明日マイヨアポワを着ることを嬉しく思う。2014年に山岳賞に輝いたものの、今回の目的はマイヨアポワではない。あくまでもチームとしてアルベルトの総合表彰台が目標だ。
ライバルたちから再びタイムを失ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
とても厳しいステージだった。タイムロスを可能な限り少なくすることが今日の目標だった。現状の最高の走りができたと思う。ロマン・クロイツィゲルが自分より良いポジションにつけているので、これからミーティングを開いてチームの戦い方を考えたい。
長く厳しいトレーニングが2回の落車で台無しになったことが残念でならない。でもこれがロードレースであり、危険は至るところに潜んでいる。今日は全力を尽くしたよ。
リタイア第一号になったミカエル・モルコフ(デンマーク、カチューシャ)
少しでもチームのために走れるところまで回復したいという思いから、多くの人々のサポートを受けて1週間戦い続けてきた。怪我は日に日に良くなっていたけど、溜まりに溜まった疲労にノックアウトされた。
チームには申し訳ない気持ちでいっぱいだ。チームメイトをこれ以上アシストできないことはとても悲しい。でも強いメンバーが揃っているので、自分が欠けてもチームは結果を残してくれるはずだ。
text:Kei Tsuji
下りアタックを成功させたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
今日はスタートからフィニッシュまでトイレ休憩する暇さえなかった。アタックは予定していなかったけど、チームメイトたちの献身にどうにかして応えたかったんだ。登りで何度かアタックがかかったものの決まらなかった。頂上手前で一瞬緩んだ隙をついて、下りを利用してアタックすることにした。とても古典的な戦法だった。
普段からよくチームメイトたちと下りで千切りあう練習をしている。今日はその成果が出たよ。そして今日はアウターチェーンリングを53Tではなく54Tにしていたんだ。下りを少しでも速く走るためにバイクの上で試行錯誤していた。このペイルスルド峠の下りは初めてだったけど映像で予習済み。リスクを負ったけど攻めすぎることはなかった。アドレナリンが分泌されているのを感じたよ。なんてレースは楽しいんだと思った。
マイヨジョーヌに再び袖を通すことができて嬉しいし、素晴らしい気持ちに包まれている。でも少し力を使いすぎた気もする。明日はハードなステージ。この先に待っているハードな山頂フィニッシュではもっとセレクティブなレースが展開されるだろう。16秒のリードは全く決定的ではないけど、今の段階では1秒でも先行しているほうがいい。
ステージ2位に入ったダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)
今日はジュリアン(アラフィリップ)がアシストとして全力で走ってくれた。自分は常に落ち着いていたし、ライバルたちがアタックを掛け合う中でも良いポジションをキープしていた。頂上手前でアタックしたクリス(フルーム)はすぐに数秒のリードを築いた。他のメンバーと追いかけたものの追いつかなかった。
ツール前の山岳でのハードトレーニングが今の調子の良さにつながっている。総合でも良い位置につけているし、ステージ優勝は手の届くところにあると感じた。
総合3位に浮上したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
前半の平坦区間を信じられないスピードで走ったけど、調子は良く、登りでは良い感触を得た。フルームには脱帽だ。誰もフルームのアタックは予想していなかったし、完全に不意打ちを食らった。気付いた時には埋められないタイム差がついていた。
でもまだ総合争いが終わったわけじゃない。総合3位という良いポジションにつけているし、明日の厳しいステージに向けてリカバリーしたい。
判断ミスを悔やむナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
1日を通してチームは素晴らしい走りをした。チームは作戦を忠実に守って走り、最後のペイルスルド峠でも順調にレースを進めていた。でもペイルスルド峠の頂上でリフレッシュするために沿道のスタッフからボトルを受け取った瞬間、フルームがアタックした。数秒だけ躊躇している間に彼は下りでどんどん差を広げた。アレハンドロ(バルベルデ)が全開で引いてくれたけど届かなかった。
今日ついてしまったタイム差(16秒)でツールの総合優勝が決まらないことを願う。チームメイトの働きは素晴らしかった。ただ単に最後の最後で自分がミスをしてしまったんだ。
ペイルスルド峠でアタックしたロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
暑くて厳しいステージだったものの、自分にとっては良い1日になった。チームメイト3人が常に巡回して、飲み物や氷、補給食を持ってきてくれた。
山岳が連続して登場する今日のようなステージが好き。標高が上がれば上がるほど自分の調子の良さを感じるよ。ここまでの走りには満足している。そしてここからツールが始まる。まだパリは遠いし、明日は山頂フィニッシュだ。経験も増え、落ち着いてレースに挑めている。ネガティブなプレッシャーなんてないし、最高のツールを迎える準備はできている。
ヤングライダー賞2位に浮上したルイス・マインティーズ(南アフリカ、ランプレ・メリダ)
自分にとって良い1日になった。自分のパフォーマンスには満足している。もちろんチームスカイが積極的にペースを上げるハードなステージだったけど、ずっと身体の感触は良くて、限界まで追い込むことなく集団内で走った。
集団内でペイルスルド峠の頂上に到達したことに満足感を得たけど、勝負はまだ終わっていなかった。下りに向けてフルームがアタックしたので、集団のスピードは極めて速く、食らいつくのに精一杯だった。集団内でヤングライダー賞のライバルはイェーツだけだった。とても暑い気候だけど今のところ何も問題はない。毎日を大切に走っていきたい。
マイヨアポワに袖を通したラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)
フィニッシュして初めて自分が山岳賞ランキング1位だと知った。トゥールマレー峠を登るのが初めてだったので、先頭で走るために登り口で飛び出した。先頭で待機していれば、後半にアルベルト・コンタドールやロマン・クロイツィゲルのアシストとして動くこともできる。
ジロ・デ・イタリアに続くツールで徐々に調子は上がっているものの、まだ最高のコンディションには程遠い。先頭で逃げ続けるのは簡単なことではなかった。少なくとも明日マイヨアポワを着ることを嬉しく思う。2014年に山岳賞に輝いたものの、今回の目的はマイヨアポワではない。あくまでもチームとしてアルベルトの総合表彰台が目標だ。
ライバルたちから再びタイムを失ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
とても厳しいステージだった。タイムロスを可能な限り少なくすることが今日の目標だった。現状の最高の走りができたと思う。ロマン・クロイツィゲルが自分より良いポジションにつけているので、これからミーティングを開いてチームの戦い方を考えたい。
長く厳しいトレーニングが2回の落車で台無しになったことが残念でならない。でもこれがロードレースであり、危険は至るところに潜んでいる。今日は全力を尽くしたよ。
リタイア第一号になったミカエル・モルコフ(デンマーク、カチューシャ)
少しでもチームのために走れるところまで回復したいという思いから、多くの人々のサポートを受けて1週間戦い続けてきた。怪我は日に日に良くなっていたけど、溜まりに溜まった疲労にノックアウトされた。
チームには申し訳ない気持ちでいっぱいだ。チームメイトをこれ以上アシストできないことはとても悲しい。でも強いメンバーが揃っているので、自分が欠けてもチームは結果を残してくれるはずだ。
text:Kei Tsuji
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