2009/03/01(日) - 00:14
MBKがミドル~ハイエンドのユーザーに贈るリアルロードレーサーがRD750だ。大きく湾曲したチェーンステイや先端が幅広・扁平になるエアロ形状のフォークなど、ユニークなデザインが目を引く。日本のユーザー向けに設計したというXXSサイズをインプレした。
MBKはフランスのサンカンタンに本拠地を構える、フランスを代表するブランドだ。レースに対する情熱は熱く、40年以上にわたりほぼ全てのカテゴリーの自転車競技に対しサポートを行ったという。
2008年の北京オリンピックではMTB、BMX、トライアスロンに出場したフランスチームをサポートしている。
フランスの競技連盟やレース主催企業ともよりよい関係を築いており、パリ~ニースなどのビッグレースではメインスポンサーとして、春先のレースを盛り上げる。
MBKブランドとして25周年を迎えた同社は今年、アニバーサリーモデルをリリースするなど、ますます勢いにのる。
プロサイクリストを満足させるための運動性能、そしてデザイン。これまでも、これからもMBKは強い意志をもって独自の発展を遂げ、先駆的な存在として君臨し続ける。
RD750はミドルグレードに位置するフルカーボンバイクだ。日本の東レ製カーボンファイバーをモノコックフレーム化したフレーム構造となり、その設計の自由を最大限発揮した流麗なデザインが高級感を演出する。
カーボンフォークは専用設計のあつらえ品で、突端に向かってフレア状に広がるエアロブレードを採用。上位機種にひけを取らない造形を実現していた。
今回のバイクはジャパニーズフィットサイズ。テストライダー2人にとってはやや小さめのサイズだったが、MBKディストリビューターの狙いがそこにあるとのことで、XXSサイズをインプレした。
単にフレームサイズを小さくしたフレームではなく、煮詰めたジオメトリーにより優れた乗り味を実現しているという。外見や素材のスペックだけでなく、設計にも熟慮したフレームはどんなハイエンドバイクよりも価値があるだろう。その乗り味は一体どんな印象だったのだろうか。
下りのコーナーでとにかく安定しているのが目立った加速感、。各性能のバランスが良く感じ取れた。一番秀でているのは加速性。
ガンガン踏んだ力に対してダイレクトに応えてくれるので気持ちいい。細かい振動は確実に減衰しており、ライダーのストレスは溜まりにくい。
高い基準(ハイエンドとして)でみてもバランスがよく乗りやすい。
ハンドリングの特性もいい。小さいサイズのフレーム設計は難しいが、設計者の努力の賜物だと思う。
自分の足のサイズは25.5cmと小さいけれど、トゥークリアランスが短く感じた。しかしながらその構造による、優れた加速性をもっている。変なクセがない。
割合として好む人が多い乗り味だと思う。プロ選手好みだと思う。
レースOK、ロングライドOKで、どちらかというとロングライダーに好まれそうだ。
特殊なシートポストの構造は調整作業に慣れが必要だが、理に適っている構造であるのでプラスとしたい。
荒々しさもなく、とてもナチュラル。万人向けできるバランスが取れた乗り味だろう。
小さいサイズのフレームは軒並み直進性が高い設計になりがちだが、このバイクは自然なハンドリングフィールを実現している。
コンパクトにまとまっているためか、剛性は高めながら上質な仕上がり。加速性も鋭く、レーシーな雰囲気も充分ある。
コーナリングも不安がない。サイズがあっていないとは思えないほど安定している。タイトコーナーでの立ち上がりや切り返しは自然にこなせた。
急激な加速に対しては一瞬だけ「溜め」があるが、初速から高速域まで気持ちよく進んでいく。
ギヤのかかりもよく、ヒルクライムではスポイルするようなねじれは感じられない。コンパクトな低重心の落ち着いたバイクかと思いきや、コンペティティブな仕上がり。もちろん低重心の恩恵は強く受けており、初心者にはスピードに対する安心感を、上級車には信頼のコーナリング性能を提供する。
インテグレーテッドタイプピラーのヤグラの構造は剛性を保持しつつ、ほどよいしなやかさを併せもつ。瞬間的に高さ調整をできるようにすれば満点だ。
このサイズでもナチュラルなフレームができるという同社の思惑によって持ち込まれたバイクだったが、まんまと策にはまってしまった。ぜひ適正サイズでライディングを楽しみたい。
フレームマテリアル オリジナル・トレカ製カーボンモノコック R-FORCE;ラウンドシェイプデザイン
フォーク 軽量カーボン・ウイングデザイン R-FORCE
メインコンポーネント アルテグラSL コンパクトクランク リアカセット
ホイール マヴィック・キシリウムエリート
タイヤ ミシュラン・リチオン グレー/黒
サドル セライタリア・XO GEL 白
ハンドルバー PZレーシング・MBKオリジナル 黒 6061軽量アルミ 400mm
ステム PZレーシング・MBKオリジナル 白 7075軽量アルミ 100mm 31.シートポストシステム インテグレーテッド・シートポスト
バーテープオリジナル ホワイト
サイズ XXS / XS / S / M
備考 コンパクト/ノーマルクランクの選択可能
希望小売価格(税込み) 465,000円(シマノ・アルテグラSL完成車)
300,000円(フレームセット)
※試乗車のスペックは市販車とは一部異なっています。
浅見和洋(なるしまフレンド)
プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド
山本健一(バイクジャーナリスト)
身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション2009(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。
text:山本健一
edit&photo:綾野 真
MBKはフランスのサンカンタンに本拠地を構える、フランスを代表するブランドだ。レースに対する情熱は熱く、40年以上にわたりほぼ全てのカテゴリーの自転車競技に対しサポートを行ったという。
2008年の北京オリンピックではMTB、BMX、トライアスロンに出場したフランスチームをサポートしている。
フランスの競技連盟やレース主催企業ともよりよい関係を築いており、パリ~ニースなどのビッグレースではメインスポンサーとして、春先のレースを盛り上げる。
MBKブランドとして25周年を迎えた同社は今年、アニバーサリーモデルをリリースするなど、ますます勢いにのる。
上位機種のコンセプト譲りの美しい形状
プロサイクリストを満足させるための運動性能、そしてデザイン。これまでも、これからもMBKは強い意志をもって独自の発展を遂げ、先駆的な存在として君臨し続ける。
RD750はミドルグレードに位置するフルカーボンバイクだ。日本の東レ製カーボンファイバーをモノコックフレーム化したフレーム構造となり、その設計の自由を最大限発揮した流麗なデザインが高級感を演出する。
カーボンフォークは専用設計のあつらえ品で、突端に向かってフレア状に広がるエアロブレードを採用。上位機種にひけを取らない造形を実現していた。
今回のバイクはジャパニーズフィットサイズ。テストライダー2人にとってはやや小さめのサイズだったが、MBKディストリビューターの狙いがそこにあるとのことで、XXSサイズをインプレした。
単にフレームサイズを小さくしたフレームではなく、煮詰めたジオメトリーにより優れた乗り味を実現しているという。外見や素材のスペックだけでなく、設計にも熟慮したフレームはどんなハイエンドバイクよりも価値があるだろう。その乗り味は一体どんな印象だったのだろうか。
インプレッション
ハイエンドモデルとしても素晴らしいバランス感
浅見和洋(なるしまフレンド)
下りのコーナーでとにかく安定しているのが目立った加速感、。各性能のバランスが良く感じ取れた。一番秀でているのは加速性。
ガンガン踏んだ力に対してダイレクトに応えてくれるので気持ちいい。細かい振動は確実に減衰しており、ライダーのストレスは溜まりにくい。
高い基準(ハイエンドとして)でみてもバランスがよく乗りやすい。
ハンドリングの特性もいい。小さいサイズのフレーム設計は難しいが、設計者の努力の賜物だと思う。
自分の足のサイズは25.5cmと小さいけれど、トゥークリアランスが短く感じた。しかしながらその構造による、優れた加速性をもっている。変なクセがない。
割合として好む人が多い乗り味だと思う。プロ選手好みだと思う。
レースOK、ロングライドOKで、どちらかというとロングライダーに好まれそうだ。
特殊なシートポストの構造は調整作業に慣れが必要だが、理に適っている構造であるのでプラスとしたい。
荒々しさもなく、とてもナチュラル。万人向けできるバランスが取れた乗り味だろう。
山本健一(バイクジャーナリスト)
スモールライダーの救世主
小さいサイズのフレームは軒並み直進性が高い設計になりがちだが、このバイクは自然なハンドリングフィールを実現している。
コンパクトにまとまっているためか、剛性は高めながら上質な仕上がり。加速性も鋭く、レーシーな雰囲気も充分ある。
コーナリングも不安がない。サイズがあっていないとは思えないほど安定している。タイトコーナーでの立ち上がりや切り返しは自然にこなせた。
急激な加速に対しては一瞬だけ「溜め」があるが、初速から高速域まで気持ちよく進んでいく。
ギヤのかかりもよく、ヒルクライムではスポイルするようなねじれは感じられない。コンパクトな低重心の落ち着いたバイクかと思いきや、コンペティティブな仕上がり。もちろん低重心の恩恵は強く受けており、初心者にはスピードに対する安心感を、上級車には信頼のコーナリング性能を提供する。
インテグレーテッドタイプピラーのヤグラの構造は剛性を保持しつつ、ほどよいしなやかさを併せもつ。瞬間的に高さ調整をできるようにすれば満点だ。
このサイズでもナチュラルなフレームができるという同社の思惑によって持ち込まれたバイクだったが、まんまと策にはまってしまった。ぜひ適正サイズでライディングを楽しみたい。
フレームスペック
フレームマテリアル オリジナル・トレカ製カーボンモノコック R-FORCE;ラウンドシェイプデザイン
フォーク 軽量カーボン・ウイングデザイン R-FORCE
メインコンポーネント アルテグラSL コンパクトクランク リアカセット
ホイール マヴィック・キシリウムエリート
タイヤ ミシュラン・リチオン グレー/黒
サドル セライタリア・XO GEL 白
ハンドルバー PZレーシング・MBKオリジナル 黒 6061軽量アルミ 400mm
ステム PZレーシング・MBKオリジナル 白 7075軽量アルミ 100mm 31.シートポストシステム インテグレーテッド・シートポスト
バーテープオリジナル ホワイト
サイズ XXS / XS / S / M
備考 コンパクト/ノーマルクランクの選択可能
希望小売価格(税込み) 465,000円(シマノ・アルテグラSL完成車)
300,000円(フレームセット)
※試乗車のスペックは市販車とは一部異なっています。
インプレライダーのプロフィール
浅見和洋(なるしまフレンド)
プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド
山本健一(バイクジャーナリスト)
身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション2009(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。
text:山本健一
edit&photo:綾野 真
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