2016/05/23(月) - 06:38
10.8km登りっぱなしの山岳タイムトライアルでプロ2年目の24歳アレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)が勝利。1秒以下の差で2位に入ったステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)がマリアローザのリードを広げることに成功した。
ドロミテ山塊のど真ん中を走る山岳個人タイムトライアル。標高1060mの麓の街カステルロットから、冬場は広大なスキーゲレンデのハブとなる標高1844mのアルペ・ディ・シウージまで10.85kmかけて登り切る。スタート直後の緩斜面区間を除く登りの長さは9.1kmで、標高差752m、平均勾配8.3%、最大勾配11%。ヘアピンが連続するレース後半にかけて勾配が増す。
どの選手もUCI規定重量6.8kgギリギリまで軽量化したノーマルバイクでスタート。イアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ)が後続の基準となる30分04秒のトップタイムを記録してホットシートに座った。
ボズウェルのタイムを上回ったのは110番スタート(総合58位)のアレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)で、なんと1分25秒もタイムを更新。チームメイトのセルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)も好走し、ロシアのUCIプロコンチネンタルチームの2人が暫定トップワンツーとなる。
DHバーをつけて挑んだティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)やジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール)ら若手の力走も届かず、フォリフォロフが暫定トップを維持したまま総合上位陣の走りがスタート。
4.4km地点の中間計測ポイントで他を圧倒したのはマリアローザを着るクルイスウィクだった。スタート直後の平坦区間でDHバーを使ってタイムを稼いたクルイスウィクは、イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)から9秒、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)から12秒、そしてヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)から30秒ものリードを奪う。
8%前後の勾配が延々と続く後半区間もハイペースを刻み、ライバルたちとのタイム差をさらに広げることに成功したクルイスウィク。対照的に、マリアローザを奪う走りが期待された総合2位ニーバリはチェーントラブルによって失速してしまう。チームメカニックが伴走してトラブル解決を図ったが逆に状況は悪化。リアディレイラーが破損したバイクを沿道に放り投げたニーバリはすぐさまスペアバイクで走り出したが、最終的にクルイスウィクから2分10秒ものタイムを失ってしまう。ニーバリは総合2位から総合3位にダウンした。
中間計測タイム
0km〜4.4km地点
1位 ステフェン・クルイスウィク 9’07”
2位 イルヌール・ザッカリン +09”
3位 アレハンドロ・バルベルデ +12”
4位 ボブ・ユンヘルス +21”
5位 セルゲイ・フィルサノフ +21”
6位 ラファル・マイカ +22”
7位 ミケーレ・スカルポーニ +26”
10位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ +30”
14位 アレクサンドル・フォリフォロフ+39”
17位 エステバン・シャベス +43”
19位 アンドレイ・アマドール +47”
4.4km〜10.8km地点
1位 アレクサンドル・フォリフォロフ 18’53”
2位 エステバン・シャベス +36”
3位 ステフェン・クルイスウィク +39”
5位 セルゲイ・フィルサノフ +48”
6位 ミケーレ・スカルポーニ +49”
7位 アレハンドロ・バルベルデ +50”
10位 イルヌール・ザッカリン +1’17”
15位 ボブ・ユンヘルス +1’22”
16位 ラファル・マイカ +1’26”
31位 アンドレイ・アマドール +2’04”
37位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ +2’19”
最終走者クルイスウィクは少しでもリードを広げるべく最後まで追い込んでフィニッシュ。暫定トップタイムと同じ28分39秒のタイムが掲示されたが、1秒以下の差でフォリフォロフには届かなかった(平均スピードは22.617km/h)。
ひたすら登坂が続く後半部分(4.4km〜10.8km)をシャベスより36秒、クルイスウィクより39秒も早く走りきったフォリフォロフがステージ優勝。プロ2年目の24歳が自身も驚くサプライズウィンを飾った。
「ジロでステージ優勝するなんて夢のようで信じられない。最後までクルイスウィクに抜かれると思っていた。この勝利はワイルドカード枠で出場しているチームにとってスペシャルだ」。レース後の記者会見でフォリフォロフはリラックスした表情で話す。
「山岳タイムトライアルは昔から得意分野で、10.8kmという距離は完全に自分向き。過去にはGPソチの山岳TT(10.3km)で優勝しているし、ジロ・デッラ・ヴァッレダオスタの山岳TT(9.2km)で強豪に次いで5位に入った経験もある。開幕前から周到に準備して今日という日を迎えたんだ」。
マリアローザのリードを広げたクルイスウィクは「2日連続のステージ2位。無線でステージ優勝を狙える計測タイムだと知らされていたので、勝利を掴めなかったことは残念だ」と、ステージ初優勝のチャンスを逃したことを悔やむ。
しかし同時に「最も重要なのは総合のライバルたちからリードを奪ったこと。キャリアの中で最も良いコンディションであり、最終週もマリアローザを守り抜いてみせる」と自信を見せた。クルイスウィクはシャベスから2分12秒、ニーバリから2分51秒のリードで大会最後の休息日を迎える。
ジロ・デ・イタリア2016第15ステージ結果
1位 アレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) 28’39”
2位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +23”
4位 セルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) +30”
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ) +36”
6位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +40”
7位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +47”
8位 ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール) +52”
9位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +1’04”
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +1’09”
11位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +1’12”
23位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、ディメンションデータ) +1’59”
25位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +2’10”
26位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +2’12”
27位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
29位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +2’17”
49位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール) +3’18”
94位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +4’37”
マリアローザ 個人総合成績
1位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) 60h41’22”
2位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +2’12”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +2’51”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +3’29”
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +4’38”
6位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +4’40”
7位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +5’27”
8位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +7’14”
9位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、ディメンションデータ) +7’37”
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +7’55”
マリアロッサ ポイント賞
1位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード) 138pts
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 112pts
3位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ) 84pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 134pts
2位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング) 72pts
3位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) 69pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 60h48’36”
2位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ) +11’34”
3位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール) +29’20”
チーム総合成績
1位 アスタナ 182h23’33”
2位 モビスター +4’40”
3位 キャノンデール +19’05”
text&photo:Kei Tsuji in Alpe di Siusi, Italy
ドロミテ山塊のど真ん中を走る山岳個人タイムトライアル。標高1060mの麓の街カステルロットから、冬場は広大なスキーゲレンデのハブとなる標高1844mのアルペ・ディ・シウージまで10.85kmかけて登り切る。スタート直後の緩斜面区間を除く登りの長さは9.1kmで、標高差752m、平均勾配8.3%、最大勾配11%。ヘアピンが連続するレース後半にかけて勾配が増す。
どの選手もUCI規定重量6.8kgギリギリまで軽量化したノーマルバイクでスタート。イアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ)が後続の基準となる30分04秒のトップタイムを記録してホットシートに座った。
ボズウェルのタイムを上回ったのは110番スタート(総合58位)のアレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)で、なんと1分25秒もタイムを更新。チームメイトのセルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)も好走し、ロシアのUCIプロコンチネンタルチームの2人が暫定トップワンツーとなる。
DHバーをつけて挑んだティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)やジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール)ら若手の力走も届かず、フォリフォロフが暫定トップを維持したまま総合上位陣の走りがスタート。
4.4km地点の中間計測ポイントで他を圧倒したのはマリアローザを着るクルイスウィクだった。スタート直後の平坦区間でDHバーを使ってタイムを稼いたクルイスウィクは、イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)から9秒、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)から12秒、そしてヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)から30秒ものリードを奪う。
8%前後の勾配が延々と続く後半区間もハイペースを刻み、ライバルたちとのタイム差をさらに広げることに成功したクルイスウィク。対照的に、マリアローザを奪う走りが期待された総合2位ニーバリはチェーントラブルによって失速してしまう。チームメカニックが伴走してトラブル解決を図ったが逆に状況は悪化。リアディレイラーが破損したバイクを沿道に放り投げたニーバリはすぐさまスペアバイクで走り出したが、最終的にクルイスウィクから2分10秒ものタイムを失ってしまう。ニーバリは総合2位から総合3位にダウンした。
中間計測タイム
0km〜4.4km地点
1位 ステフェン・クルイスウィク 9’07”
2位 イルヌール・ザッカリン +09”
3位 アレハンドロ・バルベルデ +12”
4位 ボブ・ユンヘルス +21”
5位 セルゲイ・フィルサノフ +21”
6位 ラファル・マイカ +22”
7位 ミケーレ・スカルポーニ +26”
10位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ +30”
14位 アレクサンドル・フォリフォロフ+39”
17位 エステバン・シャベス +43”
19位 アンドレイ・アマドール +47”
4.4km〜10.8km地点
1位 アレクサンドル・フォリフォロフ 18’53”
2位 エステバン・シャベス +36”
3位 ステフェン・クルイスウィク +39”
5位 セルゲイ・フィルサノフ +48”
6位 ミケーレ・スカルポーニ +49”
7位 アレハンドロ・バルベルデ +50”
10位 イルヌール・ザッカリン +1’17”
15位 ボブ・ユンヘルス +1’22”
16位 ラファル・マイカ +1’26”
31位 アンドレイ・アマドール +2’04”
37位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ +2’19”
最終走者クルイスウィクは少しでもリードを広げるべく最後まで追い込んでフィニッシュ。暫定トップタイムと同じ28分39秒のタイムが掲示されたが、1秒以下の差でフォリフォロフには届かなかった(平均スピードは22.617km/h)。
ひたすら登坂が続く後半部分(4.4km〜10.8km)をシャベスより36秒、クルイスウィクより39秒も早く走りきったフォリフォロフがステージ優勝。プロ2年目の24歳が自身も驚くサプライズウィンを飾った。
「ジロでステージ優勝するなんて夢のようで信じられない。最後までクルイスウィクに抜かれると思っていた。この勝利はワイルドカード枠で出場しているチームにとってスペシャルだ」。レース後の記者会見でフォリフォロフはリラックスした表情で話す。
「山岳タイムトライアルは昔から得意分野で、10.8kmという距離は完全に自分向き。過去にはGPソチの山岳TT(10.3km)で優勝しているし、ジロ・デッラ・ヴァッレダオスタの山岳TT(9.2km)で強豪に次いで5位に入った経験もある。開幕前から周到に準備して今日という日を迎えたんだ」。
マリアローザのリードを広げたクルイスウィクは「2日連続のステージ2位。無線でステージ優勝を狙える計測タイムだと知らされていたので、勝利を掴めなかったことは残念だ」と、ステージ初優勝のチャンスを逃したことを悔やむ。
しかし同時に「最も重要なのは総合のライバルたちからリードを奪ったこと。キャリアの中で最も良いコンディションであり、最終週もマリアローザを守り抜いてみせる」と自信を見せた。クルイスウィクはシャベスから2分12秒、ニーバリから2分51秒のリードで大会最後の休息日を迎える。
ジロ・デ・イタリア2016第15ステージ結果
1位 アレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) 28’39”
2位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +23”
4位 セルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) +30”
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ) +36”
6位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +40”
7位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +47”
8位 ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール) +52”
9位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +1’04”
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +1’09”
11位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +1’12”
23位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、ディメンションデータ) +1’59”
25位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +2’10”
26位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +2’12”
27位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
29位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +2’17”
49位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール) +3’18”
94位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +4’37”
マリアローザ 個人総合成績
1位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) 60h41’22”
2位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +2’12”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +2’51”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +3’29”
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +4’38”
6位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +4’40”
7位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +5’27”
8位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +7’14”
9位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、ディメンションデータ) +7’37”
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +7’55”
マリアロッサ ポイント賞
1位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード) 138pts
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 112pts
3位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ) 84pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 134pts
2位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング) 72pts
3位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) 69pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 60h48’36”
2位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ) +11’34”
3位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール) +29’20”
チーム総合成績
1位 アスタナ 182h23’33”
2位 モビスター +4’40”
3位 キャノンデール +19’05”
text&photo:Kei Tsuji in Alpe di Siusi, Italy
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