右京、マトリックス、ブリッツェン三つ巴の戦いを制したのはパブロ・ウルタスン(チーム右京)。自身のキャリア最終レースを勝利で締めくくった。



パブロ・ウルタスン(チーム右京)が4人のスプリントを制するパブロ・ウルタスン(チーム右京)が4人のスプリントを制する photo:Hideaki TAKAGI
2007年の能登半島地震からの復興を願い開催されてきた石川県輪島市門前町での輪島ロードも今年で8回目。2つの登坂区間と少ない平坦区間が組み合わさったもので、とりわけ周回一つ目の登坂が厳しく、登坂力があることが優勝の最低条件。10月11日(日)の当日は小雨と強風のあるコンディションに。

チームプレゼン 宇都宮ブリッツェンチームプレゼン 宇都宮ブリッツェン photo:Hideaki TAKAGI第1回大会の覇者は土井雪広。チームプレゼン チーム右京第1回大会の覇者は土井雪広。チームプレゼン チーム右京 photo:Hideaki TAKAGI

輪島ロードの楽しみは前日の会場での子どもたちのアトラクションや高洲太鼓の演奏、そして門前蕎麦などが食べられること。会場隣の総持寺祖院を訪れたり、脚を伸ばして前日から始まった白米千枚田のライトアップや輪島朝市を訪れるのもいい。

4周目に先頭は6人に

P1は12.6kmのコースを7周とフィニッシュまでの0.4kmで88.6kmのレース。1周目の上り区間で早くもチーム右京、マトリックスパワータグ、宇都宮ブリッツェンらで攻撃が始まる。その中心は昨年の覇者、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)。宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼンも加勢する。

P1選手を前にランニングバイク大会P1選手を前にランニングバイク大会 photo:Hideaki TAKAGI総持寺祖院門前をスタート総持寺祖院門前をスタート photo:Hideaki TAKAGI

2周目後半には登坂区間を経て先頭は12人に。マトリックスパワータグ4人、チーム右京3人、宇都宮ブリッツェン3人、そしてシエルヴォ奈良と那須ブラーゼンが各1人。そして4周目後半に先頭は6人となる。チーム右京はパブロ・ウルタスンとサルバドール・グアルディオラ、マトリックスパワータグはベンジャミン・プラデスとフェルナンデス、そして増田成幸(宇都宮ブリッツェン)と山下貴宏(シエルヴォ奈良MIYATA-MERIDAレーシングチーム)。

2周目の先頭、日本海を望む2周目の先頭、日本海を望む photo:Hideaki TAKAGI5周目、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)が引く6人の先頭集団5周目、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)が引く6人の先頭集団 photo:Hideaki TAKAGI

最終周回、ベンジャミン・プラデスがアタック

この6人は協調して逃げ、後続に1分以上の差をつける。先頭でペースを作るのはフェルナンデスが中心。しかし時折りのペースアップなどで先頭集団も落ち着かない。レースが動いたのは最終周回の7周目。一つ目の上り区間でプラデスがアタックするとこれに反応できたのは増田、グアルディオラでこの3人が先行する。ウルタスンは数十メートル離れるが粘り、3人に追いつくときに先頭でプラデスがペースを上げて再び離れる。

7周目、ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)のアタックでパブロ・ウルタスン(チーム右京)が離れかける7周目、ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)のアタックでパブロ・ウルタスン(チーム右京)が離れかける photo:Hideaki TAKAGI7周目後半、4人でフィニッシュへ向かう7周目後半、4人でフィニッシュへ向かう photo:Hideaki TAKAGI

先行3人で下り終え、川沿いの緩い下り区間でウルタスンが先行3人に追いつき4人に。「パブロを待つためにローテーションに加わらなかった」とグアルディオラ。3人ならばプラデスのスプリント力が優勢だったが、スプリンターのウルタスンが追いついたことでチーム右京が俄然有利に。フィニッシュ前はグアルディオラがアタック、そのカウンターでウルタスンがスパートし堂々の優勝。山岳コースといえる輪島をスプリンターが制した。

優勝はパブロ・ウルタスン

ウルタスンはスペイン・バスク地方出身で2009年からエウスカルテルに5年間在籍。その間に3つのグランツールすべてに出場、ツール・ド・フランスとブエルタ・エスパーニャは完走している。2015年からチーム右京で走りJプロツアー開幕戦3月の宇都宮クリテリウムでは、優勝した窪木一茂をアシストしながら自身も3位に入っている。

だがこの35才のスプリンターは今シーズン限りで自転車選手としてのキャリアを終える見込みという。「来週にスペインへ戻りそこで去就が決まるが、彼自身はこの輪島を引退レースとして臨んだ」と同チームの桑原忠彦GM。ウルタスンはキャリア最後のレースを日本の輪島で優勝という形で終えた。

P1クラスタ 表彰P1クラスタ 表彰 photo:Hideaki TAKAGIパブロ・ウルタスンを囲むチーム右京パブロ・ウルタスンを囲むチーム右京 photo:Hideaki TAKAGI

結果
F 松田百合子(竹芝サイクルレーシング)が優勝F 松田百合子(竹芝サイクルレーシング)が優勝 photo:Hideaki TAKAGIE1 小林孝臣(町じて和歌山MKD)が優勝E1 小林孝臣(町じて和歌山MKD)が優勝 photo:Hideaki TAKAGIP1クラスタ 88.6km
1位 パブロ・ウルタスン(チーム右京)2時間33分13秒
2位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
3位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)+01秒
4位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京)+04秒
5位 山下貴宏(シエルヴォ奈良MIYATA-MERIDAレーシングチーム)+48秒
6位 畑中勇介(チーム右京)+1分14秒
7位 青柳憲輝(宇都宮ブリッツェン)
8位 土井雪広(チーム右京)+1分15秒
9位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
10位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)+1分17秒
E2 風間翔眞(郡山サイクルフレンズ)が優勝E2 風間翔眞(郡山サイクルフレンズ)が優勝 photo:Hideaki TAKAGIE3 津田悠義(左、JBCF J-Youth)が優勝E3 津田悠義(左、JBCF J-Youth)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
Jプロツアーリーダー 畑中勇介(チーム右京)
U23リーダー 新城雄大(那須ブラーゼン)

Fクラスタ 25.6km
1位 松田百合子(竹芝サイクルレーシング)53分14秒
2位 伊藤杏菜(Champion System Japan)+1分10秒
3位 菊地香(なるしまフレンド)+5分57秒

Jフェミニンリーダー 伊藤杏菜(Champion System Japan)

E1クラスタ 50.8km
1位 小林孝臣(町じて和歌山MKD)1時間28分48秒
2位 平野真一(TKYO VENTOS)+01秒
3位 米田彰(コラッジョ川西サイクリングチーム)+02秒
4位 佐々木貴則(SEKIYA)
5位 永山貴浩(チームア・ヴェル)+04秒
6位 椙田明仁(EQADS)


E2クラスタ 38.2km
1位 風間翔眞(郡山サイクルフレンズ)1時間10分31秒
2位 舘岡賢弥(エルドラード・エスペランサ)+37秒
3位 篠原直貴(Team-DADDY)
4位 中澤潤(Pinazou Test Team)
5位 若林恵一朗(バルバレーシングクラブ)+38秒
6位 北正樹(トンデモクラブCSKAGA)+42秒


E3クラスタ 38.2km
1位 津田悠義(JBCF J-Youth)1時間10分52秒
2位 平井大陽(SAUCE DEVELOPMENT)
3位 清水一弘(TEAM SHIDO)+04秒
4位 東條容明(チームフィンズ)
5位 齋藤友一(バルバレーシングクラブ)+1分05秒
6位 広瀬竜太(CLOUD 9ers)+2分24秒

photo&text:高木秀彰

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