2015/05/06(水) - 08:38
マルケ州で再始動する第98回ジロ・デ・イタリアは、59.4kmの長距離個人タイムトライアルを経てドロミテ〜アルプスの山々に突入。難関山岳が連続する後半ステージのコースを紹介します。
5月19日(火)第10ステージ ☆
チヴィタノーヴァ・マルケ〜フォルリ 200km →コースマップ
1週目にかけてイタリア半島を南下したジロ・デ・イタリアは、アドリア海に面したマルケ州で再始動する。実質的に第9ステージ後に行われるこの長距離移動(約350km)を除けば、例年よりもずっと移動距離の少ないコンパクトなコース設計がなされている。
イタリア半島の東岸を北上する第10ステージは中盤の小さな起伏を除いてほぼフラット。コースの大半は道幅のある幹線道路だ。まだ観光客の少ないビーチタウンを駆け抜け、ジロ・デ・イタリアやミラノ〜サンレモ、ジロ・ディ・ロンバルディアの発案者であるトゥーロ・モルガーニ氏の生誕の地フォルリでフィニッシュを迎える。
5月20日(水)第11ステージ ☆☆☆
フォルリ〜イモラ 153km →コースマップ
エミリア=ロマーニャ州のフォルリから山岳地帯に入り、2つの3級山岳を含むアップダウンを経てイモラに到着。そこから1968年のロード世界選手権と2009年のイタリア選手権で使用された15.4kmの周回コースを3周する。
周回コースの起点&終点となっているのは、1981年から2006年までF1サンマリノGPが開催されていたイモラサーキット(正式名称アウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ)だ。4級山岳トレモンティ(登坂距離3.9km/平均勾配4%)を合計4回こなし、イモラサーキットのストレートに差し掛かるころには集団の人数は絞られているだろう。
5月21日(木)第12ステージ ☆☆☆
イモラ〜ヴィチェンツァ 190km →コースマップ
なんとも単調なポー平原をひたすら北上し、4級山岳カステルヌオーヴォと3級山岳クロサーラを越えた先にカンパニョーロ社の本拠地ヴィチェンツァが見えてくる。しかしフィニッシュラインが引かれているのは街中ではない。ヴィチェンツァを見下ろす標高123mのモンテベリコ教会前だ。
ヴィチェンツァでフィニッシュを迎えるのは今回が9回目、モンテベリコの登りフィニッシュは1967年に続く2回目。1kmにわたって続く勾配が10%近い登りは4級山岳に指定されており、7つある山頂フィニッシュの1つにカウントされている。アルデンヌクラシックを得意とするパンチャー系選手に有利なレイアウト。登坂力のあるスプリンターも勝負に絡んでくるだろう。
5月22日(金)第13ステージ ☆
モンテッキオ・マッジョーレ〜イェーゾロ 147km →コースマップ
もうコース説明が必要ないほど真っ平ら。自転車競技が盛んなヴェネト州を3時間半かけて駆け抜ける。メストレの街に設置された2つ目のスプリントポイントを過ぎた後、ヴェネツィアのすぐ近くを通過するが、「アドリア海の真珠」と呼ばれる浮島を眺めることは残念ながら出来ない。
集団先頭を固めるのは総合系チームではなくスプリンターチーム。勇敢にも平坦コースで逃げを挑んだ選手たちを封じ込め、イェーゾロが近づくと定刻通りにリードアウトトレインは発車する。唯一の懸念事項は平野を吹き抜ける風。翌日の重要な個人タイムトライアルを前に、総合上位陣は脚を使わずとにかく平穏に終えたいステージだ。
5月23日(土)第14ステージ ☆☆☆☆☆
トレヴィーゾ〜ヴァルドッビアーデネ 59.4km(個人TT) →コースマップ
第98回ジロに登場する個人タイムトライアルはこの第14ステージのみ。それだけに距離が長く、60km目前の59.4kmというロングコースが用意された。トレヴィーゾを出発してからしばらくは緩やかに登る直線路が続き、後半は葡萄畑が広がる丘陵地帯を行く。世界的なワインとプロセッコの産地をTTバイクに乗った選手が駆け抜ける。
中盤の4級山岳は平均勾配4%ほどの緩斜面であり、スペシャリストたちはエアロポジションを崩さずに走るはず。終盤に登場するサンステファノの登りは最大勾配12%で、しかもヴァルドッビアーデネのフィニッシュラインは登り基調だ。主催者RCSスポルトは1時間20分前後のレース時間を想定しており、簡単に数分の差がつく。ここでマリアローザ争いは大きくシャッフルされることになる。
5月24日(日)第15ステージ ☆☆☆☆
マロスティカ〜マドンナ・ディ・カンピーリオ 165km →コースマップ
いよいよドロミテの闘いが始まる。とは言っても2015年大会は所謂ドロミテらしい山々をパス。比重はアルプスに置かれている。休息日前の第15ステージは後半に1級山岳が立て続けに登場する難関山岳ステージ。個人タイムトライアルで使い切った脚は果たしてどこまで反応してくれるのだろう。
残り31km地点に登場する1級山岳パッソ・ダオーネは登坂距離8.4kmながら平均勾配が9.2%に達し、11%オーバー区間が頻繁に登場(最大勾配14%)。この急勾配の登りで絞られた集団が最後の1級山岳マドンナ・ディ・カンピーリオ(登坂距離15.5km/平均勾配5.9%)に挑む。このスキーリゾート地への登りは、マルコ・パンターニがステージ優勝を飾りながら高いヘマトクリット値が原因でレースから除外された1999年以来、史上2回目の登場だ。
5月25日(月)休息日
5月26日(火)第16ステージ ☆☆☆☆☆
ピンツォーロ〜アプリカ 175km →コースマップ
休息日を歓迎する選手はもちろん多いが、リズムを崩す可能性があるため総合上位陣は気が気ではない。しかも休息日明けのステージに悪名高き1級山岳パッソ・モルティローロが設定されているので、大崩れした場合はそれまでの努力が水の泡となる可能性だってある。
スタート直後に2級山岳カンポ・カルロマーニョが始まり、続いて2級山岳パッソ・デル・トナーレをクリア。一旦フィニッシュ地点の3級山岳アプリカを通過後、登坂距離11.8km/平均勾配10.9%という級山岳パッソ・モルティローロが姿を現わす。最大勾配が18%に達し、中盤にかけて13%前後が続くこの難関峠で集団は破壊される。最後の3級山岳アプリカが待ち構えているが、個人タイムトライアルでタイムを失った選手たちが一か八かモルティローロで早めに攻撃を仕掛けてくることも考えられる。
5月27日(水)第17ステージ ☆
ティラーノ〜ルガーノ(スイス)134km →コースマップ
序盤の3級山岳を越えてしまえば、あとは渓谷沿いに下り、コモ湖とルガーノ湖の平坦なレイクサイドを走るだけ。スイスのイタリア語圏ルガーノでフィニッシュを迎える134kmは、総合上位陣にとってありがたい足休めになる。何しろマリアローザ争いは翌日からの山岳3連戦で決まるのだから。
ルガーノがジロのフィニッシュを迎えるのは3回目。前日のモルティローロをグルペットで乗り切ったスプリンターたちが息を吹き返す。スプリンターにチャンスが回ってくるのは5日ぶりで、次にチャンスが回ってくるのは最終日のミラノ。この貴重なチャンスを逃すはずはない。
5月28日(木)第18ステージ ☆☆☆
メリーデ〜ヴェルバニア 170km →コースマップ
スタート後すぐにイタリアに戻り、大都市ミラノの北をかすめるようにしてマッジョーレ湖へ。コースの約4分の3は真っ平らだが、123km地点で突如コースは上昇を開始。1000m近い高低差を駆け上がり、1級山岳モンテ・オローニョの頂上を目指す。
登り口からコンスタントに10%オーバーを刻む登坂距離10.4km/平均勾配9%の登りの先に待つのはテクニカルなダウンヒル。登りでアタックして数十秒のリードを稼ぐことが出来れば、フィニッシュまでそのまま逃げ切ることも考えられる。総合系チームが消極的であれば、レース序盤からの逃げがステージ優勝を争うことになるだろう。
5月29日(金)第19ステージ ☆☆☆☆☆
グラヴェッローナ・トーチェ〜チェルヴィニア 236km →コースマップ
スイスとの国境に広がるアルプス山脈に突き進む第19ステージが今大会のクイーンステージ。距離も236kmと長く、後半に連続する3連続1級山岳が鉄槌を振り下ろす。
フランス語も公用語として話されているヴァッレ・ダオスタ州だけに、地名もすっかりフランス風。1級山岳サンバルテレミー(登坂距離16.5km/平均勾配6.7%)と1級山岳サンパンタレオン(登坂距離16.5km/平均勾配7.2%)を越えた時点で集団は小さくなっているはず。イタリア語でマッターホルンを意味する1級山岳チェルヴィニア(登坂距離19.2km/平均勾配5%)でクライマックスを迎える。天気が良ければフィニッシュ地点からマッターホルンを仰ぎ見ることができるだろう。
5月30日(土)第20ステージ ☆☆☆☆
サンヴァンサン〜セストリエーレ 196km →コースマップ
第98代総合優勝者を決める最終日前日の第20ステージには、大会最高地点であるチーマコッピが登場する。2015年のチーマコッピは標高2178mのコッレ・デッレ・フィネストレ。登坂距離18.5km/平均勾配9.2%の登りの後半には名物となった未舗装のダートが登場する。
延々と続く舗装路のスイッチバックをこなした後、頂上まで7.8kmを残して未舗装区間がスタート。パンクや落車のリスクと格闘しながら頂上を目指し、そこからハイスピードダウンヒルを経て3級山岳セストリエーレに登り返す。2006年トリノ五輪の会場の一つとなったセストリエーレでマリアローザを受け取った選手が実質的な総合優勝者となる。
5月31日(日)第21ステージ ☆
トリノ〜ミラノ 185km →コースマップ
トリノとミラノを結ぶ行程は真っ平らの一言。23日間にわたって繰り広げられてきた闘いが、北イタリアの中心都市ミラノに凱旋する。最後は5.4kmの周回コースを7周し、コルソセンピオーネ大通りでフィナーレを迎える。
マリアローザ、マリアアッズーラ、マリアビアンカは前日の時点で確定しており、残るはマリアロッサ(ポイント賞ジャージ)争いだけ。いくつかのアタックは予想されるが、総合優勝チームを先頭にミラノを凱旋。周回コースではスプリンターチームが主導権を握り、エースを大通りで解き放つ。
text:Kei Tsuji in Sanremo, Italy
5月19日(火)第10ステージ ☆
チヴィタノーヴァ・マルケ〜フォルリ 200km →コースマップ
1週目にかけてイタリア半島を南下したジロ・デ・イタリアは、アドリア海に面したマルケ州で再始動する。実質的に第9ステージ後に行われるこの長距離移動(約350km)を除けば、例年よりもずっと移動距離の少ないコンパクトなコース設計がなされている。
イタリア半島の東岸を北上する第10ステージは中盤の小さな起伏を除いてほぼフラット。コースの大半は道幅のある幹線道路だ。まだ観光客の少ないビーチタウンを駆け抜け、ジロ・デ・イタリアやミラノ〜サンレモ、ジロ・ディ・ロンバルディアの発案者であるトゥーロ・モルガーニ氏の生誕の地フォルリでフィニッシュを迎える。
5月20日(水)第11ステージ ☆☆☆
フォルリ〜イモラ 153km →コースマップ
エミリア=ロマーニャ州のフォルリから山岳地帯に入り、2つの3級山岳を含むアップダウンを経てイモラに到着。そこから1968年のロード世界選手権と2009年のイタリア選手権で使用された15.4kmの周回コースを3周する。
周回コースの起点&終点となっているのは、1981年から2006年までF1サンマリノGPが開催されていたイモラサーキット(正式名称アウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ)だ。4級山岳トレモンティ(登坂距離3.9km/平均勾配4%)を合計4回こなし、イモラサーキットのストレートに差し掛かるころには集団の人数は絞られているだろう。
5月21日(木)第12ステージ ☆☆☆
イモラ〜ヴィチェンツァ 190km →コースマップ
なんとも単調なポー平原をひたすら北上し、4級山岳カステルヌオーヴォと3級山岳クロサーラを越えた先にカンパニョーロ社の本拠地ヴィチェンツァが見えてくる。しかしフィニッシュラインが引かれているのは街中ではない。ヴィチェンツァを見下ろす標高123mのモンテベリコ教会前だ。
ヴィチェンツァでフィニッシュを迎えるのは今回が9回目、モンテベリコの登りフィニッシュは1967年に続く2回目。1kmにわたって続く勾配が10%近い登りは4級山岳に指定されており、7つある山頂フィニッシュの1つにカウントされている。アルデンヌクラシックを得意とするパンチャー系選手に有利なレイアウト。登坂力のあるスプリンターも勝負に絡んでくるだろう。
5月22日(金)第13ステージ ☆
モンテッキオ・マッジョーレ〜イェーゾロ 147km →コースマップ
もうコース説明が必要ないほど真っ平ら。自転車競技が盛んなヴェネト州を3時間半かけて駆け抜ける。メストレの街に設置された2つ目のスプリントポイントを過ぎた後、ヴェネツィアのすぐ近くを通過するが、「アドリア海の真珠」と呼ばれる浮島を眺めることは残念ながら出来ない。
集団先頭を固めるのは総合系チームではなくスプリンターチーム。勇敢にも平坦コースで逃げを挑んだ選手たちを封じ込め、イェーゾロが近づくと定刻通りにリードアウトトレインは発車する。唯一の懸念事項は平野を吹き抜ける風。翌日の重要な個人タイムトライアルを前に、総合上位陣は脚を使わずとにかく平穏に終えたいステージだ。
5月23日(土)第14ステージ ☆☆☆☆☆
トレヴィーゾ〜ヴァルドッビアーデネ 59.4km(個人TT) →コースマップ
第98回ジロに登場する個人タイムトライアルはこの第14ステージのみ。それだけに距離が長く、60km目前の59.4kmというロングコースが用意された。トレヴィーゾを出発してからしばらくは緩やかに登る直線路が続き、後半は葡萄畑が広がる丘陵地帯を行く。世界的なワインとプロセッコの産地をTTバイクに乗った選手が駆け抜ける。
中盤の4級山岳は平均勾配4%ほどの緩斜面であり、スペシャリストたちはエアロポジションを崩さずに走るはず。終盤に登場するサンステファノの登りは最大勾配12%で、しかもヴァルドッビアーデネのフィニッシュラインは登り基調だ。主催者RCSスポルトは1時間20分前後のレース時間を想定しており、簡単に数分の差がつく。ここでマリアローザ争いは大きくシャッフルされることになる。
5月24日(日)第15ステージ ☆☆☆☆
マロスティカ〜マドンナ・ディ・カンピーリオ 165km →コースマップ
いよいよドロミテの闘いが始まる。とは言っても2015年大会は所謂ドロミテらしい山々をパス。比重はアルプスに置かれている。休息日前の第15ステージは後半に1級山岳が立て続けに登場する難関山岳ステージ。個人タイムトライアルで使い切った脚は果たしてどこまで反応してくれるのだろう。
残り31km地点に登場する1級山岳パッソ・ダオーネは登坂距離8.4kmながら平均勾配が9.2%に達し、11%オーバー区間が頻繁に登場(最大勾配14%)。この急勾配の登りで絞られた集団が最後の1級山岳マドンナ・ディ・カンピーリオ(登坂距離15.5km/平均勾配5.9%)に挑む。このスキーリゾート地への登りは、マルコ・パンターニがステージ優勝を飾りながら高いヘマトクリット値が原因でレースから除外された1999年以来、史上2回目の登場だ。
5月25日(月)休息日
5月26日(火)第16ステージ ☆☆☆☆☆
ピンツォーロ〜アプリカ 175km →コースマップ
休息日を歓迎する選手はもちろん多いが、リズムを崩す可能性があるため総合上位陣は気が気ではない。しかも休息日明けのステージに悪名高き1級山岳パッソ・モルティローロが設定されているので、大崩れした場合はそれまでの努力が水の泡となる可能性だってある。
スタート直後に2級山岳カンポ・カルロマーニョが始まり、続いて2級山岳パッソ・デル・トナーレをクリア。一旦フィニッシュ地点の3級山岳アプリカを通過後、登坂距離11.8km/平均勾配10.9%という級山岳パッソ・モルティローロが姿を現わす。最大勾配が18%に達し、中盤にかけて13%前後が続くこの難関峠で集団は破壊される。最後の3級山岳アプリカが待ち構えているが、個人タイムトライアルでタイムを失った選手たちが一か八かモルティローロで早めに攻撃を仕掛けてくることも考えられる。
5月27日(水)第17ステージ ☆
ティラーノ〜ルガーノ(スイス)134km →コースマップ
序盤の3級山岳を越えてしまえば、あとは渓谷沿いに下り、コモ湖とルガーノ湖の平坦なレイクサイドを走るだけ。スイスのイタリア語圏ルガーノでフィニッシュを迎える134kmは、総合上位陣にとってありがたい足休めになる。何しろマリアローザ争いは翌日からの山岳3連戦で決まるのだから。
ルガーノがジロのフィニッシュを迎えるのは3回目。前日のモルティローロをグルペットで乗り切ったスプリンターたちが息を吹き返す。スプリンターにチャンスが回ってくるのは5日ぶりで、次にチャンスが回ってくるのは最終日のミラノ。この貴重なチャンスを逃すはずはない。
5月28日(木)第18ステージ ☆☆☆
メリーデ〜ヴェルバニア 170km →コースマップ
スタート後すぐにイタリアに戻り、大都市ミラノの北をかすめるようにしてマッジョーレ湖へ。コースの約4分の3は真っ平らだが、123km地点で突如コースは上昇を開始。1000m近い高低差を駆け上がり、1級山岳モンテ・オローニョの頂上を目指す。
登り口からコンスタントに10%オーバーを刻む登坂距離10.4km/平均勾配9%の登りの先に待つのはテクニカルなダウンヒル。登りでアタックして数十秒のリードを稼ぐことが出来れば、フィニッシュまでそのまま逃げ切ることも考えられる。総合系チームが消極的であれば、レース序盤からの逃げがステージ優勝を争うことになるだろう。
5月29日(金)第19ステージ ☆☆☆☆☆
グラヴェッローナ・トーチェ〜チェルヴィニア 236km →コースマップ
スイスとの国境に広がるアルプス山脈に突き進む第19ステージが今大会のクイーンステージ。距離も236kmと長く、後半に連続する3連続1級山岳が鉄槌を振り下ろす。
フランス語も公用語として話されているヴァッレ・ダオスタ州だけに、地名もすっかりフランス風。1級山岳サンバルテレミー(登坂距離16.5km/平均勾配6.7%)と1級山岳サンパンタレオン(登坂距離16.5km/平均勾配7.2%)を越えた時点で集団は小さくなっているはず。イタリア語でマッターホルンを意味する1級山岳チェルヴィニア(登坂距離19.2km/平均勾配5%)でクライマックスを迎える。天気が良ければフィニッシュ地点からマッターホルンを仰ぎ見ることができるだろう。
5月30日(土)第20ステージ ☆☆☆☆
サンヴァンサン〜セストリエーレ 196km →コースマップ
第98代総合優勝者を決める最終日前日の第20ステージには、大会最高地点であるチーマコッピが登場する。2015年のチーマコッピは標高2178mのコッレ・デッレ・フィネストレ。登坂距離18.5km/平均勾配9.2%の登りの後半には名物となった未舗装のダートが登場する。
延々と続く舗装路のスイッチバックをこなした後、頂上まで7.8kmを残して未舗装区間がスタート。パンクや落車のリスクと格闘しながら頂上を目指し、そこからハイスピードダウンヒルを経て3級山岳セストリエーレに登り返す。2006年トリノ五輪の会場の一つとなったセストリエーレでマリアローザを受け取った選手が実質的な総合優勝者となる。
5月31日(日)第21ステージ ☆
トリノ〜ミラノ 185km →コースマップ
トリノとミラノを結ぶ行程は真っ平らの一言。23日間にわたって繰り広げられてきた闘いが、北イタリアの中心都市ミラノに凱旋する。最後は5.4kmの周回コースを7周し、コルソセンピオーネ大通りでフィナーレを迎える。
マリアローザ、マリアアッズーラ、マリアビアンカは前日の時点で確定しており、残るはマリアロッサ(ポイント賞ジャージ)争いだけ。いくつかのアタックは予想されるが、総合優勝チームを先頭にミラノを凱旋。周回コースではスプリンターチームが主導権を握り、エースを大通りで解き放つ。
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