5月9日にサンレモで開幕する第98回ジロ・デ・イタリア。リグーリア海岸からイタリア半島をひたすら南下し、1回目の休息日を迎えるまでの9ステージを紹介します。



5月9日(土)第1ステージ ☆☆☆
サンロレンツォ・アル・マーレ〜サンレモ 17.6km(チームTT) →コースマップ


ジロ・デ・イタリア2015第1ステージジロ・デ・イタリア2015第1ステージ image:RCS Sportイタリア北西部のリグーリア海岸で開幕を迎える第98回ジロ。初日はミラノ〜サンレモ名物「チプレッサ」の麓に位置するサンロレンツォ・アル・マーレからサンレモに至るチームタイムトライアルだ。「チクラビレ"リヴィエラ・デイ・フィオーリ"」と呼ばれる廃線を利用した自転車道を走る17.6kmコースはフラット。直線的でテクニカル度は低い。

それぞれのチーム力がこの初日のチームタイムトライアルで試される。チームスカイやエティックス・クイックステップ、BMCレーシング、オリカ・グリーンエッジなどの常連が上位を占めることが予想されるが、一方で軽量なクライマー揃いのチームは1分前後のタイムロスを被る可能性も。優勝チームの先頭でフィニッシュラインを駆け抜けた選手がマリアローザに袖を通す。



5月10日(日)第2ステージ ☆☆
アルベンガ〜ジェノヴァ 177km →コースマップ


ジロ・デ・イタリア2015第2ステージジロ・デ・イタリア2015第2ステージ image:RCS Sportミラノ〜サンレモの後半部分を逆走する形で、リグーリア海岸を東に進む177kmはスプリンターのものになる。例年ならばスプリンターにチャンスがある平坦ステージが大会1週目に詰め込まれているが、ジェノヴァにフィニッシュするこの第2ステージを除いては厄介なステージが続くと言っていい。それだけにスプリンターチームは徹底的にレース状況をコントロールするはずだ。

124km地点の4級山岳を先頭通過すればマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)着用のチャンス。最終的に大集団スプリントに持ち込まれる可能性は極めて高いが、レース序盤のアタック合戦は激しいものになるだろう。最後はジェノヴァの9.5km周回コースを2周してフィニッシュを迎える。



5月11日(月)第3ステージ ☆☆☆
ラパッロ〜セストリレヴァンテ 136km →コースマップ


ジロ・デ・イタリア2015第3ステージジロ・デ・イタリア2015第3ステージ image:RCS Sportレース主催者RCSスポルトは3級と2級山岳を含むアップダウンコースを大会3日目に放り込んできた。美しきリグーリア海岸を離れて内陸に向かい、セストリレヴァンテにフィニッシュする136kmは今大会最短クラス。中盤までとにかく登っては下っての繰り返しだ。

残り42km地点で登坂距離5.5km/平均勾配7%オーバーの2級山岳バルバジェラータ(直訳すると「凍った髭」)を越えると、標高1115mから勢いよく海岸近くまでダウンヒル。平坦区間が20km近くあるためスプリンターに集団復帰のチャンスは残されているが、登りで大きくタイムを失うと勝負には絡めない。距離が短いだけに序盤からハイスピードな展開になるだろう。



5月12日(火)第4ステージ ☆☆☆☆
キアヴァーリ〜ラ・スペツィア 150km →コースマップ


ジロ・デ・イタリア2015第4ステージジロ・デ・イタリア2015第4ステージ image:RCS Sport引き続きジロ・デ・イタリアはリグーリア海岸を南下。第4ステージは後半にかけて観光地チンクエテッレを駆け抜ける。晴れていれば美しい空撮映像が中継に流れることになるだろう。登場するカテゴリー山岳の難易度はいずれも3級。難易度としては前日の第3ステージよりも低いが、主催者はドロミテやアルプスの本格山岳ステージ同等の難易度4つ星を与えている。

絶え間ないアップダウンと、絶え間ないワインディング。何かのトラブルで一旦脱落してしまうと集団復帰は難しいかもしれない。平均勾配7%弱の3級山岳テルミネ峠を越えてフィニッシュ地点ラ・スペツィアを一度通過。そこから3級山岳ビアッサを駆け上がる。登坂距離3.5km/平均勾配8%の登りで集団は数十名に絞られるはずだ。



5月13日(水)第5ステージ ☆☆☆
ラ・スペツィア〜アベトーネ 152km →コースマップ


ジロ・デ・イタリア2015第5ステージジロ・デ・イタリア2015第5ステージ image:RCS Sport第98回大会に登場する山頂フィニッシュは合計7つ。その1つ目が大会5日目に登場する。かつてファウスト・コッピがジロ初優勝を決めた標高1386mの2級山岳アベトーネで第5ステージはフィニッシュを迎える。

登坂距離17.3km/平均勾配5.4%の登りを集団はハイスピードで駆け上がるだろう。しかしまだまだ力を温存すべきレース前半であり、マリアローザ候補たちにとってはコンディションチェックの場所になる。がむしゃらにリードを奪うのではなく、ライバルからタイムを失わないことに注力するはず。そんなオールラウンダーたちが躊躇しがちなこの時期に、大逃げサプライズが決まって総合成績に激震が走ることはよくあることだ。



5月14日(木)第6ステージ ☆
モンテカティーニ・テルメ〜カスティリオーネ・デッラ・ペスカイア 183km →コースマップ


ジロ・デ・イタリア2015第6ステージジロ・デ・イタリア2015第6ステージ image:RCS Sport温泉保養地のモンテカティーニ・テルメを発ち、トスカーナ州の緩やかな丘陵を楽しみながらプロトンは南下する。中盤にかけて4級山岳を含むアップダウンが登場するが、スプリンターにも問題のないレベル。仮に脱落しても集団復帰の余地は残されている。何といっても主催者による難易度の格付けは1つ星だ。

ティレニア海に面したカスティリオーネ・デッラ・ペスカイアが視界に入る頃には、逃げは吸収され、スプリンターチームが集団先頭で競り合っているはず。連続するアップダウンステージでオールラウンダーに渡っていたマリアロッサ(ポイント賞ジャージ)はスプリンターの手に戻る。余談として、フィニッシュ地点の沖合には2012年1月にコスタコンコルディアが座礁&転覆したジリオ島がある。



5月15日(金)第7ステージ ☆☆
グロッセート〜フィウッジ 264km →コースマップ


ジロ・デ・イタリア2015第7ステージジロ・デ・イタリア2015第7ステージ image:RCS Sportステージ間の移動距離が短く、さらにステージ自体も短めに設定された第98回大会は「より人間らしくなった」と言われる。そんな中、最長ステージが大会7日目に登場。ミラノ〜サンレモ(293km)には届かないが、ロンド・ファン・フラーンデレン(264.2km)と肩を並べる超ロングコースが設定された。

ステージの難易度は2つ星だが、終盤に登場するアップダウンがスプリンターたちを悩ませる。ローマ郊外をかすめ、最後は標高616mのフィウッジに向かって緩斜面をダッシュ。7時間近いレースの最後に待つこの登りでスプリンターの人数は絞られるだろう。マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)に代表される「登れるスプリンター」の出番だ。



5月16日(土)第8ステージ ☆☆☆☆
フィウッジ〜カンピテッロ・マテーゼ 186km →コースマップ


ジロ・デ・イタリア2015第8ステージジロ・デ・イタリア2015第8ステージ image:RCS Sport長いジロ1週目も終盤戦。イタリア半島の「背骨」を形成するアペニン山脈に分け入り、標高1430mの1級山岳カンピテッロ・マテーゼを目指す186km。中盤にかけて登場する標高1530mの2級山岳フォルカ・ダチェーロを含む起伏が選手たちの脚を削っていく。今大会最初の本格山岳決戦の場となる1級山岳カンピテッロ・マテーゼは登坂距離13km/平均勾配6.9%。勾配が小刻みに変わるリズムが取りにくい登りであり、いよいよマリアローザ候補たちが動く。

1級山岳カンピテッロ・マテーゼがジロに登場するのは7回目。前回登場した2002年にはジルベルト・シモーニ(イタリア)が勝利したが、シモーニはコカイン陽性によって翌日レースを去っている(のちに親戚のペルー土産のキャンディーが原因であると判明)。



5月17日(日)第9ステージ ☆☆☆☆
ベネヴェント〜サンジョルジョ・デル・サンニオ 215km →コースマップ


ジロ・デ・イタリア2015第9ステージジロ・デ・イタリア2015第9ステージ image:RCS Sport休息日を翌日に控えた第9ステージは気が抜けない。アップダウンとワインディングが詰め込まれており、中盤にかけて2級山岳テルミニオ(登坂距離20km/平均勾配4.2%)と1級山岳コッレ・モレッラ(登坂距離9.5km/平均勾配6.3%)が立て続けに登場。1級山岳コッレ・モレッラは頂上手前の数キロにわたってコンスタントに10%オーバーが続くパンチの効いた登りだ。

残り11km地点で2級山岳パッソ・セッラを越えてサンジョルジョ・デル・サンニオにフィニッシュ。ピュアスプリンターが勝負に残るには厳しいが、かと言って総合が大きく動く難易度でもない。つまり、すでに総合タイムを失ったアタッカーにとって逃げ切りの絶好のチャンスだ。登りに自信を見せるスプリンターチームがコントロールを開始すれば状況は変わるだろう。



5月18日(月)休息日




text:Kei Tsuji in Sanremo, Italy

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