TV中継が不可能なほどの砂嵐に見舞われたツアー・オブ・カタール第2ステージ。横風によって15名に数を減らした集団がゴールに到達し、アレクサンダー・クリストフが勝利。リーダージャージを手に入れた。



海を眺めるエドアルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ)海を眺めるエドアルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ) photo:A.S.O.ペルシャ湾を横目にスタートを切るペルシャ湾を横目にスタートを切る photo:A.S.O.

砂嵐の中を突き進むプロトン。レース開始後すぐに集団が分断する砂嵐の中を突き進むプロトン。レース開始後すぐに集団が分断する photo:A.S.O.


エティックス・クイックステップのペースアップで集団が破壊されるエティックス・クイックステップのペースアップで集団が破壊される photo:A.S.O.逃げたフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)ら逃げたフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)ら photo:A.S.O.カタールの首都ドーハ南部からスタートし、市街地を避けるように北上しアルコール・コルニシュを目指すツアー・オブ・カタール第2ステージ。この日はカタール名物の横風がプロトンを破壊する、荒れ模様の目まぐるしいレースが展開された。

遅れたホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)やナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)遅れたホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)やナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) photo:A.S.O.強風吹き付ける中スタートしたプロトンは、ディフェンディングチャンピオンのニキ・テルプストラ(オランダ)や過去4度の総合優勝したトム・ボーネン(ベルギー)を擁するエティックス・クイックステップ勢が全速力で牽いたことで早々に分断が発生する。

15名の先頭グループ内で走るハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)ら15名の先頭グループ内で走るハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)ら photo:A.S.O.この動きによってブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームスカイ)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)らは後方に。一方先頭からはフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)らミカエル・モルコフ(デンマーク、ティンコフ・サクソ)らがアタックを敢行し、4名の逃げ集団ができあがった。

追い風に乗るプロトンは、レース開始後2時間の平均時速で54.4kmをマークする。ちなみに日曜日にローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が記録した新アワーレコードは52.491km。

強風はやがて砂嵐と化し、道路上には風で運ばれた砂が堆積する。チームスカイのルーク・ロウ(イギリス)は荒れに荒れたレースを以下のように振り返る。「砂嵐の影響でTV中継もできないほどだった。それでも集団は65〜70km/hというスピードで走るから、砂に乗り上げて弾き飛ばされてしまう。視界も最悪だったし、まったく大変なステージだった」

123km地点でエスケープが終了すると、第1集団はエティックスやトレックファクトリーレーシングを中心とした41名になる。ボーナスタイムが設定された中間スプリントはボーネンが獲り、総合首位に向けての意欲を見せる。

エシュロンを組んで飛ぶように走るプロトンからは、リーダージャージのホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)やゴール勝負を狙っていたアルノー・デマール(フランス、FDJ)など選手たちが一人、また一人と脱落していく。最終的に先頭グループでゴールしたのは15名。アタックと牽制を繰り返しながらスプリントが始まった。

メンバーを残したエティックス有利のスプリントだったが、ボーネンの前からアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が発進。アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)の追い上げを振り切ったクリストフが今季初勝利を飾るとともに、ゴールドのリーダージャージを手に入れた。



15人のスプリントを制したアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)15人のスプリントを制したアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:A.S.O.


アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)がリーダージャージを獲得アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)がリーダージャージを獲得 photo:A.S.O.「とても長いスプリントだった。グアルディーニの追い上げで、フィニッシュした時には勝った自信が少ししかなかった」とクリストフ。「風の強い一日だったが僕には合っていた。普段住んでいるノルウェーの海沿いはもっと強い風が吹くんだ。」と加えた。

また、ボーネンはスプリントで5位となりながらも中間スプリントのボーナスタイムによって総合成績を2位に上げている。首位こそ叶わなかったが、砂漠の王としての威厳を見せた。なお、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)らは9分遅れの集団でゴールしている。

翌日の第3ステージは、ロサイル・インターナショナル・サーキットで争われる10.9kmの個人タイムトライアル。分差こそつかないが、総合順位変動は必至だ。



ツアー・オブ・カタール2015第2ステージ結果
1位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)             3h49'51"
2位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
3位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
5位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
6位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
7位 アダム・ブライス(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
8位 マーカス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシング)
9位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)
10位 イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)

個人総合成績
1位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
2位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
3位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
5位 ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)
6位 マーカス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシング)
7位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
8位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
9位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)
10位 マチェイ・ボドナール(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
7h39'31"
+01"
+03"
+04"
+08"
+09"
+10"





ポイント賞
トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)

新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

チーム総合成績
エティックス・クイックステップ

text:So.Isobe
photo:CorVos,A.S.O.