2009/09/11(金) - 17:03
先立って発表されたイギリス人選手6名に続いて、チームスカイに新加入する10名の海外出身選手のが発表された。ボアッソン(ノルウェー)やロヴクヴィスト(スウェーデン)、ジェランス(オーストラリア)、フレチャ(スペイン)ら、チーム結成1年目から確実に成績を残せるであろうトップ選手の名前が並ぶ。
イギリス人選手6名加入のニュースが出された翌日、チームスカイは契約を済ませた10名の海外出身選手の名前を発表した。いずれも現在所属するチーム内で中心的役割を担う選手ばかり。特に目立つのが、チームコロンビア・HTCから移籍する4名の選手たち。現段階で、すでに9カ国の選手が集まる多国籍チームになった。
チームスカイに加入する10名
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)チームコロンビア・HTC
モーリス・ポッソーニ(イタリア)チームコロンビア・HTC
トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)チームコロンビア・HTC
グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)チームコロンビア・HTC
サイモン・ジェランス(オーストラリア)サーヴェロ
クルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー)サクソバンク
フアンアントニオ・フレチャ(スペイン)ラボバンク
キェール・カールストローム(フィンランド)リクイガス
ジョンリー・オーガスティン(南アフリカ)バルロワールド
ラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー)ジョーカー・ビアンキ
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)22歳
今年ヘント〜ウェベルヘムを制し、ジロ・デ・イタリアでステージ初優勝、そしてエネコ・ツアーでステージ2勝を飾って総合優勝を果たすなど、スプリント力のあるTTスペシャリストとして一気にブレイク。現在UCI(国際自転車競技連盟)のワールドランキングでコンタドールとAシュレクに次いで3位につけている。
モーリス・ポッソーニ(イタリア)25歳
軽量なクライマー体型ながら逃げを打てる独走力を兼ね備えた中堅選手。コロンビア時代はイタリアレースへの出場が多く、昨年のジロ・デ・イタリアでは3日間マリアビアンカ(新人賞ジャージ)着用、ジロ・ディ・ロンバルディアで9位に入った。今年のジロ開幕チームTTでステージ優勝を飾ったメンバーの一人。ランプレ時代には2度ジャパンカップに出場している。
トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)25歳
スウェーデンが生んだTTに強いオールラウンダーで、昨年ドイツ・ツアー総合2位、ティレーノ〜アドリアティコ総合3位。チームコロンビア・HTCに移籍した今年はツアー・オブ・カリフォルニアを総合5位で終えると、モンテパスキ・エロイカで優勝し、ティレーノ〜アドリアティコ総合4位。ジロ・デ・イタリアではマリアローザを1日、マリアビアンカを11日間着用した。将来的にグランツールで総合成績を狙う逸材と期待される。
グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)32歳
2004年トラック世界選手権スクラッチで金メダルを獲得した大柄なスプリンターで、そのスピードを活かしてエーススプリンターの発射台役を務めてきた。今年はボルタ・ア・カタルーニャなどスペインレースで好成績をおさめ、ブエルタで念願のグランツール初勝利を飾ったばかり。現時点でチームスカイにおける最も経験豊富なスプリンターだ。
サイモン・ジェランス(オーストラリア)29歳
自転車競技が盛んなオーストラリア南部のヴィクトリア州出身のパンチャーで、3年間所属したアージェードゥーゼルから昨年クレディアグリコルに移籍すると一気に開花。ツールでは山頂フィニッシュで優勝を果たした。サーヴェロに移籍した今年は更にその活躍を加速させ、ジロの激坂フィニッシュを制して初勝利を飾ると、GPウエストフランス・プルエーで地元フランス勢を打破。そして先日のブエルタ第10ステージでは逃げメンバーのヴィノクロフ(カザフスタン)らを下し、グランツール全てでステージ優勝を果たした。アップダウンの厳しいワンディクラシックも得意で、今年のアルデンヌ3連戦全てで8位以上をマーク。
クルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー)34歳
1997年のロード世界選手権U23で優勝し、2004年から6年間サクソバンク(元チームCSC)に所属するベテランライダー。ワンディクラシックを得意とし、ベルギーの石畳系クラシックで好成績を残す。グランツールではアシスト役をこなしながら果敢に逃げ、これまでジロ・デ・イタリアでステージ2勝。昨年ツール・ド・フランスで念願の逃げ切り勝利を飾った。今年5度目のノルウェー選手権を制し、赤地にブルーの十字が切られたナショナルチャンピオンジャージを着る。現段階でチームスカイ最年長の34歳。
フアンアントニオ・フレチャ(スペイン)31歳
言わずと知れた“石畳を走れるスペイン人”。スペインが生んだ世界有数のルーラーで、自身最高の目標に掲げるパリ〜ルーベでは2005年3位、2006年4位、2007年2位、そして今年落車でチャンスを逃して6位。ルーベ制覇に並々ならぬ闘志を燃やしている。昨年はロンド・ファン・フラーンデレンで3位。ツールにはこれまで7回出場しており、初出場の2003年大会でステージ優勝。その時、弓矢を打つポーズでゴールラインを駆け抜けた。
キェール・カールストローム(フィンランド)32歳
2002年にアモーレ・エ・ヴィータでプロデビューし、以降ずっとイタリアチームに所属。5年に渡って所属していたリクイガスからイギリスチームへ移籍を決めた。2004年のフィンランドチャンピオンで、2006年のツール第8ステージ2位。昨年のパリ〜ニースでステージ優勝を飾った。今年6月に開催されたフィンランド選手権では惜しくも敗れて2位。しかし優勝した選手のテストステロン陽性が発覚したため、繰り上げでチャンピオンジャージを受け取る可能性は高い。今年2年連続ジャパンカップに出場予定。昨年は7位だった。
ジョンリー・オーガスティン(南アフリカ)23歳
南アフリカ生まれのクライマーで、コニカミノルタ時代の2006年にはTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)に出場し、富士山ヒルクライムTTで40分56秒49のトップタイムを叩き出して優勝。総合2位に入った。2007年からバルロワールドに所属し、昨年のツールで一躍その名を世界に知らしめた。第16ステージで逃げに乗ったオーガスティンは、終盤の超級山岳ボネット・レストフォン峠でアタック。オーガスティンはこのヨーロッパ自動車道路最高峠(標高2802m)を先頭で通過したが、その直後、ガードレールの無い下りカーブでオーバーラン。数十メートル下の瓦礫の斜面に滑落してしまった。オーガスティンは奇跡的に怪我なくコースに復帰し、総合48位でパリに辿り着いた。
ラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー)25歳
今回発表された10名の中では最も知名度が低いが、MTBとロードを両立する多才な選手。来年からチームメイトになるラッセル・ダウニング(イギリス)が総合優勝したツアー・オブ・アイルランドでステージ優勝&総合2位に入った。ノルウェーのコンチネンタルチーム・ジョーカービアンキからトップチームにジャンプアップ。ボアッソンとアルヴェセンとともにノルウェー出身だ。
text:Kei Tsuji
photo:Kei Tsuji, Cor Vos
イギリス人選手6名加入のニュースが出された翌日、チームスカイは契約を済ませた10名の海外出身選手の名前を発表した。いずれも現在所属するチーム内で中心的役割を担う選手ばかり。特に目立つのが、チームコロンビア・HTCから移籍する4名の選手たち。現段階で、すでに9カ国の選手が集まる多国籍チームになった。
チームスカイに加入する10名
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)チームコロンビア・HTC
モーリス・ポッソーニ(イタリア)チームコロンビア・HTC
トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)チームコロンビア・HTC
グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)チームコロンビア・HTC
サイモン・ジェランス(オーストラリア)サーヴェロ
クルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー)サクソバンク
フアンアントニオ・フレチャ(スペイン)ラボバンク
キェール・カールストローム(フィンランド)リクイガス
ジョンリー・オーガスティン(南アフリカ)バルロワールド
ラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー)ジョーカー・ビアンキ
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)22歳
今年ヘント〜ウェベルヘムを制し、ジロ・デ・イタリアでステージ初優勝、そしてエネコ・ツアーでステージ2勝を飾って総合優勝を果たすなど、スプリント力のあるTTスペシャリストとして一気にブレイク。現在UCI(国際自転車競技連盟)のワールドランキングでコンタドールとAシュレクに次いで3位につけている。
モーリス・ポッソーニ(イタリア)25歳
軽量なクライマー体型ながら逃げを打てる独走力を兼ね備えた中堅選手。コロンビア時代はイタリアレースへの出場が多く、昨年のジロ・デ・イタリアでは3日間マリアビアンカ(新人賞ジャージ)着用、ジロ・ディ・ロンバルディアで9位に入った。今年のジロ開幕チームTTでステージ優勝を飾ったメンバーの一人。ランプレ時代には2度ジャパンカップに出場している。
トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)25歳
スウェーデンが生んだTTに強いオールラウンダーで、昨年ドイツ・ツアー総合2位、ティレーノ〜アドリアティコ総合3位。チームコロンビア・HTCに移籍した今年はツアー・オブ・カリフォルニアを総合5位で終えると、モンテパスキ・エロイカで優勝し、ティレーノ〜アドリアティコ総合4位。ジロ・デ・イタリアではマリアローザを1日、マリアビアンカを11日間着用した。将来的にグランツールで総合成績を狙う逸材と期待される。
グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)32歳
2004年トラック世界選手権スクラッチで金メダルを獲得した大柄なスプリンターで、そのスピードを活かしてエーススプリンターの発射台役を務めてきた。今年はボルタ・ア・カタルーニャなどスペインレースで好成績をおさめ、ブエルタで念願のグランツール初勝利を飾ったばかり。現時点でチームスカイにおける最も経験豊富なスプリンターだ。
サイモン・ジェランス(オーストラリア)29歳
自転車競技が盛んなオーストラリア南部のヴィクトリア州出身のパンチャーで、3年間所属したアージェードゥーゼルから昨年クレディアグリコルに移籍すると一気に開花。ツールでは山頂フィニッシュで優勝を果たした。サーヴェロに移籍した今年は更にその活躍を加速させ、ジロの激坂フィニッシュを制して初勝利を飾ると、GPウエストフランス・プルエーで地元フランス勢を打破。そして先日のブエルタ第10ステージでは逃げメンバーのヴィノクロフ(カザフスタン)らを下し、グランツール全てでステージ優勝を果たした。アップダウンの厳しいワンディクラシックも得意で、今年のアルデンヌ3連戦全てで8位以上をマーク。
クルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー)34歳
1997年のロード世界選手権U23で優勝し、2004年から6年間サクソバンク(元チームCSC)に所属するベテランライダー。ワンディクラシックを得意とし、ベルギーの石畳系クラシックで好成績を残す。グランツールではアシスト役をこなしながら果敢に逃げ、これまでジロ・デ・イタリアでステージ2勝。昨年ツール・ド・フランスで念願の逃げ切り勝利を飾った。今年5度目のノルウェー選手権を制し、赤地にブルーの十字が切られたナショナルチャンピオンジャージを着る。現段階でチームスカイ最年長の34歳。
フアンアントニオ・フレチャ(スペイン)31歳
言わずと知れた“石畳を走れるスペイン人”。スペインが生んだ世界有数のルーラーで、自身最高の目標に掲げるパリ〜ルーベでは2005年3位、2006年4位、2007年2位、そして今年落車でチャンスを逃して6位。ルーベ制覇に並々ならぬ闘志を燃やしている。昨年はロンド・ファン・フラーンデレンで3位。ツールにはこれまで7回出場しており、初出場の2003年大会でステージ優勝。その時、弓矢を打つポーズでゴールラインを駆け抜けた。
キェール・カールストローム(フィンランド)32歳
2002年にアモーレ・エ・ヴィータでプロデビューし、以降ずっとイタリアチームに所属。5年に渡って所属していたリクイガスからイギリスチームへ移籍を決めた。2004年のフィンランドチャンピオンで、2006年のツール第8ステージ2位。昨年のパリ〜ニースでステージ優勝を飾った。今年6月に開催されたフィンランド選手権では惜しくも敗れて2位。しかし優勝した選手のテストステロン陽性が発覚したため、繰り上げでチャンピオンジャージを受け取る可能性は高い。今年2年連続ジャパンカップに出場予定。昨年は7位だった。
ジョンリー・オーガスティン(南アフリカ)23歳
南アフリカ生まれのクライマーで、コニカミノルタ時代の2006年にはTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)に出場し、富士山ヒルクライムTTで40分56秒49のトップタイムを叩き出して優勝。総合2位に入った。2007年からバルロワールドに所属し、昨年のツールで一躍その名を世界に知らしめた。第16ステージで逃げに乗ったオーガスティンは、終盤の超級山岳ボネット・レストフォン峠でアタック。オーガスティンはこのヨーロッパ自動車道路最高峠(標高2802m)を先頭で通過したが、その直後、ガードレールの無い下りカーブでオーバーラン。数十メートル下の瓦礫の斜面に滑落してしまった。オーガスティンは奇跡的に怪我なくコースに復帰し、総合48位でパリに辿り着いた。
ラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー)25歳
今回発表された10名の中では最も知名度が低いが、MTBとロードを両立する多才な選手。来年からチームメイトになるラッセル・ダウニング(イギリス)が総合優勝したツアー・オブ・アイルランドでステージ優勝&総合2位に入った。ノルウェーのコンチネンタルチーム・ジョーカービアンキからトップチームにジャンプアップ。ボアッソンとアルヴェセンとともにノルウェー出身だ。
text:Kei Tsuji
photo:Kei Tsuji, Cor Vos